Trademark Appeal Case
著名商標の混同のおそれ
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2009−900140(T2009−900140/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標について
本件登録第5196752号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成19年9月10日に登録出願、第37類「上水道配管および貯水槽の清掃」を指定役務として、同20年11月21日に登録査定、同21年1月16日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、結論同旨の決定を求めると主張し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第71号証を提出した。
申立人は、片仮名文字「アクオス」及び英文字「AQUOS」とそれらの語を二段併記してなる商標や「アクオス」及び「AQUOS」を含む商標(これらをまとめて、以下「参考商標」という。甲第6号証ないし甲第8号証)を多数所有している。
本件商標は、需要者の間に広く知られた参考商標と同一又は類似する商標であって、参考商標が使用される商品または役務と同一又は類似の役務を指定するものである。また、本件商標は、需要者の間に広く知られた参考商標と同一又は類似する商標であって、参考商標が使用される商品または役務と極めて関連性のある役務を指定するものであるから、その役務の需要者が役務の出所について混同するおそれがある。
よって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるから、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである。
3 本件商標の取消理由
商標権者に対して、平成21年9月29日付けで通知した取消理由は、要旨次のとおりである。
(1) 引用商標の著名性について
申立人「シャープ株式会社」の提出に係る甲各号証によれば、以下の事実が認められる。
甲第10号証ないし甲第36号証及び甲第55号証ないし甲第67号証によれば、申立人は、その業務に係る商品「液晶カラーテレビ」について、「AQUOS」及び「アクオス」の文字よりなる商標(これらをまとめて、以下「引用商標」という。)を2000年(平成12年)12月より使用を開始し、現在も継続して使用していること(甲第10号証ないし甲第34号証、甲第55号証)、その後、申立人は、引用商標を使用した様々な型式の「液晶カラーテレビ」(以下「申立人商品」という。)を発表し、2006年(平成18年)5月には、その累計出荷台数が1000万台を突破したこと(甲第55号証)、申立人は、申立人商品について、発売当初より、我が国において著名な女優やタレントを起用して、テレビなどを介して盛んに宣伝広告し(甲第11号証ないし甲第34号証)、2001年(平成13年)8月の時点において、薄型テレビの分野で、売れ筋ランキング上位1位から4位を独占したこと(甲第58号証)、2001年10月19日付け日経産業新聞には、「アクオスのヒットで、シャープの10型以上の家庭用液晶テレビのシェアは九割近くに達していると見られている。」との記事が掲載され(甲第59号証)、2002年(平成14年)3月4日付けの同紙には、「日経優秀製品賞/最優秀賞/液晶テレビ『アクオス』」の見出しのもと、「『2005年までに国内で販売するテレビを、すべて液晶テレビに切り替える』――。シャープの町田勝彦社長がこう宣言したのが、社長就任直後の1998年夏。途方もない話だと思ったが、『アクオス』シリーズのヒットで夢が現実に近づいている。」との記事が掲載されたこと(甲第63号証)、2002年発行の雑誌「モノ・マガジン」に、14回目を迎えたSUPER GOODS OF THE YEARのエレクトロニクス・家電部門において、申立人商品がグランプリを受賞したこと(甲第62号証)、「BESTBUY2002 WINTER」との特集記事において、「ディスプレイ/直視型固定画素方式40型以下」の部門で、申立人商品が3位と10位にランクされたこと(甲第64号証)、「日経BPデザイン賞2002」において、申立人商品が受賞したこと(甲第65号証)、三井住友銀行グループSMBCコンサルティングが2004年(平成16年)12月2日に発表した「2004年ヒット商品番付」の「東の関脇」には、申立人商品がランクされたこと(甲第66号証)、引用商標は、英語の「Aqua」(水)と「Quality」(品質)との合成語であること(甲第55号証、甲第57号証)、さらに、申立人は、AV関連商品・家電製品等の電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具、半導体素子、太陽光電池等、電気・電子関連の機械器具の製造、販売を行うほか、空調・厨房等ビル、住宅関連設備機器の製造、販売やこれら設備に関する工事及び一般建設工事の設計・施工並びに請負など、様々な事業を手がける企業であること(甲第67号証)、などを認めることができる。
