結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2008−300399(T2008−300399/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第1008353号商標(以下「本件商標」という。)は、「マーベル」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和39年11月13日に登録出願、商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同48年4月9日に設定登録、その後、同58年7月25日、平成6年2月24日及び同15年4月15日の三回にわたり商標権存続期間の更新登録がなされ、また、同16年5月12日に指定商品の書換登録があった結果、第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス」及び第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子」を指定商品とするものである。
請求人は、本件商標の指定商品中、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由、答弁に対する弁駁及び口頭審理における陳述において、要旨以下のように述べている。
請求人の調査では、被請求人が、本件審判請求に係る商品について、過去3年以内に、我が国において、本件商標を使用している事実は、見受けられなかった。また、本件商標登録には、専用使用権の設定はなく、通常使用権者により使用されている事実もみられない。したがって、本件商標登録は、商標法50条第1項の規定により、取消されるべきである。
(1)本件商標がその審判請求に係る指定商品に使用されているとの主張は、提出された証拠からは、客観的に認められない。
乙第2号証には、本件商標が表されていない。
被請求人は、乙第3号証は、乙第2号証にある展示会開催日初日の会場の様子を撮った写真である旨を主張するが、おもちゃ売り場のような場所に数人の人物が写っているだけであり、また、撮影日時が写真自体に表れておらず、上記展示会開催初日に展示会会場で撮影されたことを客観的に証明する事情が見受けられない。また、乙第3号証下段の写真についても撮影日時が写真自体に表れておらず、また、撮影場所が展示会場であることを客観的に証明する事情が見受けられない。また、本件商標が付されたボードが写っているものの、かかるボードは、展示会後に作成することも可能であり、ボードの存在によって写真に写った場所が展示会会場であるとも証明されない。
乙第4号証ないし乙第9号証に表された商品広告パンフレットには、商品自体に本件商標が付されている状態が表れておらず、パンフレットに表れる本件商標と商品との関係が明確とはいえない。また、乙第4号証の2のパンフレット写真中の右上に掲載される2点のオムツカバーの上方中央に商品タグらしきものが写っており、これらの商品タグには、商品名らしき記載等があるのが見受けられる。しかし、乙第5号証ないし第7号証の同パンフレットの拡大写真では、前述オムツカバーの拡大写真が不自然に省かれており、前記商品タグの記載内容が確認できない。一般的に商品タグには、当該商品について使用される商標が付されている。そして、被請求人が本件商標がパンフレット掲載商品に使用されていることを明確にするのであれば、上記商品タグの拡大写真を積極的に示すのが通常と思われる。しかし、本件商標が商品タグに記載されていない、また、他の商標が付されており、商品タグの拡大写真を示すことで本件商標が当該商品に使用されていないことを露呈する結果となるため、これらをあえて証拠から省いたのではないかと考えられる。
(2)乙第4号証、第8号証及び第9号証には、前述商品広告パンフレットに署名がされたものが写されている。被請求人は、「展示会開催日の初日に来場された多数のバイヤーのうちの幾人かの方にこのパンフレットを見た証としてサインを当日に頂いている。」との説明をしている。しかし、当該証拠からは、来場者に当日サインをもらったかどうかについては、不明である。また、当該サインを得る目的としては、パンフレットの内容の秘密を維持すること、当該展示会の来場者を事後的に把握することが考えられる。しかし、パンフレットを秘密に保つ必要があるのであれば全来場者分について署名を受けて回収する必要があると思われる。また、来場者氏名の確認が必要であれば、来場者全員から署名を受け回収する必要がある。また、来場者が持ち帰るのであればパンフレットに署名させることの意義が不明である。以上のことから、当該パンフレットに署名がなされた事情が不明確・不自然であり、同パンフレットが展示会開催日に配布され、閲覧されたことを明確に証明するものではないと思われる。
(3)以上のように、提出された証拠からは、被請求人が本件商標を使用した指定商品を販売している事実は、見当たらない。
