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Trademark Appeal Case

名称使用の承諾と著名性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2008−28944(T2008−28944/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第35類「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,商品の販売に関する情報の提供,フランチャイズの事業に関する指導及び助言(インターネットによるものを含む。),経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,広告,商業又は広告のための展示会の企画・運営,販売促進のための商品展示会及びイベントの企画・運営又は開催,トレーディングスタンプの発行,競売の運営,輸出入に関する事務の代理又は代行」を指定役務として、平成19年6月21日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、『東京都墨田区錦糸1丁目1−5 Aビル3階』所在の法人の名称と同一のものと認められる『株式会社クレイブ』の文字をその構成中に有してなり、かつ、その他人の承諾を得ているものとは認められない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断

1 商標法4条1項8号は、「他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称」を含む商標について、その他人の承諾を得ているものを除き、商標登録を受けることができないとするものであるが、この規定の趣旨は、「人(法人等の団体を含む。以下同じ。)の肖像、氏名、名称等に対する人格的利益を保護することにあると解される。すなわち、人は、自らの承諾なしにその氏名、名称等を商標に使われることがない利益を保護されている」(最高裁平成16年(行ヒ)343号、判決日平成17年7月22日)と解されている。

2 そこで、上記観点を踏まえて、本願商標について検討するに、本願商標は、別掲のとおり、「株式会社クレイブ」の文字を有してなるところ、その表示態様からして、これは法人の名称を表示したものであること明らかである。

そして、請求人の提出による平成20年7月28日付け手続補足書(以下「補足書」という。)における甲第5号証及び当審における職権による調査によれば、当該名称と同一の名称からなる法人は、出願人以外にも原審が拒絶の理由で通知した引用会社が、平成12年6月1日設立、「人材派遣事業(運転手・作業員・事務員・調理士・栄養士・調理補助など各種スタッフ)、有料職業紹介事業、アウトソーシングサービス、廃棄物収集・運搬・処理・再生・推進事業に関するコンサルタント業務、資源再利用施設及び機器の設計・メンテナンス、廃棄物リサイクル事業の請負、企業施設の警備・清掃・ビルピット依頼に対するコーディネート並びにコンサルタント業務」を業務内容とする「東京都墨田区錦糸1−1−5Aビル5F」在の「株式会社クレイブ」(「株式会社クレイブ」のウェブサイト参照(http://www.crave.co.jp/company/index.html))として実在することが認められる。

しかしながら、請求人は、当該他人である引用会社から、何ら承諾を得ていない。

したがって、本願商標は、他人の名称を含む商標であって、かつ、当該他人の承諾を得ているものとは認められないものであるから、商標法第4条第1項第8号に該当するものといわざるを得ない。

3 請求人は、「『他人』の氏名・名称については、承諾を得ないことによる人格権の毀損が『客観的に』認められるに足る著名性が必要であるとされるのが相当であり、たまたま何らかの文献に記載されていた引例会社殿を引例に挙げて本願出願を拒絶することは、行き過ぎた人格権の保護といえ、商標法第4条第1項第8号が想定している適用範囲を超えた解釈であると言わざるを得ない。他人の名称については、その他人がある程度著名でない場合には、商標法第4条第1項第8号を厳格に適用すべきではないとされるのが相当であり、したがって、本願商標の場合は引例会社殿の承諾書を必要としないものと思料する。」旨主張する。

しかし、本号の規定が、上記1の最高裁判決において判示されているとおり、「人(法人等の団体を含む。)は、自らの承諾なしにその氏名、名称等を商標に使われることがない利益を保護されている」こと、また、「他人の承諾」については、最高裁平成15年(行ヒ)265号判決(判決日平成16年6月8日)において判示されているとおり、「8号本文に該当する商標につき商標登録を受けようとする者は、他人の人格的利益を害することがないよう、自らの責任において当該他人の承諾を確保しておくべきもの」であるとすることからも、その他人の人格権の保護の観点より、承諾を必要とするものであり、「承諾を得ないことによる人格権の毀損が『客観的に』認められるに足る著名性が必要である。」とする請求人の主張は失当であると言わざるを得ない。

また、請求人は、「引例会社殿がある程度著名であるとは言えないばかりか、商標登録出願人が26年前に創業して以来信用を蓄積してきている繊維製品の輸入・小売卸売の業務と、引例会社殿のホームページ記載の人材派遣・アウトソーシングなどの業務とは全く関係のないものであり、たまたま名称が同一でも、各法人間の役務との間に何らかの関係があるように一般世人に認識されないような場合、客観的に人格権の毀損はあり得ない。」旨主張する。

しかしながら、知財高裁平成20年(行ケ)10309号判決(判決日平成21年2月26日)において、商標法第4条第1項第8号の適用に当たっては、「出願人と他人との間で事業内容が競合するかとか、いずれが著名あるいは周知であるといったことは、考慮する必要がない」旨判示されている。

すなわち、同号の規定上、他人の氏名、名称等を含む商標が、当該他人の人格的利益を侵害するおそれのある具体的な事情(客観的事情)が存在することは、同号適用の要件とされているものではないと解するのが相当であるから、この点についても、請求人の主張は失当であると言わざるを得ない。

その他の請求人の主張をもってしても、原査定の拒絶の理由を覆すことはできない。

4 以上のとおり、本願商標を商標法第4条第1項第8号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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