結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2008−890139(T2008−890139/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4958838号商標(以下「本件商標」という。)は、「Juicy」の欧文字と「ジューシー」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、平成17年9月7日に登録出願、第14類「イヤリング,ペンダント,ブローチ,メダル,指輪,ネックレス,ブレスレット,ネクタイピン,ネクタイ止め,ピアス,貴金属製バックル」を指定商品として、同18年5月9日に登録査定、同年6月9日に設定登録されたものである。
請求人が本件商標の登録の無効の理由に引用する登録第4878014号商標(以下「引用商標」という。)は、「JUICY COUTURE」の欧文字を標準文字で表してなり、平成16年5月6日に登録出願、第9類「普通眼鏡,サングラス,眼鏡ケース,枠,眼鏡用鎖及びストラップ,眼鏡の部品及び附属品,その他の眼鏡」、第14類「全体又はその主たる部分が貴金属製のろうそく立て,時計,ネックレス,ブレスレット,指輪,イヤリング,ペンダント,装身用ピン,カフスボタン,その他の宝飾品,貴金属製又は貴金属を被覆したピルケース」、第16類「自己管理手帳,アドレス帳,スケッチブック,フォトアルバム,カレンダー,デスクマット,ペンホルダー,引き出し用紙製ライナー,書類箱,筆記用具,字消し,鉛筆削り,文房具,しおり,紙製テーブルナプキン」、第21類「ピルケース(貴金属製のものを除く。),皿,グラス,家庭用又は台所用の容器(貴金属製のものを除く。),家庭用陶磁製品,食品及び飲料用容器,調理用具(電気式のものを除く),布製鍋つかみ,コースター,ねじ込み式コルク栓抜,栓抜,ピッチャー,氷おけ,氷ばさみ,ろうそく立て(貴金属製のものを除く。)」、第24類「ベッドカバー,テーブルカバー,毛布,シーツ,タオル,テーブル掛け,織物製テーブルナプキン,ハンカチ,まくらカバー,シャワーカーテン,食卓マット(紙製を除く。),クッションカバー,幼児用寝台バンパー,幼児用寝台スカート,織物」及び第28類「人形,人形用被服,人形の附属品,縫いぐるみ,子供用化粧品おもちゃ,組み立てセット,クリスマスツリー用装飾品(装飾用照明及び菓子を除く。),おもちゃ,ゲーム用具,遊戯用器具」を指定商品として、同17年7月8日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第99号証を提出した。
本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、その登録は、同法第46条の規定により無効とされるべきものである。
(1)商標の類似性
本件商標「Juicy/ジューシー」と引用商標「JUICY COUTURE」は、称呼上相互に類似するものである。
ア 称呼上の類似について
本件商標は、その構成文字に照応して「ジューシー」の称呼が生じる。
一方、引用商標は、英文字「JUICY COUTURE」を横書きした構成からなるところ、全体として「ジューシークチュール」の称呼が生じる。さらに、同商標中「COUTURE」の語が「注文仕立品」の意味を有する識別力のない言葉であることから、「JUICY」の部分が独立した要部と認識され、「ジューシー」の称呼も生じる。
してみれば、本件商標と引用商標は、「ジューシー」の称呼を共通にする類似の商標であり、全体として相互に類似する商標である。
イ 「COUTURE(クチュール)」の記述性について
引用商標「JUICY COUTURE」のうち、「COUTURE(クチュール)」の語は、「衣装店」、「裁縫店」、「(高級)注文品」などの意味を有し(甲第1号証)、市場において実際に、「衣装店」、「裁縫店」、「(高級)注文品」などの意味として記述的に使用されている(甲第5号証、甲第9号証ないし甲第11号証、甲第13号証、甲第16号証、甲第18号証、甲第22号証ないし甲第26号証、甲第28号証、甲第32号証ないし甲第34号証、甲第42号証、甲第45号証、甲第46号証、甲第48号証、甲第50号証、甲第53号証ないし甲第58号証、甲第60号証ないし甲第64号証、甲第67号証ないし甲第70号証、甲第73号証ないし甲第78号証、甲第80号証、甲第82号証、甲第85号証ないし甲第88号証及び甲第91号証ないし甲第94号証)。
