Trademark Appeal Case
結合商標の記述性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2008−28817(T2008−28817/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「こころの専門医ネットワーク」と標準文字で表してなり、第35類「医師の紹介,医師の取次ぎ,医師の紹介又は医師の取次ぎに関する情報の提供,医師のあっせん」及び第44類「医療情報の提供,健康診断,医療機関の紹介,医師の関する情報の提供,健康相談,医療に関する相談,医療情報に関する助言又は指導,栄養の指導」を指定役務として、平成19年5月31日に登録出願、その後、指定役務については、原審における平成20年5月22日付け手続補正書により、第35類「医師の紹介,医師の取次ぎ,医師の紹介又は医師の取次ぎに関する情報の提供,医師のあっせん」及び第44類「医師に関する情報の提供その他の医療情報の提供,健康診断,医療機関の紹介,健康相談,医療に関する相談,医療情報に関する助言又は指導,栄養の指導」と補正されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『こころの専門医ネットワーク』の文字を標準文字で表してなるものであるが、心療内科などこころの病気に対応する専門の医師について『こころの専門医』や『心の専門医』の文字が使用されている実情が見られ、そのような医師を紹介したりこれに関する情報を提供したりするネットワークが提供されている実情も見られるから、当該文字全体よりは、『こころの専門医に係るネットワーク』程の意味合いを認識させるもので、これをその指定役務のうち前記照応する役務(例えば、『医師の紹介,医師の紹介又は医師の取次ぎに関する情報の提供,医療情報の提供』など)に使用するときは、これに接する取引者、需要者をして、こころの専門医に係るネットワークにより提供される役務であるといったように前記意味合いを認識するに止まり、単に役務の質、内容を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審の判断
1.本願商標から生じる意味合いについて
本願商標は、上記第1のとおり、「こころの専門医ネットワーク」の文字を表してなるものである。
ところで、本願商標の構成中「こころの専門医」と「ネットワーク」の各文字は、新聞記事情報及びインターネット情報によれば、以下の(1)及び(2)の事実が認められる。
(1)「こころの専門医」の文字について
「こころの専門医」の文字及び「心の専門医」の文字は、本願指定役務に係る業界において、「精神科・精神腫瘍科・神経科・心療内科等の専門医」(以下「精神科等の専門医」という。)を意味する語として広く一般に使用されていることが窺える。
なお、構成中の「こころ」の文字を漢字で「心」と表記した「心の専門医」の文字が使用されている事実も認められるが、両者は、その意味合いにおいて異なるところはないから、「こころの専門医」の構成からなる本願商標にあっても、以下の新聞記事情報及びインターネット情報における「心の専門医」と同様の意味合いを認識させるにすぎないものとみるのが相当である。
ア 「朝日新聞」(2008年11月20日付け、大阪朝刊23頁)
「(発達障害とともに)反響再び:下 子の未来、託せる社会に 【大阪】」の見出しの下、「今年、高2になり、思春期の
心の専門医
にアスペルガー症候群と診断された。障害を学校に伝え、理解を求めた。今は先生の配慮も得られ、楽しそうに登校している。」の記載。
イ 「朝日新聞」(2007年8月22日付け、大阪朝刊29頁)
「私の確言:朝青龍は“心の病”か=精神科医・香山リカ」の見出しの下、「誰もが気軽に
心の専門医
のもとを訪れるようになったのはよいことだが、ふと「従来であれば、これは医療が解決する問題ではなかったのでは」と思ってしまう場面も少なからずある。」の記載。
ウ 「高知新聞」(2007年8月22日付け、朝刊3頁)
「『社説』 子供の心のケア 早期発見・治療の体制を」の見出しの下、「子供の
心の専門医
とともに、「心の応急手当て」ができる大人も絶対的に不足している。」の記載。
エ 「朝日新聞」(2007年7月28日付け、東京朝刊33頁)
「(くらし見渡せば 07参院選)少子化対策 子育て支援、ニーズと溝」の見出しの下、「新党日本は子どもの自殺やいじめが急増する中、子どもの
心の専門医
の育成や相談体制の充実などを掲げる。」の記載。
