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Trademark Appeal Case

不使用取消の正当理由

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2009−300399(T2009−300399/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第3272267号商標の商標登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第3272267号商標(以下「本件商標」という。)は、「レスキュー」の片仮名文字を横書きしてなり、平成6年8月10日に登録出願、第32類「清涼飲料」を指定商品として、同9年3月12日に設定登録され、その後、同19年4月3日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張の要点

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。

(1)請求の理由

本件商標は、その全指定商品に関して、継続して3年以上日本国内において使用された事実がないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきものである。

(2)答弁に対する弁駁

被請求人は、本件商標を、その指定商品に関して、3年以内に、日本国内において、使用した事実を立証していない。使用の具体的な計画があったというが、本件商標は、最初の登録から既に12年以上が経過しているにも係わらず、1回も使用されていない。提出された乙第1号証は、清涼飲料水に関して使用予定であったというラベル及びケースの写真であって、現実に使用されたものではない。

被請求人は、本件商標の不使用の理由として、許認可手続の遅延を拳げている。

しかし、答弁書によれば、食品衛生法第52条に規定する保健所の許可は「平成19年3月1日付」で与えられている。したがって、その日以降であれば、いつでも清涼飲料水に関して使用が開始できたのである。許認可手続は遅延していない。

遅延の理由として被請求人が縷々述べている事情は、要するに、被請求人会社において清涼飲料水を製造するためには医薬品の製造ラインを清涼飲料水の製造ラインに変更する必要があり、その前提として現在供給している医薬品の製造を他の製薬会社に委託する必要があったが、それが計画通りにはいかなかったというものである。

それが仮に事実であるとしても、それは、いわば「会社内部の事情」であり、許認可とは基本的に関係のない事実である。

3 被請求人の主張

被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証を提出した。

(1)本件商標を更新登録申請した理由について

本件商標は、平成19年3月8日に更新登録申請をし、平成19年4月3日に更新登録がされたものである。

被請求人は、一般用医薬品及び医薬部外品の製造販売のほか、食品等の製造販売をしている。被請求人は、株式会社スズケンの子会社であったが、平成19年11月5日付けで株式会社スズケンから株式会社ピュアに被請求人の株式が譲渡され、株式会社ピュアの関連会社となった。

株式会社ピュアは、自然食品、健康補助食品、自然派化粧品、健康機器などの企画、販売を中心に全国展開している会社で、本件商標について株式会社ピュアの製品に使用する意思があったため権利放棄することなく更新登録申請をした。

(2)当該製品の市場提供が遅れた理由

ア 使用計画

株式会社ピュアの製品で「ピュアC1000」という食品のリニューアル品として清涼飲料水「VC レスキュー」(以下「当該製品」とする。)を発売し、当該製品は被請求人で製造する計画で平成21年3月に発売予定であった。

また、既に完成しているラベル及びケースについて、証拠として乙第1号証を添付する。

イ 当該製品を製造するために必要な法的手続きについて

当該製品を製造するためには、清涼飲料水製造業の許可が必要である。

被請求人は、過去に清涼飲料水製造業の許可を有していたが、社内的な事情から一度廃止している。再度清涼飲料水製造業の許可を取得するためには、食品衛生法第52条の規定により保健所に許可を得なければならないため平成19年3月1日付けで愛知県春日井保健所長より清涼飲料水製造業の許可を取得した。

被請求人は、当該製品を製造するにあたり、現状の製造設備では不十分と考え、医薬品の製造ラインを清涼飲料水のラインに変更することとした。

しかしながら、その医薬品製造ラインで製造している一般用医薬品(「小児用新マイフーロンシロップ」及び「新マイフーロンせきどめシロップ」)は、現在も製造販売している品目であるため、今後も市場に供給するためには、その製造を外部委託する必要があった。そこで、愛知県健康福祉部健康担当局医薬安全課(以下「医薬安全課」とする)と協議し、製剤の製造所の追加のための一部変更承認申請をすることとした。

