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Trademark Appeal Case

商標不使用取消の証拠評価

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2009−300096(T2009−300096/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4908581号商標(以下「本件商標」という。)は、「DAVINCI」の欧文字を書してなり、平成17年3月24日に登録出願、第33類「洋酒,果実酒」を指定商品として、同年11月18日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張

請求人は、商標法第50条第1項の規定により本件商標の登録を取消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1及び第2号証を提出した。

1 本件商標は、その指定商品について、過去3年間日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実がない。

したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消されるべきである。

2 答弁に対する弁駁

(1)乙第1号証について

被請求人は、乙第1号証として、被請求人と「株式会社グローバル・リカーサプライ」(以下「グローバル・リカーサプライ社」という。)との間で締結した「DAVINCI」を冠する果実酒についての独占販売店契約書を提出しているが、グローバル・リカーサプライ社が、現実に、果実酒に対して「DAVINCI」を使用していることを示す証拠は何ら提出されていない。

(2)乙第2号証について

被請求人は、乙第2号証として、「株式会社ドン・キホーテ」から被請求人に発注した「仕入商品発注書」を提出しているが、この乙第2号証は、以下の理由により、本件商標がその指定商品について使用されていたことを立証する証拠にはなり得ない。

本件商標は、「DAVINCI」の欧文字を同書、同体、同間隔に横書きしてなるものであるため、本件商標からは「ダヴィンチ」の称呼が生ずる。

これに対して、乙第2号証に記載されている商品名は「ダ・ヴィンチ」であり、この商品名からは「ダ」と「ヴィンチ」との間に中点があることから、「ダ」と「ヴィンチ」との間で一拍おいて「ダ ヴィンチ」の称呼が生ずることになる。

この「ダ ヴィンチ」の称呼は、イタリアを代表する芸術家の名前「Da Vinci」として広く知られているため、この乙第2号証の商品名を称呼する者は、同芸術家を念頭において称呼するため「ダ」と「ヴィンチ」との間に十分に間を空けて、二つの言葉が繋がらないように称呼する。この乙第2号証の商品名から生じる称呼「ダ ヴィンチ」は、本件商標から生ずる「ダヴィンチ」とは異なるものである。

また、本件商標は、上記したように、「DAVINCI」の欧文字を同書、同体、同間隔に横書きしてなるものであるため、これよりはイタリアを代表する芸術家の名前「Da Vinci」の観念は生じ得ない。

よって、乙第2号証に記載されている商品名「ダ・ヴィンチ」は、本件商標「DAVINCI」に対して、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標といえるものではない。

したがって、乙第2号証は、本件商標がその指定商品について使用されていたことを立証する証拠にはなり得ない。

さらに、乙第2号証には、「ダ・ヴィンチ 赤」、「ダ・ヴィンチ 白」と記載されているだけであって、これが如何なる商品を指しているかが明確でないため、乙第2号証が如何なる商品についての発注書であるか分からない。この点からみても、本件商標がその指定商品について使用されていることを立証する証拠にはなり得ない。

(3)乙第1及び第2号証の信憑性について

乙第1号証の第1条には、被請求人(ネスコジャパン株式会社)が、グローバル・リカーサプライ社を、日本国内における唯一の独占的な販売店と指定することが明記されている。

そして、乙第1号証の第6条には、別段の意思がない限り、契約が同一条件をもって1年間更新されることが明記されている。

乙第1号証によれば、契約の期限は2007年1月10日迄となっているが、被請求人が同契約が解除されたことを示す書類を何ら提出していないことから、同契約は、2007年1月10日以降も継続して更新されているものと判断するのが相当である。

すなわち、乙第1号証によれば、グローバル・リカーサプライ社が日本国内における唯一の独占的な販売店である。

しかしながら、被請求人の提出した乙第2号証によれば、被請求人は、日本国内における唯一の独占的な販売店であるグローバル・リカーサプライ社を通さず「株式会社ドン・キホーテ」から商品の発注を受けており、乙第1号証と矛盾する。

このように、乙第1号証と乙第2号証とは、その内容が矛盾しているため、両証拠の信憑性は極めて低いものである。

(4)よって、被請求人が提出した乙第1及び第2号証は、その信憑性が低いものであり、かつ、信憑性を考慮しない場合であっても、過去3年間日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者の何れかが、本件商標を、その指定商品について使用したことを立証する証拠にはなり得ない。

以上のように、被請求人は、過去3年間日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者の何れかが、本件商標を、その指定商品について使用したことを立証する証拠を何ら提出していない。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び審尋に対する回答の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1ないし第4号証を提出した。

1 答弁の理由

被請求人は、2005年(平成17年)11月18日付けで本件商標を登録し、審判請求の登録があった2009年(平成21年)2月3日前3年以内に日本国内において、その指定商品につき、本件商標の使用をしている。

2 審尋に対する回答(第2答弁)の理由

被請求人とグローバル・リカーサプライ社が締結した、「DAVINCI」を冠する果実酒についての独占販売店契約書の下、実際の取引が行われていたことを証明する被請求人の納品書、及び請求書を提出する。

