結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2006−67003(T2006−67003/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、2004年12月21日にFRANCEにおいてした商標登録に基づきパリ条約第4条により優先権を主張し、2005年6月2日を国際登録日とし、国際登録簿に記載の第9類「Electronic machines,apparatus and their parts;telecommunication machines and apparatus;nautical,surveying,weighing,measuring life saving,checking(supervision)apparatus and instruments;signals,luminous or mechanical;apparatus and instruments for regulation or control of electric current;automatic vending machines and mechanisms for coin−operated apparatus;autopilot and automatic navigation systems;electronic measuring instruments for oceanography and the environment;electronic controls for domestic heating systems.」及び第42類「Scientific and technological services pertaining to research,to design of industrial electronic products;analysis and research services with regard to industrial products in the field of electronics,computer software design;design of electronic systems;research and development of new products for third parties.」に属する商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同18年9月1日に我国において設定登録されたものである。
以下、引用商標1ないし3を一括するときには、「引用商標」という。
請求人は、結論同旨の審決を求める主張し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第50号証を提出した。
本件商標は、その指定商品中第9類に記載の全商品について、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
本件商標は、上段に欧文字「nke」を横書きしてなり、下段には、黒く塗りつぶされた長方形の中に、上段と比較するとかなり小さな白抜き文字で「ELECTRONICS」の欧文字を横書きしてなるものであり、その構成態様から上段「nke」の文字部分と下段「ELECTRONICS」の文字部分に分離して認識され、「nke」の部分より「エヌケイイイ」の称呼を生ずる。
一方、引用商標は、欧文字「MKE」を同書・同大・同間隔で横一連に記載してなるものであり、その構成から「エムケイイイ」の称呼を生ずるものである。
そこで先ず、本件商標より生ずる「エヌケイイイ」と引用商標より生ずる「エムケイイイ」の称呼について比較するに、両称呼は、識別上重要な要素を占める語頭音を含めて6音中5音を共通にし、僅かに「ヌ」と「ム」の1音のみの相違となる。
「ヌ」の音は、舌尖を前硬口蓋に接触して発する鼻子音(n)と母音(u)の結合した音節であり、「ム」の音は、両唇を密閉し有声の気息を鼻腔を通じて発する鼻子音(n)と母音(u)の結合した音節であって、共に母音を共通とする近似した音である。また、「ヌ」も「ム」も共に強音たる「エ」の音に後続する弱音であることに加え、比較的聴別し難い中間に位置することから、両称呼を一連に称呼するときは、両者の語調・語感は極めて近似し、互いに相紛れるおそれがあるものと思われる。
実際、特許庁の審決例によると、欧文字3文字からなる商標で、称呼が「ヌ」と「ム」の1音のみ相違する場合の類否判断について、互いに類似すると判断された事例が多数存在する(甲第7号証〜甲第50号証)。
特に、商標「NKE/図形」が、本件の甲第2号証で挙げた商標「MKE」(登録第977203号)を引例として、両者は類似すると判断され、明らかに本件商標と引用商標1との関係と同一のものであり、また、「NKC」と「MKC」と類似するとされた甲第8号証事例もこれと同様である。これらの事例を鑑みても、やはり本件商標より生ずる「エヌケイイイ」と引用商標より生ずる「エムケイイイ」の称呼は類似すると確信する。
本件商標の指定商品中第9類に属する指定商品と引用各商標の指定商品は同一及び類似するものである。
したがって、その外観及び観念の類否を問うまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、商標法第46条第1項の規定により、無効とすべきである。
被請求人は、「国際登録第851732号の登録を無効とすることはできない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第35号証を提出した。
(1)外観の対比
本件商標の外観は、上段に欧文字「nke」、下段に欧文字「ELECTRONICS」を配置し、また、欧文字「ELECTRONICS」は、黒塗りの方形中に白抜き文字で表されている。さらに、前記黒塗りの方形の上下の周囲に黄色線を引くことによって欧文字「ELECTRONICS」を視覚的に強調するとともに欧文字「nke」との一体感を出しデザイン性の高い外観を呈している。
一方、引用商標は、欧文字「MKE」を同書、同大に一連に横書きしてなり、書体は別段特徴のないフォントによって構成されている。
そして、本件商標と引用商標の外観を対比する場合には、看者をして両商標は相紛れることのない明らかに異なった外観を呈する商標として、認識されるものである。
(2)称呼の対比
本件商標は、別掲のとおり欧文字「nke」と欧文字「ELECTRONICS」が一体的に結合した外観を呈していることから、「エヌケイイイエレクトロニクス」との称呼を生ずる。
請求人は、審判請求書において「ELECTRONICS」の部分は「電子工学、電子技術」等の意味合いを有することから、本件商標の指定商品である「電子応用機械器具及びその部品」等との関係において参酌すべき過去の審査例(甲第5号証及び甲第6号証)において、「ELECTRONICS」が自他商品識別力を有しないことを理由として拒絶された例を挙げ、本件商標よりは「エヌケイイイ」の称呼のみで対比すべきである旨主張する。
しかしながら、本件商標は、指定商品との関係で自他商品識別力を発揮する欧文字3文字と「ELECTRONICS」を結合したものであるから、該「ELECTRONICS」の文字を含め構成文字全体として自他商品識別力を有するものと認められる。