オ 「愛知県」のサイトの「その他社会資源等」の項目中に、「【
こころの専門医
】/
こころの専門医
としては、精神科・神経科・心療内科があります。」の記載がある。
(http://www.pref.aichi.jp/0000013573.html)
カ 「グラクソ・スミスクライン株式会社」のサイトの「こころのくすり箱」の項目中に、「
こころの専門医
/うつ病が専門的に治療できる病医院には、精神科、神経科、心療内科、メンタルクリニックなどがあり、この中のどの病医院(あるいは診療科)を受診してもかまいません。」の記載がある。
(http://utsu.jp/08.html)
キ 「静岡県立静岡がんセンター」のサイトの「web版がんよろず相談Q&A」の項目における「助言」中に、「がん患者さんのこころのケアを行う専門の科として、精神腫瘍科を設けている病院もありますが、精神腫瘍科以外にも、精神科、心療内科などを標榜している病院には、
こころの専門医
がいます。」の記載がある。
(http://cancerqa.scchr.jp/jyogen_3900186.html)
ク 「北海道精神神経科診療所協会」のサイトの「会長挨拶」の項目中に、「北海道精神神経科診療所協会(北精診)は、北海道内で
こころの専門医
として精神科診療所を開設している精神科医の集まりです。」の記載がある。
(http://www.hokuseishin.com/aisatu.html)
ケ 「愛知県安城市」のサイトの「うつスクリーニングのための質問」の項目中に、「どうも不調が続いていると感じたらそのままにせず、早めに精神科(神経科)や心療内科などの
こころの専門医
を受診し相談するようにしましょう。」の記載がある。
(http://www.city.anjo.aichi.jp/kurasu/kenko/column/kokoro.html)
コ 「茨城県牛久市」のサイトの「保健センター通信」の項目中に、「こころの病気は、特別なことではなく、誰にでも起こりうる病気です。自分や周囲の人がこころの病気にかかったなと思ったら、
こころの専門医
に相談しましょう。」の記載がある。
(http://www.city.ushiku.ibaraki.jp/info/kouhoushi/2005_06_01/p06hoken.htm)
サ 「暮らし、生活、田舎 [ふるさと] を応援する地域情報検索エンジン Winds!」のサイトの「病院」の項目における「まきもとメンタルクリニック」中に、「うつ病・ストレス性障害などの『
こころの専門医
』です。」の記載がある。
(http://www.windsnet.ne.jp/dir14/k14118/8_1.html)
シ 「CityDO!」のサイトの「医療法人 恵明会 関谷医院」の項目中に、「ちばの身近な
こころの専門医
」の記載がある。
(http://www.citydo.com/prf/chiba/guide/sg/270000203.html)
ス 「医療法人みどり会 中村病院」のサイトの「心療内科」の項目における「心療内科と神経内科との違いは?」中に、「
こころの専門医
である心療内科と違い、神経内科の専門は脳卒中やパーキンソン病など神経そのものの状態が悪い病気です。」の記載がある。
(http://midori.jpn.org/sinryounaika.htm)
セ 「心の風クリニック」のサイトの「外来」の項目中に、「精神保健法指定医8名を含む、12名の
こころの専門医
が診察をいたします。」の記載がある。
(http://k-kaze.jp/outpatient.html)
ソ 「フィールファインクリニック」のサイトの「うつ状態(うつ病、躁うつ病)」の項目中に、「これまでになかった問題解決手段の一つとして、
こころの専門医
への相談という試みを行なうことはとても勇気がいることかもしれませんが、潜在的なうつ病患者が600万人いると言われ、人が一生涯にうつ病に罹患する確率が概算で10人に1人程度はいるという現状ですから、想定される対処手段の中でも最も適切なものの一つと考えて下さって間違いはないと思われます。」の記載がある。
(http://www.feelfine-cl.com/utu/index.html)
(2)「ネットワーク」の文字について
「ネットワーク」の文字は、「ラジオ・テレビなどの放送網。一般に、網状の組織。」(コンサイス カタカナ語辞典 第3版)の意味を有し、本願指定役務に係る業界においては、「網状の組織」又は「通信ネットワーク」程の意を表す語として広く一般に使用されていることが窺える。