医薬品の製造ラインを清涼飲料水のラインに変更することは変更届書を提出することで可能であるが、前述の製剤の製造所追加に係る一部変更承認後でなければ薬事法上、医薬品の外部製造委託はできないため一部変更承認取得後に変更届書を提出することとした。

なお、平成21年3月4日、5日の被請求人に対する医薬安全課の立入り調査の際にも被請求人は医薬安全課に対し、実際の現場と変更のための図面を示しながら当該製造ラインの変更について再度説明している。

平成20年5月9日付けで「小児用新マイフーロンシロップ」、平成20年5月20日付けで「新マイフーロンせきどめシロップ」の一部変更承認申請をそれぞれ愛知県に申請した。

通常、一部変更承認申請を行ってから承認までに必要な期間は6ヶ月といわれている。順調に進めば平成20年12月中には承認が取得できる予定であった。

しかしながら、委託する製造所と被請求人との間で製品の品質に関する意見の相違が生じ、当該製造所における「小児用新マイフーロンシロップ」及び「新マイフーロンせきどめシロップ」の製造を断念することとなった。一部変更承認申請中の製剤の製造所の変更はできないとのことから、「小児用新マイフーロンシロップ」及び「新マイフーロンせきどめシロップ」に係る一部変更承認申請を取下げ、再度、一部変更承認申請をする必要があったため、当初の製剤の製造所を削除し、別の製造所を追加する形で「小児用新マイフーロンロップ」及び「新マイフーロンせきどめシロップ」について平成20年11月28日付けで再度一部変更承認申請書を提出した。

また、「小児用新マイフーロンシロップ」及び「新マイフーロンせきどめシロップ」に関しては、麻薬成分を含有している製剤のため、年間製造計画分は全てその年度中に製造しなければならないこととなっている。平成20年12月までに一部変更承認となれば、委託先の製剤の製造所で「小児用新マイフーロンシロップ」及び「新マイフーロンせきどめシロップ」を製造することができた。被請求人としては、承認取得後に委託先の製造所で「小児用新マイフーロンシロップ」及び「新マイフーロンせきどめシロップ」を製造し年間製造計画分の製造を全て終了させ、医薬品構造設備の変更届を提出し、清涼飲料水の製造にとりかかることができたのである。再度一部変更承認申請を行ったために、当然承認時期も遅れることとなり、清涼飲料水の製造も延期せざるを得なくなったのである。平成20年11月28日付けで愛知県に提出した一部変更承認申請書は平成21年5月15日付けで製造販売承認事項一部変更承認となり、変更届書を平成21年6月1日付けで愛知県へ提出した。

上記のような事情により、当該製品の発売時期は平成21年3月を予定していたが発売を遅らせざるを得なくなった。

(3)日本の商標法では、「使用主義」ではなく一定の登録要件を満たせば、出願時に使用していなくても将来使用する意思があれば登録されるという「登録主義」を採用している。商標権者において商標を使用する意思を有し、被請求人は審判請求がされることを知る以前から本件商標について具体的な使用計画があり、その準備を進めてきた以上、不使用には該当しない。

被請求人としては使用していることを主張するものであるが、請求人が使用していないと主張するにしても商標法第50条第2項ただし書きによる正当な理由に該当する(許認可手続きの遅延)ので本件商標については本件審判の請求は成り立たない、との審決を求める。

4 当審の判断

被請求人は、「清涼飲料『VCレスキュー』」を平成21年3月に販売予定であるから、本件商標を使用している。また、請求人が本件商標を使用していないと主張しても、商標法第50条第2項ただし書きによる正当な理由に該当する。」旨主張し、証拠方法として乙第1号証を提出しているので、これらについて、検討する。

(1)乙第1号証について

乙第1号証は、「清涼飲料水」と表示されているラベルが貼付されている瓶容器2本とその包装用箱を撮影した写真と認められるところ、瓶容器のラベルには、左側に「ビタミンC1000mg含有」、大きく表された「C」の文字中に「VC」とあり、その下に「Rescue」、「Healthy and Beauty」、「VCレスキュー」、「100mL」の表示等があり、ラベルの右側に「品名:VCレスキュー」、「名称:清涼飲料水」、「製造者:日本製薬工業株式会社」、「販売者:株式会社ピュア」、「清涼飲料水」の表示等がある。

