Trademark Appeal Case
地名と普通名称の結合の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2009−3993(T2009−3993/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「埼玉審美インプラントセンター」の文字を標準文字で表してなり、第44類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成19年7月10日に登録出願されたものであるが、その後、指定役務については、当審における平成21年8月28日付け手続補正書により、第44類「歯科医業」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『埼玉審美インプラントセンター』の文字を書してなるところ、該文字は、全体として『埼玉に所在する、審美治療や人工歯植え込み治療を行う中心的施設』ほどの意味合いを認識させるにとどまり、これをその指定役務に使用しても、単に役務の提供場所及び質(内容)を表示するにすぎず、自他役務識別標識としての機能を果たし得ないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、前記のとおり、「埼玉審美インプラントセンター」の文字を表してなるところ、その構成中「埼玉」の文字部分は「関東地方の県。武蔵国の北部を管轄。」を意味するものであり、また、「審美」の文字部分は「美と醜とを識別すること。」を、そして「インプラント」の文字部分は「(移植の意)人工の歯を埋め込むこと。また、その歯。」を、そして「センター」の文字部分は「その分野の中心となる機関・施設」(いずれも広辞苑 第6版)の意味をそれぞれ表わすものである。
ところで、その構成中「審美」の文字については、本願指定役務を提供する業界において、「歯を美しくする治療」ほどの意味を表す語として、また、同じく構成中の「インプラントセンター」の文字については、「人工歯植え込み治療を行う歯科医院、歯科診療所」の名称としてそれぞれ普通に採択、使用されている実情がある。
さらに、例えば、「横浜インプラントセンター」「北大阪インプラントセンター」のように、「インプラントセンター」の文字と地域を表す語とを結合させて「ある地域所在の人工歯植え込み治療を行う歯科、歯科診療所」の名称として採択、使用されている実情や、「東京審美インプラントセンター」のように、「審美インプラントセンター」の文字と地域を表す語とを結合させて、「ある地域所在の歯を美しくする治療や人工歯植え込み治療を行う歯科、歯科診療所」の名称として採択、使用されている実情もある。
そして、これらの実情は、例えば、以下の新聞記事やインターネットにおけるウェブサイトの情報からも十分に裏付けられるところである。
(1)「高橋歯科医院」のウェブサイトにおいて、「『インプラント・審美・矯正』 選ばれるには、ワケがある。」の見出しのもと、「治療の方法(インプラントや審美等)は、一つだけではありません。それがあなたにあった方法とは限りません。」の記載。(http://www.takahashi-dental.net/)
(2)「小林歯科医院」のウェブサイトにおいて、「審美・ホワイトニング」の見出しのもと、「美しい歯は笑顔を際立たせ、知的で清潔な印象を与えます。話しているとき、微笑んだとき、自然で白く美しい歯が、より一層表情を素敵に輝かせてくれるでしょう。私たちが患者様のベストスマイルをご提案します。」の記載。(http://kobayashishika.jp/Esthetic/)
(3)「理浩歯科クリニック」のウェブサイトにおいて、「台東区矯正歯科・審美・歯ぎしり情報」の見出しのもと、「親切丁寧な、台東区歯列矯正・審美・歯ぎしり治療で、口元の悩みを解消! 当院では、噛み合せなど、口の機能面を重視した歯列矯正治療、見た目の美しさを重視し、歯の色、形を整える審美治療。お子様に多い歯ぎしりの治療を提供しています。」の記載。(http://www.rikou-dc.info/)
(4)「天王洲審美インプラントセンター」のウェブサイトにおいて、「◆ 美しい歯の為に歯科ができること、それが審美であり、長く丈夫な歯の為にできること、その最良の選択の一つがインプラントです。」の記載。(http://www.ogawa-dental.com/)
(5)「[人ひと言]宮本敬三さん、柴田康さん=北九州」の見出しのもと、「◆センター開設半年 インプラント治療を多くの人に知ってほしい 飯塚市の『アイ歯科柏の森』に、本格的なインプラントセンターがオープンして半年余り。同医院を運営する医療法人康和会理事長・柴田康(やすし)さん(58)は『東京や福岡に行かなくてもインプラント治療ができることを、地域の多くの人に知ってほしい』と話す」の記載。(2005.5.23読売新聞 西部朝刊 28頁)
(6)「医師の技量の差大きく インプラント治療<下>教育体制の遅れに原因 手術は『一般診療と別』が基本/医療・健康」の見出しのもと、「総合病院の利点を生かし、インプラント手術の多くを外科などが使う手術室で実施するインプラントセンターを開設した福岡和白病院(福岡市東区)などの例もある。」の記載。(2005.11.14 西日本新聞 朝刊 29頁)
(7)「松岡歯科医院」のウェブサイトにおいて、「インプラントセンター併設」の見出しのもと、「院長プロフィール 院長ご挨拶 最新CT導入に伴い、インプラント科を併設。保険から自費まで全て院内で責任をもって作製。1本でも多くの歯を残して頂けます様初診時にカウンセリングを行い治療に入るというシステムを行っています。」の記載。(http://www.matsuoka-dental.jp/incho-aisatsu/index.html)
(8)「テルミナ歯科クリニック」のウェブサイトにおいて、「年間実績1000本以上のインプラントセンター(名古屋テルミナ) 日本インプラントシステム」の見出しのもと、「テルミナ歯科クリニックのインプラント 歯科治療で年間1000本以上の実績のインプラント専門医・インプラント認定医がインプラント治療を行うにあたり患者さんのお考えを第一にお聞きしてご希望を優先し、無痛治療・なるべく短時間で済むオペを心掛けて、患者さんの治療に関わる負担軽減を考え続けています。」の記載。(http://www.nagoya-implant.net/clinic-feature.html)
