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Trademark Appeal Case

姓氏商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2009−4733(T2009−4733/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「HORI」の欧文字を標準文字で表してなり、別掲のとおり第30類及び第43類に属する商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成20年2月13日に登録出願されたものである。そして、願書記載の指定商品及び指定役務については、原審において、同年12月22日付け提出の手続補正書により第30類「菓子及びパン,アイスクリーム用凝固剤,ホイップクリーム用安定剤,即席菓子のもと」及び第43類「飲食物の提供」に補正され、その後、当審において、同21年4月30日付け提出の手続補正書により、第30類「ゼリー,チョコレート」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要点)

原査定は、「本願商標は、我国において多数見受けられるありふれた姓『堀』の字音をローマ字で『HORI』と、普通に用いられる方法で表してなるものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当する。また、本願商標は、同法第3条第2項の要件を具備していない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第4号について

本願商標は、前記1のとおり、「HORI」の欧文字を標準文字で表してなるものである。

ところで、「大辞泉 増補・新装版」(1998年12月1日第二刷、株式会社小学館堂発行)、「大辞林第三版」(2006年10月27日、株式会社三省堂発行)及び「広辞苑第六版」によれば、「堀」については、「姓氏の一つ。」又は「姓氏の一。」と記載されているものである。

そして、「堀」の姓は、「日本人の姓」(佐久間英著、1972年3月8日再版、六藝書房発行)によれば、約70,000人で全国第180位に位置づけられていることが記載されており、さらに、「堀」の姓を有する者は、「ハローページ東京都23区個人名全区版・下巻」(平成13年3月、東日本電信電話株式会社発行)によれば、約1200名掲載されているものである。

そうすると、「堀」の姓は、我が国においてありふれた氏の一つであると認められ、さらに、日常の商取引において、日本人の姓氏を表す場合、必ずしも漢字のみに限らず、平仮名、片仮名、欧文字等種々の文字で表す場合も決して少なくないことからすれば、本願商標「HORI」の欧文字は、これに接する取引者、需要者に、我が国においてありふれた氏の一つである「堀」を欧文字で表したものと容易に理解されると判断するのが相当である。

したがって、本願商標は商標法第3条第1項第4号に該当する。

なお、請求人は、本願商標が同号に該当することについて、何ら具体的に意見を述べていないものである。

(2)商標法第3条第2項について

請求人は、たとえ本願商標が姓である「堀」を欧文字表記したものであるとしても、本願商標は、使用の結果、需要者が何かの業務に係る商品であることを認識する自他商品識別機能を獲得するに至っているため、商標法第3条第2項の規定の適用により商標登録されるべきものである旨主張し、当審において、証拠方法として甲第1号証ないし甲第17号証を提出しているので、以下この点について検討する。

商標法第3条第2項の判断に際しては、「商標法第3条第2項の要件を具備するためには,使用商標は,出願商標と同一であることを要し,出願商標と類似のもの(例えば、文字商標において書体が異なるもの)を含まないと解すべきである。なぜなら,同条項は,本来的には自他商品識別力がなく,特定人の独占にもなじまない商標について,特定の商品に使用された結果として自他商品識別力を有するに至ったことを理由に商標登録を認める例外的規定であり,実際に商品に使用された範囲を超えて商標登録を認めるのは妥当ではないからである。そして,登録により発生する権利が全国的に及ぶ更新可能な独占権であることをも考慮すると,同条項は,厳格に解釈し適用されるべきものである。」(知財高裁平成18年(行ケ)第10054号 平成18年6月12日判決言渡)と判示されているところである。

そこで、これを踏まえて、請求人の提出に係る甲各号証を検討する。

ア 甲第1号証ないし甲第6号証は、平成17年7月5日付け、同年9月15日付け、同19年2月7日付け及び同20年6月17日付けの北海道新聞並びに平成19年1月28日及び同年6月25日付けの読売新聞の写しである。それらには、やや幅広のゴシック体で表された「HORI」の欧文字と、その文字幅におさまるように小さく表された「CONFECTIONERY」の欧文字とが上下二段に表されており、また、「夕張メロンピュアゼリー」及び「とうきびチョコ」の文字が記載されている。そして、前記「HORI」及び「CONFECTIONERY」の各文字の態様は、文字が塗りつぶされているもの(以下「使用商標1」という。甲第1号証、甲第4号証及び甲第5号証)、文字が白抜きで表されているもの(以下「使用商標2」という。甲第2号証及び甲第6号証)及び塗りつぶされた矩形内に文字が白抜きで表されているもの(甲第3号証)が見受けられる。

イ 甲第7号証は、「食育の本」と題した書籍の写しであるところ、使用商標1及び「夕張メロンピュアゼリー」の文字が記載されている。

ウ 甲第8号証は、「おまたまさこの満腹物語」と題した書籍の写しであるところ、「【HORIの夕張りメロンピュアゼリー】一袋3個入り525円〜」並びに「ホリ」の片仮名文字及び「HORI」の欧文字が上下二段に記載されている。

