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Trademark Appeal Case

称呼類似と周知商標

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2008−900204(T2008−900204/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5111497号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5111497号商標(以下「本件商標」という。)は、「MTS」の文字を標準文字で表してなり、平成19年5月18日に登録出願、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,乳糖」を指定商品として、同20年1月31日に登録査定、同年2月15日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

(1)引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第1376864号商標(以下「引用商標」という。)は、「MDS」の文字を横書きしてなり、昭和41年10月17日に登録出願、第1類「化学品(他の類に属するものを除く)薬剤及び医療補助品」を指定商品として、同54年3月23日に設定登録され、その後、3回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、平成21年4月15日に指定商品を第1類「化学品,のり及び接着剤(事務用又は家庭用のものを除く。),植物成長調整剤類」、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料」及び第10類「おしゃぶり,氷まくら,三角きん,支持包帯,手術用キャットガット,吸い飲み,スポイト,乳首,氷のう,氷のうつり,ほ乳用具,魔法ほ乳器,綿棒,指サック,避妊用具,人工鼓膜用材料,補綴充てん用材料(歯科用のものを除く。)」とする指定商品の書換登録がされているものであって、その商標権は現に有効に存続しているものである。

(2)理由の要点

ア 商標法第4条第1項第11号該当性について

本件商標から生ずる「エムティーエス」の称呼と、引用商標から生ずる「エムディーエス」の称呼とを比較すると、両称呼は、「エ」「ム」「エ」「ス」の4音を共通にし、わずかに第3音において「ティー」と「ディー」との微差を有するにすぎない。当該「ティー」と「ディー」は、共に舌先を上前歯のもとに密着させて発声する清音と濁音の差にすぎず、いずれも母音「i」を帯同する長音として、「イー」の音感が特に強く印象付けられる相近似する音である。

してみれば、当該「ティー」と「ディー」が称呼の識別上において明確さを欠く中間に位置する音であることともあいまって、その差が両称呼全体に及ぼす影響は小さく、両商標を一連に称呼するときは全体の語調語感が相似たものとなり、互いに聞き誤るおそれがある。

したがって、本件商標と引用商標とは、称呼上類似の商標であり、また、指定商品も互いに抵触するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

イ 商標法第4条第1項第15号該当性について

申立人は、引用商標を付した医薬品「高トリグリセリド血症治療剤」を1965年11月から現在まで40年以上という長期間継続して販売しているものである(甲第3号証ないし甲第5号証)。また、これまで当該医薬品に関し、例えば商品説明パンフレット(甲第6号証ないし甲第10号証)や雑誌広告(甲第11号証ないし甲第13号証)等の販売促進資料が数多く作成・配布されている。さらに、当該医薬品は、いわゆる医家向け医薬品であるところ、医療機関等から高い評価を受け、多数の論文に引用商標が引用されている(甲第14号証ないし甲第35号証)。

以上の事実に徴すれば、引用商標は、遅くとも本件商標の登録出願日前には、医薬品の分野において申立人に係る周知著名商標として認識されていたことは明らかであるから、本件商標が医薬品等に使用された場合、取引者、需要者は、申立人の業務に係る上記医薬品のシリーズ商品あるいは何らかの関連商品であると認識するのがむしろ自然であり、おのずとその出所について混同を生ずるおそれがある。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

3 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号該当性について

本件商標は、前記1のとおり、「MTS」の欧文字3文字よりなるものであるから、「エムティーエス」との称呼が生じるものであり、また、これよりは特定の観念を直ちに生じさせないものというのが相当である。

一方、引用商標は、前記2のとおり、「MDS」の欧文字3文字よりなるものであるから、「エムディーエス」との称呼が生じるものであり、また、これよりは特定の観念を直ちに生じさせないものというのが相当である。

そこで、本件商標より生ずる「エムティーエス」の称呼と、引用商標より生ずる「エムディーエス」の称呼とを比較すると、両者は、いずれも特定の観念を有しない欧文字3文字を羅列してなるものであるから、通常、そのような欧文字3文字の場合には、一気一連に発音されるというよりは、聞き誤られることのないように一文字一文字を区切って明確に発音されるというべきであり、本件商標は「エムティーエス」ではなく「エム・ティー・エス」と、引用商標も「エムディーエス」ではなく「エム・ディー・エス」と、それぞれの文字ごとに区切って発音されるとみるのが相当である。

そして、両商標の差異音である中間の「ティ」の音と「ディ」の音とは、前者「ティ」の音が澄んだ音として聴取される清音であるのに対し、後者「ディ」の音は重く響く濁音であって、両者は音調、音感が異なるから、両商標が一文字ごとに区切って発音されることで、その称呼も相紛れることなく十分区別し得るものというのが相当である。本件商標と引用商標とは、称呼において類似するということはできない。

次に、外観について比較すると、本件商標「MTS」と引用商標「MDS」とは、いずれも欧文字3文字という短い文字構成からなるところ、中間において字形も近似するとはいえない「T」と「D」の差異を有するものであるから、視覚上、全体としても印象が相違し、外観において両者が類似するということはできない。

そして、本件商標と引用商標は、いずれも特定の観念を生じさせないものであるから、両者を比較することはできず、観念においても類似するということはできない。

してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれの点からみても、何ら相紛れるおそれのない別異の商標というべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(2)商標法第4条第1項第15号該当性について

申立人の提出に係る甲第3号証ないし甲第35号証によれば、引用商標が申立人の業務に係る医薬品「高トリグリセリド血症治療剤」に使用されている事実を認められるとしても、該証拠によっては、引用商標が需要者の間に広く認識されているものとまで認めるには足りず、また、本件商標と引用商標とは、前記(1)認定のとおり、何ら相紛れるところのない別異のものであるから、本件商標をその指定商品に使用しても、申立人又は同人と組織的若しくは経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、取引者、需要者にその出所について混同を生ずるおそれがあるものということはできない。

してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものと認めることもできない。

(3)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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