結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2008−300163(T2008−300163/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第2378610号商標(以下「本件商標」という。)は、「アリエル」の片仮名文字と「ARIEL」の欧文字とを上下二段に横書きしてなり、平成元年4月13日に登録出願、第29類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同4年2月28日に設定登録され、その後、同14年3月12日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、同年7月24日に指定商品を第30類「茶,コーヒー,ココア,氷」及び第32類「清涼飲料水,果実飲料」とする指定商品の書換登録がされたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成20年2月26日にされたものである。
請求人は、「本件商標の登録は、取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。
被請求人は、本件商標をその指定商品について継続して3年以上日本国内において使用していない。また、本件商標について専用使用権者は、存在せず(甲第1号証)、通常使用権者として本件商標を使用している者も存在しない。したがって、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その指定商品について使用されていないものである。
(1)商標法第50条第1項の審判にかかる本件取消審判において、被請求人が本件商標の取消しを免れるためには、(1)被請求人若しくはその使用権者が、(2)平成17年2月26日から平成20年2月25日までの間に、(3)その指定商品である、第30類「茶,コーヒー,ココア,氷」及び第32類「清涼飲料水,果実飲料」のいずれかについて、(4)本件商標を、商標法第2条第3項各号のいずれかに規定する態様で「使用」していたことを証明しなければならない。しかし、被請求人の提出に係る乙第1号証ないし乙第3号証によっては、上記各要件について立証がなされたということはできない。
(2)乙各号証の検討
ア 乙第1号証は、本件商標に係る商品の価格表である。また、乙第3号証は、本件商標を付した商品の写真である。乙第1号証及び乙第3号証に示された「ノンアルコールワイン」が「清涼飲料水」の範ちゅうに属する商品であること、並びに、「ノンアルコールワイン」及び価格表に本件商標と社会通念上同一と考えられる商標が付されていることは、請求人も否定しない。
しかし、乙第1号証の価格表には「この価格表は平成10年9月1日より有効です。」と記載されているとおり、当該価格表は、約10年前のものである。また、乙第3号証のノンアルコールワインには、輸入年月日が2003年6月4日と記載されており、当該ノンアルコールワインは、約5年前のものである。
したがって、乙第1号証及び乙第3号証は、ノンアルコールワインに関する価格表に標章を付して展示し、若しくは頒布する行為(商標法第2条第3項第8号)又は本件商標をノンアルコールワインの包装に付する行為(商標法第2条第3項第1号)が、平成17年2月26日から平成20年2月25日までの間に行われたことを何ら証明するものではない。
イ 乙第2号証は、「アリエル シャルドネ」、「アリエル カベルネソヴィニヨン」等の商品の売上伝票及び納品書控である。伝票番号1355を除いて、乙第2号証の売上伝票及び納品書控の日付が、本件審判請求の登録前3年以内の日付であることは、請求人も否定しない。また、これらの売上伝票及び納品書控の品名・商品名の欄には、「アリエル シャルドネ」、「アリエル カベルネソヴィニヨン」等の記載がなされている。
しかし、乙第2号証の売上伝票及び納品書控には、品番等が一切記載されておらず、乙第2号証に示された商品が、乙第1号証及び乙第3号証に示されたノンアルコールワインのことであるのかどうかは、乙第2号証からは明らかではない。
したがって、乙第2号証は、商標法第2条第3項第2号に規定する商品の包装に標章を付したものを譲渡する行為(乙第1号証及び乙第3号証に示す、ノンアルコールワインを販売する行為)が、平成17年2月26日から平成20年2月25日までの間に行われたことを何ら証明するものではない。
ウ また、被請求人は、「商標権者の住所が旧住所のままに放置されているが、権利の存続とは別問題と考える。必要に応じて正確を期す為に住所変更の手続きを行う予定にしている。」と述べている。しかし、被請求人を調査したところ、被請求人は、商標登録原簿に記載された「東京都港区西新橋1丁目9番1号」のみならず、登記簿上の住所である「東京都港区西新橋3丁目4番2号」においても、居住している事実はないようである。
したがって、被請求人は、その実体がなく、現実に企業活動を行っていたのかどうかも定かではない。乙第1号証ないし乙第3号証には、商標登録原簿に記載された住所が記載されているので、これらの証拠が真正なものであるかどうかは、極めて疑わしいものであると思料する。よって、乙第1号証ないし乙第3号証のみにより、被請求人が、本件商標の「使用」を立証するのであれば、請求人は、乙第1号証ないし乙第3号証が真正なものであることを客観的に証明する書面が提出されることを要求する。
