結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2009−300064(T2009−300064/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第2140101号商標(以下「本件商標」という。)は、「BIC SPORT」の欧文字を横書きしてなり、昭和62年2月3日に登録出願、第12類「帆、その他本類に属する商品」を指定商品として平成元年5月30日に設定登録され、その後、同11年1月19日及び同21年3月17日の2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされているものである。
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べている。
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消されるべきものである。
(1)被請求人の主張の要約
乙第5号証により使用の実績として掲げられている乙第4号証には、「ビックスポーツ ジャパン」社(以下「ビックスポーツ社」という。)が「SPORTYAK(スポーツヤック)」及び「BIC 252(ビック252)」と称する手漕ぎボートを掲載し、ビックスポーツ社が販売を目的として広告をしている。
また、乙第6号証は、ビックスポーツ社が被請求人から輸入した商品を別の会社に販売した納品書であるが、ここには「Bic SportYak Green」なる手漕ぎボートの納品の事実が記載されている。
乙第3及び第6ないし第10号証には、左に擬人化された図形を表し、中央には平行四辺形状の輪郭内にデザイン化された「BiC」の文字を表し、その右に接して「Sport」の文字を表してなる標章(以下「使用標章」という。その構成は別掲のとおり。)が掲げられている。
乙第1号証及び同号証の2には、乙第4号証と同一の雑誌ではあるが製造年月が古いものが掲げられており、販売元がシュリロトレーディングカンパニーリミテッドとなっており、乙第2号証は同雑誌の販売状況を説明している。
(2)被請求人主張に対する弁駁
(ア)そもそも、商標法第50条第1項における不使用取消審判請求の対象となる商標は登録された商標と同一の商標であるが、社会通念上の同一として認められる商標は、(a)書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、(b)平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、(c)外観において同視される図形からなる商標の三つである。
なお、請求人が取消請求を行っている本件商標は、ゴシック体で「BIC SPORT」と表された商標である。
以上のように、(a)であれば「BIC SPORT」と表された標章を使用しているか、(b)であれば「BIC SPORT」のカタカナ文字、(c)であればゴシック体「BIC SPORT」と外観において同視される標章を使用しているかの証明を被請求人には求められている。
(イ)乙第4号証及び販売状況を証明する乙第5号証は、「ビックスポーツ ジャパン」という標章を用いて本件商標の実績を主張するものであるが、該標章はその構成文字から「ビックスポーツ」の称呼が生じ、当該称呼から「BIC SPORTS」を想起させるものの、本件商標は「ビックスポール」の他に「ビックスポーツ」、「ビックスポート」の称呼が生じるものであるから、両者は称呼において相違するために社会通念上同一性を有する商標とは認められない。
また、ビックスポーツ社が被請求人より通常使用権者としての許諾を受けていたとしても、使用されている商標は「BIC」であって、本件商標の使用とは異なるため、本件商標の使用を認めることはできない。
(ウ)乙第6号証は、「Bic SportYak」なる標章の実績を主張するものであるが、該標章は「Bic」の「SportYak」であって、本件商標とは外観、観念、称呼が異なり社会通念上同一性を有する商標の使用ということはできない。
(エ)乙第3及び第6ないし第10号証には、左に擬人化された図形を表し、中央に平行四辺形状の輪郭内にデザイン化された「BiC」の文字を表し、その右に接して「Sport」の文字を表してなる使用標章が掲げられている。
被請求人は、連続して配置された文字からなり、一まとまりとなって図形部分と独立して「ビックスポーツ」の称呼を生じる旨主張するが、使用標章は擬人化された図形とデザイン化された「BiC」の文字が一体となっている。そして、「BiC」の文字の右上に印刷が不鮮明ではあるが、登録商標であることを示す「R」の文字が記載されている。これは、図形と「BiC」で一つの商標である旨を明示した証左であり、該「BiC」を補足するようにデザイン化された「Sport」の文字を加筆することで構成されている。