ウ 「COUTURE(クチュール)」の使用例
さらに、「COUTURE(クチュール)」という言葉は、例えば、「バレンティノ・クチュール」(甲第3号証、甲第12号証)、「ドラセナ・クチュール」(甲第27号証、甲第35号証)、「リチャード・タイラー・クチュール」(甲第31号証)、「イブサンローランクチュール」(甲第41号証)、「ボルサリーノ・クチュール」(甲第43号証)、「ジバンシー・クチュール」(甲第44号証)、「ケンゾー・クチュール」(甲第44号証)、「クチュールNAOKO」(甲第47号証)、「VERSACE JEANS COUTURE」(甲第51号証)、「バービークチュール」(甲第52号証)、「クリスチャン・ディオール・クチュール」(甲第59号証、甲第81号証)、「イーア クチュール」(甲第71号証)のように、あるブランドの中の特定の商品群(クチュールライン)を示す言葉やブランド名の一部として「洋品店」などを意味する言葉として数多く使用されている。
そして、上記のうち、「バレンティノ・クチュール」、「リチャード・タイラー・クチュール」、「イブサンローランクチュール」、「ジバンシー・クチュール」、「ケンゾー・クチュール」、「VERSACE JEANS COUTURE」、「バービークチュール」、「クリスチャン・ディオール・クチュール」などの有名ブランドが、いずれも「クチュール」の部分を省略して市場において称呼されていることに鑑みれば、引用商標「JUICY COUTURE」に接した需要者・取引者も、「COUTURE(クチュール)」の部分を省略して、「JUICY(ジューシー)」と略称する場合があることは明らかである。
エ 「JUICY」略称の可能性
引用商標「JUICY COUTURE」(ジューシークチュール)は、8音という長い音構成からなるところ、簡易迅速を尊ぶ取引市場においては、その語頭部分「JUICY」のみに着目して「ジューシー」と称呼する場合も少なくない。実際にも、請求人自身が「JUICY」の語を頻繁に単独で用いており、市場においても「ジューシー」と略称されている(甲第95号証)。
したがって、引用商標「JUICY COUTURE」中、「JUICY」の部分が独立した要部として認識されるとする請求人の主張は合理的である。
オ 以上のとおり、引用商標「JUICY COUTURE」のうち、「JUICY」の部分が独立した要部と認識され、「ジューシー」の称呼が生じるから、引用商標と本件商標とは称呼上類似する商標である。
(2)商品の同一及び類似性
本件商標に係る指定商品は、第14類「イヤリング、ペンダント、ブローチ、メダル、指輪、ネックレス、ブレスレット、ネクタイピン、ネクタイ止め、ピアス、貴金属製バックル」である。
一方、引用商標に係る指定商品は、上述の通りであるところ、類似商品・役務審査基準上、指定商品中「ネックレス、ブレスレット、指輪、イヤリング、ペンダント、装身用ピン、その他の宝飾品」は、本件商標にかかる指定商品と類似すると考えられる。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、称呼上類似する商標であり、また、本件商標に係る指定商品と引用商標に係る指定商品は、同一若しくは類似するものである。
してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであることは明らかであるから、その登録は、同法第46条により無効とされるべきである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第9号証を提出した。
(1)本件商標と引用商標の比較
ア 外観について
本件商標は、「Juicy」と書した上段と「ジューシー」と書した下段とからなる外観を有する。
引用商標は、「JUICY」と「COUTURE」との間に約1文字分の間隔を空けて「JUICY COUTURE」と書した外観を有する。
よって、本件商標と引用商標においては、本件商標の「Juicy」と引用商標の「JUICY」のローマ字の綴りを共通にするとしても、両商標の全体の外観が相違することは明らかである。
イ 観念について
本件商標は、全体として、上記外観の日本語訳として「水分の多い、みずみずしい、潤いがある」等の観念を生じる。
