結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2006−66006(T2006−66006/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件国際登録第726306号商標(以下「本件商標」という。)は、1999年12月2日を国際登録の日とし、「THER−MOS」の欧文字及びハイフン記号を横書きに表した構成よりなり、第25類「Clothing,included boots,shoes and slippers(not for sports use).」を指定商品として、平成15年(2003)8月29日に我が国において登録されたものである。
(1)請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由として、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが取消請求に係る指定商品について登録商標の使用をしていないものであるから、商標法第50条の規定により、その登録は取り消されるべきである旨主張した。
(2)答弁に対する弁駁
被請求人は、平成19年3月12日付けの答弁書において、通常使用権者が本件商標を指定商品について使用していた旨主張し、乙第1号証ないし乙第6号証を提出しているが、これらの証拠では、本件商標を指定商品について使用している事実を立証するものとはいえない。以下、その理由を述べる。
(ア)本件商標の指定商品は、「Clothing,included boots,shoes and slippers」であるが、「(not for sports use)」となっており、「スポーツ用」の「clothing」は含まれないところ、乙第2号証の1、乙第2号証の2がゴルフ用のカタログであることは明らかであるから、乙第2号証及び乙第3号証に掲載された商品は、本件指定商品には該当しない。なお、乙第6号証のインボイスもゴルフショップ宛のものである。
(イ)本件商標は「THER−MOS」と横書きに構成されているのに対し、使用に係る商標(以下「使用商標」という。)は、丸と3つの矢印に囲まれた逆三角形に縦書き「MOS」とし、その上に横書きで「THER」とT字状になるように構成されている。ここまで図案化された商標を社会通念上同一というのは妥当でないし、かかる構成から必ずしも「サーモス」の称呼を生じるとは限らない。
また、仮に使用商標より「サーモス」の称呼を生じるとしても、本件商標は「THER−MOS」と構成され、「THERMOS」とは異なる観念が生じるため、本件商標と使用商標は別異の観念が生じる。
したがって、使用商標は、本件商標と社会通念上同一とはいえない。
よって、請求の趣旨のとおりの審決を求める。
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第6号証(枝番号を含む)を提出した。
(1)本件商標の使用の事実
(ア)本件商標の使用者
乙第1号証は、本件商標権者であるSGAS.R.LとCHRBO(Oの上にはアクサンテギュ(`)が付されている)S.p.A(以下「CHERVO S.p.A」という。)の間で締結された商標ライセンス契約の写しである。
第2条(c)、付録B及び付録Dにより、CHERVO S.p.Aが通常使用権者であることは明白である。
また、乙第2号証の1(2006年版商品カタログ)の「DISTRIBUTION」のページには、「Japan」、「GLENCORPORATION Co.Ltd」の記載がされていることから、(株)グレンコーポレーションが日本における正規輸入販売代理店であることは明らかである。
(イ)使用商品
乙第4号証(インボイス)に記載された商品は、乙第2号証の1及び2(商品カタログ)との関係から、ポロシャツまたはタートルネックシャツであることは明らかである。また、乙第3号証の2(商品の写真)にはポロシャツが示されている。これらは請求に係る指定商品中の「clothing(被服)」に該当する。
これらの商品が現実に取引されていることは、以下のことから明らかである。
乙第4号証は、CHERVO S.p.Aから(株)グレンコーポレーション宛に発行されたインボイスの写しである。
また、乙2号証の1及び2は、CHERVO S.p.Aが発行した商品カタログから、本件商標が使用されている商品が掲載されている箇所を抜粋したものである。
インボイスにおいて品番(「Cod」と表示されている)・型式(「Style」と表示されている)で特定された商品と、カタログに掲載された商品の対照表を、乙第5号証に示す。これによって、(株)グレンコーポレーションが、本件商標を付した商品をCHERVO S.p.Aから輸入したことは明白である。
また、乙第3号証の1は、実際に日本国内において販売されている商品の下げ札をコピーしたものである。ここに表示されている下げ札のひとつには、「MOD.AIRI」、「CODE R54HL.A27」、「COL.D16」の表示があり、これは、乙第4号証の2006年7月31日付けインボイスに2番目に表示されている商品及び乙第2号証の1(2006年版商品カタログ)40頁に掲載されている商品とそれぞれ合致する。
(ウ)使用商標
乙第3号証の2(商品の写真)に、使用商標が表示されている。使用商標は、下げ札と商品に付されている。
下げ札は、乙第3号証の1(商品の下げ札のコピー)に明瞭に示されている。
また、シャツの裾左端に付された使用商標の拡大写真を乙第3号証の3に示す。
使用商標は本件商標を図案化したものであり、本件商標と同一の文字よりなり、「サーモス」という同一の称呼を生ずるのであるから、社会通念上同一と認められるものである。
本件商標は、文字のみからなる商標であるが、実際に商標として使用する場合に、図案化して、登録商標と異なる態様で表すことは、商標の訴求力を強化するために一般的に行われているところであり、そのような取引の実情からすれば、本件商標と使用商標は社会通念上同一というべきものである。
(エ)使用時期、使用行為
乙第4号証のインボイスは、いずれも本件審判請求前3年以内のものである。したがって、通常使用権者である(株)グレンコーポレーションが、本件審判請求の登録前3年以内に本件商標を付した商品を輸入したことは明らかである。輸入は、商標法第2条第3項第2号に規定する行為に該当する。
