Trademark Appeal Case
著名商標の不正利用
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2009−900189(T2009−900189/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5206944号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成19年6月26日に登録出願、第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、平成21年2月20日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由(要点)
本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第19号及び同第15号に該当するものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号により取り消されるべきものである旨主張し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第24号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第7号及び同第19号について
本件商標は、明確に「F1」をデザインしたとわかる「F1」のデザイン文字と「市場」を意味する英語「MART」の文字を二段に結合させた商標であり、特に、「F1」のデザイン文字は、大きく目立つ態様で表現されている。
本件商標に含まれる「エフワン(F1)」の文字は、四輪による自動車レースとして世界最高峰の世界的に著名な自動車レースを指称するものである。当該レースは、1950年に開催されて以来、50年以上にわたって、引き続き、世界的に開催されてきたものである。本件商標の出願人は、当該レースの主催者である「FIA(国際自動車連盟)」、及び同主催者から、当該レースに関するシンボルマーク並びに商標等を管理する権限を付与されている登録異議申立人(以下「申立人」という。)らの承諾を受けることもなく、「エフワン」の称呼を容易に発生させる「F1」の文字を顕著に含む本件商標を出願・登録しようとするものであり、このような行為は、当該国際的に著名な「F1(エフワン)レース」の信用を不当にその役務に利用しようとするものであり、国際信義に反するものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本件商標に含まれる「F1」の文字は、世界的に著名な自動車レースの名称及び役務商標(自動車レースの開催)として知られている。また、種々の商品(ライセンス商品)について、該名称・商標の使用許諾がなされており、商品商標としても著名なものとなっている。また、我が国を含め世界的にF1レースの模様はテレビ放送等されており、このような状況において、「エフワン」の称呼を容易に生じさせる本件商標が、商標権者により、その指定役務に使用されれば、その役務は、申立人及び当該自動車レースを主催する国際自動車連盟(FIA)によるもの、又は、それらの許諾を受けたものによるもののごとく、役務の出所について誤認・混同が生ずるおそれのあることは明らかである。
3 当審の判断
(1)「F−1」又は「F1」の著名性
申立人の提出した甲第1号証ないし甲第12号証によれば、「F−1」又は「F1」は、「エフワン」と称呼され、「Formula One(フォーミュラワン)」の略語として、国際自動車連盟「Federation International de Automobile」(FIA)が1950年から現在まで世界各国で継続的に開催してきた自動車レースないしこれに参加できる資格を有する車種名を指称するものであること、当該レースは、我が国においても開催され、テレビ、新聞、雑誌等を通じて報道等がされた結果、本件商標の登録出願時には、我が国を含め世界各国で広く知られるに至っていたこと、申立人は、FIAから国際的に著名な自動車レース「F1(エフワン)」に関する標章についての商品化事業を行う権限などを付与され、世界各国で、様々な商品について使用許諾契約を締結したこと、申立人は、我が国において、別掲(2)とおりの構成よりなる商標を、商品又は役務の区分第9類、第12類、第16類、第25類、第28類及び第35類について登録商標を得ており、また、およそ平成4年4月ころから平成8年12月ころまで、株式会社フジテレビジョンを通じて、日本の企業の取り扱う「テレビゲームおもちゃ」等のゲーム関連商品に「F−1」又は「F1」の文字を含む商標の使用許諾をしていたこと、などを認めることができる。
(2)商標法第4条第1項第7号及び同第19号について
本件商標は、別掲(1)のとおり、影付文字を表したかのように、二段に横書きした「F1」の文字と「MART」の文字全体を黒色で囲んだ構成よりなるものであるところ、その構成中、上段の「F1」の文字部分は、「MART」の文字部分に比べて大きく表されているものであるとはいえ、「F1」の文字と「MART」の文字は、いずれも黒色の囲み内にまとまりよく一体的に表されているものであり、また、これらの文字より生ずると認められる「エフワンマート」の称呼もよどみなく称呼し得るものである。
さらに、本件商標中の「MART」の文字部分は、「市場」を意味する英語であって、近時、「○○マート」のように、他の語と結合して、特定のスーパーマーケットなどの名称を表す語として使用されているところから、本件商標は、その構成全体をもって、「エフワンマート」とのみ称呼される店舗名を表したと理解されるものといえる。
そうすると、本件商標は、外観、称呼及び観念上からみて、構成全体が一体不可分の商標を表したと認識されるものであるから、その構成中の「F1」の文字部分のみが独立して把握、認識されるものではない。
したがって、本件商標は、これより直ちに国際的な自動車レースの名称等を含むものと認識され得ないというべきである。
以上によれば、本件商標は、これをその指定役務について使用することが、上記国際的な自動車レースの信用を不当に利用しようとするものということはできないから、国際信義に反するものではなく、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標といえないものであり、また、不正の目的をもって使用するものということもできない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
前記(2)で認定したとおり、本件商標は、その構成中の「F1」の文字部分のみが独立して把握、認識されるものではなく、構成全体をもって、スーパーマーケットなどの名称を表したと認識されるとみるべきであるから、上記国際的な自動車レースの名称等を想起させるものとはいえない。
してみれば、本件商標は、これをその指定役務について使用しても、該役務が申立人及び上記自動車レースを主催する国際自動車連盟(FIA)の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生ずるおそれのある商標ということはできない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同第19号及び同第15号に違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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