ア 「共同通信」(2000年9月18日付け)
「『ニュース百科』温泉療養の宿」の見出しの下、「温泉にゆったりつかりながらストレス解消や疲労、病気の回復に専念できるように民間活力開発機構(里敏行理事長)が、全国の旅館・ホテルや
温泉療法の専門医ネットワーク
と連携し、七月から始める温泉地活性化支援事業。」の記載がある。
イ 「読売新聞」(2009年10月17日付け、大阪朝刊 29頁)
「性犯罪被害者を支援 県警、医療機関ネットワーク=徳島」の見出しの下、「県警と県立中央、徳島赤十字の両病院など18医療機関(医師19人)が、性犯罪の被害者支援組織『
性犯罪被害者支援のための県警・産婦人科医ネットワーク
』を発足させた。」の記載がある。
ウ 「中日新聞」(2009年4月14日付け、朝刊 20頁)
「財政や医療 持論展開 彦根市長選 5氏が公開討論会」の見出しの下、「また、市立病院の医師不足対策として、大久保氏は『開業医、勤務医、看護師が市民と病気に向き合う体制』を挙げ、和田氏は『身近な医師の情報提供と
開業医ネットワーク
の構築』と主張した。」の記載がある。
エ 「朝日新聞」(2009年1月28日付け、名古屋夕刊 11頁)
「(地域医療はいま)支える、町の小児救急 名古屋・天白区の開業医5人 【名古屋】」の見出しの下、「小児科の開業医5人が回り持ちで、平日夜の1次救急を担う『
小児科医ネットワークなごや
』。」の記載がある。
オ 「中日新聞」(2006年10月25日付け、朝刊 22頁)
「学生がユニークな取り組み 小児科医不足 志望者増やせ 上手に診るコツ実習 交流で魅力確かめ合う」の見出しの下、「小児科医不足が問題になる中、医学生同士が交流し、子どもの命や健康を守る仕事のやりがいをつかんでいこうという取り組みがある。日本外来小児科学会所属の組織として承認された『
医学生・研修医ネットワーク
』(通称・こどもどこ)。」の記載がある。
カ 「週間がん」のサイトの「血液内科最前線からのレポート」の項目中に、「
西日本若手血液臨床医ネットワーク
(West-JYH)事務局」の記載が、また、「近年の医療を取り巻く環境や研修制度の変化により、血液内科を志す若手医師は減少しつつある。大学単位での人材や情報の交流は限られており、特に若手医師が不足する地方では、閉塞状況に陥っている。そこで、今回、私たちは中国四国地区において、若手血液臨床医自らの運営によるネットワークを立ち上げ、『他流試合』を通じて地域単位で血液内科の輪を広げていく試みを行った。」の記載がある。
(http://www.gekkan-gan.co.jp/index08.11.28.htm#2)
キ 「一般財団法人 日本医療情報学会」のサイトの「第 18 回 医療情報学連合大会 18th JCMI(Nov.,1998)」の項目中に、「
三重県病理医ネットワーク
による遠隔病理診断およびコンサルテーションの実践」の記載がある。
(http://www.jami.jp/18taikai/18jcmi_data/pdfs/3F13.pdf)
ク 「
かがわ遠隔医療ネットワーク
」のサイトの中に、「医療機関の役割分断と連携による地域医療の充実を目指す全国初の全県的な
遠隔医療ネットワーク
」の記載がある。
(http://www.m-ix.jp/)
ケ 「
へき地医療情報ネットワーク
/へき地ネット」のサイトの「へき地医療電話相談」の項目中、「へき地ネットに登録されたへき地診療所の医師に、各専門領域の医師による24時間の電話相談を提供するサービスです。」の記載がある。
(http://www.hekichi.net/Scripts/hkhome.asp)
コ 「株式会社インテージ」のサイトの中に、「
医師ネットワーク
/医師を対象とするインターネット調査を実施することで、医師自身が実施する学術調査研究を支援します。」の記載がある。
(http://210.154.97.67/service/healthcare/doctor/)
サ 「
山形女性医師ネットワーク
」のサイトの中に、「
山形女性医師ネットワーク
/
山形女性医師ネットワーク
にようこそ。ここは、山形県内で勤務・開業、あるいは在住する女性医師の生活と仕事を支援するサイトです。 」の記載がある。
(http://yamajoseiishinet.fc2web.com/)
シ 「
株式会社 メディカル・ネットワーク
」のサイトの中に、「
メディカル・ネットワーク
は、『医療人財ビジネス』に挑戦し、正確な情報提供とHospitalityで貢献します。/『選択と集中』・『スピード』&『高い倫理観』/当社は、多くの先生方からの御支援の下、医師の紹介業に参入致しました。」の記載がある。