以上によれば、引用商標が使用される申立人商品は、発売当初より、著名な女優を起用し、テレビ等を通じて盛んに宣伝広告されたことに加え、引用商標そのものも、既成語ではなく、申立人の創作した造語であって、これを聞く者や見る者に強い印象を与える商標であり、テレビという一般消費者にとって、極めて身近な商品に使用される商標であったことも併せ考えると、引用商標は、本件商標の登録出願時には既に一般消費者の関心を強く引くものであったと推認することができ、また、申立人商品の販売台数や申立人商品が種々の賞を受賞したことをみても、申立人商品は、当該業界内で高い評価を得ていたことを窺うことができ、それに伴い、当該業界内における引用商標の知名度も高まり、本件商標の登録出願時には既に、当該業界内においても著名性を獲得していたものとみることができる。
したがって、引用商標は、本件商標の登録出願時には既に、申立人商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることができ、その著名性は、本件商標の登録査定時においても継続していたものというべきである。
(2) 出所の混同を生ずるおそれについて
ア 本件商標と引用商標との類似性
本件商標は、別掲のとおり、「エコ・アクオス」の文字と「ECO−AQUO3S」(「3」の数字は小さく表されている。以下同じ)の文字を二段に横書きしてなるところ、それぞれの文字は、構成全体をもって、親しまれた意味合いが生ずるものとはいえず、「エコ」と「アクオス」の文字の間に中黒、「ECO」と「AQUO3S」文字の間にハイフンをそれぞれ有してなるものであるから、「エコ」と「アクオス」、「ECO」と「AQUO3S」の文字部分とに視覚上分離して看取されやすいものである。さらに、本件商標中の「エコ」及び「ECO」の文字は、今日の我が国において、「エコロジーの略。環境に配慮すること。」などを意味する語として、一般に親しまれた語であって、「環境に配慮した商品、役務」であることを表す語として各種の商品、役務について普通に使用されている語と認めることができる(甲第2号証ないし甲第5号証)。一方、本件商標中の「アクオス」及び「AQUO3S」の文字部分は、特定の語義を有しない造語を表したものといえる。
そうすると、地球環境の保護が叫ばれて久しい今日において、本件商標をその指定役務について使用するときは、その需要者をして、本件商標中の「エコ」及び「ECO」の文字部分は、提供に係る役務が環境に配慮した役務であると認識され、その自他役務の識別機能は極めて弱いものといわなければならない。
してみれば、本件商標中、看者に強い印象を与える部分は、「アクオス」及び「AQUO3S」の文字部分というべきであるところ、「AQUO3S」の文字部分中の「3」の数字は、小さく表されている上に、この存在が特別な意味を持つものとも認められないし、また、上段の「アクオス」の片仮文字も、該数字を除外した欧文字部分の片仮名表記であると理解されるものであるから、該数字は、看者に与える印象が極めて薄いということができる。したがって、本件商標は、その構成中の「アクオス」及び「AQUO3S」の文字部分より生ずる自然の称呼は、「アクオス」というべきである。
そうとすれば、本件商標は、その構成中、自他役務の識別機能を強く発揮する「アクオス」及び「AQUO3S」の文字部分は、「AQUOS」及び「アクオス」の文字よりなる引用商標と外観において極めて近似する商標というべきものであり、また、両者は、「アクオス」の称呼を同じくするものである。
したがって、本件商標中の「アクオス」及び「AQUO3S」の文字部分と引用商標は、いずれも特定の語義を有しない造語よりなり、観念において明確に区別することはできないものであるから、本件商標と引用商標とは外観及び称呼において類似する商標といわなければならない。
イ 本件商標が使用される役務と申立人商品との関連性について
本件商標は、前記1のとおり、「上水道配管および貯水槽の清掃」を指定役務とするものであり、引用商標が使用される申立人商品は「液晶カラーテレビ」である。
そして、申立人商品の需要者は、あらゆる分野の広汎な一般消費者であり、本件商標の指定役務の需要者も含まれることは明らかであって、テレビという極めて身近な商品に使用される著名な引用商標が、本件商標の指定役務の需要者に強い印象を与え、記憶されることは疑う余地がないといえる。また、前記認定のとおり、申立人は、電気・電子関連の機械器具の製造、販売を行うほか、空調・厨房等ビル、住宅関連設備機器の製造、販売やこれら設備に関する工事及び一般建設工事の設計・施工並びに請負など多角的な事業を行う我が国有数の企業であり、本件商標の指定役務と関連性の高い役務をも手がける企業である。
これらのことを総合して考慮すると、本件商標は、これをその指定役務について使用するときは、これに接する需要者は、引用商標を想起又は連想し、該役務が申立人の業務に係る役務であると誤信するか、あるいは、申立人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係にある者の業務に係る役務であると誤信し、その出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。
(3) むすび
以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものである。
4 商標権者の意見
商標権者は、上記3の取消理由に対して指定した期間を経過するも、何ら意見を述べていない。
5 当審の判断
上記3の取消理由は妥当なものと認められるので、本件商標の登録は、この取消理由によって、商標法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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