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Trademark Appeal Case

地名と普通名称の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2008−28587(T2008−28587/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「熊本生鮮市場」の文字を横書きしてなり、第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食肉の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食用水産物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,野菜及び果実の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,米穀類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,牛乳の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,清涼飲料及び果実飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,茶・コーヒー及びココアの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,花及び木の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,たばこ及び喫煙用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、平成19年6月18日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定は、「本願商標は、『熊本生鮮市場』の文字を書してなるところ、これよりは『九州地方中央部の県、又は熊本県西部の市である熊本において、新鮮な商品を規則的に取引する場所』程の意味合いが認められる。そして、『生鮮市場』の文字は、生鮮食品を中心に、各種食品や日用品をそろえた食料品店やスーパーマーケットの店名に広く用いられている事実が認められるから、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する取引者・需要者は、『熊本県又は熊本市において生鮮食品を主力に扱う食品店あるいはスーパーマーケットの一種』程の意味合いを理解するにとどまり、熊本県あるいは熊本市において新鮮な食品を買うことのできる場所との、役務の提供場所を認識させるにとどまる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

本願商標は、前記のとおり、「熊本生鮮市場」の文字よりなるところ、その構成中「熊本」の文字部分は「九州地方中央部の県。熊本県西部、熊本平野中央部の市。県庁所在地。」を意味するものであり、また、「生鮮」の文字部分は「新しく生き生きしていること。」を、そして「市場」の文字部分は「狭義には、売手と買手とが特定の商品を規則的に取引する場所をいう。」(いずれも広辞苑 第6版)の意味をそれぞれ表わすものである。

ところで、その構成中「生鮮市場」の文字については、本願指定役務を提供する業界において、「青果・精肉・鮮魚などの生鮮食品を中心に取り扱っている食料品店、スーパーマーケット」の名称としてそれぞれ普通に採択、使用されている実情がある。

さらに、例えば、「秋田生鮮市場」「生鮮市場 コウナン戸塚店」のように、「生鮮市場」の文字と地域を表す語とを結合させて「ある地域所在の青果・精肉・鮮魚などの生鮮食品を中心に扱っている食料品店、スーパーマーケット」の名称として採択、使用されている実情もある。

そして、これらの実情は、例えば、以下のインターネットにおけるウェブサイトの情報からも十分に裏付けられるところである。

(1)「livedoor BOOKS」のウェブサイトにおいて「首都圏生鮮市場ガイド(‘90)」の見出しのもと、「商品レビュー [要旨] 首都圏の常設市場から季節の朝市まで一挙掲載の生鮮市場の本。より新鮮で、より安くをモットーに、消費者の立場に立った初めての画期的な市場のガイドブック。港で水揚げされたばかりの鮮魚から、採れたての水々しい野菜や果物などを中心に、首都圏の生鮮市場を詳細マップつきで紹介。」の記載。(http://books.livedoor.com/item/3288941)

(2)「西日本新聞」のウェブサイトにおいて、「ベイサイドプレイス博多 核店舗に『生鮮市場』 九電工、来春に全面開業」の見出しのもと、「九電工によると、商業ゾーンは、3棟の1、2階部分。真ん中の棟の延べ約1400平方メートルに、壱岐・対馬などの新鮮な海産物や近郊で採れた農産物などを扱う生鮮市場と飲食店が入居する。」の記載。(http://qkeizai.nishinippon.co.jp/news/item/43367/catid/1」)

(3)「あいとっと」のウェブサイトにおいて、「マルゴ生鮮市場草加店」の見出しのもと、「青果・精肉・鮮魚を中心に、よりよい品物をより安く提供してくれる食品スーパー『生鮮市場マルゴ』。」の記載。(http://itot1.jp/sokashi/59)

(4)「生鮮市場 まるり」のウェブサイトにおいて、「魚介類を中心に青果、精肉とその他の食料品の販売、お料理・仕出しまでお安い価格で新鮮な食材・お料理をお届けします」の記載。(http://www.maruri.jp/)

(5)「あまみエフエム・奄美お散歩ナビ」のウェブサイトにおいて、「生鮮市場さと」の見出しのもと、「*生鮮市場さとでは、地元でとれた新鮮な魚介類をはじめ、旬な野菜・果物、また郷土料理には欠かせない『鶏飯用鳥肉』『島山羊』『こだわり黒豚』など、奄美の食材を豊富に品揃え致しております。」の記載。(http://www.npo-d.org/shop/archives/192.html)