引用商標は、全体として、「水分の多い(みずみずしい、潤いがある)衣料店(裁縫店、注文服)」等の観念を生じる。
よって、本件商標と引用商標においては、全体として別異の観念を生じており、観念上相違することは明らかである。
ウ 称呼について
本件商標は、上記外観から「ジューシー」の称呼を生じる(乙第1号証参照)。
引用商標は、上記外観から「ジューシークチュール」の称呼を生じる(乙第2号証参照)。
よって、本件商標と引用商標においては、「ジューシー」を共通にするとしても、両商標の全体称呼が相違することは明らかである。
エ 以上のとおり、本件商標と引用商標とは、共通する部分はあるが、全体としてみれば、外観、観念、称呼のいずれにおいても明らかに非類似であるといえる。
オ 上記した被請求人の主張は、同等のケースにおける決定例及び審決例に照らしてみても首肯し得ることである(乙第3号証ないし乙第5号証)。
(2)請求人の主張に対する反論
ア 請求人は、「COUTURE」の語は、「衣装店、裁縫店、(高級)注文品」等の意味を有し、市場において実際に、上記の意味として記述的に使用されている旨主張して証拠を提出している。
しかしながら、本件商標と引用商標とで問題とされる第14類の商品から離れて、「COUTURE(クチュール)」の語が「衣装店、裁縫店、(高級)注文品」等の意味を有し・・・市場において実際に・・・記述的に使用されているという使用状況を多数示しても、それは、単にその語の用例を示すに過ぎず、商標を指定商品に使用することを前提とした関係においては、例えば、顕著性を欠く語であることを示すものとしては意味を持たない。
イ 請求人は、「COUTURE(クチュール)」という言葉はブランドの中の特定の商品群(クチュールライン)を示す言葉やブランド名の一部として「洋品店」等を意味する言葉として数多く使用されている旨主張して、証拠を提出しており、また、「クリスチャン・ディオール・クチュール」等の有名ブランドが、いずれも「クチュール」の部分を省略して市場において称呼されていると主張している。
しかしながら、商標法に基づけば、例えば、「クリスチャン・ディオール」と「クリスチャン・ディオール・クチュール」とは別個独立した商標である。すなわち、需要者や取引者が、例えば「クリスチャン・ディオール」、「クリスチャン・ディオール・クチュール」を聞いたとき、いずれも「クリスチャン・ディオール」という出所は認識できるとしても、前者は「ブランド名」のみを認識するのに対し、後者は「特定の商品群」又は「(そのような商品群を扱う)衣料店」であることを認識するという商標の機能上の相違がはっきりと現れている。これらの使用例において、「クチュール」を省略して記載されていたとすれば、当該ブランド中の「特定の商品群」であることも、当該ブランド名の一部として「洋品店」であることも認識できず、意図する内容を正確に把握できないことになる。
したがって、この点についての主張も、「COUTURE(クチュール)」を省略して認識するべき格別の事情とはならない。
ウ また、請求人は、引用商標「JUICY COUTURE」は8音という長い音構成からなるところ、簡易迅速を尊ぶ取引市場においては、「JUICY」のみに着目して、「ジューシー」と称呼する場合も少なくなく、実際にも、請求人自身が「JUICY」の語を頻繁に単独で用いており、市場においても「ジューシー」と略称されている旨主張して、甲第95号証を提出している。
しかしながら、甲第95号証は、引用商標から「COUTURE」を省略して「JUICY」を要部と認識する合理的主張にはならない。請求人は、引用商標そのものを使用せず、引用商標の禁止権の範囲の使用、すなわち、引用商標から「COUTURE」を省略した態様である「JUICY」の語を頻繁に単独で用いていると言っているにすぎず、請求人の主張には何らの合理性も合法性も窺えない。
また、8音という音構成自体は、短くはないがー息で称呼が可能な音数であるから必ずしも長いとは言えず、さらに、取引市場おいては簡易迅速を求められるとしても正確性も求められるのが通常であるから、引用商標の使用の状況において、一息で称呼が可能な音数の引用商標を殊更に不正確となるように「COUTURE(クチュール)」を省略して称呼する必要性はない(乙第8号証、乙第9号証の審決参照)。
よって、この点についての主張も何ら「COUTURE(クチュール)」を省略して認識するべき格別の事情とはならない。