(http://www.medicalnetwork.jp/AboutUs.aspx)
ス 「
漢方健康ネットワーク
」のサイトの「
漢方健康ネットワーク
とは」の項目中に、「QOL(クオリティー・オブ・ライフ=生活の質)の向上を目指して、健康で元気に生活できるように会員同士が語り合い、情報を交換したり、医師や学者など専門家の方々を招いてセミナーや勉強会を行っています。さらに、関係各種の団体と携して総合的な情報を発信し、漢方薬や代替療法に関する疑問や質問から漢方と健康に関する最新情報などまで、提供を行っています。」の記載がある。
(http://www.kenko-network.jp/)
(3)まとめ
上記(1)及び(2)の実情よりすれば、本願商標「こころの専門医ネットワーク」の文字は、「こころの専門医」の文字と、「ネットワーク」の文字を結合したものと認められ、全体として「精神科等の専門医による網状の組織」又は「通信ネットワークを介した精神科等の専門医による診療・相談」程の意味合いを容易に認識されるとみるのが相当である。
2.本願商標の商標法第3条第1項第3号及び第4条第1項第16号の該当性について
前記1.より判断すると、「こころの専門医ネットワーク」の文字よりなる本願商標を、その指定役務中、「こころの専門医」及び「ネットワーク」の各文字の意味合いに照応する役務、例えば、「通信ネットワークによる精神科等の専門医の紹介・取次ぎ・あっせん」、「通信ネットワークによる精神科等の専門医の紹介に関する情報の提供」、「通信ネットワークを介した精神科等の専門医による健康診断・健康相談・医療に関する相談」に使用しても、単に役務の質、提供の方法を表示するものであり、自他役務の識別標識としての機能を果たすものとは理解されないとみるのが相当である。
また、本願商標を前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質等について誤認を生じせるおそがあるといわざるを得ない。
3.請求人の主張(要旨)
請求人は、原審における意見書及び審判請求書において、「『こころの専門医ネットワーク』が、本願指定役務について、その役務の質や効能を表示する語として、我が国市場において一般に広く使用される事実は皆無であり、商標法第3条第1項第3号の規定の趣旨に即していえば、本願商標は、『すでに一般的に使用された商標』ではなく、かつ『将来必ず一般的に使用される商標』たる蓋然性も存しないと断じうるところである。」旨主張している。
しかしながら、本願商標は、その構成全体として使用されている事実はないとしても、その指定役務の取引の実情を考慮すると、前記2.の認定のとおり、全体として役務の質、提供の方法を表示したものと認識させるにすぎないものである。
そして、本願商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するか否かの判断にあっては、高裁判決においても、「商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである(東京高裁、平成12年(行ケ)76号判決)。」と判示されているところである。
してみれば、「こころの専門医ネットワーク」の語が、本願指定役務に係る業界において、役務の質等を表すために普通に使用されている事実がないことのみによって、本願商標が当該法条に該当することを否定することはできないから、請求人の上記主張は採用することができない。
また、請求人は、登録例を挙げ、本願商標も自他役務識別標識としての機能を果たしうるものである旨主張しているが、そもそも、商標の識別性の判断は、各商標につき、それぞれの構成態様や取引の実情等をも勘案し、個別具体的に判断されるべき性質のものであるばかりでなく、請求人の主張している登録例をもって本件の判断が拘束されるものでもないから、請求人の主張は、採用することができない。
その他の請求人の主張をもってしても、原査定の拒絶の理由を覆すに足りない。
4.結論
以上によれば、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び第4条第1項第16号に該当するものとして、本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことができない。
よって結論のとおり審決する。
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