Trademark Appeal Case
地名「PARIS」の混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2009−900142(T2009−900142/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第5197337号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成20年6月5日に登録出願、第25類「フランス製又はフランスでデザインされた被服(「和服」を除く。),フランス製又はフランスでデザインされたガーター,フランス製又はフランスでデザインされた靴下止め,フランス製又はフランスでデザインされたズボンつり,フランス製又はフランスでデザインされたバンド,フランス製又はフランスでデザインされたベルト,フランス製又はフランスでデザインされた靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),フランス製又はフランスでデザインされた運動用特殊衣服,フランス製又はフランスでデザインされた運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」を指定商品として、同年12月3日に登録査定、同21年1月16日に設定登録されたものである。
第2 登録異議申立人の引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録商標は、以下の(1)ないし(4)のとおりであり、現に有効に存続しているものである。
(1)登録第4479759号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成12年8月21日に登録出願、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同13年6月1日に設定登録されたものである。
(2)登録第4666475号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成14年10月17日に登録出願、第27類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同15年4月25日に設定登録されたものである。
(3)登録第5085281号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成18年7月13日に登録出願、第8類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同19年10月19日に設定登録されたものである。
(4)登録第5085283号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成18年7月13日に登録出願、第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同19年10月19日に設定登録されたものである。
(以上の引用商標1ないし引用商標4を一括していうときは、単に「引用商標」という。)
第3 登録異議の申立ての理由(要点)
本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念を共通し、その指定商品についても同一又は類似するものである。
そして、本件商標は、西洋の紋章風の図形を配し、その帯状部分内に、「PARIS」の欧文字を一連に配してなるものの、本件商標の欧文宇部分の「PARIS」の態様は、引用商標の欧文字部分の「PARIS」の態様と同一であることから、需要者及び取引者は、本件商標及び引用商標を使用した各指定商品に接した場合には、同一の営業主の製造又は販売に係る商品であると誤認するおそれが極めて高く、本件商標と引用商標とは商品の出所について誤認混同を生じさせる類似のものである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。
第4 当審の判断
1 本件商標について
本件商標は、別掲(1)のとおり、上部に王冠、その下左右に獅子、中央部に楯を配した西洋風紋章図形の下部の帯状内に、「PARIS」の欧文字を書してなるものである。
そして、かかる構成よりなる西洋風紋章図形と「PARIS」の欧文字を配した本件商標は、全体として特異な形態の図形の一種といえるものであり、看者の注意を惹き記憶に残るといえるものである。
しかして、本件商標の構成中の「PARIS」の欧文字部分は、その構成各文字をそれぞれ、極小さな跳ねたひげのような線を付加してやや図案化してなるものであるが、この構成に徴すれば、「フランスの首都パリ」を意味する英語と容易に理解されるものである。
ところで、被服等の取引業界にあって、商品に関するファッションをリードする地の一としてフランスのパリ(Paris)が一般に認識されていること、事業者の取り扱う商品がフランス製であることを表したり、当該事業者の本店等が首都パリに所在する等の事情を示すために、出所表示標識とともに、「PARIS」の欧文字を併記することが盛んに行われていることは、顕著な取引上の実情である。加えて、本件商標は、前記第1のとおり、その指定商品をフランス製又はフランスでデザインされた商品のみとするものである。
そうしてみれば、フランス製又はフランスでデザインされた本願の指定商品に本件商標を使用したとき、これに接する取引者、需要者は、当該「PARIS」の文字部分を商品の属性にかかわる表示、つまり、当該商品がフランスあるいはパリに係わりがある旨の表記として捉えるというのが相当であり、取引者、需要者が観察して、当該部分から生ずる称呼をもって称呼し、取引に当たる可能性があるとはいい難いものである。
この点、「PARIS」の各文字が極小さな跳ねたひげのような線を付加してやや図案化してなるとしても、それによって、取引者、需要者の認識を凌駕する程度に至っているものであるともいえない。
してみれば、本件商標は、図形部分を主要な部分とした商標というべきであって、文字部分より、取引上で商品の出所を識別するための称呼及び観念「パリス」(フランスの首都パリ)は生じないというのが相当である。
2 引用商標について
他方、引用商標は、別掲(2)のとおり、二重の楕円状輪郭線の内側中央部に「PARIS」の欧文字を表し、その下に、「accessories for men」の欧文字を小さく表し、かつ、外側輪郭線と内側輪郭線の間に 「Massachusetts・NewYork・LosAngels・Chicago・Dallas」及び左右に小さな図形を配して「Established1887」の文字を小さく表してなるものである。
そして、「Massachusetts」「NewYork」「LosAngels」「Chicago」「Dallas」の他の文字が、いずれも我が国において一般によく知られた地名を表したものであることからすれば、中央に大きく表されたものであるとしても、当該「PARIS」も他と同様に地名を表したとの認識をもって把握されるものとみるべきである。
そうとすれば、大きさと図案化によって、ことさらに当該文字のみが看者に他の文字と別異の認識を与えるものともいい難く、当該文字部分から商品の出所を識別するための称呼及び観念は生じないというのが相当である。
しかして、引用商標は、構成全体が密接に結合した一種固有の識別標識というべきものである。
3 以上よりすれば、本件商標は、その図形部分と文字との結合した商標であって、ことさらに、文字部分のみが分離抽出されて取引場裏で着目されるとはいい難く、むしろ、図形部分を主要なものというべきものであって、二重の楕円状輪郭線及びその内側に配された各文字と図形の結合した引用商標とは、その構成において著しい差異を有するから、両者は、外観において相紛らわしいものとはいえない。
また、本件商標と引用商標とは、上記のとおり特定の称呼、観念を生ずるものではないから、称呼及び観念において、相紛らわしいものともいえない。
したがって、本件商標は、外観、称呼及び観念よりみて、引用商標に類似する商標とはいい難いものである。
4 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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