(3)まとめ
以上のとおり、第14類の指定商品において、本件商標は、引用商標とは、外観、観念、称呼のいずれにおいても非類似である。
請求人は、本件商標の登録が商標法第4条第1項第11号に違反してされたものである旨主張しているので、この点について判断する。
(1)本件商標について
本件商標は、前記したとおり、「Juicy」の欧文字と「ジューシー」の片仮名文字とを二段に横書きしてなるものであるから、該構成文字に相応して「ジューシー」の称呼を生じ、「水分の多い、みずみずしい、潤いがある」等の観念を生ずるものである。
(2)引用商標について
引用商標は、前記したとおり、「JUICY COUTURE」の欧文字を標準文字で表してなるものであるところ、構成中の「JUICY」の文字は、上記のとおりの意味を有する英単語として広く知られているといえるが、これに続く「COUTURE」の語(文字)は、一般に広く知られているとはいい難い。このような場合、前半の「JUICY」の語が英語であることから、「COUTURE」の文字部分も英語風に発音されるものとみるのが自然であり、良く知られている「coupon」の語が「クーポン」と発音されており、また、「nature」の語が「ネイチャー」と発音されている例に倣えば、「COUTURE」の語も「クーチャー」と称呼されるものということができる。そして、英和辞典に照らしてみても、例えば、研究社発行の「新英和大辞典第5版」の「couture」の項によれば、その発音記号から、「クーチャー」と発音されるものであり、その語義は「高級婦人服仕立業、(デザイナーや縫製師を含めた)衣装店」と記載されている。
そうとすれば、引用商標構成中の「COUTURE」の文字部分からは「クーチャー」の称呼を生ずるものといわなければならない。
また一方、請求人の提出に係る甲第1号証(新ファッションビジネス基礎用語辞典)によれば、「COUTURE」の語(文字)は、「フランス語で『衣裳店』、『裁縫店』のこと。」とあり、「クチュール」と発音される旨記載されている。そして、被服等の分野においては、「オートクチュール(高級婦人服仕立店)」なる用語としてしばしば用いられていることから、前半部分が英語の「JUICY」に相応するフランス語の「Juteux(ジュトゥー)」ではないが、請求人が主張しているように、「COUTURE」の文字部分を仏語として捉えて「クチュール」のように称呼されることも一概には否定できない。
してみれば、引用商標構成中の「COUTURE」の文字部分は、英語風に発音して「クーチャー」の称呼を生ずるとともに、仏語風に発音して「クチュール」と称呼される場合も有り得るものということができる。
しかして、引用商標は、前半の「JUICY」の文字部分と後半の「COUTURE」の文字部分とは、外観上まとまりよく一体的に表現されており、これより生ずる「ジューシークーチャー」あるいは「ジューシークチュール」の称呼もよどみなく一気一連に称呼し得るものである。
そして、構成中の「COUTURE」の語(文字)は、「衣裳店、裁縫店」を表す語であり、また、請求人が主張しているように、被服等の分野においては、「高級注文品」の意味合いを表す語としても用いられていることが認められるが、甲各号証に照らしてみても、「COUTURE」の語が本件商標や引用商標の指定商品中の第14類の「イヤリング,ペンダント,指輪,ネックレス,ブレスレット」等の商品分野において、「高級注文品」等の意味合いを表す語として一般的に用いられているものとは認められない。
そうとすれば、引用商標は、第14類の指定商品との関係においては、その構成中の「COUTURE」の語が特定の商品の品質等を具体的に表示するものとして直ちに理解し得るものともいい難いところであるから、むしろ、構成全体をもって不可分一体の構成からなる特定の観念を有しない一種の造語を表したものと認識し把握されるとみるのが自然である。また、何らかの意味合いを想起する者がいたとしても、「オートクチュール」の語が「高級婦人服仕立店」の意味合いを表すものとして用いられていることから、引用商標は、その構成全体をもって、「潤いのある婦人服仕立店」の如き意味合いを想起させるものというべきであって、殊更、「JUICY」の文字部分のみを分離抽出して、「ジューシー(みずみずしい、潤いがある)」の称呼、観念をもって取引に供されることはないものというべきである。