(9)「ライオンインプラントセンター」のウェブサイトにおいて、「真のインプラントセンターとして」の見出しのもと、「ライオンインプラントセンター(神奈川県海老名市)は、これまでの症例数6000本以上のインプラント治療経験・実績をもとに、より良い治療環境でインプラント治療に取り組むため、国内最大規模のインプラント専門施設として神奈川に開設いたしました。」の記載。(http://www.implantcenter.ne.jp/)
(10)「笑顔の生まれる歯医者さん」のウェブサイトにおいて、「全国優良インプラント医院一覧」の見出しのもと、「充実した設備環境と、治療実績が豊富な優良インプラントセンターを厳選してご掲載しています。」の記載。(http://www.smilevery.com/implant/implant_tokyo.html)
(11)「横浜インプラントセンター」のウェブサイトにおいて、「日曜日もインプラントが可能になりました。」の見出しのもと、「当院では、平日忙しい方のために、日曜日もインプラント治療が出来るような体勢づくりに努めています。」の記載。(http://www.yic.ac/)
(12)「北大阪インプラントセンター」のウェブサイトにおいて、「<私のインプラント治療に対する思い>」の見出しのもと、「平成元年に大阪で治療を始めて以来、インプラントの実績は4430人、10270本以上(大阪・神戸5院計2009年9月現在)の施術をしておりますが、ずっと一貫して思ってきたことは、インプラントにまさる治療法はないということです。」の記載。(http://www.kitaosaka-implant.com/)
(13)「南青山インプラントセンター」のウェブサイトにおいて、「インプラントのご相談はインプラント専門医の南青山インプラントセンター」の見出しのもと、「港区南青山の南青山インプラントセンター ご挨拶 最先端のインプラント治療、審美セラミック修復、ホワイトニング、歯周病治療など・・・ あなたのお口のトータルケアは私たちにお任せください。世界標準の質の高い丁寧な治療と最良のサービスで十分な満足をお約束いたします。」の記載。(http://www.implant-center.ne.jp/)
(14)「東京審美インプラントセンター」のウェブサイトにおいて、「インプラント治療なら東京審美インプラントセンター」の見出しのもと、「インプラントや審美歯科、矯正歯科を始め一般歯科も行っております。」の記載。(http://www.nishiazabushinbi-implant.com/)
(15)「鹿児島審美インプラントセンター」のウェブサイトにおいて、「鹿児島審美インプラントセンターではインプラントはもちろん。審美歯科・矯正歯科に関する情報を扱っています。」「審美歯科とは 審美歯科を中心に診療している医院では、治療後の自然さと美しさに重点を置いて治療をしています。」の記載。(http://www.2394618.com/esthe.html)
(16)「審美インプラントセンター柏 田中歯科医院」のウェブサイトにおいて、「院長挨拶」の見出しのもと、「特にインプラント(人工歯根)、審美歯科治療の分野では、日本口腔インプラント学会、国際口腔インプラント学会、日本歯科審美学会等の数々の認定医を取得しており、ドクター向けのインストラクターも行っているため、他の医院からの紹介の患者さんや遠方からの患者さんも多くいらっしゃっております。」の記載。(http://www.shika-implant.com/)
以上よりすれば、「埼玉審美インプラントセンター」の文字に接する取引者、需要者は、「埼玉県所在の歯を美しくする治療や人工歯植え込み治療を行う歯科医院、歯科診療所」のごとき意味合いを理解、認識することは容易というべきである。
してみれば、本願商標をその補正後の指定役務に使用した場合、これに接する取引者、需要者をして、単に役務の質を表示したものと理解するにとどまり、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないというべきである。
なお、請求人は、過去の登録例を挙げて、「本願商標が、不特定多数の者によって使用されている事実はないから、商標法第3条第1項第3号に該当するものではない。」旨主張しているが、商標登録出願に係る商標が上記条項に該当するか否かは、当該商標の査定時又は審決時において、その商標が使用される取引の実情等を考慮し、個別具体的に判断されるべきものであるから、それらの既登録例に拘束される理由はない。
さらに、商標法第3条第1項第3号の趣旨は、同号列挙のものは通常、商品や役務を流通過程又は取引過程に置く場合に必要な表示であるから、何人も使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであるから一私人に独占を認めるのは妥当でなく、また、現実に使用され、あるいは、将来一般的に使用されるものであることから、出所識別機能を認めることができないものと解される。(社団法人発明協会発行 特許庁編「工業所有権法逐条解説(第17版)」参照)
そうすると、本願商標「埼玉審美インプラントセンター」については、その指定役務との関係において、これに接する取引者、需要者をして、役務の質を表示したものとして理解するにとどまると判断するのが相当であること、上述のとおりである。そして、仮に同様の表示を他人が使用していないとしても、前記の趣旨からして特定人に独占させることは適切ではないものであるから、請求人の該主張は、採用することができない。
したがって、本願商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するとした原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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