Trademark Appeal Case
品質表示と役務の結合の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2008−27982(T2008−27982/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「PREMIUM LASIK」の文字を表してなり、第44類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成19年3月2日に登録出願されたものであるが、その後、指定役務については、原審における同年11月28日付け手続補正書により、第44類「レーザー近視矯正手術,レーザー近視矯正手術に関する医療情報の提供,レーザー近視矯正手術に関する相談及びカウンセリング,レーザー近視矯正手術のための手術用機械器具の貸与」と補正されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は「PREMIUM LASIK」の文字からなり、その構成中の「PREMIUM」の文字は、「割増金、手数料」を意味する語であるが、他に「上質な、上等な」の意味合いも有しており、また、「LASIK」の文字は、「レーザー近視矯正手術」を意味する語であり、この眼科医療の分野では普通に使用されているものである。そうすると、本願商標を指定役務に使用しても、これに接する需要者は、単に「上質な(効果や安全性などがより優れた)レーザー近視矯正手術」であること程の意味合いを認識・理解するに止まり、単に役務の内容、質を表示するにすぎないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審の判断
本願商標は、前記第1のとおり、「PREMIUM LASIK」の文字よりなるところ、その構成中「PREMIUM」の文字部分は「(同種の他のものより)上等な、上質な」(小学館ランダムハウス英語大辞典)の意味を、また、「LASIK」の文字部分は「レーザー近視矯正手術」(現代用語の基礎知識 2009)の意味をそれぞれ有するものである。
そして、その構成中「LASIK」の文字及びその表音である「レーシック」の文字が、眼科医業における「近視・乱視の視力矯正手術・治療」の名称として普通に使用されている実情、また、その構成中「PREMIUM」の文字及びその表音である「プレミアム」の文字が、他の語と結びついて、従来のものより高品質な商品や上質な役務であることを示す語として、本願指定役務を取り扱う業界を含めた様々な業界において頻繁に使用されている実情があるところ、これらの実情は、例えば、以下の新聞記事やインターネットにおけるウェブサイトの情報からも十分に裏付けられるところである。
1 「LASIK」の文字及びその表音である「レーシック」の文字について
(1)「近視の視力回復術 手術・治療で裸眼生活も程度に合った適切な方法を」の見出しのもと、「近視の人の視力を改善する手術や治療法が普及しつつある。レーザーで角膜を削る『LASIK(レーシック)』に加え・・・」の記載。(2005.4.17付 読売新聞 大阪朝刊 13頁)
(2)「特集:地域医療を考える 目のトラブル、眼病予防 定期健診」の見出しのもと、「◇レーシック、近視の矯正に −最近、近視を治す手術が増えているそうですね。 ◆レーシック(LASIK)と呼ばれています。『角膜の層にレーザーを照射して組織を薄く切除する』という意味の英語の頭文字から名付けられました。」の記載。(2007.4.27付 毎日新聞 大阪朝刊 16頁 特集面)
(3)「レーシックdeかわろ!」のウェブサイトにおいて、「レーシックの基礎知識」の見出しのもと、「レーシックとはレーザーによる近視矯正手術です。 痛みがほとんど無くわずか15分程度の手術で視力回復ができる手軽さから、現在とても注目されている視力回復方法です。」の記載。(http://lasik.kawaro.net/guide/)
(4)「メルマガスタンド[メルマ!]」のウェブサイトにおいて、「レーシックとは?」の見出しのもと、「レーシック(Laser Assisted in-Situ Keratomileusis)とは、角膜屈折矯正手術の一種で、レーザーによる視力矯正手術です。正式名称はレーザー角膜屈折矯正手術といい、エキシマ・レーザーを使って角膜の中央部を削り、角膜の形状を変えることによって屈折率を変化させ、視力を回復させる方法です。」の記載。(http://melma.com/lasik/)
2 「PREMIUM」の文字及びその表音である「プレミアム」の文字について
(1)「品川近視クリニック」のウェブサイトにおいて、「品川近視クリニックの品川プレミアムスーパーイントラレーシック」の見出しのもと、「品川プレミアムスーパーイントラレーシックの特徴は、プレミアムと言われるだけありドクターから使用する機材と設備、費用対効果まですべて最高級のものをそろえたレーシック手術である、ということです。」の記載。(http://www.tk-wave.com/92.html)
(2)「SBC新宿近視クリニック」のウェブサイトにおいて、「SBCプレミアム iLASIK(アイレーシック)」の見出しのもと、「フラップの作成から角膜の屈折矯正まで、患者様一人一人の目の状態に合わせてカスタマイズしたレーザー照射を行うことで、光の焦点を網膜の1点に集めることが可能になり、視力だけでなく見え方の質も向上させることが可能です。」の記載。(http://www.jpal.com/way/way02.html)
(3)「TRSC International LASIK Center」のウェブサイトにおいて、「プレミアム・レーシック」の見出しのもと、「プレミアム・レーシックは、近視、遠視、乱視の効果的で安全な治療法であり、今まで満足のいく優れた結果を上げてきました。・・・プレミアム・レーシックでは、手術を受けた99%の人が自動車運転免許申請で眼鏡不要視力にまで回復するなど、他の多くのレーシック機関におけるレーシックよりも優れた手術結果を上げています。」の記載。(http://www.lasikthai.com/jp/treatment/lasik/technology.php)
(4)「アカチャンホンポ(通販)」のウェブサイトにおいて、「takata04-neo premium(プレミアム) 大人気 『takata04−neo』のプレミアモデル登場!」の見出しのもと、「チャイルドシートアセスメントで史上初の乳児用・幼児用の両モード『優』を獲得した『takata04-neo』シリーズの上級モデルが登場! 誰でも簡単にしっかり固定できる『ママ楽ハンドル』に加え、安全性・快適性を徹底追及した新システムを搭載して、さらにグレードアップ! デザイン面にもこだわり、素材や質感を生かした落ち着きのあるカラーを採用するなど、安全性、快適性、デザイン性を兼ねそなえたタカタのプレミアムモデルです!」の記載。(http://shop.akachan.jp/shopping/g/g888010300)
