Trademark Appeal Case
GPDCAの識別力と誤認
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2009−900204(T2009−900204/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5208405号商標(以下「本件商標」という。)は,「GPDCA」の文字を標準文字で表してなり,平成20年4月28日に登録出願,第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナー・シンポジウム・会議・講演会・研修会・研究会の企画・手配・運営・開催及びこれ等に関する情報の提供,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,書籍の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与」を指定役務として,同21年1月16日に登録査定,同年2月27日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由の要点
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,その理由(要旨)を以下のとおり述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第7号証を提出した。
本件商標を構成する「GPDCA」の語は,企業等における代表的なビジネススキルの一つとして広く用いられており,また,当該手法の習得方法を内容とするセミナー,シンポジウム,講演会,研修会等も広く行われている。
このため,本件商標が,GPDCAに関するセミナー,シンポジウム,講演会,研修会等の開催等の役務に用いられた場合には,その役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標に該当し,また,本件商標が,GPDCAに関係のないセミナー,シンポジウム,講演会,研修会等の開催等の役務に用いられた場合には,役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標に該当する。
したがって,本件商標の登録は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものであるから,取り消されるべきである。
3 当審の判断
(1)甲各号証によれば,以下の事実が認められる。
甲第2号証は,「人事育成担当者様向け アルー株式会社主催/【2月開催】無料セミナーのご案内」を表題とする書面(案内)である。これには,開催日欄に「2月21日(木)」,タイトル欄に「OJT育成を成功に導くポイント/〜PDCAサイクルを回す若手と,そのための環境を作る上司〜」,概要欄に「...本セミナーでは,その共通言語として「GPDCA⇔GISRF」のサイクルを例示としてご紹介していきます。」の記載がある。そして,2月21日が木曜日であること及び申立人の主張によれば,当該セミナーの開催日は,2008年2月21日であることが認められる。
しかし,甲第2号証からは,当該セミナーにおいて「GPDCA」の語が用いられたであろうことは推認できるものの,該語がどのような意味で,どのように用いられていたかなどといった詳細は不明である。
甲第3号証は,「Webコンサルタント.jp」と記載されたWebサイトの記事である。その3/4ページには,「SEMセミナー実施報告」,「2008年11月10日10:46 木村○○」の表題の下,「...10月21日にプレジデントデータバンク株式会社主催の『3ヶ月で勝ち組WEBサイトになれる!!ベンチャー企業のためのリスティング基礎講座』という内容のセミナーを実施してまいりました。」,「...当社はどちらかというと/・Web戦略全体の視点からのリスティング広告の活用/・GPDCAサイクルの重要性/(中略)/などを中心に講演させていただきました。」の記載がある。
しかし,甲第3号証からは,木村○○と名乗る者が,「3ヶ月で勝ち組WEBサイトになれる!!ベンチャー企業のためのリスティング基礎講座」という内容のセミナーにおいて講演をし,その中で「GPDCA」についての説明をしたであろうことは推認できるものの,当該セミナーの詳細や,セミナーにおいて「GPDCA」の語がどのような意味で,どのように用いられていたかなどといった詳細は不明である。
甲第4号証は,「GTEC」と記載されたWebサイトの記事である。これには,【良い行動・思考習慣】及び「(1)GPDCAサイクル」の表題の下,「GPDCAサイクルを身に付ける必要がある。Gは,Goalであり,PDCAの前に自ら目標設定の『高さ』と達成度合いを判断する『基準』を決めることが重要である。これを習慣化させることが自律型人材の第一歩である。」の記載がある。そして,これには各ページの下部に「Copyright マルC 2006Benesse Corporation.」の記載があることから,これは2006年に作成されたものであることが推認される。
甲第5号証は,amazon.comの検索結果である。これには,「和書」及び「G−PDCA」を検索キーとして検索した結果が7件表示されているが,その7件は,「G−PDCA」の語が,書籍のタイトルとしてではなく,各書籍の記載中に用いられていることを示すものであり,該語が各書籍においてどのような意味で用いられているのかは不明である。
甲第6号証は,「Yes,Boss!のすすめ」(2008年1月23日 株式会社太陽企画出版発行)の抜粋である。その96ないし98ページには,「1『G−PDCAサイクル』で確実に成果を出す」の表題の下,「一つ目のG−PDCAサイクルは一般に広く知られているPDCAサイクル理論を応用したもので,仕事を効率的に進めていくうえで極めて有効な方法です。」,「PDACサイクルとは,Plan(計画),Do(実行),Check(チェック),Action(改善)という一連の行動によって,仕事のクオリティを高めていくことを指し,品質管理の向上を図るために提唱された理論がそのルーツとなっています。」及び「しかし,それぞれの人が能力をフルに発揮して成果をあげるための試行錯誤を促す有効な方法が,PDCAサイクルの先頭にG(ゴール設定)が加わった,G−PDCAサイクルなのです。」の記載がある。
(2)以上の認定事実によれば,「GPDCA」は,「G−PDCA」とも表示され,「Plan(計画),Do(実行),Check(チェック),Action(改善)」の略語である「PDCA」の先頭に,「Goal(ゴール設定)」の頭文字「G」を付加したものであり,企業におけるビジネススキルに関連する理論の一つとして,一部の企業のビジネススキルに関連する事業者などに用いられている語であることが認められる。
しかし,提出された証拠において,その事実が確認できるものは,甲第4号証及び甲第6号証のみであり,これらによって,「GPDCA」の語が,企業のビジネススキルに関する事業者やその関係者などの間に広く知られているものとは認められない。また,セミナーにおいて「GPDCA」の語の使用が確認又は推認できるものは,甲第2号証及び甲第3号証のみであり,かつ,その一方は申立人の主催するセミナーである上に,両号証とも,「GPDCA」の語が,各セミナーにおいてどのような意味でどのように用いられていたかなどといった詳細は不明である。
そうすると,本件商標が企業における代表的なビジネススキルの一つとして広く用いられ,かつ,当該手法の習得方法を内容とするセミナー,シンポジウム,講演会,研修会などが広く行われているとはいえない。
したがって,本件商標は,これをその指定役務に使用しても,役務の質を表示するものではなく,自他役務の識別標識としての機能を十分に果たし得るものであり,また,いずれの指定役務について使用しても,役務の質の誤認を生ずるおそれのないものである。
したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の規定に違反して登録されたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
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