(3)結論
以上述べたとおり、被請求人によって提出された乙第1号証ないし乙第3号証によっては、本件商標が、審判請求の登録前3年以内に、その指定商品である、第30類「茶,コーヒー,ココア,氷」及び第32類「清涼飲料水,果実飲料」のいずれかの商品について使用されたという事実は何ら証明されていない。したがって、本件商標の登録は、取り消されるべきである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。
(1)使用の証明
被請求人は、「ARIEL」の商標が付されたノンアルコールワインを輸入販売しており、本件商標「アリエル/ARIEL」の片仮名部分である「アリエル」及び欧文字部分である「ARIEL」を「ノンアルコールワイン」の宣伝に使用している。
顧客に配布した商品の価格表(兼カタログ)の標題には「アリエル ノン・アルコールワイン」と表示されており、ノン・アルコールワインは、商品の記述的な記載であることから、片仮名「アリエル」の部分を商標として使用していることが明らかである。また、価格表の商品名の欄には、それぞれ「アリエル・ブラン」、「アリエル・ルージュ」、「アリエル・ホワイト・ジンファンデル」等と記載されている。さらに、商品の写真には、ラベルの中心に大きく「ARIEL」と表示されており、その下に小さく「BLANC」、「ROUGE」等と記載されている態様から、「ARIEL」が商品に付されている商標であり、「BLANC」等は、アリエルブランドのノンアルコールワインの種類を表す表示であるということが明らかである(乙第1号証)。
取引書類として、平成17年4月から平成18年2月までの売上伝票の写しを提出する(乙第2号証)。この取引書類には、品名の欄に「アリエルシャルドネ」、「アリエル カベルネ・ソーヴィニヨン」等と記入されている。価格表では、750mlのもののみが記載されていたが、売上伝票に記載されている187mlの商品については、別途写真を証拠として提出する(乙第3号証)。
上記の資料により、本件商標が指定商品「清涼飲料」について使用されていることは、十分に証明されたものと思料する。
(2)登録商標との社会通念上の同一
被請求人が使用する「アリエル」及び「ARIEL」は、本件商標と社会通念上同一の商標であると考える。また、ノンアルコールワインが「清涼飲料」に区分されることは、明らかである。被請求人は、本件商標を付したノンアルコールワインを販売しており、当該行為は、商品の包装に標章を付したものを譲渡する行為であり、商標の使用に該当するものと考える。商標を付した価格表を顧客に配布する行為についても商標の使用に該当するものと考える。
(3)結語
以上詳述したとおり、本件商標は、取消しの対象である指定商品に現実に使用されているので、本件商標が取り消されるべきでないことは明らかである。
乙第1号証は、「アリエル ノン・アルコールワイン」と題するカタログ(価格表)であり、標題の右に「総発売元(有)アリエルトレーディング」と記載され、区分の欄には「清涼飲料水」、規格(容量)の欄には、「750ml」、商品名の欄には、「アリエル・ブラン」、「アリエル・カベルネ・ソーヴィニヨン」、「アリエル・シャルドネ」等の各記載がされている。また、このカタログの欄外には、「この価格表は平成10年9月1日より有効です。」との記載がある。
乙第2号証は、売上伝票と納品書控の各写しである。売上伝票は、平成17年4月7日ないし同18年2月15日にかかるものであるが、そのうち、「伝票番号1355」に係る日付のみ「16年5月16日」と記載されている。これらの売上伝票の左下には、「有限会社アリエルトレーディング 東京都港区西新橋1−9−1」等と記載されているものであり、1枚目の上段の売上伝票には、左上に「18年2月15日」、「伝票番号1425」との各記載があり、取引先として「俣野謙三」、品名(サイズ)の欄に「アリエル シャルドネ187ml」等の事項が各記載され、また、その下段の売上伝票には、左上に「17年10月3日」、「伝票番号1400」との記載があり、取引先として「ワインレストラン ドミナス」、品名(サイズ)の欄に「アリエル カベルネソーヴィニヨン187ml」及び「アリエル シャルドネ187ml」等の事項が各記載されている。
乙第3号証は、いずれも2008年4月14日に撮影されたとする商品の写真であるところ、1枚目の写真には、「ARIEL」と「CHARDONNAY」の各欧文字等が表示されたラベルをはり付けた瓶容器が写されており、これらの文字の下には「DEALCOHOLIZED WINE」の文字が記載されている。2枚目の写真は、1枚目の瓶容器を裏側から写したものと認められるところ、品名の欄に「清涼飲料水」、内容量の欄に「187ml」、輸入年月日の欄に「2003.06.04」、原産国の欄に「米国」、輸入者の欄に「(有)アリエルトレーディング 東京都港区西新橋1−9−1」及び「賞味期限:輸入日より3年間」並びに「アリエル シャルドネ」等と記載されたラベルがはり付けられている。
