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Trademark Appeal Case

称呼の類否と語尾音の差異

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2008−900260(T2008−900260/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5123191号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5123191号商標(以下「本件商標」という。)は、「TYRIMA」の欧文字を標準文字で表してなり、2007年1月29日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成19年7月17日に登録出願、第5類「中枢神経系の疾患の治療用薬剤,その他の薬剤」を指定商品として、同20年2月14日に登録査定、同年3月28日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

(1)引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のアないしエのとおりであり(以下、これらを一括していうときは「引用各商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続している。

ア 登録第4457035号商標(以下「引用商標1」という。)は、「TYRISA」の欧文字を標準文字で表してなり、2000年2月22日にグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成12年4月20日に登録出願、第5類「薬剤」を指定商品として、同13年3月2日に設定登録されたものである。

イ 登録第4482778号商標(以下「引用商標2」という。)は、「ティリサ」の片仮名文字を標準文字で表してなり、平成12年7月14日に登録出願、第5類「薬剤」を指定商品として、同13年6月15日に設定登録されたものである。

ウ 登録第4914768号商標(以下「引用商標3」という。)は、「TYRISA」の欧文字を横書きしてなり、平成17年4月21日に登録出願、第5類「ワクチン,その他の薬剤」を指定商品として、同年12月9日に設定登録されたものである。

エ 登録第4914769号商標(以下「引用商標4」という。)は、「ティリサ」の片仮名文字を横書きしてなり、平成17年4月21日に登録出願、第5類「ワクチン,その他の薬剤」を指定商品として、同年12月9日に設定登録されたものである。

(2)理由の要点

本件商標と引用商標1及び3とは、第5文字部にしか違いがないため外観上類似する。さらに、本件商標からは「ティリマ」又は「タイリマ」の称呼が生じるのに対し、引用各商標からは「ティリサ」の称呼が、また、引用商標1及び3からは「タイリサ」の称呼も生じるものであるから、両者は、語尾音(「マ」と「サ」)のみにしか差異はなく、しかも、その差異音も共に母音を共通にするものであるから、称呼上も類似する。

したがって、本件商標と引用各商標とは、その外観又は称呼において混同を生じるおそれがある類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

3 当審の判断

(1)本件商標の外観、称呼及び観念

前記1のとおり、本件商標は、「TYRIMA」の欧文字よりなるものであるから、これよりは「タイリマ」又は「ティリマ」の称呼が生じるものと認められる。また、これは造語であると認められるから、特定の観念を生じないものというべきである。

(2)引用各商標の外観、称呼及び観念

前記2(1)のとおり、引用商標1及び3は、「TYRISA」の欧文字よりなるものであるから、これよりは「タイリサ」又は「ティリサ」の称呼が生じるものと認められ、また、引用商標2及び3は、「ティリサ」の片仮名文字よりなるものであるから、「ティリサ」の称呼が生じるものである。

そして、引用各商標も造語であると認められるから、いずれも特定の観念を生じないものというべきである。

(3)本件商標と引用各商標との類否

ア 称呼による対比

本件商標と引用各商標とから生じる「タイリマ」と「タイリサ」の称呼及び「ティリマ」と「ティリサ」の称呼については、共に4音又は3音という短い音構成にあって、いずれも語尾音において「マ」と「サ」の音の差異を有し、残りの3音「タイリ」又は2音「ティリ」を共通にするものである。しかし、該差異音である「マ」と「サ」の音は、その母音〔a〕を共通にするとしても、前者「マ」の音が、両唇を閉じて発する有声の通鼻音〔m〕と母音〔a〕との結合した音節であるのに対し、後者「サ」の音は、舌端を前硬口蓋に寄せて発する無声摩擦音〔s〕と母音〔a〕との結合した音節であるから、両音は調音方法を異にし、その音質、音感も相違するものである。

そうすると、たとえ、上記両称呼における該差異音が語尾に位置するものであるとしても、共に4音又は3音という短い音構成においては、該差異音が両称呼全体に及ぼす影響は大きく、それぞれの称呼を全体として称呼した場合においても、その語調、語感が明らかに相違したものとなり、互いに聞き誤るおそれはないというべきである。

また、本件商標と引用各商標とから生じる「タイリマ」と「ティリサ」の称呼及び「ティリマ」と「タイリサ」の称呼についても、いずれも構成音数及び音構成を異にするものであるから、互いに聞き誤るおそれはない。

したがって、本件商標と引用各商標とは、その称呼が類似しないものである。

イ 外観による対比

本件商標を構成する「TYRIMA」の文字と、引用商標1及び3を構成する「TYRISA」の文字とは、共に欧文字6文字からなるところ、両者は、5番目の文字が「M」と「S」とで相違するのみであるから、全体としてみた場合に近似した印象を与えるものであることは否定できない。

しかしながら、「M」と「S」の字形は明らかに区別し得るものであり、また、申立人が主張するように、医療現場においては、薬剤の取り違えによる事故が起きており、そのことが問題視されているのであればなおさら、薬剤の取り違えのおそれを防止するため、単に商標の外観のみで取引されるものとは考え難く、称呼や観念なども意識して慎重に取引がなされるものであるとみるのが自然であるから、薬剤を取り扱う取引者、需要者が通常払うべき注意力をもってすれば、両者を見誤るおそれはないというべきである。

また、本件商標を構成する「TYRIMA」の文字と、引用商標2及び4を構成する「ティリサ」の文字とは、文字の種類が異なるから、外観上明らかに相違するものである。

したがって、本件商標と引用各商標とは、その外観についても類似しないものというべきである。

ウ 観念による対比

本件商標と引用各商標は、いずれも特定の観念を生じない造語よりなるものであるから、観念について両者を比較することはできない。

エ 判断

したがって、本件商標と引用各商標は、称呼、外観及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

(4)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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