本件商標は、ゴシック体で「BIC SPORT」と一体に構成された商標である。
よって、使用標章と本件商標とは、そもそも観念が異なるために、社会通念上同一性を有する商標とはいえない。
(オ)被請求人は、乙第1号証及び同号証の2並びにそれらの販売状況を証明する乙第2号証には、シュリロトレーディングカンパニーリミテッド社が平成20年3月まで被請求人の総輸入代理店であったため、同社の名称・住所等が記載されている旨主張している。
しかし、上記証拠から被請求人が主張するような通常使用権設定の事実の確認を窺うことはできず、仮に通常使用権の許諾が被請求人からなされているとしても、使用をしている商標は、「BIC」であり、本件商標とは異なるため、本件商標の使用を認めることはできない。
(3)まとめ
以上に述べたとおり、被請求人は、通常使用権者であるビックスポーツ社が日本国内にて指定商品のうち「ボート」を平成20年6月に販売していること、その取引書類より本件商標と社会通念上同一の商標が使用されていることを主張するが、ビックスポーツ社が本件商標を使用している事実を被請求人が提示する証拠より確認することはできず、本件商標の使用を主張する理由として成り立たない。
したがって、本件商標は商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきものである。
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1ないし第12号証(枝番を含む。)を提出している。
(1)以下に詳細に述べるとおり、本件商標は、要証期間の平成18年1月31日から同21年1月30日までを含む、遅くとも平成4年から現在に至るまで継続して、日本において商標権者及び通常使用権者によって、指定商品中の「ボート、モーターボート」等に使用されているものである。
(ア)乙第4号証は、株式会社舵社(東京都港区浜松町在)が発行した年刊カタログ誌「BOATING GUIDE 2008」であり、2008年(平成20年)4月8日に発行され、現在も入手可能である(乙第5号証)。その182頁には、ビックスポーツ社(神奈川県藤沢市辻堂西海岸在)の取扱商品の一部として「SPORTYAK(スポーツヤック)」と「BIC 252(ビック252)」と称する「手漕ぎボート」が掲載されている。
ビックスポーツ社は、被請求人の日本における総輸入販売代理店である(但し、専用使用権者としては登録されていないため、いわゆる独占的通常使用権者である。)。ここには販売元の名称、住所の他、電話番号、ファックス番号、さらには商品の主な仕様と価格などが記載され、販売を目的とした広告の性質をもっていることが明らかである。
(イ)乙第6号証は、ビックスポーツ社が、被請求人から輸入した商品を、株式会社ジーク(東京都江東区東砂在)に販売した際に発行した平成20年6月13日付け納品書(伝票番号:086−194)のプリントアウトである。
これによれば、平成20年6月16日に「Bic SportYak Green」なる商品が4艘納品されているが、この商品は乙第4号証に掲載された「SPORTYAK」と称する「手漕ぎボート」で緑色の色彩のものを指す。
乙第7号証は、同年6月17日付け納品書(伝票番号:086−208)で、株式会社ジークに同じ「SPORTYAK」ボートが3艘納品されたことを示す。
乙第8号証は、これら2件の取引について、まとめて代金を請求した際の平成20年6月20日付け請求書のプリントアウトである(日付は「日・月・西暦年」の様式によっている。)。
なお、これら乙第6ないし第8号証は、いずれもビックスポーツ社が保管している物件の写しではなく、同社が会計処理を委託している第三者の電子計算機に保存されているものを印刷している。
これらの取引書類には、左には擬人化された図形を表し、中央には平行四辺形状の輪郭内にややデザイン化した「BiC」の文字を表し、その右に接して「Sport」の文字を表してなる使用標章が大きく表示されている。
乙第6及び第7号証においては、使用標章が社名の表示として用いられているが、その構成態様は前記のとおり特徴のあるものであって、社名の表記として普通に用いられる態様を超えて、当該商品について自他商品識別標識として商標の機能を兼ねていることが明らかである。
乙第8号証の請求書にあっては、さらに社名の英文表記である「BIC SPORT JAPAN」の表示が、住所、電話番号等と併記されており、これとは別に使用標章が表示されて、商標として使用されている。
