結論テキスト
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 異議2008−900390(T2008−900390/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第5145997号商標(以下「本件商標」という。)は、「痛車」の文字を標準文字で表してなり、平成19年12月17日に登録出願、第28類「スキーワックス,遊園地用機械器具(業務用テレビゲーム機を除く。),愛玩動物用おもちゃ,おもちゃ,人形,囲碁用具,歌がるた,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具,運動用具」を指定商品として、同20年5月26日に登録査定、同年6月27日に設定登録されたものである。その後、商標権の一部抹消登録申請書の提出があり(同21年10月8日受付)、指定商品中「おもちゃ(但し自動車おもちゃを除く)」について、商標権の一部放棄による商標権の登録の一部抹消の登録がなされているものである。
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標の登録は取り消されるべきであると主張し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第13号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第3条第1項第3号について
本件商標を構成する「痛車」の文字は、本件商標について登録査定がなされた平成20年5月26日以前より、「アニメやゲームのキャラクターのシールやイラストを貼り付けた車」を意味する語として広く使用され、認識されていたものであるから(甲第1号証ないし甲第4号証)、本件商標をその指定商品中「アニメーションやゲームのキャラクターを描いた自動車を題材とするおもちゃ・遊園地用機械器具・トランプ・遊技用カード・パチンコ器具・スロットマシン・その他の遊戯用器具」に使用する場合には、単に当該商品がいわゆる「痛車」を題材とするものであることを表示するにすぎず、需要者・取引者もかかる商品として認識するにすぎない。
したがって、本件商標は、上記商品の品質や内容を表示するにすぎないから、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。
(2)商標法第4条第1項第16号について
他方、本件商標を上記以外の指定商品に使用する場合には、恰も当該商品がいわゆる「痛車」を題材とするものであるかの如く需要者・取引者の誤認を招くおそれがある。
したがって、本件商標は、上記以外の指定商品につき、当該商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当するものである。
(3)結語
以上述べたように、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、その登録は、同法第43条の2及び同法43条の3の規定に基づき、取り消されるべきものである。
当審において、平成21年5月27日付けで商標権者に対し通知した取消理由は、要旨次のとおりである。
(1)「痛車」の語について
申立人の提出に係る証拠によれば、「痛車」の語については、以下のように説明されている。
自由国民社の2008年1月1日発行の「現代用語の基礎知識 2008」(甲第3号証)には、「アニメやゲームのキャラクターのシールやイラストを貼り付けた車の総称」と記載されており、フリー百科事典「ウィキペディア」(甲第4号証)には、「痛車(いたしゃ)とは漫画・アニメやゲームなどに関連するキャラクターやメーカーのロゴをかたどったステッカーを貼り付けたり、塗装を行った車あるいはそのような改造のことである。」と記載されている。そして、その「痛車の歴史」の項には、「痛車」に類するものが1980年代にすでに存在し、1990年代後半から多くの人に目撃されるようになったこと、2000年代になってオタク文化が世間一般に広く知られるようになると、萌えキャラ(アニメやゲームのヒロイン)をモチーフにしたステッカーや製作会社のロゴをエアブラシで直に塗装したり、フルカラーのシールで貼ったりとその内容がより過激さを増し、インターネットの普及と共にその存在が多くの人々に知られるに至った旨記載されている。 また、ソフトバンククリエイティブ株式会社発行の「痛車ろーど2007春(2007年5月3日発行)」(甲第5号証)や株式会社芸文社発行の「痛車グラフィックス(2008年5月10日発行)」(甲第6号証)のムック本において「痛車」を題材とした記事が掲載されている。
そして、インターネット情報によれば、「痛車」に関するページが、Yahoo!JAPANで約352万件、Googleで約166万件ヒットしていることが認められる(甲第12号証及び甲第13号証)。
(2)本件商標の指定商品と「痛車」の語との関係について
本件商標の指定商品は、上記のとおりであるところ、その指定商品中には「おもちゃ,遊園地用機械器具」が含まれており、例えば、「おもちゃ」の中には「自動車型幼児用四輪車、ミニチュアカー、組立自動車おもちゃ、自動車模型おもちゃ、ラジオコントロール式自動車おもちゃ」等の商品があり、また、「遊園地用機械器具」の中には「遊園地用ゴーカート」の商品が含まれている。
