Trademark Appeal Case
称呼の逆順類似性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2009−900154(T2009−900154/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5199409号商標(以下「本件商標」という。)は、「旨こく」の文字を横書きしてなり、平成20年4月16日に登録出願、第29類「肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物」を指定商品として、同年12月16日に登録査定、同21年1月23日に設定登録されたものである。
2 本件登録異議申立ての理由
本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第26号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 申立人の引用する商標
(ア)登録第4815047号商標(以下「引用商標1」という。)は、「こくうま」の平仮名文字を縦書きにし、その下に「東海漬物」の漢字を小さく横書きに配してなり、平成16年2月13日に登録出願、第29類「食用油脂,乳製品,卵,冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,凍り豆腐,豆乳,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物」を指定商品として、同16年11月5日に設定登録されたものである。
(イ)登録第4820484号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成16年2月26日に登録出願、第29類「キムチ」を指定商品として、同16年11月26日に設定登録されたものである。
(ウ)登録第4892702号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成16年10月28日に登録出願、第29類「キムチ」を指定商品として、同17年9月9日に設定登録されたものである。
(エ)登録第5020651号商標(以下「引用商標4」という。)は、「こくうま」の平仮名文字を縦書きしてなり、平成17年6月21日に登録出願、第29類「キムチ」を指定商品として、同19年1月26日に設定登録されたものである。
(オ)登録第5079870号商標(以下「引用商標5」という。)は、「こくうま」の平仮名文字を横書きにし、その左側に「プチ」の片仮名文字を小さく縦書きに配してなり、平成18年12月5日に登録出願、第29類「食用油脂,乳製品,卵,冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物」を指定商品として、同19年9月28日に設定登録されたものである。
(カ)登録第5144663号商標(以下「引用商標6」という。)は、別掲(3)のとおり、上面に引用商標5と同一態様の文字が表示された立体的形状(なお、別掲(3)と異なる方向から表示した図については、願書に表示されているとおり。)の構成からなり、平成19年7月20日に登録出願、第29類「食用油脂,乳製品,冷凍野菜,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ」を指定商品として、同20年6月27日に設定登録されたものである。
(キ)登録第4833607号商標(以下「引用商標7」という。)は、「ごくうま」の平仮名文字を縦書きにし、その下に「東海漬物」の漢字を小さく横書きに配してなり、平成16年4月30日に登録出願、第29類「食用油脂,乳製品,卵,冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,凍り豆腐,豆乳,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物」を指定商品として、同17年1月21日に設定登録されたものである。
以下、これらを一括していうときは「引用各商標」という。
イ 本件商標と引用各商標とは、称呼において「コクウマ」と「ウマコク」で前後の順を入れ替えたにすぎず、外観・観念をも共通にする類似の標章である。また、その指定商品も同一又は類似のものである。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第10号について
引用各商標は、申立人が平成16年以降順次発売している「こくうま」というキムチ商品のシリーズを表す標章として用いられ、申立人は、ウェブサイトの開設(甲第8号証)、販売促進活動(甲第9号証、甲第10号証の1ないし3)、新聞、雑誌等への広告(甲第11号証の1ないし6)などの数々の営業努力を重ねてきた。
そして、申立人のキムチ「こくうま」は、平成16年に発売が開始されて以来(甲第12号証)、継続的に全国各地の主要スーパーマーケット等で広く販売され、平成17年12月の時点で売上個数・売上金額ともに第1位となっており(甲第13号証)同業他社のみならず、一般消費者にも東海漬物の「こくうま」キムチは、非常によく知られたところとなっている。
一般消費者に関しては、例えば平成20年1月に株式会社東急エージェンシーによって実施された、首都圏、東海圏、関西圏の主婦を調査対象とした東海漬物のイメージ調査アンケートによれば、実に25.7%が東海漬物のキムチ「こくうま」を認知しているとの調査結果が出ている(甲第14号証)。
そして、「こくうま」キムチは、申立人の基幹商品の一つとして、その後も安定的に成長をつづけている(甲第15号証ないし甲第17号証。) 本件商標は、申立人がキムチに使用し周知である「こくうま」と類似し、キムチと同一又は類似する商品に使用することは明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号について
申立人は、2004年の「こくうま」キムチシリーズ発売以来、引用各商標を広く使用して今日に至っており、商品「こくうま」キムチの我が国における市場占有率や周知性は極めて高いため、本件商標が本件指定商品について使用された場合には、本件指定商品の分野の需要者が、申立人の業務に係る商品と出所を混同するおそれが高い。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第19号(申立人は、理由本文において、同第7号をも挙げているが、同様の趣旨と認め、本号として判断する。)について