そうとすると、本件商標よりは、「エヌケイイイエレクトロニクス」の称呼が生ずる。
一方、引用商標は、前記のとおりの構成よりなるから「エムケイイイ」の称呼が生ずる。
そこで、本件商標より生ずる「エヌケイイイエレクトロニクス」と引用商標より生ずる「エムケイイイ」の称呼を比較すると、「エレクトロニクス」の音の有無の差により十分聴別できるものである。
さらに、本件商標より「エヌケイイイ」の称呼が生ずるとしても、引用商標より生ずる「エムケイイイ」の称呼とは、第2音における「ヌ」と「ム」の音が相違するものであり、欧文字3文字を羅列した成語でない部分の発音に際しては、一気一連というよりは一文字一文字区切って明確に発音されるのが常といえるから、発音上のかかる事情と「ヌ」と「ム」の音の差異を考え合わせれば、本件商標と引用商標は称呼上相紛れることなく区別できるものである。
(3)観念の対比
本件商標は、「ELECTRONICS」が欧文字「nke」と結合したことにより特定の意味を有しない造語として観念される。
また、引用商標は、欧文字3文字「MKE」を羅列したものであり、成語でない商標であるから、特定の意味を生じることのないため観念の対比の対象となるものではない。
(4)したがって、本件商標と引用商標は、観念において比較できないばかりでなく、外観においても非類似であるため、その称呼において近似する場合があるとしても、出所について彼此相紛れない非類似の商標である。
以上のとおり、本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。
本件商標は、別掲(1)のとおり、欧文字「nke」を太字で顕著に表し、その下部の黒塗り横長矩形内に「ELECTRONICS」の欧文字を白抜きで表し、さらに黄色の横線を図形の上下に配してなるもの(上部の黄色の横線は一部文字部分が欠けている。)であるところ、その構成中上段の「nke」の文字部分及び下段の黒塗矩形部分は、構成中に上下の黄色横線部分を施しデザイン化されているとしても、そのことによって構成全体を一体のものとして捉えなければならない特別な印象は看取できないはかりでなく、むしろ、全体の構成上視覚的に「nke」と黒塗矩形部分に自然に分離して観察できるものである。また、「nke」と「ELECTRONICS」の各文字は、「nke」が特定の意味を有しない造語であるのに対し、「ELECTRONICS」は「電子工学」を意味する一般に知られる英語であり、電子機械器具を含む本件指定商品との関係において、自他商品識別力が希薄な文字部分といえるから、「nke」と「ELECTRONICS」は軽重の差を有するものである。
そうすると、本件商標は、構成中顕著に表された「nke」の文字部分のみが独立して自他商品識別力を有する部分として記憶、認識され、該文字部分に相応して生じる「エヌケイイイ」の称呼をもって取引に資される場合も多いといわなければならない。
そうとすると、本件商標は、その構成文字全体に相応し生ずる「エヌケイイイエレクトロニクス」の称呼のほか、「nke」の文字部分に相応し「エヌケイイイ」の称呼をも生ずるものとみるのが相当である。
他方、引用商標は、「M」「K」「E」の欧文字をそれぞれ一文字程度間隔を設け、「M K E」と表してなるものであり、これよりは「エムケイイイ」の称呼を生じ、特定の観念を生じ得ない造語よりなるものとみるのが相当である。
そこで、本件商標より生ずる「エヌケイイイ」の称呼と引用商標より生ずる「エムケイイイ」について比較するに、「エヌケイイイ」と「エムケイイイ」は、第2音目において「ヌ」と「ム」の差異を有し、他の音を全て共通にするところ、該差異音は極めて近似する通鼻音「nu」と「mu」よりなり母音「u」を共通にするものであり、かつ、語頭音「エ」及び該差異音「ヌ」と「ム」に続く「ケイイイ」の各音が強く発音されることから、両者をそれぞれ全体として称呼したときには、語感、語調が近似して聴取され、彼此聴別し難いものといわなければならない。
そうとすると、本件商標と引用商標は、共に造語よりなるものであるから観念において比較できないものであり、外観において前記のとおり別異のものであるとしても、称呼において相紛らわしい類似の商標といわなければならない。
また、本件請求に係る第9類「Electronic machines,apparatus and their parts;telecommunication machines and apparatus;nautical,surveying,weighing,measuring,life saving,checking(supervision)apparatus and instruments;signals,luminous or mechanical;apparatus and instruments for regulation or control of electric current;automatic vending machines and mechanisms for coin−operated apparatus;autopilot and automatic navigation systems;electronic measuring instruments for oceanography and the environment;electronic controls for domestic heating systems.」は引用商標の指定商品と、同一又は取引者、需要者、流通販売経路等を共通にする類似の商品を含むものである。
ところで、被請求人は、答弁書において、「ELECTRONICS」の語は、指定商品との関係で欧文字3文字などの自他商品の識別機能を発揮し得る文字と結合した場合には、「ELECTRONICS」を含めた商標全体として自他商品の識別機能力が認められると主張し、「ELECTRONICS」の有無の登録例が併存している例を挙げている。
しかしながら、本件商標と該登録商標の例とは、商標の構成態様において異なるものであり、本件商標が全体称呼の他「エヌケイイイ」の称呼をも生ずること前記のとおりであるから、これらの審査例をもって本件の結論が左右される理由及びその他の事情は認められない。
さらに、被請求人は、本件商標より生ずる「エヌケイイイ」の称呼が生ずるとしても、アルファベット3文字からなる場合には一文字一文字を区切って明確に発音されるから、引用商標より生ずる「エムケイイイ」とは充分区別できる旨主張し、語頭における「N」と「M」の差異を有し、他の文字を共通にする登録が併存する登録例を挙げているが、本件商標の指定商品を取り扱う業界においては、アルファベット3文字からなる商標が比較的多く採択されていることから、これを常に一文字一文字を区切って発音し、取引されるとは認め難く、仮にそのような場合があるとしても、前記のとおり、本件商標と引用商標は「エヌケイイイ」と「エムケイイイ」の称呼において、相紛らわしい類似の商標であるから、この点についての被請求人の意見は妥当とはいえない。
したがって、本件商標は、その指定商品中結論掲記の商品について、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とする。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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