また、前述のとおり乙第3号証の1に表示されている下げ札の表示と、乙第4号証の2006年7月31日付けインボイスの表示が合致することから、本件審判請求の登録前3年以内に輸入された商品が小売店に譲渡され、小売店の店頭で譲渡のために展示されていることは、乙第3号証の1(商品の下げ札のコピー)の価格付き値札から明らかである。かかる行為もまた、商標法第2条第3項第2号に規定する行為に該当する。
(2)以上より、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、通常使用権者が使用していたことは明らかである。
被請求人は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、通常使用権者が使用していたとし、乙1号証ないし乙第6号証(枝番号を含む)を提出しているので以下判断する。
(1)使用者
商標権者であるSGAS.R.LとCHRBO S.p.Aの間で締結された商標ライセンス契約(写し)(乙第1号証)により、CHRBO S.p.Aが商標権者の通常使用権者であり、本件商標の通常使用権者であること及び2006年商品カタログ(乙第2号証の1及び2)により、(株)グレンコーポレーションが日本における正規輸入販売代理店であることが認められる。
(2)使用商品及び使用時期
乙第2号証の1及び2(2006年商品カタログ)には、ポロシャツまたはタートルネックシャツ及び使用商標が掲載されている。
乙第3号証の2(商品の写真)にはポロシャツと下げ札の拡大写真が示されており、使用商標、「MOD.AIRI」、「CODE R54HL.A27」及び「COL.D16」とNO「AIRI」、COL「D16」、(株)グレンコーポレーション及び税込み「¥21.000(¥20.000)」等の表示がみられる。
乙第4号証は、CHERVO S.p.Aから(株)グレンコーポレーション宛に発行された22/12/2004、19/12/2005、26/07/2005、31/07/2006の日付のインボイスの写しであり、31/07/2006(2006年7月31日)のインボイスには、1頁のリストの2段目にR54HL、A27、D16、000、POLO、AIRI等の記載がされている。
乙第5号証は、インボイスとカタログに掲載された同じ商品の品番(Cod)・型式(Style)の対照表である。
以上より、2004年〜2006年までに、カタログに掲載された本件商標を付した商品が、CHERVO S.p.Aから(株)グレンコーポレーションに輸入されたことが推認できる。
また、乙第3号証の1は、実際に日本国内において販売されている商品に付された下げ札部分を拡大した写真である。ここに表示されている下げ札のひとつには、「MOD.AIRI」、「CODE R54HL.A27」及び「COL.D16」の表示があり、乙第4号証の2006年7月31日付けインボイスの2番目に表示されている商品及び乙第2号証の1(2006年版商品カタログ)40頁に掲載されている商品と同じものと認められる。
(ウ)使用時期、使用行為
乙第4号証のインボイスは、いずれも本件審判請求前3年以内のものである。したがって、通常使用権者であるCHERVO S.p.Aから、日本における正規代理店である(株)グレンコーポレーションが、国内で譲渡するために本件審判請求の登録前3年以内に本件商標を付した商品「ポロシャツ」を輸入したことは明らかである。輸入は、商標法第2条第3項第2号に規定する使用に該当する。
(エ)使用商標
乙第3号証の2(商品の写真)には、下げ札及び商品の裾左端に縫い付けられ使用商標が表示されている。使用商標は、別掲のとおり太線の円図形内に3個の矢印状の図形と逆三角形を描き、該逆三角形内に適合するようにアルファベットのT字状に「THER」の文字を横書きし、「MOS」の文字を縦書きに表わし、全体としてまとまりよくデザインされ一体の商標として把握、認識されるの構成よりなるものである。
一方、本件商標は前記のとおり「THER−MOS」と横書きにした構成よりなるものである。
ところで、商標法第50条第1項には、登録商標の使用と認める範囲を「社会通念上同一と認められる商標を含む。」と明記し、その例示として、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼、観念を生ずる商標、外観において同一視される図形からなる商標をあげている。
これを、本件商標と使用商標についてみるに、上記のとおり、本件商標は、「THER−MOS」よりなるものであるのに対し、使用商標は全体として一体の商標として把握、認識されるから、外観において同一視される構成態様とはいえない。また、仮に構成中の「THER」、「MOS」の文字部分より、本件商標と同一の称呼が生ずるとしても、かかる構成において書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標ともいえない。
そうとすれば、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標とは認められない。
なお、被請求人は、本件商標は、文字のみからなる商標であるが、実際に商標として使用する場合に、図案化して、登録商標と異なる態様で表すことは、商標の訴求力を強化するために一般的に行われているところであり、そのような取引の実情からすれば、本件商標と使用商標は社会通念上同一というべきものである旨主張する。しかしながら、被請求人は主張するのみで、実際の取引における具体的な例を示す等何らの立証していないばかりでなく、前記のとおり、使用商標は全体として一体に認識されるものであって、かかる構成態様の変更は、商標の訴求力を強化するために取引上一般に行われる範囲とは認められないから、被請求人のかかる主張によって前記認定を覆すことは出来ない。
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、通常使用権者又は専用使用権者のいずれかが請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標を使用していることを証明したということはできないし、また、使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
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