そして、引用商標構成中の「JUICY」の文字部分が周知・著名であることを認めるに足る証拠もなく、他に、「JUICY」の文字部分のみが独立して認識されるとみるべき特段の事情も見い出せない。
してみれば、引用商標は、該構成文字全体に相応して「ジューシークーチャー」あるいは「ジューシークチュール」なる一連の称呼のみを生じ、特定の親しまれた意味合いを生じない一種の造語として理解・認識されるものであり、何らかの意味合いを想起させるとしても、構成文字全体から「潤いのある婦人服仕立店」の如き意味合いを想起させるものといわなければならない。
(3)本件商標と引用商標との類否について
そこで、本件商標から生ずる「ジューシー」の称呼と引用商標から生ずる「ジューシークーチャー」あるいは「ジューシークチュール」の称呼とを比較するに、両者は、「ジューシー」の音部分を共通にするとしても、「クーチャー」あるいは「クチュール」の音の有無という音構成上の明らかな差異を有するものであるから、それぞれを一連に称呼するも、その音構成の差により称呼上十分に区別し得るものである。
また、上記の構成よりして、外観においても十分に区別し得る差異を有するものであり、さらに、観念についてみても、本件商標は「みずみずしい、潤いがある」等の観念を生ずるのに対して、引用商標は、上記のとおり、特定の観念を有しない一種の造語からなるものと理解・認識されるか、何らかの意味合いを想起させるとしても「潤いのある婦人服仕立店」の如き意味合いを想起させるものと認められるから、観念についても十分に区別し得る差異を有するものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
(4)上記以外の請求人の主な主張について
ア 請求人は、「バレンティノ・クチュール」や「イブサンローランクチュール」、「ジバンシー・クチュール」、「クリスチャン・ディオール・クチュール」等々の有名ブランドがいずれも「クチュール」の部分を省略して市場において称呼されている旨主張している。
しかしながら、上記使用例における「バレンティノ」や「イブサンローラン」、「ジバンシー」、「クリスチャン・ディオール」等は、それ自体が著名な商標であって、それ自体独立して用いられていることも多いものであるから、「バレンティノ・クチュール」や「イブサンローランクチュール」等を記述した文中に、「バレンティノ」や「イブサンローラン」の表示があったとしても、それらが略称としての表示とは限らないから、そのことから直ちに、「〇〇クチュール」のような表示からなる商標が全て、「クチュール」の文字部分を省略して市場において取引に供されることになるとはいえない。
イ 請求人は、引用商標の全体の称呼は8音という長い音構成からなり、簡易迅速を尊ぶ取引市場においては、語頭部分の「JUICY」のみに着目して「ジューシー」と称呼する場合も少なくない旨主張している。
しかしながら、8音構成の称呼は、短い音構成とはいえないとしても、一気一連に称呼するのに長すぎるものとはいえず、引用商標の称呼である「ジューシークーチャー」あるいは「ジューシークチュール」の称呼は、全体としての語呂も良く、加えて、「JUICY」の語は、「水分の多い、みずみずしい、潤いがある」等の意味を有する形容詞であり、形容詞はこれに続く語を修飾するものであることが良く知られているところであるから、被修飾語を伴う引用商標は、一連の語として理解・認識されるものとみるのが自然であって、これを殊更、「JUICY」と「COUTURE」とに分断しなければならない理由はないものというべきである。
ウ 請求人は、甲第95号証を提出して、市場においても「ジューシー」と略称されている旨主張している。
しかしながら、甲第95号証は、請求人がシャツや宝石箱、鉛筆ケース等に、引用商標とは異なる「JUICY」の文字からなる商標を使用していることを示しているに過ぎないものであり、引用商標である「JUICY COUTURE」が「JUICY」と略称されていることを示すものではなく、「JUICY」と略称されて周知・著名となっていることを示すものでもない。
してみれば、請求人の主張は、いずれも採用できない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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