結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2008−301286(T2008−301286/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4332835号商標(以下「本件商標」という。)は、「パサール」及び「passar」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成10年10月1日に登録出願、第21類「食器類(貴金属製のものを除く),アイスペール」を指定商品として、平成11年11月5日に設定登録されたものである。
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品「食器類(貴金属製のものを除く),アイスペール」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(2)答弁に対する弁駁
ア 被請求人が提出した商品カタログによれば、ガラス製グラスの商品名にカタカナ表記の「パサール」を使用しているが、本件商標はアルファベット表記とカタカナ表記の二段併記の形態を有しており、上記カタログにおける使用形態とは明らかに異なることから、本件商標の使用証拠足りえない。
イ アルファベット表記とカタカナ表記の二段併記の構成からなる登録商標について、上段又は下段の一方のみの使用であっても、登録商標の使用とみなされる場合は、確かに散見される。例えば、アルファベット表記「MACBETH」とカタカナ表記「マクベス」が二段併記された登録商標について、アルファベット表記「MACBETH」、「MacBeth」「macbeth」が登録商標の使用と認められた場合(東京高裁 平成15年(行ケ)第446号事件)や、アルファベット表記「MENDEL」とカタカナ表記「メンデル」が二段併記された登録商標について、アルファベット表記「MENDEL」が登録商標の使用と認められた場合(東京高裁 平成15年(行ケ)第438号事件)、更に、アルファベット表記「DON」とカタカナ表記「ドン」が二段併記された登録商標について、アルファベット表記「DON」が登録商標の使用と認められた場合(東京高裁平成14年(行ケ)第591号事件)等がある。しかし、これらの場合に使用されているのは、いずれもアルファベット表記である。すなわち、二段併記されている各部が観念を同一とし、しかもアルファベット表記が使用されている場合には、容易にカタカナ表記を想起することができるため、アルファベット表記とカタカナ表記の二段併記と同一とはいえないアルファベット表記を、実質的に同一とみなしているものと思料する。
ウ その一方で、仮に、アルファベット表記とカタカナ表記の相互間に同一称呼を生ずる場合があったとしても、別意の観念が含まれるときは、登録商標の使用にはならないとされている。この点は、特許庁の審判便覧53一01「登録商標の不使用による取消審判」にも明記され、実際の例としても、カタカナ表記「アセック」について、アルファベット表記「ASEC」が同一ではないとされた場合(平成10年審判第30641号事件)がある。すなわち、カタカナ表記のみの使用では、容易にアルファベット表記を想起させることができない場合があるということである。例えば、比較的日本人に馴染みの深い英語の読みをカタカナ表記としたものであればそこからアルファベット表記を想起させることができたとしても、日本人に馴染みの薄い外国語や造語の読みをカタカナ表記としたものでは、そこからアルファベット表記を想起させることは困難である。
エ 本件商標についてみると、そのアルファベット表記である「passar」は、ポルトガル語で「通る、通過する、横断する、(時を)過ごす、送る、譲る、伝える、渡す、手渡す、(健康状態が)〜である」等の意味を持ち、英語で言うところの「pass」に相当する。日本においてポルトガル語は英語に比べて普及していないといえ、通常の日本人には、カタカナ表記からポルトガル語の綴り(アルファベット表記)を想起することは極めて難しいといえる。
オ なお、カタカナ表記「パサール」は、ローマ字表記であれば「pasahru」、英語調であれば「pasar」(商願2007一117187号・登録4683238号)、「pasarl」等の表記になるものと思料する。
カ また、ポルトガル語の「passar」の読みは「パッサール」であることから、仮にポルトガル語を知っている者であっても、「パッサール」と読む「passar」の語をカタカナ表記の「パサール」からは想起することはできない。
つまり、仮に、本件商標の一部を構成する「passar」から「パサール」の称呼を生じる場合があったとしても、「パサール」の表記からアルファベット表記「passar」を想起することは極めて困難である。
キ したがって、被請求人提出の商品カタログにおけるカタカナ表記の「パサール」は、「passar」の使用には該当しないため、結果として被請求人の登録商標は使用されていないことになる。
被請求人は、結論と同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第3号証を提出した。
(1)被請求人は、現在も含め、少なくとも過去3年間は使用しており、今後も使用の予定がある。
(2)証拠として、被請求人の2008年カタログ原本、2007年及び2006年カタログの写しを添付する。
(1)商標の使用の事実
被請求人提出の証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 商品カタログ「ADERIA 2008 GLASSWARE CATALOGUE」(乙第1号証)には、表紙に、被請求人の名称「石塚硝子株式会社」の記載及び「(記載価格は税抜き価格です)2008年1月1日現在」の記載があり、「冷酒グラスコレクション」と題した頁に、「パサール」の表示があって、その表示に対応してガラス製コップの現物写真が掲載され、その価格等が表示されている。
イ 商品カタログ「アデリア GLASSWARE CATALOGUE 2007」(乙第2号証)には、表紙に、被請求人の名称及び「(記載価格は税抜き価格です)2007年1月21日現在」の記載があり、「冷酒グラスコレクション」と題した頁に、「パサール」の表示があって、その表示に対応してガラス製コップの現物写真が掲載され、その価格等が表示されている。
ウ 商品カタログ「アデリア 2006」(乙第3号証)には、表紙に、被請求人の名称及び「(記載価格は税抜き価格です)2006年1月1日現在」の記載があり、「酒グラス」と題した頁には、「パサール」の表示があって、その表示に対応してガラス製コップの現物写真が掲載され、その価格等が表示されている。
エ 上記アないしウの年月日は、いずれも、本件審判請求の登録前3年以内(以下「本件期間内」という。)に該当するものであり、商標「パサール」を表示した被請求人のガラス製コップに係るカタログが、本件期間内において、頒布されたと推認されるものである。
(2)使用に係る商標と本件商標との社会通念上の同一性について
本件商標は、「パサール」及び「passar」の文字を二段に表したものであるところ、上段の片仮名文字と下段の欧文字と併せて「パサール」の称呼が生じるものであり、特定の観念を生じさせないものというのが相当である。
これに対して、前記(1)の使用に係る商標は、「パサール」の文字からなるものであり、「パサール」の称呼が生じ、特定の観念を生じさせないものである。
しかして、使用商標「パサール」は、本件商標の上段の片仮名文字と同一のものであり、本件商標と称呼を共通にするものであって、観念における変動もないものであるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認め得るものである。
また、前記(1)の使用商標に係る商品は、ガラス製のコップ(グラス)であるから、本件における取消請求に係る指定商品「食器類(貴金属製のものを除く)」の一に該当する商品であることは明らかである。
(3)結論
以上によれば、本件商標は、本件期間内に、被請求人(商標権者)によって取消請求に係る指定商品について使用されていたものと認めることができる。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すことができないものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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