Trademark Appeal Case
SPI・SBIの称呼・外観類似
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2009−10560(T2009−10560/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本願商標は、「SPI」の欧文字を標準文字で表してなり、第7類「印刷用又は製本用の機械器具及びそれらの部品,プリント基板製造加工機械器具,その他の半導体製造装置」、第9類「保安用音声警報器,その他の警報器」及び第20類「陳列台,その他の家具」を指定商品として、平成20年3月7日に登録出願されたものであるが、その指定商品については、原審における同年10月1日付け手続補正書により、第20類を削除する補正がなされたものである。
2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶理由に引用した登録商標は、以下の(1)及び(2)のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第4919232号商標(以下、「引用商標1」という。)は、「SBI」の欧文字を標準文字で表してなり、平成17年3月28日登録出願、第9類、第16類、第35類、第37類ないし第40類、第42類ないし第45類に属する別掲1のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同18年1月6日に設定登録されたものである。
(2)登録第4921087号商標(以下、「引用商標2」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成17年5月13日登録出願、第9類、第16類、第35類ないし第40類、第42類ないし第45類に属する別掲3のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同18年1月13日に設定登録されたものである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本願商標は、前記1のとおり、「SPI」の文字を書してなるところ、その構成文字に相応して、「エスピーアイ」の称呼を生ずるものであり、親しまれた既成の観念を有しない造語である。
他方、引用商標1は、「SBI」の文字を書してなるところ、その構成文字に相応して「エスビーアイ」の称呼を生ずるものであり、該文字は、親しまれた既成の観念を有しない造語である。
また、引用商標2は、別掲2のとおり、「SBI」の欧文字と、該文字の上部を覆うように半月刀ないし三日月様の図形を配した構成からなるところ、その図形と文字とは、視覚的に分離して看取されるものであり、また、これらを常に一体のものとして把握すべき格別の事情も見いだし得ないことから、「SBI」の文字部分も独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすとみるのが相当である。
そうすると、引用商標2は、その構成中の「SBI」の文字に相応して「エスビーアイ」の称呼を生ずるものであり、該文字は、親しまれた既成の観念を有しない造語である。
そこで、本願商標から生ずる「エスピーアイ」の称呼と引用商標1及び2から生ずる「エスビーアイ」の称呼を比較すると、両称呼はいずれも6音構成よりなり、称呼の識別上重要な要素を占める語頭音を含む5音を同じくし、異なるところは、第3音において「ビ」と「ピ」の音に差異を有するのみである。
しかして、該差異音である「ピ」と「ビ」の各音は、「ピ」の音が両唇を合わせて破裂させる無声子音「p」と母音「i」との結合した音節であり、「ビ」の音が両唇を合わせて破裂させる有声子音「b」と母音「i」との結合した音節であって、両音は、子音こそ異なるものの母音「i」を同じくし、その調音方法、調音位置をほとんど同じくするものであるから、比較的聴取され難い中間に位置する該差異音が称呼全体に及ぼす影響は決して大きいものとはいえず、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の語調、語感が極めて近似したものとなり、互いに相紛れるおそれがあるといわなければならない。
次に、本願商標と引用商標1及び2とは、前記のとおり、観念については、いずれも造語と認められるから、比較できないものであり、外観については、本願商標と引用商標1とは、いずれも欧文字3文字からなり、「S」、「I」の各文字を同じくし、また、本願商標と引用商標2についても、図形の有無の差異を有するも、前記のとおり、「SBI」の文字部分が独立して自他商品の識別標識としての機能をはたすものであるから、文字部分についてみると、「S」と「I」の各文字を同じくするものである。
してみると、本願商標と引用商標1及び2とは、いずれも欧文字3文字と少ない文字数からなる構成において、「S」と「I」の2文字を共通にし、一般に用いられる態様をもって表してなるものであるから、両者が別異のものとして明確に区別されるということもできない。
そうすると、本願商標と引用商標1及び2とは、観念について比較することができないことを考慮しても、称呼において相紛らわしく、外観において、3文字の欧文字中、2文字を共通にすることも相まって、これらを同一又は類似の商品に使用したときは、商品の出所について、混同を生ずるおそれがある類似の商標というべきである。
そして、本願商標の指定商品中、「印刷用又は製本用の機械器具及びそれらの部品」は、引用商標1及び2の指定商品中、「印刷用インテル,活字」と類似し、本願商標の指定商品中、「保安用音声警報器,その他の警報器」は、引用商標1及び2の指定商品中、「火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器」と類似するものである。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、発音に際しては、一気一連というよりも、各構成文字を正確に認識できるよう、一文字一文字を区切って明確に称呼するのが通例であり、他方、聴取者としても、それぞれの称呼が何の文字を表すか注意を払うものであり、そうすれば、引用商標「SBI」は「エス・ビー・アイ」と、他方、本願商標「SPI」は「エス・ピー・アイ」と各構成文字を一語ずつ区切って明確に称呼される旨主張する。
しかし、簡易、迅速を尊ぶ取引の実情を考えれば、アルファベットを羅列してなり、成語でない商標であるとしても、これを常に一文字一文字区切って明瞭に発音する者ばかりでなく、これを一気一連に発音する者も少なくないこと、及び、これを聴取する者も慎重に注意深く聴取する者ばかりでないことは、想像をするに難くないところで、本願商標と引用商標1及び2が極めて紛らわしいものであることは前記(1)のとおりであって、仮に、取引者・需要者が一文字一文字を区切って両商標を明確に発音し、また、これを聴取する者も慎重に注意深く聴取したとしても、両称呼が相紛らわしいものであることは、既に認定したところから明らかというべきある。
イ 請求人は、過去の審決例を挙げて本願商標も登録されるべきである旨も主張するが、本願の判断においては、過去の審決例の判断に拘束されることなく、本願の事案に即して検討されるべきものであることは、事柄の性質上当然というべきである。そして、本願においては、本願の具体的な事案についての前記(1)の認定判断が重要であり、過去の審決例について、比較検討する必要性はないから、請求人のいずれの主張も採用することができない。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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