また、3枚目の写真には、「ARIEL」と「CABERNET SAUVIGNON」の各欧文字等が表示されたラベルをはり付けた瓶容器が写されており、これらの文字の下には「DEALCOHOLIZED WINE」の文字が記載されている。4枚目の写真は、3枚目の瓶容器を裏側から写したものと認められるところ、品名の欄に「清涼飲料水」、内容量の欄に「187ml」、輸入年月日の欄に「2003.06.04」、原産国の欄に「米国」、輸入者の欄に「(有)アリエルトレーディング 東京都港区西新橋1−9−1」及び「賞味期限:輸入日より3年間」並びに「アリエル カベルネ ソーヴィニヨン」等と記載されたラベルがはり付けられている。
そして、売上伝票(乙第2号証)に記載された「アリエル シャルドネ187ml」及び「アリエル カベルネソーヴィニヨン187ml」は、瓶容器(乙第3号証)の裏面に貼り付けられたラベルに記載の「アリエル シャルドネ」、「アリエル カベルネソーヴィニヨン」及び内容量として記載の「187ml」とそれぞれ符合するものである。
しかして、瓶容器(乙第3号証)には、表面にはり付けられたラベルに、ノンアルコールワインの意味合いを表す「DEALCOHOLIZED WINE」の文字が表示され、かつ、裏面にはり付けられたラベルにも「清涼飲料水」と記載されているものであるから、売上伝票(乙第2号証)に記載された「アリエル シャルドネ」及び「アリエル カベルネソーヴィニヨン」の各文字は、清涼飲料水の範ちゅうに属するノンアルコールワインを表したものと優に推認することができるものである。
本件商標は、「アリエル」の片仮名文字と「ARIEL」の欧文字を書してなるところ、その構成中の「ARIEL」の欧文字部分は、「天王星の第1衛星」を意味する成語であり、これよりは、「アリエル」の称呼を生ずるものと無理なく認められるものであるから、該「アリエル」の片仮名文字部分は、該欧文字部分から生ずる読みを特定したものとみるのが相当である。
一方、被請求人が使用する「アリエル シャルドネ187ml」、「アリエル シャルドネ」、「アリエル カベルネソーヴィニヨン187ml」及び「アリエル カベルネソーヴィニヨン」の各表示において、「シャルドネ」及び「カベルネソーヴィニヨン」の各文字は、原材料としてのブドウの品種を認識させるものであり、また、「187ml」は内容量を表すものであって、いずれも商品の品質を表すにすぎないものであるから、「アリエル」の片仮名文字が自他商品の識別標識としての機能を果たすとみるのが相当である。
してみると、被請求人が使用する「アリエル」の片仮名文字は、本件商標の片仮名文字部分と綴り字を同じくするものであり、「天王星の第1衛星」の観念を生ずるものであるから、本件商標と社会通念上同一の商標ということができる。
請求人は、乙第1号証の価格表には、「この価格表は平成10年9月1日より有効です。」と記載されており、また、乙第3号証のノンアルコールワインには、輸入年月日が2003年6月4日であるから、いずれも本件審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間内」という。)における本件商標の使用を証明するものではなく、乙第2号証に記載された商品名がノンアルコールワインであるか不明である旨主張する。
確かに、乙第1号証は、本件審判の請求の登録前3年に該当する平成17年2月26日に遡ること6年以上前のものと認められるから、被請求人の提出に係る証左のみによっては、これが要証期間内に頒布されたものとはいい難いものである。しかし、乙第3号証の写真によれば、平成15(2003)年6月4日に輸入されたものであるとしても、賞味期限が「輸入日より3年間」と記載されていることから、その賞味期限は同18年6月4日までと認められるところ、上記2の認定のとおり、該賞味期限の約4月前の同18年2月までの取引が格別不自然なものということはできないものであり、また、乙第2号証に記載された商品名「アリエル シャルドネ」及び「アリエル カベルネソーヴィニヨン」の各文字並びに「187ml」が乙第3号証に記載された表示と符合するものであることを総合してみれば、乙第2号証に記載された上記各表示は、ノンアルコールワインとみて差し支えないというべきである。
また、請求人は、被請求人が「東京都港区西新橋1−9−1」及び「同3−4−2」のいずれにも居住している事実がなく、乙第1号証ないし乙第3号証が真正なものではない旨主張する。
しかし、被請求人が上記各住所において居住しておらず、企業活動をも行っていないことを裏付ける何らの証左の提出もないものであるから、請求人の上記主張は、同人の憶測にすぎないものといわなければならない。
したがって、上記請求人の主張は、いずれも採用することができない。
以上のとおり、被請求人は、要証期間内に日本国内において、本件商標の指定商品中、「清涼飲料水」について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことを証明したというべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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