(1)被請求人は、答弁書に添付した展示会場写真に加え、その他の会場写真を追加補充しているが、当該写真資料には、乙第3号証の写真と同様に撮影日時が明らかにされておらず、日時、場所の特定が客観的に不可能である。また、撮影者とされる株式会社ベルコット(以下「ベルコット」という。)の土田和幸氏は、被請求人の元子会社の社員であり、同社と請求人は現在も従前と変わらぬ交流をしているという経緯から請求人の内部の人間と同一視し得る人物であり、第三者とはいえない。すなわち、撮影者が第三者でない以上、撮影対象・日時に関する陳述も客観性が担保されているとはいえない。
(2)被請求人は、署名されたパンフレットの当該署名者が作成した確認書面を補充提出しているが、当該確認書面は、書式・文面が同一であることから、被請求人が準備した書面に該当者が単に署名、押印したものであることがわかる。当該パンフレットは、展示会場で開示されたその場で回収されたと答弁書で述べていることから、署名者らは、短時間しかパンフレットを目にしなかったことになり、しかも、展示会が開催されたのは、確認署名の署名日である2009年5月1日から1年以上前である。よって、1年以上も前に短時間しか目にしなかったパンフレットの内容を当該署名者が明確に覚えているとは考え難く、当該確認書面の信用性に疑義が残る。したがって、依然として、乙第4号証の1、乙第8号証及び乙第9号証のパンフレットが2008年3月12日に展示会場で開示されたことを客観的に証明する証拠とは考えられない。
(3)以上のことから、被請求人が本件商標の使用証拠として提出したもののうち、本件商標と同一性のある商標が表示されているものは後から簡単に作成できる、証拠能力が極めて弱い簡易パンフレット、展示会場の写真に写されているPOPだけであり、単独では使用証拠として証明力が極めて弱いものであり、補強証拠が必要となるはずである。しかしながら、その補強証拠となり得るものは一切提出されていない。
また、パンフレットは、数名に見せて回収したものであり、「広く世間に告げること」を目的とする広告として機能をしていないものである。また、仮に当該POPに単独での証拠能力を認めたとしても、POPがつけられている時期がいつなのかを写真では特定できないのであるから、予告登録の日前3年以内であるかを判断することはできない。
さらにいえば、「被請求人の発足当初から『マーベル』ブランドが存在し、社内のシンボル的存在である」(乙第11号証)のであれば、本件商標の客観的かつ明確な証拠が存在するはずであるが、このような証拠が提出されていない以上、本件商標の使用に対する疑義が依然として存在する。
被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁及び口頭審理における陳述において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第20号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)乙第1号証は、被請求人の会社概要である。被請求人会社は、ベビー・子供関連用品を中心に長年(創業1950年)にわたって卸売りしているいわゆる問屋であり、取扱商品をバイヤーに知ってもらうため毎年2回展示会を催している。乙第2号証は、顧客に配った2008年秋冬展示会の案内書であり、3月12日・13日・14日の3日間、東京都中央区日本橋富沢町8−10に所在する綿商会館の1階と4階を展示場として開催された出願人会社の関連会社であるベルコットとの合同展示会である。乙第3号証は、展示会開催日初日の会場の様子を撮った写真(2葉)をそれぞれ示す。
(2)商品広告パンフレット
乙第4号証は、被請求人が展示会場で、来場されたバイヤーに示した商品広告パンフレットである。3頁からなり、表紙には、「mabell」「マーベル」の商標と「baby inner collection」と「2008年秋冬展示会」「2008年3月12日」の文字が表示されている。上記「baby inner collection」は、パンフレット上に「Bellunico」、下に「ベルニコオリジナル」とあるように、このパンフレットは、出願人会社のものであること及びパンフレット商品は、出願人会社のオリジナル商品から選んだ商品であることを示し、これらの商品には、上記「mabell」「マーベル」の商標が冠されている(商品が掲載された2頁及び3頁の最上部にも「マーベル」の商標が付されている。)。2頁と3頁には、各種のベビー用品の写真とそれぞれの品番、品名、参考上代、予定納期、原産国、素材、C・Sなどの項目が示されている。
(3)商品
パンフレット2頁上段商品:乙第5号証に示すように、2頁上段商品には、品名「スタイ」4点の写真がある。各商品の詳細は、写真の下の項目で説明されている。素材は、パイルあるいはスムースの布地である。「スタイ」と表記されているが、これは、指定商品中の「エプロン」に相当する。「よだれかけ」「スタイ」「エプロン」の語は、ベビー用品の商取引において同義に用いられているからである。
