Trademark Appeal Case
酒の品質表示の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2009−900131(T2009−900131/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標について
本件登録第5194599号商標(以下「本件商標」という。)は、「キレ爽快」の文字を標準文字で表してなり、平成19年12月25日に登録出願、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒,麦および麦芽を使用しないビール風味のアルコール飲料」を指定商品として、同20年12月10日に登録査定、同21年1月9日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、結論同旨の決定を求めると主張し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第30号証を提出した。
本件商標において、「キレ」は「酒を飲んだ後味についての表現」であり、「爽快」は「さわやかで気持ちがよい味覚」を意味する語であって、「キレ」「爽快」それぞれが品質表示として使用されていることはもとより、「キレ」と「爽快」からまとまった品質表現、及び「キレ」「爽快」と連続する品質表現の実例も多数存在することから、本件商標「キレ爽快」は、指定商品との関係においては商品の品質を表示するものである。よって、本件商標は自他商品の識別力を有しない商標であって、商標法第3条第1項第3号に該当する。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、本件商標の登録は、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである。
3 本件商標の取消理由
商標権者に対して、平成21年9月28日付けで通知した取消理由は、要旨次のとおりである。
(1)申立人の提出に係る甲各号証によれば、「キレ(きれ、切れ)」及び「爽快」の語について、以下の事実が認められる。
ア 辞典類における掲載
(ア)「大辞泉」(1998年11月20日、株式会社小学館発行)の「きれ(切れ)」の項目には、該語の意味として、「物の切れ端」等のほか、「さらっとして後に残らない口あたり。『きれのいいウイスキー』」の記載があり、「そうかい(爽快)」の項目には、「さわやかで気持ちがよいこと。また、そのさま。」の記載がある(甲第2号証)。
(イ)「明鏡国語辞典」(2002年12月1日、株式会社大修館書店発行)の「きれ(切れ)」の項目には、該語の意味として、「物を切った部分」等のほか、「すっきりとして、しつこさをあとに残さない味わい。『きれのいいビール』」の記載があり、「そうかい(爽快)」の項目には、「さわやかで気持ちがよいこと。『爽快な目覚め』『気分爽快』」の記載がある(甲第3号証)。
(ウ)「日本の酒文化総合辞典」(2005年11月25日、柏書房株式会社発行)の「キレ−きれ」の項目には、「酒を飲んだ後味についての表現。後味がよければ『キレが良い』という。」の記載がある(甲第4号証)。
(エ)「おいしさの表現辞典」(2006年8月30日、株式会社東京堂出版発行)の「本醸造酒」の項目には、「本醸造は、旨みが広がっても、後味はスパっと終わる、キレのある味わいになるところが特徴です。・・本醸造はキレがあってシャープ。」の記載があり、また、「ビール」の項目には、「『コクがあるのにキレがある』・・コクとは、濃厚な味わいであり、かつ柔らかな口当たりのあることをいう。一方、キレは爽快な味わいとメリハリのある喉越しのことをいう。」の記載がある(甲第5号証)。
(オ)「ことばは味を超える」(2003年2月3日、株式会社海鳴社発行)には、「爽快な」の語が、同書でいう“味ことば”として使用されていること(甲第6号証)。
(カ)「酒 新・食品事典12」(1992年7月20日、株式会社真珠書院発行)の「ビール」の項目中の「味」の項目(265頁)には、ビールの味には爽快な味、純粋な味、温和な味、豊醇な味などいろいろの種類のものがある。(中略)爽快な味は、おもに二酸化炭素によるものである。これは、新鮮で、いわゆる切れ味のよいものである。」の記載がある(甲第7号証)。
イ 酒類業界における使用
(ア)「日経デザイン」(2001年3月号)には、「各メーカーの発泡酒の中でも特に売上を伸ばしているのが、すっきりしたキレのある飲み口のいわゆる『辛口爽快系』の商品である。」の記載がある(甲第8号証)。
(イ)「日経レストラン」(2001年8月号)には、「軟水を使用したチリ産ビール」について、「なめらかな飲み口とキレのある爽快な後味に仕上げたという。」の記載がある(甲第9号証)。
(ウ)「NIKKEI NEW PRODUCTS REVIEW No.42」(2003年7月28日)には、「レモネードを添加した低アルコールビール」の特徴について、「キレのあるビールの爽快感と爽やかなレモンの酸味がのどを潤す」の記載がある(甲第10号証)。
(エ)「日本食糧新聞」(2004年6月4日発行)には、「揺れる発泡酒」の見出しのもとに、「『フルーツブルワリー』はニアリー・ビールという発泡酒の固定概念を覆し、(中略)麦芽もホップも使いながら従来のキレ・爽快系発泡酒とは明確に異なる、」の記載があり、2004年6月28日発行の同紙においても「『フルーツブルワリー』(中略)現状のキレ・爽快を追求しただけの発泡酒では結果的にビールシェアを食うだけのものに終わってしまうが、」の記載がある(甲第11号証、甲第12号証)。
