Trademark Appeal Case
「フィット」の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2009−900083(T2009−900083/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5183293号商標(以下「本件商標」という。)は、「フィット」の片仮名文字を横書きしてなり、平成19年12月17日に登録出願、第5類「貼付用薬剤,その他の薬剤」を指定商品として、同20年9月12日に登録査定がされ、同年11月28日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由の要点
本件登録異議申立人は、本件商標は、商標法第3第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録された違法なものであるから、同法第43条の2第1項によって取り消されるべきである旨主張し、甲第1号証ないし甲第29号証を提出した。
(1)自他商品識別力の有無について
本件商標の「フィット」は、英語の「FIT」の表音表記であり、我が国では「ピッタリ合う」の意味合いの語として日常頻繁に使用されている。
本件商標の指定商品中には、貼付用薬剤(ハップ剤)及びテープ剤(プラスター剤)が含まれている。この商品は身体の痛みがある部分等に必要とされいる箇所に貼付されるものであり、その性質上身体にピッタリ合うように貼付されることがその品質として重要なものである。
そのため、貼付用薬剤(ハップ剤)及びテープ剤(プラスター剤)のメーカー各社は以下の如く商品の品質表示として「フィット」の語を使用してきた(甲第2号証ないし甲第23号証)。
・「伸縮がよくムレにくいので、肌にしっかりフィット」(エーザイ株式会社 甲第2号証)
・「どんな部位にもピッタリとフィット」(ライオン株式会社 甲第3号証)
・「どこでもフィットし、はがれにくい」(株式会社トクホン 甲第4号証)
・「伸縮性にすぐれ、お肌によくフィットします。」(祐徳薬品工業株式会社 甲第5号証)
・「やさしくフィット 貼るアクテージは、フィット感にこだわっています。」(武田薬品工業株式会社 甲第6号証)
・「湾曲部にもピッタリフィット」(興和株式会社 甲第7号証)
・「ピッタリフィットの密着性が頼もしい。」(大協薬品工業 甲第8号証)
・「関節部にもぴったりフィットします。」(オンラインショップNMO 甲第9号証)
・「ぴったりフィットします。」「肌にフィットし、」(ナガエ薬局 甲第10号証)
・「よくフィットします。」「切り込みを入れると更に動きにフィットします。」(兵庫県薬剤師会 甲第11号証)
・「張り付きがよく、体のどの部位にもピッタリフィット。」(くすりのヒビケン薬店 甲第12号証)
・「テープ剤は肌色のテープタイプで、パップ剤よりフィットしやすく、」「伸ばしながら貼るとフィットしやすくなります。」(コヤマ薬局ヘルシーニュース 甲第13号証)
・「伸縮性にすぐれ、お肌によくフィットします。」(くすりのヨシハシ 甲第14号証)
・「ぴったりと患部にフィットします。」(ゼファーマ 甲第15号証)
・「はがれやすい部位にもピッタリフィットします。」(帝国製薬グループ テイコクファルマケア株式会社 甲第16号証)
・「患部にピッタリフィットします。」(活気堂 甲第17号証)
・「関節部にもぴったりフィットします。」(エスエスぴったりパップ取扱い商品ラインナップ一覧 甲第18号証)
・「はがれやすい部位にもピッタリとフィットします。」(健やかな暮らしを願うケータイ本舗ダイハップホット 甲第19号証)
・「関節部位にもよくフィットします。」(ニューダイヤナチュラルハップ 甲第20号証)
・「タテ・ヨコ・斜めによく伸びて、激しい動きにもピッタリフィットします。」(大正製薬ニュースリリース 甲第21号証)
・「製品特長 張り付きがよくフィット」(楽天市場 甲第22号証)
・「特長2 フィット感向上」「動きの激しい部位にもぴったりフィット。」「どんな部位にもぴったりフィット」「商品特長 伸縮するので、動きの多い部分にもフィット」「商品特長3 粘着シートなしでもピッタリフィット」(甲第23号証 被請求人カタログ)
さらに加えて、医療関係でも「コンタクト爽快フィット ふんわりやさしいふっと感 コンタクトの爽快なフィット感をお届けする新製品が登場。」と「フィット」が商品の品質表示として使用されている(甲第25号証)。
(2)「フィット」「FIT」が自他商品識別力を欠くものと判断されている審査、審判例がある(甲第25号証ないし同第29号証)。
平成11年審判第15168号 商標「SUPERFIT」
査定不服審判2002−778 商標「ジャストフィット」
平成11年審判第2455号 商標「ボディディフィット body fit」
商願2000−65800 商標「楕円形の輪郭内にフリーハンドで『フィット』の文字を表した構成」
(3)以上によれば、本件商標をその指定商品中「貼付用薬剤(パップ剤)及びテープ剤(プラスター剤)」に使用したときには、「(身体に)ピッタリ合う」との商品の品質を表示したものとなる。また、上記商品以外の商品に使用した場合には、商品の品質の誤認を生じるものである。
3 当審の判断
(1)本件商標は、前記のとおり「フィット」の片仮名文字よりなるものであるところ、申立人の提出に係る甲第2号証ないし項第29号証によれば、「フィット」及び「FIT」の文字が指定商品中の「貼付用薬剤(パップ剤)及びテープ剤(プラスター剤)」に使用されている事実は認められるものの、「フィット」「FIT」のみで「ピッタリ合う」という品質を表示するものとして使用されている証左は見当たらない。
また、「フィット」及び「FIT」が、「ピッタリ合う、適合する」という意味を有する外来語、英語であるとしても、例えば、「間接部位にもよくフィットします。」(項第21号証)、「体のどの部位にもピッタリフィット」(甲第22号証)のように、他の語と組み合わせて使用されていることが殆どである。
そして、「フィット」が自他商品の識別標識としての機能を有しないというためには、該語が本件商標の査定時において、その指定商品の品質等を表示するためのものとして普通に使用されている事実が存在し、その事実から、「フィット」の語に接する需要者が、もはや自他商品の識別標識たる商標を表したものと認識し得ない場合をいうものと解されるところ、申立人の提出した証拠よりは、その事実を認めることができない。
そうすると、本件商標「フィット」が自他商品の識別機能を有しないものということはできない。
してみれば、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標ということはできず、自他商品の識別標識としての機能を十分果たし得るものといわなければならない。
なお、申立人は、審査、審判例を示し、「フィット」は自他商品識別力を欠くものと判断されていると主張するが、これらの審査、審判の例は、商標の構成及び指定商品において本件とは事案を異にするものであるから、申立人の主張は採用できない。
(4)以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号、同第4条第1項第16号に違反して登録されたものとすることはできない。
よって、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、結論のとおり決定
する。
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