また、パンフレット2頁下段商品:乙第6号証及び乙第7号証に示すように、2頁の下段には、品名「半袖1釦肌着」2点、「半袖前開肌着」2点、「半袖丸首肌着」4点の計8点の写真がある。これらは、指定商品中の「下着」に相当する。
(4)来場者のサイン
出願人は、展示会開催日の初日(2008年3月12日)に来場された多数のバイヤーのうちの幾人かの方に、このパンフレットを見たあかしとしてサインを当日に得ていることを乙第4号証の表紙、乙第8号証、そして、乙第9号証により示す。また、サインを得た人々の名刺を乙第10号証に示す。
(5)結び
以上述べたとおり、審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者であり、業として商品を生産し、譲渡する被請求人会社が、商品に関する広告に標章を付して展示したことを、提出した添付資料によって十二分に証明できたものと確信する。
(1)口頭審理陳述要領書
ア 請求人は、乙第2号証の展示会場写真について、疑義を抱いているので、写真を撮影したベルコットの土田和幸氏に照会したところ、その他の会場写真を保存しているということなので、その写真を補充提出する(乙第12号証の1ないし4)。ここで、乙第12号証の3には、乙第4号証のパンフレットに掲載された商品が展示された写真があることに注意されたい。
また、土田和幸氏より被請求人とベルコットが合同展示会を開催する理由、「マーベル」商標を両者間で使用していることなどの回答文を得たので提出する(乙第11号証)。
イ 請求人は、来場者に当日サインをもらったことについて疑義を抱いているので、サインをしてもらった3名に事実であることを確認する書面をもらったので補充提出する(乙第14号証ないし乙第16号証)。
ウ 請求人は、商品タグについて述べるが、商標法では、商標の使用態様について商標法第2条第3項第8号に「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」を含めていることを想起するべきである。
(2)口頭審理における陳述
ア 被請求人代理人である西垣康雄弁理士は、2008年3月12日にベルニコ・ベルコット合同展示会に行った。そこで、同弁理士は、商品が展示され、パンフレットが置かれているのを見たが、本件商標について本件審判請求の直前にも商標登録の不使用取消審判があったので、パンフレットに来場者の署名を得ると、今後の商標登録の不使用取消審判における使用立証において確実な証拠となるとアドバイスした。
(2)乙第4号証、乙第8号証、乙第9号証のパンフレットにある署名をした3名は、卸売りである請求人とそのバイヤーの関係にあり、利害関係者ではない。また、署名をした3名は、株式会社三越、株式会社マイカル、株式会社西友という日本を代表するような企業の社員であるので、証拠をねつ造したというのは不自然である。
(3)乙第12号証の3の展示会場の写真中、下部の2枚の写真は、元々1枚の写真を編集の都合上2つにしたものであるが、この写真にある商品と上記パンフレットに掲載されている商品とは、同一のものであり、対応している。
審判長は、請求人に対し、平成21年4月20日付けで、「取消審判の『請求の趣旨』は、審理の対象・範囲を画し、被請求人における防御の要否の判断・防御の準備の機会を保障し、取消審決が確定した場合における登録商標の及ぶ指定商品の範囲を決定づけるという意味で重要なものであるから、『請求の趣旨』の記載は、客観的で明確なものであることを要するところ、本件取消審判事件の『請求の趣旨』中『これらに類似する商品』の表示は、請求の趣旨として客観的で明確なものであるとはいえない。したがって、要旨の変更とならない範囲で『請求の趣旨』を客観的で明確な表示に補正されたい」とする旨の審尋を発した。
これに対し、請求人から、平成21年4月28日付けで手続補正書が提出され、「請求の趣旨」中の「これらに類似する商品」の表示を削除する補正がなされた。
乙第1号証は、被請求人の会社概要であるところ、被請求人は、1955年1月に設立された「ベビー用品・子供関連用品・衛生医療用品・等」を取り扱う商社であることが認められ、2001年7月には、被請求人の子会社として、ベルコットが設立されたことが認められる。
乙第2号証は、被請求人とベルコットによる2008年3月12日から14日に開催の2008年秋冬物用合同展示会(以下「本件展示会」という場合がある。)の案内書である。
乙第3号証は、本件展示会会場の写真2葉であり、内1葉には、「mabell」と表示されたラベルを付してなるマタニティ用の各種衣服が陳列され、その右側に「mabell」及び「マーベル」と表示した看板が設置されている。なお、展示会は、共催であるが、上記ラベル及び看板には、被請求人を示す記載はない。