(ウ)乙第9号証は、ビックスポーツ社が、被請求人から輸入したボートを、株式会社内海漁具(山口県柳井市新市沖在)に販売した際に発行した平成20年7月30日付け納品書(伝票番号:087−440)のプリントアウトである。この商品は乙第4号証に掲載された「BIC 252」と称する「手漕ぎボート」である。
乙第10号証は、同社との取引について、他の販売分と合せて代金を請求した際の平成20年8月25日付け請求書のプリントアウトである。株式会社ジークとの取引におけると同様、使用標章が取引書類に表示して使用されたことが明らかとなっている。
なお、乙第1号証(年刊カタログ誌「BOATING GUIDE 2007」)においても、ほぼ同一内容の広告が掲載されているが、平成20年3月までは「シュリロトレーディングカンパニーリミテッド」(東京都港区三田在)が総輸入代理店であったため、ビックスポーツ社ではなく、同社の名称・住所等が記載されている。
(エ)乙第11号証は、被請求人の日本における代表者「内海隆」が平成21年6月19日付けで作成した証明書である。
ここにおいて、同氏は、1992年(平成4年)から2008年(平成20年)3月までの間、株式会社大沢商会及びシュリロトレーディングカンパニーリミテッドにおいて、被請求人の製造に係るボート、小型ヨット等の輸入販売に従事していたこと、2008年(平成20年)4月以降は独立して「Bic Sport Japan」の屋号の下に日本における代表者として業務を承継し、現在に至っていること、及び、これらの商品の販売において「Bic Sport」のブランド名が使用されてきたことが明らかにされている。この「Bic Sport」とは使用標章を指す。
また、これに添付された宣伝用パンフレットの写しは、2006年(平成18年)から2008年(同20年)の間に用いられたものの複写であって、8頁からなるA6サイズのパンフレットを広げて複写してあり、1枚目の右側が表紙、左側が裏表紙、2枚目は2頁(左)と3頁(右)というようになっている。この表紙には、使用標章が「Bic」の文字部分の背景をオレンジ色にして表示され、さらに細字で「Boats」と記載されている。使用標章の下に販売されている商品には、ボートの他にサーフボードなどがあり、このパンフレットが「ボート」のものであることを示すため、末尾に「Boats」と付加されているのである。また、2頁目の左上にも、白黒で同様の表示がされている。裏表紙には、「Bic」の背景をオレンジ色にした使用標章が表示されている。
(オ)乙第12号証は、ビックスポーツ社の顧客の一つである株式会社内海漁具が作成した証明書である。ここに言及された「正規輸入代理店」とは、シュリロトレーディングカンパニーリミテッド及びビックスポーツ社を指す。同社は一般消費者からの注文に応じてビックスポーツ社からボート等を購入してきた会社で、乙第9及び第10号証により示された取引がその一部であることが明らかにされている(なお、この代表者「内海正彦」氏とビックスポーツ社の代表者「内海隆」氏は姓が同一であるが、一切の親族関係のない他人である。)。
(2)使用標章は、前記のように3個の要素を組合せてなるものであるが、「BiC」と「Sport」とは、連続して配置された文字からなるものであり、これらが一まとまりとして、左に表した図形部分とは独立して「ビックスポーツ」の称呼を生じるもので、社名の「ビックスポーツジャパン」とも相俟って、取引通念上「Bic Sport」又は「BIC SPORT」の文字と実質的に同一のものとして評価されるべきものである。
(3)以上により、予告登録から3年以内に、被請求人及び通常使用権者であるビックスポーツ社が、本件請求に係る指定商品中「ボート」を日本国内において販売したこと、及びそれらの取引書類に本件商標と同一視される商標が使用されたことが明らかになったものと思料する。
(1)乙第4号証は、株式会社舵社により2008年(平成20年)4月8日に発行された書籍「BOATING GUIDE 2008」の抜粋写しと認められるところ、その182頁には、「ビックスポーツ ジャパン」の見出しの下に、ビックスポーツ社の住所、電話番号及びFAX番号が記載されており、その下段の「スポーツヤック/SPORTYAK」及び「ビック252/BIC 252」の項目において、それぞれ、手漕ぎボートの写真と共に、各ボートの大きさ、重量、価格等が掲載され、製造元として「BIC(仏)」、販売元として「ビックスポーツ ジャパン」と記載されている。
(2)乙第6、第7及び第9号証は、ビックスポーツ社の発行に係る「納品書」の写しと認められ、乙第8及び第10号証は、上記納品書に対応する請求書の写しと認められるところ、上記納品書には、欄外上部中央部分に、別掲のとおりの構成からなる使用標章が表示され、その下部にビックスポーツ社の住所及び電話番号が記載されている。