(6)「YAHOO!JAPAN電話帳」のウェブサイトにおいて、生鮮市場で検索した結果、「赤間白石生鮮市場 福岡県宗像市赤間3丁目4-17 / 業種:スーパーストア」、「秋田生鮮市場/土崎店 秋田県秋田市土崎港 東3丁目2-23 / 業種:スーパーストア」、「イマイ生鮮市場 埼玉県さいたま市北区本郷町1088 / 業種:スーパーストア」の記載。(http://phonebook.yahoo.co.jp/search/?query=%E7%94%9F%E9%AE%AE%E5%B8%82%E5%A0%B4)

(7)「Brillia」のウェブサイトにおいて、「生鮮市場 コウナン戸塚店」の見出しのもと、「戸塚駅から神奈中バスに乗り、『富士橋』駅で下車。徒歩1分ほどの閑静な住宅街の中で営業するスーパーマーケット。肉、魚、野菜、果物といった生鮮食品をお手ごろな価格で取り揃えており、連日多くの人で賑わいを見せている。」の記載。(http://itot2.jp/b-totsuka/107)

以上よりすれば、「熊本生鮮市場」の文字に接する取引者、需要者は、「熊本県又は熊本市所在の青果・精肉・鮮魚などの生鮮食品を中心に扱っている食料品店、スーパーマーケット」のごとき意味合いを理解、認識することは容易というべきである。

してみれば、本願商標をその指定役務に使用した場合、これに接する取引者、需要者をして、単に役務の質、提供場所を表示したものと理解するにとどまり、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないというべきである。

なお、請求人は、「熊本」は「氏」名でもあり、また、「市場」は、複数の意味があるから、全体として、直ちに「熊本県又は熊本市において、生鮮食品を主力に扱う食品店あるいはスーパーマーケットの一種」の意味を認識させるものではない旨主張する。

確かに、「熊本」の語が「氏」名であることを否定するものではないが、広辞苑第六版には、「熊本」の語が氏の一つであるとの記載はなく、また、「日本人の姓」(佐久間英著 六藝書房発行)によれば、「熊本」氏の日本国内における数は、約8000人程度とされ、必ずしも多数存在する氏ということもできないから、「熊本」の文字に接する需要者、取引者は、氏としてよりは、むしろ、地名としての「熊本」を容易に想起するものであるということができる。また、「市場」の文字について「売手と買手とが特定の商品を規則的に取引する場所」の意味であると理解することを困難にすべき事情を認めることはできず、かつ、「生鮮市場」に係る前記取引の実情からして、本願商標に接する需要者、取引者は「熊本県又は熊本市所在の青果・精肉・鮮魚などの生鮮食品を中心に取り扱っている食料品店、スーパーマーケット」ほどの意味合いを容易に認識するものであるということができるから、請求人の主張は採用できない。

また、請求人は、「本願商標は、請求人以外によって使用されている事実はないから、商標法第3条第1項第3号に該当するものではない。」旨、主張すると共に、本人所有であり、本願商標と同一の態様からなる登録例を挙げている。

しかしながら、商標法第3条第1項第3号の趣旨は、同号列挙のものは通常、商品や役務を流通過程又は取引過程に置く場合に必要な表示であるから、何人も使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであるから一私人に独占を認めるのは妥当でなく、また、現実に使用され、あるいは、将来一般的に使用されるものであることから、出所識別機能を認めることができないものと解される。(社団法人発明協会発行 特許庁編「工業所有権法逐条解説(第17版)」参照)

そうすると、本願商標「熊本生鮮市場」については、その指定役務との関係において、これに接する取引者、需要者をして、役務の質、提供場所を表示したものとして理解するにとどまると判断するのが相当であること、上述のとおりである。そして、仮に同様の表示を他人が使用していないとしても、前記の趣旨からして特定人に独占させることは適切ではないから、請求人の該主張は、採用することができない。

さらに、商標登録出願に係る商標が上記条項に該当するか否かの判断は、当該商標の指定役務との関係における、その役務の取引の実情等を考慮して、個別具体的に判断されるべきものであって、かつ、その判断時期は、査定時又は審決時と解されるべきものであるから、請求人が挙げた商標登録例の存在によって、前記判断は左右されないというべきである。

したがって、本願商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するとした原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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