(5)「IT+PLUS」のウェブサイトにおいて、「ヤフーとシャープがカギ握るソフトバンクモバイルの『プレミアム』戦略」の見出しのもと、「ソフトバンクモバイルは22日、2007年冬モデルの携帯新機種を発表した。注目は『プレミアム』をテーマに高級感を訴求した薄型ワンセグモデルと、ガンダム世代に響く『シャア専用ケータイ』だ。・・・『THE PREMIUM 820SH/821SH』は、13ミリ前後の薄さにワンセグとおサイフケータイを内蔵。薄型でありながら、ステンレス素材により高級感を醸し出している。」の記載。(http://it.nikkei.co.jp/mobile/column/columngyoukai.aspx?n=MMIT0f000025102007)
(6)「価格.com」のウェブサイトにおいて、「金融機関のプレミアムサービス」の見出しのもと、「ワンランク上の金融商品を利用できるのも大きなポイント。プレミアムサービス用の金融商品には、高度な金融テクノロジーを活用したものや、有利な手数料が設定されているものがラインアップされています。専用のポートフォリオの作成はもとより、顧客ニーズに合わせて新たな商品を作ってくれる金融機関もあります。一歩進んだ金融商品を活用することで、ワンランク上の資産運用が可能になるかもしれません。」の記載。(http://kakaku.com/article/money/premium/p1.html)
(7)「TechCrunch」のウェブサイトにおいて、「携帯版へのサイト変換サービスのMoFuse、プレミアム版をリリース(割引コードあり)」の見出しのもと、「MoFuseの企業向けプレミアム版は従来のサービスとはまったく別個のプラットフォームで、従来の一般ブログ向けサービスもそのまま継続される。プレミアム・サービスは企業向けに高品質な携帯サイトを制作する。」の記載。(http://jp.techcrunch.com/archives/20090421mobile-site-developer-mofuse-rolls-out-premium-service/)
(8)「NIKKEI NET」のウェブサイトにおいて、「デサント、アウトドアブランド『マーモット』から『900プレミアムダウンジャケット』を発売」の見出しのもと、「株式会社デサントは、アウトドアブランド『マーモット』より、最高品質のダウンを使用しながら、シルエットやカラー展開など着まわしの良さにもこだわった「900プレミアムダウンジャケット」を発売致します。」の記載。(http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=234241=4)
(9)「NTT西日本」のウェブサイトにおいて、「フレッツ・光プレミアム サービスの特徴」の見出しのもと、「安心のセキュリティ機能および高品質なテレビ電話機能を基本機能とした新アクセスサービス」の記載。(http://flets-w.com/hikari-p/tokuchou/)
以上からしても、「PREMIUM LASIK」の文字に接する取引者、需要者が、「(同種の他のものより)上質なレーザー近視矯正手術・治療」のごとき意味合いを理解、認識することは容易というべきである。
してみれば、本願商標をその補正後の指定役務に使用した場合、これに接する取引者、需要者をして、単に役務の質を表示したものと理解するにとどまり、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないというのが相当である。
なお、請求人は、「PREMIUM」や「プレミアム」の文字を含む過去の登録例を挙げ、「『PREMIUM』の語は一般的に「上等な、上質な」のような等級表示的な使用がされているとは言えず、該文字自体が造語的に作用して識別力を有する言葉である。」旨主張しているが、本願商標が上記拒絶の理由に該当するか否かは、当該商標の査定時又は審決時において、その商標が使用される取引の実情等を考慮し、個別具体的に判断されるべきものであるから、それらの既登録例に拘束される理由はない。
また、前記した実情に加えて、過去の判決例においても、「『プレミアム\PREMIUM\Premium』等の標章は、飲料業界において、従来品より高級・上質であることを示す言葉として商品名に使用され始めて以降、他の業界においても、同様の意味を有する商品や役務を示す言葉として頻繁に使用されるようになり、これらの商品や役務が大きく宣伝広告され、広く普及したことに伴い、『高品質の、高級な、高価な』を意味する言葉であるとの認識も、一般的に普及するようになったといえるから、『premium』の文字は、取引者、需要者に対し、商品又は役務の出所識別標識として強く印象的な印象を与えるものとは認められない。」(平成20年(ワ)第4733号 商標権侵害差止等請求事件判決参照)旨判示されていることからも、「PREMIUM」の文字が「(従来のものより)高品質な商品や上質な役務」のように等級表示的な意味合いで認識されているものと認められるから、本願商標は、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないとみるのが相当である。
そして、商標法第3条第1項第3号の趣旨は、同号列挙のものは通常、商品や役務を流通過程又は取引過程に置く場合に必要な表示であるから、何人も使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであるから一私人に独占を認めるのは妥当でなく、また、現実に使用され、あるいは、将来一般的に使用されるものであることから、出所識別機能を認めることができないものと解される。(社団法人発明協会発行 特許庁編「工業所有権法逐条解説(第17版)」参照)
そうすると、本願商標「PREMIUM LASIK」については、その指定役務との関係において、これに接する取引者、需要者をして、役務の質を表示したものとして理解するにとどまると判断するのが相当であること、上述のとおりであり、前記の趣旨からして特定人に独占させることは適切ではないものであるから、請求人の該主張は、採用することができない。
したがって、本願商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するとした原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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