Trademark Appeal Case
商標周知性の判断
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2009−900209(T2009−900209/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5210134号商標(以下「本件商標」という。)は、「ほうれいせん」の文字を標準文字で書してなり、平成20年7月30日に登録出願、第29類及び第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成21年3月6日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
(1)商標法第3条第1項柱書き
本件商標は、指定商品「ビール」について現在使用しておらず、かつ、将来的にも使用しないことが明らかであるから、商標法第3条第1項柱書きの要件を具備しない。
(2)商標法第4条第1項第10号
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、平成18年11月から商品「果実酒(ブルーベリー)」について、また、平成19年4月から商品「梅酒」(果実酒に含まれる。)について、それぞれ「ほうらいせん」の文字よりなる商標(以下「引用商標1」という。)を使用しており、引用商標1は、本件商標の登録出願前には、需要者の間に広く認識されていた。さらに、引用商標1は、商品「日本酒」にも使用され、全国的に販売している。
本件商標は、周知な引用商標1に類似する商標であり、商品「果実酒」及び「日本酒」に類似する「ビール」について使用されるものである。
(3)商標法第4条第1項第15号
申立人は、商品「日本酒」について、「蓬莱泉」の文字よりなる商標(以下「引用商標2」という。)を使用しており、引用商標2は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間に広く認識されていた。
そうすると、仮に「ビール」と「日本酒」が類似せず、本件商標が商標法第4条第1項第10号に該当しないとしても、本件商標がその指定商品中の「ビール」について使用された場合は、申立人の業務に係る商品「日本酒」と出所の混同が生ずるおそれがある。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中の「ビール」について、商標法第3条第1項柱書き及び同法第4条第1項第10号又は同第15号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。
3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項柱書きについて
商標法第3条柱書にいう「自己の業務に係る商品又は役務について使用する」とは、現に行っている業務に係る商品又は役務について、現に使用している場合に限らず、将来行う意思がある業務に係る商品又は役務について将来使用する意思を有する場合も含むと解されるところ、本件商標の登録査定時に、本件商標権者が本件請求に係る指定商品「ビール」について、現に行っているか又は行う予定があるかについて、格別に合理的疑義があったものと認めることはできず、また、将来行う意思が全くないとみることもできない。
したがって、本件商標が商標法第3条第1項柱書の要件を具備しないということはできない。
(2)商標法第4条第1項第10号について
ア 引用商標1の周知性
引用商標1を使用した「果実酒(ブルーベリー)」は、これが製造、販売が開始された平成18年11月前後において、中部経済新聞や東愛知新聞といった地方新聞に、上記商品が販売されるという単なる紹介記事が3回程度掲載されたにすぎず、これらの記事のうち2件は、引用商標1が表示されていないものである。
また、その販売実績も、販売開始直後の平成18年11月には、約2000本が販売されたが、平成19年の販売数は、月平均約300本弱であって、平成20年1月から本件商標の登録出願日である平成20年7月までの販売数は、月平均約250本強にすぎないものである。
さらに、「果実酒(ブルーベリー)」についての広告のためのチラシは、その頒布された部数・地域等が不明であるし、また、申立人のホームページのアクセス件数(平成19年4月ないし平成20年7月までの月平均件数は、約126件であり、決して多いものとはいえない。)が、直ちに「果実酒(ブルーベリー)」について使用される引用商標1の周知性に結びつくものではない。
また、引用商標1を使用した「梅酒」は、平成20年1月から本件商標の登録出願日である平成20年7月までの販売数は、500mlのものが月平均約500本弱、1800mlのものが月平均約100本強、500ml(完熟梅)のものが月平均約600本弱であり、上記「果実酒(ブルーベリー)」に比べれば、販売本数がやや多いものの、酒類業界全体からみれば、決して多いというほどのものではなく、その広告のためのチラシや申立人のホームページのアクセス件数にしても、上記「果実酒(ブルーベリー)」で認定した理由と同様である。
さらに、引用商標1を使用した「日本酒」に至っては、頒布された部数・地域等が不明であるチラシに1回掲載されたにすぎないものである。
そうすると、引用商標1は、申立人の業務に係る商品「果実酒(ブルーベリー)」、「梅酒」及び「日本酒」を表示するものとして、本件商標の登録出願前より、その需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