(オ)「NIKKEI NEW PRODUCTS REVIEW No.67」(2004年8月9日)には、缶チュウハイ「Asashi DRYCOOLER」の特徴について、「従来の果汁感よりアルコールの持ち味である爽快感、キレを引き出した。」、「果汁感の少ない、爽快な切れ味」の記載がある(甲第13号証)。また、同誌「No.77」(2005年1月17日)には、発泡酒「本生ゴールド」について、「『本生』の味わいといえばこれまで『爽快』『すっきり』『キレ』がトレードマークだったが、」として、該商品の特徴についての記載がある(甲第14号証)。
(カ)「北国新聞」(2007年2月22日発行)には、「爽快なキレ『楽しんで』」の見出しのもとに、「新・麒麟淡麗」についての記事が掲載されたこと(甲第15号証)。
(キ)2000年2月23日付けの旭化成工業株式会社のプレスリリースには、「ドライ酎ハイWARU」について、「シャープでキレのある味わいと爽快な喉越しが特徴」との文言で記事が掲載されたこと(甲第17号証)。(ク)「価格.com」と称するウェブページにおいて、「キリンビール麒麟淡麗〈生〉」「登録日:2008年11月26日」「爽快なキレと本格的な飲みごたえ」の記載がある(甲第18号証)。同じく、「KIRIN キリンビール」と称するウェブページにおいて、「『麒麟淡麗〈生〉』が1998年の発売以来、累計販売本数で200億本を突破!」「特にお客様から好評をいただいているのが『本格的なうまさと、爽快なキレ味』。」の記載がある(甲第18号証)。
(ケ)「日本酒 半可通日記」と称するウェブページにおいて、「2008年10月18日(土)」「春霞 特別純米 栗林 6号酵母火入れ」「スカッ!としたキレ。余韻は、爽快感。」の記載がある(甲第23号証)。
(コ)「小松商店」と称するウェブページにおいて、「平成20年4月〜6月(毎月1回 3回頒布)」「越の誉 大吟醸生酒 720ml 1本」「キレのある爽快なのどごし」の記載がある(甲第24号証)。
(サ)「TaKaRa」と称するウェブページにおいて、「2006年2月14日」「〜キレ味爽快!新・ドライチューハイ〜 TAKARA『焼酎ハイボール』新発売」の記載がある(甲第25号証)。
(2)前記(1)で認定した事実によれば、「きれ(切れ)」の語は、本件商標の指定商品である酒類との関係からみると、「さらっとして後に残らない口あたり」等、酒を飲んだ後味を表現する語として、例えば、「きれのいいウイスキー」などのように使用される語として、また、「そうかい(爽快)」の語は、「さわやかで気持ちがよいこと。また、そのさま。」を意味する語として、一般の国語辞典に掲載されていることを認めることができる。 さらに、酒類に関連した辞典類においても、「きれ」又は「キレ」、及び「爽快」の語は、「酒を飲んだ後味についての表現。後味がよければ『キレが良い』という。」、清酒に関し、「本醸造はキレがあってシャープ」、ビールに関し、「『コクがあるのにキレがある』・・コクとは、濃厚な味わいであり、かつ柔らかな口当たりのあることをいう。一方、キレは爽快な味わいとメリハリのある喉越しのことをいう。」と解説していることを認めることができる。
そして、ビール風味を有する麦芽発泡酒や炭酸水等を加えた焼酎、あるいは、清酒等を取り扱う業界において、これらの商品の特徴を表現する文言として、「キレのある爽快な後味」、「キレ・爽快系発泡酒」、「爽快感、キレを引き出した」、「爽快なキレ」、「キレのある味わいと爽快な喉越し」、「キレのある爽快なのどごし」、「キレ味爽快」などのように、「キレ」及び「爽快」の各語が、商品の品質を表示するためのものとして、普通に使用されていることを認めることができる。
(3)本件商標は、前記1のとおり、「キレ爽快」の文字を標準文字で書してなり、「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒,麦および麦芽を使用しないビール風味のアルコール飲料」を指定商品とするものであるところ、本件商標を構成する「キレ爽快」の文字は、前記(2)認定のとおり、「キレ」及び「爽快」の各語が、本件商標の登録査定時に、ビール風味を有する麦芽発泡酒や炭酸水等を加えた焼酎、あるいは、清酒等を取り扱う業界において、商品の品質を表示するための語として普通に使用されている実情に照らせば、酒類業界で商品の品質表示として普通に使用されている「キレ」及び「爽快」の両語を、単に並列的に表記したものと理解されるというのが相当であって、構成全体をもって、「後味が爽快」ないし「キレ(切れ)のいい爽快な後味」等の意味合いを表したと認識されるにとどまるものとみるべきである。
そして、本件商標は、その指定商品中に、「清酒、炭酸水等を加えた焼酎をはじめとする日本酒」を含むものであり、また、指定商品中の「麦および麦芽を使用しないビール風味のアルコール飲料」は、「ビール風味を有する麦芽発泡酒」と近似する商品といえるものである。さらに、上記以外の指定商品にしても、いずれも酒類の範ちゅうに属する商品ということができる。 してみると、本件商標は、これをその指定商品について使用するときは、これに接する取引者・需要者をして、「後味が爽快」ないし「キレ(切れ)のいい爽快な後味」なる意味合いをもって、単に商品の品質を表示したものと認識されるにとどまるものであって、自他商品の識別機能を有しない商標といわなければならない。
(4)以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号に違反してされたものである。
4 商標権者の意見
商標権者は、上記3の取消理由に対して指定した期間を経過するも、何ら意見を述べていない。
5 当審の判断
上記3の取消理由は妥当なものと認められるので、本件商標の登録は、この取消理由によって、商標法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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