そして、上記納品書には、それぞれ発注年月日及び発注伝票番号が記載され、指定納品日として、それぞれ「2008/6/16」、「2008/06/20」又は「2008/08/02」と記載され、品名欄には「Bic SportYak Green #9,#10,#15,#16」、「SportYak グリーン #11」、「Bic 252 オレンジ」等の記載があり、それぞれに対応した数量、上代価格、下代価格、金額が記載されている。
上記請求書には、欄外右上部に、上記納品書に表示されたと同一の使用標章が表示され、その下部にビックスポーツ社の住所及び電話番号が記載されている。上記請求書の右上隅には「20−6−08」又は「25−8−08」の数字が記載されているが、これは該請求書が2008年6月20日又は同年8月25日に発行されたことを示す日付と見て差し支えない。また、納品日欄及び発注伝票欄には、それぞれ日付及び番号が記載されているが、これらは上記納品書に記載された指定納品日及び発注伝票番号と一致している。
(3)乙第11号証は、ビックスポーツ社の代表者の作成に係る「BicSport社製ボート等の国内販売について」と題する書面と認められるところ、該書面には、ビックスポーツ社が被請求人の総輸入発売元として被請求人の製造に係るボート等を「BicSport」のブランド名で継続販売してきた旨が記載されており、また、被請求人の取扱に係る商品「ボート」に関する仏文の宣伝用パンフレットの写しが添付されている。そして、該パンフレットには、その表紙の上部及び裏表紙の下段に、使用標章と同一といい得る標章が表示されているほか、商品の説明部分にはボートの写真と共に「Sportyak」の表示も見られる。
(4)乙第12号証は、乙第9及び第10号証の納品書及び請求書の交付先であり、ビックスポーツ社の顧客と認められる株式会社内海漁具の作成に係る「証明書」と認められるところ、該書面にはフランスのBicSport社の製造販売に係る「BicSportYak」、「Bic 252」を正規輸入代理店を通じて一般ユーザーに販売している旨記載されている。
(1)上記1において認定した事実によれば、乙第4号証の書籍に掲載されたボートの記述中の「製造元:BIC(仏)」及び「販売元:ビックスポーツ ジャパン」との記載並びに乙第11及び第12号証の記載内容に照らし、ビックスポーツ社は被請求人の通常使用権者というべきである。また、乙第6、第7及び第9号証の納品書並びに乙第8及び第10号証の請求書は、いずれも本件審判の請求の登録日(平成21年1月30日)前3年以内に同社によって発行されたものであって、これらの書類に記載された品名「Bic SportYak Green #9,#10,#15,#16」、「SportYak グリーン #11」、「Bic 252 オレンジ」等は乙第4号証の書籍に掲載された商品「手漕ぎボート」を指すものというべきである。
(2)そして、上記書類に表示された使用標章は、取引の経験則上、それ自体が自他商品の識別標識として認識し把握されるものといえる。さらに、該使用標章は、別掲のとおりの構成からなるところ、その構成中の「BiC」及び「Sport」の文字部分は、読み易い文字であること及び視覚上から、それらの左端に配された人の形を模した如き図形とは別個に分離して看取されると共に、被請求人の会社名と一致することとも相俟って、まとまりのある一体のものとして認識し把握されるとみるのが自然であり、それ自体が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものというべきである。
そうすると、使用標章は、「BiC」及び「Sport」の文字部分に相応して「ビックスポート」ないしは「ビックスポーツ」の称呼を生ずるものといえる。
他方、本件商標は、上記第1のとおりの構成からなり、「ビックスポート」ないしは「ビックスポーツ」の称呼を生ずるものであるから、使用標章は、本件商標と同一の綴りからなる標章を含むものであり、かつ、同一の称呼を生ずるものである。
してみれば、使用標章の上記文字部分は、本件商標と社会通念上同一のものというべきである。
(3)以上からすれば、通常使用権者であるビックスポーツ社は、使用標章を使用して商品「ボート」の取引を行っていたものというべきであるから、本件商標は、その指定商品中の「ボート」について、本件審判の請求の登録前3年以内に通常使用権者によって使用されていたものと認めるのが相当である。
以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、その指定商品について、通常使用権者により使用されていたものと認められるから、商標法第50条第1項の規定によりその登録を取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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