エ 甲第9号証は、「おとなのいい旅 北海道」と題する雑誌の写しであるところ、請求人についての紹介記事であり、ゴシック体で表された「HORI」の欧文字並びにやや幅広のゴシック体で白抜きで表された「HORI」の欧文字と、その文字幅におさまるように小さく表された「CONFECTIONERY」の欧文字とが上下二段に表されおり、請求人が商品「ゼリー、チョコレート」を取扱っている内容の記事が掲載されている。

オ 甲第10号証ないし甲第12号証は、2005年8月、2008年2月、3月及び同年7月にJR北海道内の車内用ポスターの写しであるところ、使用商標1(甲第10号証及び甲第11号証)及び使用商標2(甲第12号証)並びに「夕張メロンピュアゼリー」及び「とうきびチョコ」の文字が記載されている。

カ 甲第13号証及び甲第14号証は、2007年12月から2008年1月及び同年8月から11月に新千歳空港内の天井から吊るした広告の写真の写しであリ、やや不鮮明であるものの、使用商標2及び「夕張メロンピュアゼリー」の文字が記載されていることを確認することができる。なお、「HORI」の文字及び「とうきびチョコ」の文字も見受けられるが、「HORI」の文字の下に、表された文字までは確認することはできない。

キ 甲第15号証は、2006年4月27日付けで撮影した道路の看板広告の写真の写しであるところ、非常に不鮮明であるため、かろうじて「ピュアゼリー」及び「HORI」の文字を確認することができる。

ク 甲第16号証は、請求人の会社案内であるところ、事業内容は菓子製造、販売であり、「夕張メロンピュアゼリー」及び「とうきびチョコ」を取り扱っている記事が掲載されている。

ケ 甲第17号証は、「モンドセレクション受賞製品 洋菓子」と称するウェブサイトの写しであるところ、請求人取り扱いに係る「とうきびチョコレート」及び「夕張メロンピュアゼリー」が、モンドセレクションにおいて受賞したことが記載されている。なお、本願商標の使用は見当たらない。

コ 甲第18号証は、2007年及び2008年百貨店出展における売上げ一覧表であり、2007年約5,176万円、2008年約6,200万円と記載されているものの、請求人企業全体としての売上げなのか、「ゼリー,チョコレート」のみの売上げなのか定かでない上に、同種の業界においてどの程度の売上げを占めているのかも不明である。

サ 甲第19号証は、2009年百貨店等における催事出展予定一覧であり、出展期間及び場所が記載されているものの、出展される商品及びその商品に使用される商標の態様は示されていない。

シ 甲第20号証は、「夕張メロンピュアゼリー」の写真の写しであるところ、そこには、やや幅広のゴシック体で表された「HORI」の欧文字と、その文字幅におさまるように小さく表された「CONFECTIONERY」の欧文字とが上下二段に表されると共にオレンジ色の色彩を施されて(以下「使用商標3」という。)、当該ゼリーの包装容器に付されている。

ス 甲第21号証は、請求人の商品がテレビで紹介された際の放送画面及びテレビコマーシャルの放送画面の写しであるが、使用商標3及び「夕張メロンピュアゼリー」の文字が記載されている。

セ 甲第22号証は、媒体掲載情報(2007年12月20日現在)であり、2007年に、ラジオ、新聞、テレビ、雑誌等を通じて掲載又は放送された、媒体名及びその詳細が記載されていると共に、ブランド名は「ホリ」又は「北菓楼」と記載されているものの、商品「ゼリー,チョコレート」に使用されている商標の態様は示されていない。

ソ 甲第23号証は、2008年10月30日放送テレビ朝日「いきなり!黄金伝説」のホームページの写しであり、【第1位】ホリ及び『夕張メロンピュアゼリー』と記載されている。

以上の事実よりすれば、請求人が商品「ゼリー、チョコレート」に使用している「HORI」の欧文字は、やや幅広のゴシック体で表されているのみならず、当該文字の下段に「CONFECTIONERY」の文字と共に表されているものであるから、本願商標とは書体が異なるものである(甲第1号証ないし甲第7号証、甲第10号証なし甲第14号証、甲第20号証及び甲第21号証)。

また、前記商品に使用している「HORI」の文字単独での使用(甲第9号証及び甲第15号証)は、本願商標とは書体が異なるものであり、ほかに、提出された全証拠をみても、本願商標と同一の商標が前記商品に使用されている事実を示すものは見当たらない。

そうすると、「HORI」の欧文字を標準文字で表された本願商標と、請求人が実際に商品に使用している商標とは、その書体、構成態様を異にするものであるから、出願された商標と使用している商標とは、同一とはいえず、商標法第3条第2項の要件である、出願商標と使用商標の同一性は認められない。

同法第3条第2項に該当するには、出願商標と使用商標の同一性が必要であり、それには、例えば、文字商標において書体が異なるなどの類似のものを含まないとされ、さらに、同条項は、厳格に解釈し適用されなければならないことは、前記判示のとおりである。

してみれば、本願商標「HORI」の欧文字が、その指定商品「ゼリー,チョコレート」に使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識するに至ったものと認めることはできず、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものと認めることはできない。

よって、本願商標が使用により自他商品識別力を獲得したとする請求人の主張は採用することはできない。

(3) まとめ

以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、かつ、同法第3条第2項の要件を具備しないとした原査定は妥当なものであって、取り消すべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

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