Trademark Appeal Case
「Fit」著名性と「WiiFit」の類似
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2008−900512(T2008−900512/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5171366号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1に示すとおり、ゴシック体でややレタリングされた「WiiFit」の欧文字を書してなり、平成19年12月21日に登録出願され、第3類、第5類、第10類、第11類、「自動車並びにその部品及び附属品」を含む第12類、第14類、第18類、第21類、第26類及び第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成20年10月3日に設定登録されたものである。
2 引用商標
(1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第2704577号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2に示すとおり、多少レタリングされた「Fit」の欧文字を書してなり、平成2年3月30日に登録出願され、第12類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成7年2月28日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、平成18年2月15日に指定商品を、第6類、第9類、「自動車並びにその部品及び附属品」を含む第12類、第13類、第19類及び第22類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
(2)同じく、登録第1991947号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲3に示すとおり、ゴシック体で「FIT」の欧文字を書してなり、昭和60年2月4日に登録出願され、第12類「輸送機械器具、その部品および附属品(他の類に属するものを除く)」を指定商品として、昭和62年10月27日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録が2回に亘りなされ、現に有効に存続しているものである。
3 登録異議の申立ての理由(要旨)
申立人は、本件商標の指定商品中、第12類「自動車並びにその部品及び附属品」については、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきである旨主張し、その理由を要旨以下のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証ないし第32号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、引用商標1とは、その外観、称呼及び観念を共通にし、また、引用商標2とは、その称呼及び観念を共通にするため、互いに類似する商標であって、その指定商品「自動車並びにその部品及び附属品」も互いに抵触するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
引用商標1及び2は、申立人の商標として広く一般的に知られているから、これを一部に有する本件商標がその指定商品に使用された場合、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 当審において通知した取消理由
当審において、商標権者に対して平成21年8月28日付けで通知した取消理由は、要旨以下のとおりである。
(1)申立人が提出した甲各号証によれば、以下の事実が認められる。
ア 申立人は、「Fit」又は「FIT」の標章が付された、「フィット」と呼ばれる小型乗用車を、2001年6月から販売を開始し、本件商標の出願時はもとより、現在に至るまで継続して販売を行っている(甲第21号証ほか)。
イ 前記小型乗用車には、2001年の発売開始以来、2007年のフルモデルチェンジまでは別掲2に示す引用商標1と実質的に同一な標章が付されて(甲第13号及び第14号証)、その後は、別掲3に示す引用商標2と実質的に同一な標章が付されて販売されていたことが認められる(甲第16号及び第17号証)。
ウ 前記小型乗用車は、2002年には、年間販売台数が25万台を超え、年間登録乗用車販売台数の第1位になったこと、その後も2003年度から2006年度には、年間登録車販売ランキングの2位、3位の販売数を維持・継続し、2007年度には同ランキング1位となったこと、また、2001年には、第22回日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したことが認められる(甲第13号証ないし第15号証及び甲第21号証)。
エ 前記小型乗用車は、2007年10月にフルモデルチェンジがなされ、車体に付される標章は引用商標2へと変更されたが、同年11月には、フルモデルチェンジをはさみ、国内販売累計が100万台に達したことが認められる(甲第16号証ないし第18号証)。
オ 申立人は、2001年の発売当初から2008年以降に至る間、継続してテレビCMにおいて、引用商標1及び2を表示して、前記小型乗用車の広告宣伝をしていることが認められる(甲第22号証)。
また、前記乗用車は、我が国のみならず、欧米をはじめ諸外国でも販売され、2007年6月末で、世界累計販売台数も200万台を達成している(甲第18号証)。
(2)引用商標1及び2の周知性について
前記(1)を総合勘案すると、引用商標1及び2は、本件商標の出願時には、申立人の取扱に係る小型乗用車の商標の一として、「Fit」の表示及び「フィット」の称呼をもって自動車の取引者、需要者の間において広く認識され周知な商標となっていたものと認められ、また、2007年10月のフルモデルチェンジ後は「FIT」の表示及び「フィット」の称呼をもって、本件商標の登録査定時においても、その状態は継続していたものと認められる。
(3)本件商標と引用商標1及び2の類似性について
ア 引用商標1は、前記2のとおり、「Fit」の文字からなるところ、該文字に相応して「フィット」の称呼を生じ、また、その構成態様は、先頭の文字「F」の左上の角が曲線で表され、続く「i」の文字の点の部分が黒丸で表されたものであって、全体としてやや右に傾斜した態様のものである。
そして、当該「Fit」の文字は、「適合する」の意を有する英語(fit)に通じるものとしても、前記のとおり、独自性のある表示形態の標章ということができる。
イ 他方、本件商標は、「WiiFit」の文字を表してなるところ、その構成中「Wii」の文字部分が、傾斜のない普通の書体で表されているのに対し、「Fit」の文字部分は、「Wii」の文字に比して約1.5倍ほど太く表された文字であるから、文字の種類が異なるものとなり、構成上の一体性は認められないものである。
そうすると、自ずと「Fit」の文字部分が、視覚上分離して看取されるものであって、かつ、「Wii」と「Fit」とが常に不可分一体のものとしてのみ観察されるとすべき格別の理由もみいだせないものである。
さらに、当該「Fit」の文字部分は、「F」の左上の角が曲線で表され、続く「i」の文字の点が黒丸で表されたものであって、かつ、全体としてやや右に傾斜した態様のものであるから、引用商標1とは、「t」の横線の突き抜けの有無や「i」の縦線の上部の湾曲の有無に若干の相違はあるとしても、相当に酷似した態様のものといわざるを得ないものである。
ウ 小括
してみると、本件商標は、その構成中に、引用商標1とその構成及び態様が酷似し、それより生ずる「フィット」の称呼を共通にする「Fit」の文字を有しており、しかも、その部分は、他の部分とは明らかに異なる傾斜した太字の書体で表されていて、独立して認識され得るものである。
したがって、本件商標と引用商標1とは、相当に近似性が高いものというべきである。
また、本件の指定商品中「自動車並びにその部品及び附属品」は、引用商標1が使用されている「小型乗用車」を包含するものであり、さらに、これと類似する商品、関連性の高い商品も含まれているから、その取引者、需要者を共通にするものである。
なお、小型乗用車は、一般的な消費材と異なり、耐久年数が長く、フルモデルチェンジ等を経ても、従来の同車種が直ちに世上巷間から消え去ることはなく、取引者、需要者の目にみえる形で利用が継続されること、かつ、中古車市場においても流通過程におかれることは、取引の実情として顕著な事実といえる。
(4)まとめ
以上のとおり、引用商標1及び2の周知性の程度、引用商標1及び2と本件商標の類似性の程度、両商標が使用される商品間の関連性の程度及び取引者、需要者の共通性等を総合勘案すれば、本件商標の登録時はもとより出願時において、本件商標をその指定商品「自動車並びにその部品及び附属品」について使用した場合、これに接する需要者が、引用商標1及び2を連想、想起して、当該商品を申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く誤認し、商品の出所について混同するおそれがあるものと判断されるものである。
したがって、本件商標は、その指定商品中、第12類「自動車並びにその部品及び附属品」について、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものと認められる。
5 商標権者の意見
本件商標について、前記4の取消理由を通知し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが商標権者は何ら意見を述べるところがない。
6 当審の判断
本件商標についてした先の取消理由は妥当なものと認められる。
したがって、本件商標は、その指定商品中、第12類「自動車並びにその部品及び附属品」については、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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