Trademark Appeal Case
称呼の類似性と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2009−900138(T2009−900138/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5196452号商標(以下「本件商標」という。)は、「AOX」の文字を標準文字により表してなり、平成20年6月9日に登録出願、第10類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、平成20年11月28日に登録査定、同21年1月16日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立ての理由
(1)引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第4405939号商標(以下「引用商標」という。)は、「AO ASIF」の文字を書してなり、平成9年7月18日に登録出願、第9類、第10類、第16類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成12年8月4日に設定登録されたものである。
(2)理由の要点
本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号、同第15号、同第16号及び同第19号に該当するものであるから、商標法第43条の3の規定によりその登録は取り消されるべきものである。
ア 商標法第4条第1項第11号の該当性について
本件商標は、「AOX」の欧文字からなるものであるから、引用商標の「AO」部分が完全に含まれることになり、両商標は最初に表れる「AO」を共通とするもので、外観上、何らかの関連性を看者に与える点で、類似するものである。また、引用商標の「AO」部分から生じる「アーオー」ないし「エイオー」の称呼に対して、本件商標は、頭文字のように「アーオーイクス」ないし「エイオーエクス」とも称呼される。本件商標の末尾の文字「X」の音「イクス」ないし「エクス」は、「アーオー」ないし「エイオー」の発称にインパクトを与えるものではなく、両商標の称呼は同一視されることから、両商標は称呼上、類似するものである。さらに、引用商標は、AO財団を示すものとして、本件商標に係る指定商品の消費者・需要者である医師等の医療従事者の間で周知・著名なものとなっていることから、「AO」に「X」の文字を加えた本件商標も前記AO財団に関連するものであるかのごとく印象づけられる。
また、「医療用機械器具」等が含まれているから、本件・引用商標は指定商品が抵触する。
以上、本件商標は、引用商標と類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
イ 商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第16号の該当性について
スイスのダボスに本部を置くAO財団は、骨折治療の研究や開発のほか、世界中で教育活動を行っている非営利団体である。AO財団による積極的な活動と商標「AO」の何十年にものぼる広範囲な使用は、前記商標が付された商品やサービスが申立人によって、提供された、または関係する、または保証されたもの、あるいはグループ企業の商品やサービスであると誤認して取引者・需要者が購入し得るほど周知・著名になっているもので、そのような誤認をした取引者・需要者にとっては出所の混同を生じ、ひいては品質の誤認を生じるから、商標法第4条第1項第10号、同第15号のみならず、同第16号にも該当する。
ウ 商標法第4条第1項第19号の該当性について
申立人と本件の商標権者とは、直接的な競業業者で互いに良く見知った仲である。それゆえ、申立人とその製品や活動、その登録商標を、本件商標の出願時点で知らないと云うのはあり得ないし、整形外科の分野で引用商標が広く認識されていたことを考えるとなおさらである。したがって、本件商標は、申立人の商標「AO」の名声に只乗りしようと不正の目的をもって出願されたものであり、商標法4条1項19号に該当する。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は、前記のとおり「AOX」の文字からなるものであるところ、その構成各文字は同じ書体、同じ大きさ、等間隔で一体的に構成されているものである。
そうとすると、本件商標は、特定の観念を生じさせない一連の造語からなるものとして把握され、その構成文字に相応し、「エーオーエックス」の一連の称呼を生ずるものである。
一方、引用商標は、「AO ASIF」の文字からなり、「エーオーエーエスアイエフ」の称呼が生じるものであり、他に引用商標の構成中の「AO」の文字部分を抽出して称呼、観念しなければならない特段の事情は見い出せない。
そうとすると、両称呼は、それぞれ全体として称呼するときには、互いに音構成を著しく異にするものであるから、称呼上相紛れるおそれはない。
また、本件商標と引用商標とは、外観構成において明らかに相違し、観念について比較することができないから、外観上及び観念上においても相紛れるおそれはない。
したがって、本件商標は、外観、称呼及び観念のいずれからみても、引用商標とは非類似の商標というべきであるから、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第16号該当性について
申立人提出の証拠によれば、AO財団の業務について「AO」が使用されていることを窺い知ることはできるとしても、「AO」が、本件商標の出願時において、需要者の間に広く認識されるに至っていた商標とまで認めることはできないから、本件商標の構成中に「AO」が含まれているとしても、それのみをもってAO財団の業務と関連付けて把握されるとは言い難いものである。したがって、本件商標をその指定商品に使用しても、AO財団との間で、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるとすることはできない。
さらに、本件商標は、具体的で特定の商品の品質を認識させるものとみるべき理由はないから、これを指定商品に使用しても、商品の品質について誤認を生じさせるおそれはない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第16号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第19号該当性について
本件商標は、引用商標あるいは「AO」と類似するものと認められず、また、引用商標あるいは「AO」は、需要者に広く知られた商標とも認められないから、本条項の他の要件について判断するまでもなく、商標法第4条第1項第19号の規定には該当しない。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標は商標法第4条第1項第10号、同第11号、同第15号、同第16号及び同第19号に違反してに違反して登録されたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持する。
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