乙第4号証の1ないし3は、表紙と複数の商品写真及びその説明がされた2枚紙を左上角をホチキス止めした商品パンフレットのそれぞれ表紙、第2頁、第3頁の写真と認められるところ、表紙(第1頁目)の中央に「mabell」「マーベル」と表示され、その下方に「baby inner collection」「2008年秋冬展示会」「2008年3月12日」の表示があり、上部に「Bellunico」「Bellcot」の表示、最下部に「ベルニコオリジナル」の表示がある。
そして、右下方に「三越銀座店 荻原みずほ」と手書きで記載され、「荻原」の丸い印鑑による押印がある。
2頁目には最上段に、「マーベル【ベルニコベランド商品】」「2008年 秋冬マーベル」最下段に「ベルニコオリジナル」中央部の上段に左から乳児用よだれかけの写真3枚おむつカバーの写真2枚があり、下段に乳児用下着の写真4枚があり、それぞれの写真の下方に品番、品名、価格等の説明がなされている。
3枚目は、最上段及び最下段に、2枚目と同様の記載があり、中央部の上段に左から乳児用のスプーンとフォークのセット、容器入り綿棒、容器入り綿棒2個のセットの写真があり、品番、品名、価格等が記載されている。
乙第5号証は、乙第4号証の2の写真にあるパンフレット第2頁左上にある3つの商品写真及びその商品説明部分の拡大写真である。なお、写真の商品には、何ら商標等の表示は付されていない。
乙第6号証は、乙第4号証の2の写真にあるパンフレット第2頁左下にある2つの商品写真及びその商品説明部分の拡大写真である。なお、写真の商品には、何ら商標等の表示は付されていない。
乙第7号証は、乙第4号証の2の写真にあるパンフレット第2頁右下にある2つの商品写真及びその商品説明部分の拡大写真である。なお、写真の商品には、何ら商標等の表示は付されていない。
乙第8号証は、乙第4号証の1の写真と同じ内容のパンフレットの表紙の写真であり、該パンフレットの右下部分に「(株)マイカル衣料服飾総務部 相根寿郎」と手書きで記載されている。
乙第9号証は、乙第4号証の写真と同じ内容のパンフレット第3頁目の写真であり、中央付近に「(株)」西友 大久保」と手書きで記載されている。
乙第10号証は、株式会社三越の荻原みずほ氏、株式会社西友の大久保裕之氏、株式会社マイカルの相根寿郎氏の名刺の写真である。
乙第11号証は、ベルコットの企画・管理統括マネージャー 土田和幸氏による平成21年5月27日付け特許庁審判長宛の書面であり、1)株式会社ベルコットは、被請求人から、分離独立した会社であり、平成13年秋から年2回合同展示会を開催している、2)「マーベル」ブランドは、被請求人発足当時からある商標で社内でシンボル的存在であり、相互に使用していること、2008年3月12日から14日に開催された「2008年秋冬物合同展示会」においては、「マーベル」の商標を被請求人がベビーのインナーとグッズに、ベルコットがマタニティーのインナーとグッズに使用したこと、3)乙第2号証の会場写真は、上記展示会期間中に土田和幸氏が撮影したこと。他の同展示会会場写真も添付すること。また、同展示会について掲載された株式会社東京ピーアール企画の新聞「ファンシーショップ」を添付すること。等が記載されている。
乙第12号証の1ないし4は、それぞれ、右下に「1/16」、「6/16」、「8/16」、「16/16」の頁記載があり、上部に「2008AWコレクション(2008.3/12〜14)」と題する、合計27葉の写真(1つの写真を分割して表示したものもある。)であり、内2葉には、「mabell」「マーベル」の商標を表示した看板の下に乙第4号証の1ないし3のパンフレットに掲載の商品と同一の商品と認められる幼児用よだれかけ、肌着、おむつカバー等の商品が展示されている。
乙第17号証は、2008年4月10日付けの専門小売店向けの情報紙「ファンシーショップ」(東京ピーアール企画株式会社発行)の第1頁と第5頁の写しであり、乙第13号証は、同新聞の一部抜粋部分の写しであるところ、同新聞には、本件展示会が開催されたことが記載されている。なお、本件商標に関する記載は見あたらない。
乙第14号証ないし乙第16号証は、本件展示会に2008年3月12日に訪問し、「mabell マーベル baby inner collection」と表紙に題されたパンフレットに目を通し、署名したことに間違いはないとする、あらかじめ用意された同一内容の書面に2009年5月1日付けで株式会社三越 荻原みずほ氏、大阪市中央区久太郎町3−1−30 子供ファッション商品部 相根寿郎氏、株式会社西友 大久保裕之氏がそれぞれ記名、押印した特許庁審判長宛の書面である。
乙第18号証は、乙第3号証及び乙第12号証の1ないし4の写真を含む本件展示会風景を撮影した写真のCD−ROMである。
乙第19号証は、乙第4号証のパンフレット及び本件展示会で展示された商品にに係る商品の(拡大)写真であり、半袖前開肌着、半袖ワンボタンシャツ、半袖丸首肌着、よだれかけ等の商品が「mabell ・baby・」と表示され、包装されている。
乙第20号証は、本件展示会の会場レイアウトである。
(1)被請求人は、関連会社であるベルコットと合同で、2008年3月12日から14日の間、「ベルニコ・ベルコット合同展示会 2008−AUTUMN&WINTER」を開催したこと。
