Trademark Appeal Case
結合商標の一体性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2009−900287(T2009−900287/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5226700号商標(以下「本件商標」という。)は、「U2−pack」の文字を標準文字で書してなり、平成20年7月23日に登録出願、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、平成21年4月24日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
(1)商標法第4条第1項第15号について
本件商標中の「U2」は、世界的に著名なアイルランド国のロックバンドの名称「U2」と同一であり、また、その役務を表示する商標「U2」(以下「引用商標」という。)とも同一である。なお、登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、上記ロックバンド「U2」のメンバーにより設立された会社であって、同ロックバンドの管理・運営や「U2」の名称・商標を保護するために世界各国で商標登録を行っている。
また、本件商標中の「pack」は、「包み、物を収納した容器」等を意味する英語であって、日本でも普通に使用されている。エンターテイメントの分野では、有名な歌手の歌謡は、CDにまとめて販売されているが、その複数個をまとめて称するときに、「・・・pack/パック」のように普通に使用されている。
したがって、本件商標は、その構成中の「U2」と「pack」とが分離して認識されるものであって、著名なロックバンドの名称であり、その提供に係る役務の商標でもある「U2」が想起、連想される。
そして、本件商標の指定商品には、収録されたCDを再生する場合に使用するプレイヤー等が含まれているから、本件商標をこれらの商品等に使用するときは、これらの商品が著名なロックバンド「U2」と何らかの関係にある商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある。
(2)商標法第4条第1項第19号について
仮に商品の出所について混同を生じないとしても、本件商標は、申立人の世界的に著名な名称であり、その提供に係る役務の商標である「U2」の著名性を不正の目的をもって使用せんとする意図になるものであることは容易に推認される。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号又は同第19号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第15号について
甲第15号証は、フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」を出典とするものであって、「U2(ユーツー)はアイルランド出身のロックバンドである。・・・1980年のデビュー以降、・・・アルバムの総売り上げは1億7千万枚を超える。グラミー賞獲得数22はロックバンドとしては最多である。」との記載からすると、「U2」の文字は、ロックミュージックの分野においては、ロックバンドの名称を表示するものとして、本件商標の登録出願時には、一定程度の周知性を獲得していたものと認めることができる。
ところで、本件商標は、前記1のとおり、「U2−pack」の文字よりなるものであるところ、その構成中の「U2」の文字部分は、ローマ文字と数字の組み合わせよりなるものであって、このようなローマ文字と数字の組み合わせは、その指定商品の分野をはじめ、各種商品分野の全般にわたり、商品の種別、規格等を表すための記号等として普通に使用され、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章よりなるものとして認識されているものである。また、同じく「pack」の文字部分は、「包み、荷物、束」などを意味する英語であって、商取引上、商品の形態等を表すものとして普通に使用されている語といえる。そうすると、本件商標を構成する「U2」及び「pack」の各文字部分は、いずれも自他商品の識別標識としての機能を有しないか、有するとしても極めて弱いものといえるものであるが、これらの文字をハイフンを介して結合することによって、本件商標は、全体として特定の意味合いを看取させることはないものの、自他商品の識別機能が発揮され得る造語として把握される商標ということができるものである。
してみれば、本件商標は、これを構成する「U2」及び「pack」の各文字部分を分離して観察すべきではなく、構成全体をもって一体不可分の商標を表したとみるべきものである。
そうとすれば、本件商標は、その構成中の「U2」の文字部分のみが独立して把握、認識されるものとはいえないから、これをその指定商品について使用しても、その需要者をして、該商品がロックバンドの「U2」又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認めることはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第19号について
前記(1)認定のとおり、本件商標は、構成全体をもって一体不可分の商標を表した認識されるものであるから、その構成文字に相応して、「ユーツーパック」の一連の称呼のみを生ずるものであって、特定の語義を有しない造語よりなるものである。
一方、申立人の主張するロックバンドの名称又は該ロックバンドの歌が収録されたCD等に表示される引用商標は、「U2」の文字よりなるものであるから、これより「ユーツー」の称呼を生ずるものであって、ロックミュージックに関連する分野においては、「U2」なるロックバンドを想起するとみるのが相当である。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観において相違するものであることはいうまでもなく、称呼においても、「パック」の音の有無の差異を有するものであるから、明らかに聴別し得るものであり、また、観念においては比較することができない。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
そして、引用商標は、本件商標の指定商品との関係において、著名な商標ということができず、本件商標は、不正の目的をもって使用するものということができないから、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号及び同第19号のいずれにも違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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