商標権者は、一見すると、本件商標「旨こく」を出願しているだけのようにみえるが、しかしながら、実際の使用の仕方をみるとかかる商品を「こくうま」と称呼させている意図も有していることが伺い知れる(甲第17号証ないし甲第24号証)。してみると、本件商標「旨こく」も、商標権者のこれらの一連の使用と関連づけて理解するのが自然であって、需要者から「こく旨」として認識される可能性が高い。
加えて、申立人と商標権者の間で本件商標に関連して従前から紛争が存在していることも見逃せない。すなわち、かつて申立人は、キムチ発売開始にあたり、シリーズ名称として「こくうま」に加えて「うまこく」という名称も検討していたため、「うまこく」という商標も2004年に登録し、保有していた(甲第16号証)。
しかし、実際には、申立人は、キムチ商品の名前として「こくうま」と命名することに決定したため、「うまこく」の商標を付して商品を販売することはなかった。
ところが、商標権者は、申立人の東海漬物のキムチ「こくうま」が漬物全般でトップの販売実績を挙げるなど、極めて好調になった後、その四角いパッケージと極めて酷似したパッケージに「こく旨」の標章を付した商品を発売するなど、申立人の商標権を侵害する態様が目立つようになり、看過しがたい状況になった。
そこで、平成20年3月21日、申立人は、商標権者に対して内容証明郵便にて警告を発したところ(甲第17号証の1ないし2)、商標権者は、申立人が「うまこく」を付した商品を発売していないことを奇貨として「うまこく」の不使用取消審判を申立て、「うまこく」の商標登録を取り消すとともに、逆に自ら「うまこく」と極めて類似した本件商標「旨こく」を登録する挙に出たものである。
また、商標権者は、申立人の「こくうま」シリーズのヒットにただ乗りし、信用・ブランド・顧客吸引力を利用しようとしてパッケージを酷似させた商品を流通に置いた(甲第19号証)。この商品は、「こく旨」と縦書きに表記されているものであるから、申立人保有の登録商標第4820484号と極めて酷似する構成である。これらの商標権者による一連の使用は、いずれも「こくうま」という東海漬物側の信用を利用するものにすぎず、警告を受けた後も不使用取消によって生じた間隙を突こうとして、後付けの言い逃れを探しているにすぎないから、これらの行為は、結局、不正の目的をもってなされたであろうことを強く推認させるだけのものである。
以上のように、商標権者の商品における本件商標及び類似標章の使用の実態や本件申立てに至るまでの申立人と商標権者との間の紛争の経緯にかんがみれば、被中立人が引用各商標の信用・ブランド・顧客吸引力を利用しようとの不正の目的をもって本件商標に及んだことが強く推認される。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「旨こく」の文字よりなるものであるところ、これよりは、「ウマコク」の称呼を生じ、特に観念は、生じないものというを相当とする。
他方、引用商標1ないし引用商標6は、その構成中に「こくうま」の文字を顕著に表してなるものであるから、これよりは、「コクウマ」の称呼を生じ、特に観念は、生じないものというを相当とし、また、引用商標7は、「ごくうま」の文字よりなるものであるから、「ゴクウマ」の称呼を生じ、特に観念は、生じないものというを相当とする。
そこで、本件商標と引用各商標とを比較するに、両商標は、前記のとおり、外観上相紛れるおそれがない程度に相違し、称呼においては、本件商標の称呼が「ウマコク」であるのに対し、引用商標1ないし引用商標6の称呼は、「コクウマ」であり、引用商標7の称呼は、「ゴクウマ」であるから、これらは、称呼上重要な要素を占める語頭音を始めとする構成音をその位置においてすべて異にするものであるから、これらを一連に称呼した場合であっても、十分に聴別し得るものである。
また、観念においては、両商標は、特に観念を生じないから、これを比較すべきところがない。
してみれば、本件商標と引用各商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれよりみても、何ら相紛れるおそれのない、非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第10号について
申立人は、「こくうま」の文字を商品「キムチ」のシリーズ商品を表すものとして、盛大に使用してきた(甲第8号証ないし甲第17号証)旨述べるところがあるが、本件商標と申立人使用商標の「こくうま」とは、前記「(1)」の認定のとおり、何ら相紛れるところのない、非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
申立人は、「こくうま」の文字を商品「キムチ」のシリーズ商品を表すものとして、盛大に使用してきた(甲第8号証ないし甲第17号証)旨述べるところがあるが、本件商標と申立人使用商標の「こくうま」とは、前記「(1)」の認定のとおり、何ら相紛れるところのない、別異の商標であるから、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引社・需要者が申立人又は申立人と経済的・組織的に何らかの関係のある者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第19号について
申立人は、商標権者による本件商標の実際の使用の仕方をみると、その使用する商品を「コクウマ」と称呼させている意図も有しているとして、甲第19号証、甲第20号証、甲第24号証及び甲第25号証を提出し、述べるところがあるが、「登録商標の範囲は、願書に記載した商標に基づいて定めなければならない。」(商標法第27条第1項)ことからすれば、本件商標は、「ウマコク」とのみ称呼し得るものであり、その使用態様に仮に不正の目的を持った使用があるとしても、その出願につき、不正の目的を持って使用するものとまではいうことができないところである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(5)結び
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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