(2)本件展示会場において、「mabell」「マーベル」の商標を表示した看板の下に乳児用よだれかけ、肌着が展示されていたこと。また、上記展示商品の包装には、「mabell」の商標が付されていること。なお、展示会は共催であるが、下記(3)との関係からして、上記商品については、請求人が展示したものと認められる。
(3)本件展示会場において、被請求人は、「mabell」「マーベル」の商標を表示し、乳児用よだれかけ、肌着を掲載したパンフレットを展示、配布したこと。
以上によれば、被請求人(商標権者)は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品中の乳児用よだれかけ(エプロン)、肌着(下着)について、本件商標と社会通念上同一と認められる「mabell」及び「マーベル」の商標を使用していたものと認められる。
(1)請求人は、乙第3号証及び乙第12号証の1ないし4の写真について、当該写真では、撮影日時、場所が特定できず、撮影者とされる者は、被請求人の子会社の社員であり、客観的な第三者ではないから、写真の撮影対象、日時は客観的に担保されていない、旨主張している。
しかしながら、乙第3号証及び乙第12号証の1ないし4において提出された27葉の写真は、本件展示会会場の写真として何ら不自然な点はなく、また、撮影者が被請求人の関連会社であるベルコットの社員であるとしても、それをもって直ちに該証拠の信ぴょう性はないとはいえないし、乙第4号証ないし乙第9号証のパンフレットに掲載の商品と同一と認められる商品が展示され、バイヤー3名が当日パンフレットにサインをしたことからすると、当該写真は当日展示場において撮影されたものと優に推認することができる。そして、請求人は、上記のとおり主張するも、抽象的な可能性を指摘するにとどまり、これを疑わせる具体的な主張立証はない。
(2)請求人は、パンフレットの商品自体に「mabell」若しくは「マーベル」の商標が付されていないことから、パンフレットに表れる本件商標と商品の関係は明確でない、旨主張している。
確かに、パンフレットは、スプーンとフォークのセットに「マーベル」の商標が認められるもののそれ以外の掲載商品には、商標が明示されていないが、パンフレット自体に「mabell」及び「マーベル」の商標を使用し、商品を紹介しているのであるから、当該商標をパンフレットに掲載されているよだれかけ、下着等の商品に使用しているものというのが相当である。また、本件展示会場において、「mabell」及び「マーベル」と表示された看板の下によだれかけ等の商品を展示し、その商品は、「mabell」の商標を付して包装されていることが認められるから、本件商標と社会通念上同一の商標をよだれかけ等の商品に使用していることは優に認めることができるものである。
(3)請求人は、パンフレットの署名は当日のものかどうか不明であり、また、パンフレットに署名がなされた事情が不明確、不自然であるから、当該パンフレットが展示会開催日に配布され、閲覧されたことを証明していない、旨主張している。
しかしながら、パンフレットに署名をした3名は、いずれも展示会当日にパンフレットを見て署名したことを証明しているのであり、また署名した3名は、被請求人の商品のバイヤーであって、利害関係を有する者ではないから、その証明の信ぴょう性は否定できない。
さらに、被請求人は、展示会を行いパンフレットを使用したとしても商標登録の不使用取消審判が請求された場合に使用を立証することは困難であるから、使用立証を確実にするためには、パンフレットに第三者による署名を得ておくのが良いとのアドバイスを受け、展示会場においてバイヤーよりパンフレットに署名を得た、との動機は、パンフレットに三越、マイカル、西友という広く知られた小売業者の社員による署名がなされていることからしても、署名がなされた事情として十分に信用できるものであり、本件パンフレットが展示会開催日に、会場において展示、配布されたものと認めることができるものである。
なお、請求人は、署名者らは、短時間しかパンフレットを目にせず、開催日から1年以上も経過した後にパンフレットの内容を明確に覚えているとはいえないこと、また、乙第14号証ないし乙第16号証の証明は、被請求人が準備した同一書式、文面の書面にサイン、押印したものであり、客観性に欠ける、旨主張している。
しかしながら、署名時には、その内容を確認するとが通常であるし、また、パンフレットに署名をするということは、通常の展示会ではあり得ないことであるから、たとえ、上記証明が1年以上経過後であったとしても内容を記憶していることは自然であり、客観性に欠けるとはいうことができない。
したがって、請求人の主張はいずれも採用できない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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