sokuhyo

Trademark Appeal Case

「HP」の識別力と周知性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2008−20796(T2008−20796/J1)
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、「HP」の文字を標準文字で表してなり、第35類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成19年4月2日に登録出願、その後、指定役務については、当審における同20年9月17日付け及び同21年12月18日付け手続補正書により、最終的に、第35類「電子応用機械器具及びその部品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に補正されたものである。

第2 原査定の拒絶理由の要点

原査定において、以下の(1)ないし(3)のとおり認定、判断し本願を拒絶したものである。

(1)商標登録を受けることができる商標は、現在使用をしているもの又は近い将来使用をするものと解されるところ、この商標登録出願において指定する役務について、本願商標を使用しているか又は近い将来使用することについて疑義があるものである。

したがって、本願は、商標法第3条第1項柱書きの要件を具備しない。

(2)本願商標に係る指定役務の表示は、その内容及び範囲を明確に指定したものとは認められない。

したがって、本願は、商標法第6条第1項の要件を具備しない。

(3)本願商標は、「HP」の文字を標準文字で表してなるところ、欧文字2字は、一般に商品や役務の品揃えの際の規格や等級・型式・品番などを表わし、また、役務の質の種類・種別・規格を表すものとして採択、使用されているものであり、本願商標は、その一類型と認められることから、極めて簡単でかつありふれた標章のみからなる商標と認める。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。

第3 当審の判断

1 商標法第3条第1項柱書き及び同法第6条第1項について

本願に係る指定役務は、前記1のとおり補正された結果、請求人が、本願商標をその指定役務について、使用しているか又は近い将来使用することについて、疑義はなくなったものであり、かつ、本願の指定役務の内容及び範囲は、明確になったものである。

したがって、本願が、商標法第3条第1項柱書の規定の要件及び同法第6条第1条の要件を具備しないとして、本願を拒絶した原査定の拒絶の理由は、解消した。

2 本願商標の商標法第3条第1項第5号の該当性について

本願商標は、「HP」の文字を標準文字で表してなるところ、欧文字2字は、それ自体簡単な構成の標章であって、かつ、一般に、商品の品番や役務の等級等を表す記号、符号として取引上普通に使用されていることからすれば、本願商標は、その一類型にすぎないものと認められる。

してみれば、本願商標は、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標といわざるを得ないものである。

3 本願商標の商標法第3条第2項の該当性について

請求人(出願人)(以下「請求人」という。)は、平成20年8月13日付け審判請求書における「請求の理由」(同年9月9日付け手続補正書により補正された)において、「『HP』の文字は審判請求人及びその関連会社の著名な略称としてわが国において広く知られるとともに、請求人及びその関連会社を指称する表示(出所表示)として需要者・取引者をして理解・認識されるに至っている。」旨主張し、その証拠資料として、甲第1号証ないし甲第247号証を提出している。

そこで、請求人の提出による証拠資料について以下、検討する。

(1)使用に係る商標と商品および役務について

請求人(ヒューレットパッカード社)及び日本法人(日本ヒューレットパッカード社)(以下、まとめて「HP社」という。)は、2000年に個人向けコンピュータの市場へ参入し、2001年にはインターネットを通じた直販を行っている。また、HP社は、部品調達などの企業間取引において、半導体や電子部品をネット上で取引を行うための電子市場を立ち上げ、電気機械器具全般について、商品の販売並びにこれら商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供の役務を行っている。さらに、販売代理店を通じて、商品の卸売りも行っている(甲第80号証ないし甲第83号証、甲第219号証及び甲第220号証)。

そして、本願商標「HP」は、HP社の名称である「Hewlett−Packard」の略称として使用され、かつ、商品カタログ、新聞記事等において、HP社の著名商標(別掲)を表すものとして、実際に使用されている(甲第1号証ないし甲第247号証)。

(2)「HP」商標のわが国における周知・著名性の範囲について

HP社は、パーソナルコンピュータ等の電子応用機械器具について製造・販売を行った結果、2006年には、世界第1位のシェアがある商品「PCサーバー」が、日本国内において、第二位のシェアを獲得し、また、2007年における国内のパーソナルコンピュータの出荷状況において、7.4%のシェアを獲得し、ソニー社を抜いて国内第5位の出荷数となっている。(甲第216号証ないし甲第218号証)。

以上から総合判断すると、本願商標「HP」は、請求人が、我が国において、2000年から継続して、本願の補正後の指定役務「電子応用機械器具及びその部品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に使用した結果、需要者・取引者において、請求人の取り扱いに係る役務であることを認識することができるに至ったものと認め得るところである。

さらに、当審において職権により調査するも、請求人あるいは請求人と何らかの関係を有する者以外の他人が、本願商標をその指定役務について、使用している事実も見当たらない。

してみれば、本願商標は、その指定役務に使用しても、自他役務の識別標識としての機能を十分果たし得るものと認められる。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当するとしても、同条第2項に規定する要件を満たしているものである。

4 まとめ

以上のとおり、本願が、商標法第3条第1項柱書の規定の要件及び同法第6条第1条の要件を具備しないとし、かつ、本願商標が同法第3条第1項第5号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。

その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。