そして、この点に関し、アイティメディア株式会社がインターネット上で提供しているニュースサイトの2008年3月19日付けのニュース記事(甲第7号証)には、本件商標権者が製造販売するプラモデル「痛車シリーズ」に関する紹介記事が掲載されており、当該記事には、「『痛車』は、オタクにとって究極の趣味であるが、実際に自分の車を『痛車化』するのは経済的負担や世間体を気にする一般人には手が出しにくい、しかし、この『痛車』がプラモデルになったため、低価格で憧れの『痛車オーナー』気分が味わえる」旨記載されている。また、本件商標の登録査定日後の記事ではあるが、日本経済新聞社がインターネット上で提供しているニュースサイトの2008年9月22日付けのニュース記事においても、「痛車」に関する話題が取り上げられており、自分の愛車を痛車にする勇気がない人にも痛車の気分が味わえるプラモデルが本件商標権者によって販売されていることが紹介されている(甲第8号証)。
(3)以上の事実に照らしてみれば、本件商標の登録査定の時には、「痛車」の文字は、「アニメやゲームのキャラクターのシールやイラストを貼り付けた車」を総称する語として、或いは、そのような改造を表す語として一般的に用いられていたものであり、さらに、実車ばかりでなく「プラモデル」等のおもちゃの自動車等にも、「痛車」の語の持つ意味が、そのまま波及している実情にあったものというのが相当である。
そうとすれば、本件商標がその指定商品中の「アニメーション等のキャラクターを描いた自動車を題材とするおもちゃ及び遊園地用機械器具」について使用された場合には、これに接する取引者・需要者をして、単に当該商品が「痛車」のデザインからなるもの、あるいは「痛車」を題材としたものであることを理解・認識させるにすぎないというべきであり、また、本件商標をその指定商品中の上記以外のおもちゃ及び遊園地用機械器具に使用するときには、該商品が「痛車」を題材とした商品であるかの如く、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
(4)まとめ
したがって、本件商標は、その指定商品中の「おもちゃ」及び「遊園地用機械器具(業務用テレビゲーム機を除く。)」については、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、その登録を取り消すべきものである。
上記3の取消理由に対して、商標権者は、要旨次のように意見を述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第18号証を提出した。
(1)取消理由中の「痛車」の文字が、「アニメやゲームのキャラクターのシールやイラストを貼り付けた車」を総称する語として、あるいは、そのような改造を表す語として実車に用いられていた点は、指摘のとおりである。
(2)「痛車」に関するページが、Yahoo!JAPANで約352万件、Googleで約166万件(甲第12号証及び甲第13号証)と膨大な件数がヒットしながら、そのヒット件数中から抽出したおもちゃの例は僅か2件であり、該2件は、いずれも本件商標権者に関わる記述であり、該2件の内、1件は登録査定前、残り1件は登録査定後のもので、本件登録査定時に関わるものはわずか1件(甲第7号証)にすぎない。
(3)この客観的事実、つまり、「痛車」に関するページが、本件商標権者に関わる甲第7号証の1件である事実にも関わらず、本件取消理由通知書3(3)中において、おもちゃへ波及している実情を認定したことは、合点がいかない。すなわち、「以上の事実に照らしてみれば、本件商標の登録査定時には、・・・実車ばかりでなく『プラモデル』等のおもちゃの自動車等にも、『痛車』の語の持つ意味が、そのまま波及している実情にあったものというのが相当である。」との認定は、主観的裁量で「実車からおもちゃへの波及の実情」と拡大解釈したもので、本件権利者は、到底これを認めることはできない。
(4)本件取消理由通知書3(3)中の「本件商標がその指定商品中の「アニメーション等のキャラクターを描いた自動車を題材とするおもちゃ及び遊園地用機械器具」について使用された場合には、これに接する取引者・需要者をして、単に当該商品が『痛車』のデザインからなるもの、あるいは『痛車』を題材としたものであることを理解・認識させるにすぎないというべきであり」における「当該商品が『痛車』のデザインからなるもの、あるいは『痛車』を題材としたものであることを理解・認識させる」は、商品の内容が漠然とし、商品の内容を直接的かつ具体的に把握することができないため、本件商標は、商標法第3第1項第3号に該当しないものと思料する。
(5)さらに、本件商標「痛車」は、現時点でさえ、「(先ず実車ありき)アニメーション等のキャラクターを描いた実車そのものをおもちゃ及び遊園地用機械器具に施したもの、又は、実車に描かれたアニメーション等のキャラクターをおもちゃ及び遊園地用機械器具に施したもの」、あるいは、「(実車とは関係なく)アニメやゲームのキャラクターのシールやイラストを貼り付けたおもちゃ及び遊園地用機械器具」と種々連想でき、商品の内容を特定することができない。
それ故、本件商標の登録査定時、本件商標を商品「おもちゃ及び遊園地用機械器具」に使用した場合、これに接する取引者・需要者は、本件商標「痛車」から、直ちに、商品の内容を直接的かつ具体的に把握することができたとは到底考えられない。
(6)まとめ
したがって、本件商標は、商品「おもちゃ及び遊園地用機械器具」に使用した場合、本件商標の登録査定時にあって、直ちに、商品の内容を直接的かつ具体的に把握できず、本件登録査定の判断時、本件商標は、商品「おもちゃ及び遊園地用機械器具」にあっては、本件登録異議において認定した「スキーワックス,愛玩動物用おもちゃ,人形,囲碁用具,歌がるた,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具,運動用具」と同様に、特定の意味合いを有しない一種の造語として認識されるべきものであり、本件商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しないものと思料する。
