Trademark Appeal Case
語尾音の有無と称呼類似性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2009−3081(T2009−3081/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「NETCLEUS」の欧文字と「ネットクリアス」の片仮名文字を二段に横書きしてなり、第9類及び第42類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成19年11月19日に登録出願されたものであるが、その指定商品については、原審における同20年6月26日付けの手続補正書により、第9類「電子回路・集積回路・半導体デバイスおよびこれに付随して使用されるコンピュータプログラム,コンピュータプログラム,大規模集積回路,集積回路モジュール,電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音楽ファイル,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM」及び第42類「電子計算機用プログラムの提供,電子計算機の貸与,大規模集積回路の設計,コンピュータハードウェアの設計・開発,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,集積回路に関するデザインの考案,デザインの考案,コンピュータネットワークシステムの設計・開発,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子回路・半導体素子・集積回路・大規模集積回路に関する試験又は研究及びこれらに関する指導又は助言,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明」と補正されたものである。
2 引用商標
原査定において、本願の拒絶の理由に引用した国際登録第922863号商標(以下「引用商標」という。)は、「NETCLEAR」の欧文字で書してなり、2007年3月20日に国際商標登録出願、第9類及び第37類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成20年5月23日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本願商標は、前記1のとおり、「NETCLEUS」及び「ネットクリアス」の各文字を二段に横書きしてなるものであるところ、構成各文字は、いずれも同書、同大、等間隔で外観上まとまりよく一体に表現されており、また、下段の文字部分は、上段の文字の読みを片仮名で表したものと認められるから、この片仮名文字に相応して、「ネットクリアス」の称呼のみを生ずるものである。そして、本願商標は、特定の語義を有しない造語と認められるものである。
一方、引用商標は、「NETCLEAR」の文字からなるところ、構成各文字は、同書、同大、等間隔で外観上まとまりよく一体に表現されており、また、これから生ずる「ネットクリア」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。そうすると、引用商標は、「ネットクリア」の称呼のみを生ずるものであり、特定の語義を有しない造語とみるのが相当である。
そこで、本願商標から生ずる「ネットクリアス」の称呼と、引用商標から生ずる「ネットクリア」の称呼とを比較すると、両称呼は、「ネ」「ッ」「ト」「ク」「リ」「ア」の6音を共通にするものであって、異なる点は語尾音の「ス」の有無の差異にすぎないところ、該差異音は、無声摩擦音の弱音であって、比較的聴取されがたい語尾に位置することから、該差異音がその称呼全体に及ぼす影響は決して大きなものとはいえず、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の語調、語感が近似したものとなり、互いに聞き誤るおそれがあるものといわなければならない。
そうすると、本願商標と引用商標とは、外観において相違するとしても、観念においては、いずれも特定の語義を有しない造語であって比較し得ないものであるから、なお称呼において相紛れるおそれのある類似の商標といわなければならない。
そして、本願の指定商品は、引用商標に係る指定商品と同一又は類似するものである。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、語尾の「ス」が、単なる英単語の名詞の複数形を表す「S」を称呼したものである場合には、その「ス」は、前音に吸収され、比較的弱く発音されることはあるかもしれないが、本願商標の場合は、単なる複数形の「ス」ではなく、本願商標を構成する重要な音の一つであるから、他の音と同様にしっかりと発音され、前音に吸収されることはないのであり、また、過去の登録例においても、「電気通信機械器具」の分野において、称呼上、語尾音の「ス」の有無のみに差異を有する商標であって、それが複数形を表す「S\ス」ではない場合の併存登録例が多数あるから、本願商標がこれらと異なる扱いを受けるべき合理的根拠はない旨主張する。
しかし、本願商標と引用商標は、いずれも特定の語義を有しない造語であって、それぞれを一連に称呼する場合、語尾の摩擦音「ス」の違いが聴者に強い印象を与えるものと認めることはできない。そして、商標法第4条第1項第11号の該当性は、本願商標と引用商標との比較により個別・具体的に判断すべきものであるから、過去の審決例、登録例に拘束されるいわれはない。
したがって、請求人の上記主張は採用することができない。
イ 請求人は、本願商標「NETCLEUS\ネットクリアス」と引用商標「NETCLEAR」は、称呼において語頭部分の「ネット」を共通にしているが、本願商標に係る指定商品の分野において「ネット」の文字を語頭に有する商標は別人によって1,000件以上登録されており、ありふれた要素であって無視されやすいから、指定商品との関係においては、「ネット」に結合された他の構成部分により注意が払われ、「クリアス」と「クリア」を比較すると、両者は音数、構成音、「ス」の存否の点で異なり、明確に区別し得るから、ありふれた「ネット」の部分は聞き流され、後半の「クリアス」と「クリア」の相違によって十分区別されるとみるのが経験則に合致する旨主張する。
しかし、請求人は、上記主張を裏付ける証左を提出していないばかりでなく、本願商標及び引用商標のように一連の称呼のみを生ずる造語商標であっても、前半の「ネット」の称呼部分は聞き流され、後半の称呼部分のみによって、称呼の区別が行われるかのごとき主張は、出願人独自の解釈方法といわざるを得ず、到底採用し得ないものである。
したがって、請求人の上記主張も採用することはできない。
(3)むすび
以上のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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