イ 本件商標と引用商標1との類否
本件商標は、前記1のとおり、「ほうれいせん」の文字を標準文字で書してなるものであるから、これより「ホウレイセン」の称呼を生ずるものであって、特定の意味合いを想起させない造語よりなるものと認める。
これに対し、引用商標1は、前記2(2)のとおり、「ほうらいせん」の文字を書してなるものであるから、これより「ホウライセン」の称呼を生ずるものであって、特定の意味合いを想起させない造語よりなるものと認める。
そこで、まず、両商標より生ずる称呼についてみるに、本件商標より生ずる「ホウレイセン」の称呼と引用商標1より生ずる「ホウライセン」の称呼は、第3音において「レ」の音と「ラ」の音の差異を有するものであるところ、両称呼は、第2音の「ウ」の音が語頭音「ホ」の長音のように発音される関係上、「ホウ」とその後の音との間に称呼上の段落が生じ、差異音である「レ」の音と「ラ」の音は、いずれも比較的強く発音されるのみならず、本件商標の称呼における「レ」の母音「エ」は、後音の「イ」と密接に融合して、「イ」の音が「レ」の音の長音のように発音され、「レーセン」のように聴取されるのに対し、引用商標1の称呼における「ライセン」は、1音1音明確に発音されるといえる。
そうすると、該差異音が両称呼全体に及ぼす影響は決して小さいものではなく、それぞれの称呼を一連に称呼するときは、その語調、語感が相違したものとなり、互いに聞き誤るおそれはないものとみるのが相当である。
次に、両商標の観念についてみるに、両商標は、いずれも造語を表したと理解されるものであるから、観念上比較することはできない。
さらに、本件商標と引用商標1は、いずれも簡潔な平仮名文字よりなるものであるから、外観上互いに見誤るおそれはないものである。
したがって、本件商標と引用商標1は、称呼、観念及び外観のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
ウ 以上によれば、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しないものと認める。
(3)商標法第4条第1項第15号について
ア 引用商標2の著名性について
甲第8号証、甲第24号証ないし甲第28号証、甲第31号証及び甲第32号証(甲第29号証及び甲第30号証は発行日が不明である。)によれば、引用商標2は、申立人の業務に係る商品「日本酒(清酒)」を表示するものとして、本件商標の登録出願日から登録査定日の時点を通じて、愛知県を中心とした中部地区の需要者の間においては広く認識されていたものと推認することができる。しかし、上記証拠をもってしては、引用商標2が、申立人の業務に係る商品「日本酒(清酒)」を表示するものとして、本件商標の登録出願日から登録査定日の時点を通じて、我が国の需要者の間に広く認識されていたものとは認めることはできない。
イ 本件商標と引用商標2の類否
本件商標は、前記(2)イ認定のとおり、その構成文字より「ホウレイセン」の称呼を生ずるものであって、特定の意味合いを想起させない造語よりなるものと認める。
これに対し、引用商標2は、「蓬莱泉」の文字を書してなるものであるから、これより「ホウライセン」の称呼を生ずるものであって、特定の意味合いを想起させない造語よりなるものと認める。
そして、本件商標より生ずる「ホウレイセン」の称呼と引用商標2より生ずる「ホウライセン」の称呼は、前記(2)イと同様の理由により、互いに聞き誤るおそれのない非類似のものである。
また、両商標は、いずれも造語を表したと理解されるものであるから、観念上比較することはできない。
さらに、本件商標と引用商標2とは、前記認定の構成よりみて、外観上明らかに区別し得る差異を有するものである。
したがって、本件商標と引用商標2は、称呼、観念及び外観のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
ウ 以上によれば、引用商標2は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品「日本酒(清酒)」を表示する商標として、著名性を獲得していたものとは認めることができず、また、本件商標は、引用商標2とは商標それ自体別異のものと認め得るところである。さらに、「日本酒(清酒)」と「ビール」とは、いずれもアルコール飲料であるとしても、その原材料、生産者、取引系統等を異にする商品であって、一般的には、同一の事業者から製造される商品とはみられないものである。
してみると、本件商標は、これをその指定商品中「ビール」について使用しても、これに接する需要者をして、該商品が申立人の業務に係る商品であるかのように商品の出所について混同を生じさせるおそれのある商標ということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しないものと認める。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中の「ビール」について、商標法第3条第1項柱書きの要件を具備していなかったものとはいえず、また、同法第4条第1項第10号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
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