なお、本件商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとの判断を維持される可能性があることを考慮し、本件商標が商標法第3条第2項に該当する証拠を提出する。
本件商標についてした取消理由の通知(上記3)は妥当なものであって、本件商標の登録はその指定商品中の「おもちゃ」及び「遊園地用機械器具(業務用テレビゲーム機を除く。)」については、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるといわざるを得ないものである。そして、取消理由に対する商標権者の意見は、次のとおり、採用することができない。
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について 商標権者は、「実車ばかりでなく『プラモデル』等のおもちゃの自動車等にも、『痛車』の語の持つ意味が、そのまま波及している実情にあったものというのが相当である。」との認定は、審判官の主観的裁量で「実車からおもちゃへの波及の実情」と拡大解釈したものであり、本件商標は、その登録査定時にあって、商品「おもちゃ及び遊園地用機械器具」に使用しても、直ちに、商品の内容を直接的かつ具体的に把握できず、特定の意味合いを有しない一種の造語として認識されるべきものであり、本件商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しないものである旨主張している。
しかしながら、取消理由で認定したとおり、「痛車」の文字は、「アニメやゲームのキャラクターのシールやイラストを貼り付けた車」を総称する語として、あるいは、そのような改造を表す語として一般的に用いられていたものであり、自動車おもちゃや遊園地用ゴーカートは、実車をモデルにしたものが多数あること、及びその需要者等は、実車に興味を有する者が少なくないと考えるのが自然であること(甲第8号証の記載もこれを裏付けるものといえる)を合わせみれば、本件商標は、その登録査定時において、これをその指定商品中、アニメーション等のキャラクターを描いた自動車を題材とするおもちゃ及び遊園地用機械器具」について使用するときは、これに接する取引者・需要者をして、「痛車」の文字を当該商品が「痛車」のデザインからなるもの、あるいは「痛車」を題材としたものであるという商品の品質を表したものと理解・認識するにすぎないものというべきである。また、本件商標をその指定商品中の上記以外のおもちゃ及び遊園地用機械器具に使用するときには、該商品が「痛車」を題材とした商品であるかの如く、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、商標権者の上記主張は採用することができない。
(2)商標法第3条第2項について
商標権者は、本件商標は、大々的な宣伝・広告によって、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものであるから、商標法第3条第2項に該当すると主張し、乙第1号証ないし乙第18号証を提出しているので、以下、検討する。
ア 乙第1号証の3枚目、乙第8号証の2枚目、乙第9号証の3枚目、乙第10号証の2枚目及び3枚目、乙第11号証の2枚目ないし4枚目、乙第12号証の2枚目、乙第13号証の4枚目、乙第14号証の6枚目、乙第15号証の2枚目に使用されている標章(別掲)は、デザイン化された「痛車」の文字中に極めて小さく「いたしゃ」の文字を表してなる態様であり、本件商標とは構成態様を著しく異にするものである。
イ 上記標章以外の乙各号証の「痛車」の文字の使用は、商品が痛車のおもちゃであるという商品の品質(種類)を表すものとして使用されているとみるのが相当である。
なお、提出された証拠のうち本件登録査定の前のものは、乙第5号証及び乙第7号のみである。
ウ 乙第16号証及び乙第18号証の「証明書」は、商標権者があらかじめ印字した証明書書式に、証明者が日付けを記入し、記名、押印して作成されたもので、証明者が何を根拠に証明しているのか明らかでないから、これら証明書の価値を高く評価することはできない。
エ さらに、職権調査によれば、例えば、次のように、商標権者以外の者が「痛車」の文字を「自動車おもちゃ」の品質(種類)を表すものとして使用している事実がある。
(ア)楽天ブログと称するウェブページに「痛車ブーム極まる!?【タミヤ ミニ四駆 初音ミクSPECAL】 」の記載(http://plaza.rakuten.co.jp/kaccess02/diary/200903010000/)。
(イ)マイコミジャーナルと称するウェブページに「CCPから『アイドルマスター』のR/C痛車、765プロver.と961プロver.が登場!」の記載(http://journal.mycom.co.jp/news/2009/01/22/061/index.html)。
オ そうとすると、本件商標は、使用された結果、需要者が商標権者の業務に係る商品であることを認識するに至っていたものと認めることは困難である。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中、第28類「おもちゃ,園地用機械器具(業務用テレビゲーム機を除く。)」については、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
また、その余の指定商品については、取り消すべき理由がないから同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持するものとする。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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