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Trademark Appeal Case

地図記号と公序良俗

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2007−33414(T2007−33414/J1)
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第6類「水道管,その他の建築用又は構築用の金属製専用材料,金属製管継ぎ手,金属製フランジ,金属製管,その他の鉄及び鋼」を指定商品として、平成18年7月7日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定は、「本願商標は、国土地理院が定めている地図記号中、郵便局を表示する記号(以下『郵便局記号』という。)(別掲2)と同一のものと認められるところ、この国土地理院が定めている郵便局記号は広く一般に使用され、極めて公共性の高いものであるから、これを一私人である出願人が商標として採択することは穏当ではない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨認定し、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第7号について

商標法第4条第1項第7号にいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合及び商標の構成自体がそうでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反するような場合も含まれるものと解される。

そうすると、本願商標は、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような構成ではないことは明らかであるから、本願商標をその指定商品について使用することが、社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反するような場合に含まれるか否かについて、以下検討する。

(2)本願商標の構成等について

ア 本願商標の採択経緯及び使用の事実について

請求人は、鋳鉄管において請求人の旧名称の一部ある「久保田」の「久」の文字を○で囲った標章(以下「使用標章」という。)を遅くとも明治43年(1910年)(平成20年2月21日付け手続補足書 第3号証)に使用を開始して以来、これを原型とする標章を継続的に使用していたが、その一環として昭和47年(1972年)に本願商標を採択して以来、現在に至るまでその表示態様を変えることなく使用している(平成20年2月21日付け手続補足書 第2号証並びに平成21年8月10日付け手続補足書 第6号証、第12号証及び第14号証の1)。

また、本願商標の指定商品は、「水道管,金属製管継ぎ手,金属製フランジ,金属製管」等であって、その需要者は広く一般の消費者を対象とするものではなく、通常、水道管を取り扱う土木業者や建設業者等の専門家に限られるものといえる。

そして、請求人は、主として、水道管に使用する鋳鉄管に本願商標を使用しており、当該鋳鉄管分野でのかかる請求人商品のシェアは、概ね60%〜70%を占める状況(1975年以降2004年)であったことが認められる(平成21年8月10日付け手続補足書 日本水道協会による統計資料 第11号証)。

イ 本願商標の外観、称呼及び観念について

本願商標は、別掲1のとおり、肉太の円輪郭内に、これと同じ太さからなる「〒」状図形(郵便記号「〒」の上段横線部分の両端を下段横線部分より均等に少し短くしたような図形)を、円輪郭に内接することなく、左斜め方向に約45度傾けて配した構成からなるものである。当該円輪郭内は、一見して、黒色の「〒」状図形部分に比べ、白地部分の占める割合が圧倒的に多いものと看者に印象付けるものである。

そして、本願商標からは、特定の称呼及び観念は生じないものである。

ウ 本願商標と同一の構成からなる件外商標登録例について

請求人は、本願商標と同一の構成からなり、第7類「建築または構築専用材料,セメント,木材,石材,ガラス」を指定商品とする登録2125969号商標(出願日 昭和60年11月20日、設定登録日 平成元年3月27日)を、平成11年3月27日まで有し、また、第6類「金属,鉱石」を指定商品とする登録1216901号商標(出願日 昭和47年12月27日、設定登録日 昭和51年9月6日)を、平成18年9月6日まで有していた。

(3)郵便局記号の構成等について

ア 郵便局記号の外観、称呼及び観念について

郵便局記号は、国土地理院が発行する2万5千分の1地形図に使われる地図記号の一であって、別掲2のとおり、肉太の円輪郭内に、これと同じ太さからなる郵便記号「〒」を内接するように配した構成からなるものである。

そして、郵便局記号が地図上で郵便局を表す地図記号として使用されていることは、広く一般に知られているというのが相当であるから、郵便局記号からは、「郵便局を表す地図記号(マーク)」といった観念及びそれに準じた称呼が生じ得るものと認められる。

イ 郵便局記号の使用開始時期について

郵便局記号が採択されたのは、大正6年(1917年)である(平成21年8月10日付け手続補足書 第8号証)。これに対し、請求人は、本願商標の原型となった使用標章を郵便局記号が採択される以前の明治43年(1910年)から使用していた。

(4)本願商標と郵便局記号との類否について

本願商標は、前記(2)イで認定したとおりの構成からなるものである。

一方、郵便局記号は、前記(3)アで認定したとおりの構成からなるものである。

そこで、本願商標と郵便局記号の外観を比較すると、両者は、共にやや肉太の円輪郭内に、それぞれ、その円輪郭と同じ太さで表された「〒」状図形又は郵便記号「〒」を配置したものであって、その構成要素が近似するものであるから、見る方向(角度)により全体として近似した印象を与える場合があるとしても、本願商標が、円輪郭内の「〒」状図形が円輪郭に内接することなく、左斜め方向に約45度傾き、かつ、当該円輪郭内は、一見して、黒色の「〒」状図形部分に比べ、白地部分の占める割合が圧倒的に多いものと看者に印象付けるものであるのに対し、郵便局記号は、円輪郭内の郵便記号「〒」が傾くことなく円輪郭に内接するものであり、かつ、当該円輪郭内の白地部分も格別多いという印象を看者に与えるものでもないから、その類似の程度は高いものとはいえない。また、両者の観念及び称呼について比較すると、本願商標からは、特定の観念及び称呼が生じないものであるのに対し、郵便局記号からは、「郵便局を表す地図記号(マーク)」といった観念及びそれに準じた称呼が生じるものであるから、両者を比較することはできない。

そうとすると、本願商標と郵便局記号とは、外観については、その類似の程度は高いものとはいえず、観念及び称呼については、比較し得ないのであるから、これらのことを総合して全体的に考察すると、両者は、十分区別し得るものというべきである。

(5)本願商標をその指定商品について使用することが、社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反するか否かについて

以上のとおり、本願商標は、請求人の旧名称の一部である「久保田」の「久」の文字に由来し採択された標章であり、請求人は、郵便局記号の使用開始以前より本願商標の原型となった使用標章を使用していたこと、また、水道管に使用する鋳鉄管分野における本願商標を使用した請求人商品のシェアは、概ね60%〜70%を占める状況(1975年以降2004年)であったこと、さらに、請求人は、本願商標と同一の構成からなる件外登録商標を過去に2件有していたこと、加えて、前記(4)のとおり、本願商標と郵便局記号は、十分区別し得るものであること等を総合勘案すれば、請求人が本願商標をその指定商品について使用したとしても、それが社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反するものとはいうことはできない。

(6)むすび

したがって、本願商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当でなく取消しを免れない。

その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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