包装用箱の正面には、「ビタミンC1000mg含有」、大きく表された「C」の文字中に「VC」とあり、その右に「Rescue」、その下に「VCレスキュー」、右下に「清涼飲料水」、「100mL×10本」の表示等がある。

これらの事実によれば、乙第1号証には、本件取消請求に係る指定商品に含まれる商品「清涼飲料水」の瓶(ラベル)と包装用箱に、本件商標と社会通念上同一といえる「レスキュー」の表示が認められるものの、撮影日、撮影者等は明記されておらず、また、該清涼飲料水が実際に取引されたことを示す証左、例えば、注文書、納品書、支払伝票等の提出は一切ないものである。

なお、被請求人は、乙第1号証を平成21年3月に発売予定であった「清涼飲料水」のラベル及びケースとしている。

そうすると、乙第1号証のみをもってしては、被請求人が、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件商標の指定商品について、具体的に本件商標を使用していることを証明したものと認めることはできない。

(2)被請求人の主張について

ア 被請求人は、「日本の商標法では、「使用主義」ではなく一定の登録要件を満たせば、出願時に使用していなくても将来使用する意思があれば登録されるという「登録主義」を採用している。また、商標権者において商標を使用する意思を有し、被請求人は審判請求がされることを知る以前から本件商標について具体的な使用計画があり、その準備を進めてきた以上、不使用には該当しない。」旨主張している。

確かに、我が国商標法は、登録主義を採用し、登録するための要件として、出願された商標の現実の使用を必要とせず、使用の意思を有すれば足りることとしているが、将来においても使用されないことが明らかな商標までをも登録して保護するものでない。

そして、不使用取消審判の制度の趣旨は、商標制度は、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とするものである。商標権が設定された後であっても、一定期間登録商標が使用されていない場合には、保護すべき対象である信用がないのであるから、その商標権は、商標制度の趣旨にそわないものであるのみならず、他人による同一又は類似商標の使用を阻み、他人の流通秩序への寄与を妨げることになって、国民一般の利益を不当に侵害するものである。そこで、請求により、このような商標登録を取り消そうとするものと解すべきである。(平成12年6月27日判決言渡 東京高裁平成12年(行ケ)第44号)

そうとすれば、登録商標を将来的に使用する意思や使用計画があることのみをもってしては、商標法第50条でいう登録商標の使用と認められないと判断するのが相当であるから、この点についての被請求人の主張は採用できない。

イ さらに、被請求人は、「請求人が本件商標を使用していないと主張しても、商標法第50条第2項ただし書きによる正当な理由に該当する。」旨主張している。

しかしながら、法所定の正当な理由があることとは、地震、水害等の不可抗力によって生じた事由、放火、破壊等の第三者の故意又は過失によって生じた事由、法令による禁止等の公権力の発動に係る事由その他の商標権者、専用使用権者又は通常使用権者の責めに帰すことができない事由(以下「不可抗力等の事由」という。)が発生したために、商標権者等において、登録商標をその指定商品又は指定役務について使用することができなかった場合をいうと解すべきである。(平成19年11月29日判決言渡 東京高裁平成19年(行ケ)第10227号判決)

これを本件についてみるに、「清涼飲料水製造業の許可を有していたが、社内的な事情から一度廃止し、・・・清涼飲料『VCレスキュー』の発売時期は平成21年3月を予定していたが発売を遅らせざるを得なくなった」など、被請求人が述べる理由は、自社の都合といわざるを得ないものであり、このような理由は、不可抗力等の事由とはいえないから、商標法第50条第2項ただし書きによる正当な理由に該当せず、被請求人の主張は採用できない。

(3)まとめ

以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが指定商品について、本件商標を使用していたこと証明し得なかったのみならず、その不使用につき正当な理由があるとも認められない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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