第4 当審における審尋について

審判長は、被請求人に対し、平成21年8月7日付で「被請求人が『果実酒』を本件審判の請求の予告登録前3年以内(以下「要証期間内」という。)に使用している事実とする乙第2号証は、『株式会社ドン・キホーテ』から被請求人へ商品を発注した仕入商品発注書の写しであるところ、該発注書には被請求人に発注したとする商品の明確な表示はなく、『赤、白』及び『750ML』の表示からは該商品の特定はできず、被請求人が要証期間内に本件商標を何かしらの商品に使用したことは窺い知ることができるとしても、これをもって取消請求に係る商標登録の取消を免れるための証拠とするのは困難である。また、被請求人が本件商標を使用しているとする『果実酒』を要証期間内に使用している事実は、乙第1号証によっては確認できず、これは、要証期間内の本件商標の使用を証明するのに十分でない。よって、当該商品の要証期間内における使用を明らかにする補完資料(『果実酒』に係る商取引(販売等)の事実が明確に把握できる、納品書・請求書・領収書等の伝票類、その他、係る事実の確認ができる関連取引書類等)を提出されたい。」旨の審尋を発し、被請求人に回答書の提出を求めた。

第5 当審の判断

1 被請求人の提出に係る乙第1ないし第4号証によれば、以下の事実が認められる。

(1)乙第1号証は、平成18年1月11日付けの、被請求人とグローバル・リカーサプライ社との間で契約した「DAVINCI」を冠する果実酒についての独占販売店契約書で、その第1条(指定)に「乙(被請求人(ネスコジャパン株式会社))は、本契約に定める条項に従い、甲(株式会社グローバル・リカーサプライ)を日本国内において商品を販布し、販売する唯一、かつ独占的な販売店に指定し、甲はこの指定を受諾する。」と記載されており、また、その第6条(有効期限)に「本契約の有効期限は、2006年1月11日から2007年1月10日迄とし、有効期限が満了する3ケ月前迄に甲乙何れか一方によりその相手方に対し書面による別段の意思表示がない場合に限り、本契約は同一条件を以て更に1年間更新されるものとし、その後の期間についても同様とする。」と記載され、下部右側に甲乙両者の記名押印がなされている。

(2)乙第2号証は、発注日が2007年07月13日付けの「株式会社ドン・キホーテ」から被請求人に発注した「仕入商品発注書」の写しで、「商品コード/商品名 規格」の欄の1番目に「8003895620003 750ML/ダ・ヴィンチ 赤」、その2番目に「8003895630002 750ML/ダ・ヴィンチ 白」の各表示がなされている。

(3)乙第3号証は、被請求人からグローバル・リカーサプライ社に宛てた平成19年1月19日付けの納品書(控)の写しで、「受注No.000105」、「商品名」の欄の1番目に「サDV−290506R 入数 12/PB DA VINCI ROSSO(赤) 750ml」、その2番目に「サDV−290506B 入数 12/PB DA VINCI BIANCO(白) 750ml」の各表示がなされている。その他、「単位」の欄に「ケース」、「数量」の欄に「100」「60」、「単価」の欄に「4,200」及び「金額」の欄に「420,000」「252,000」の各表示がなされている。

(4)乙第4号証は、被請求人からグローバル・リカーサプライ社に宛てた平成19年1月31日締めの上記納品書にかかる請求書(控)の写しで、「受注No.000105」、「商品コード/商品名」の欄の1番目に「サDV−290506R/PB DA VINCI ROSSO(赤) 750ml」、その2番目に「サDV−290506B/PB DA VINCI BIANCO(白) 750ml」の各表示がなされている。その他、「数量」の欄に「100」「60」、「単位」の欄に「ケース」、「単価」の欄に「4,200」及び「金額」の欄に「420,000」「252,000」の各表示がなされている。

2 以上を総合すると、以下のとおりである。

(1)被請求人が本件商標を使用しているとする商品について

乙第3及び第4号証の商品名として「PB DA VINCI ROSSO(赤) 750ml」及び「PB DA VINCI BIANCO(白) 750ml」の表示がされているところ、該表示中の「ROSSO」「BIANCO」の文字部分は、イタリア語で「赤ワイン」「白ワイン」をそれぞれ意味し、ワイン(果実酒)の品質表示として使用されていることが認められる。

(2)本件商標と被請求人使用の標章「ダ・ヴィンチ」「DA VINCI」との社会通念上の同一性について

ア 本件商標は、「DAVINCI」の文字よりなるところ、イタリアのルネッサンス期の画家、建築家、彫刻家として、我が国においても、極めて著名な「ダ・ヴィンチ」の著名性よりすると、その全体の欧文字の大小、間隔はともかく、少なくとも「da Vinci」と同一綴り字であると、取引者、需要者に認識、把握されるものというのが相当である。

そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して「ダヴィンチ」又は「ダビンチ」の称呼を生じ、イタリアのルネッサンス期の画家、建築家、彫刻家として、著名な「ダ・ヴィンチ」の観念を生ずるというのが相当である。

しかして、被請求人は、乙第1号証において、本件商標「DAVINCI」を商品「果実酒」について独占的な売買に関する契約を第三者(グローバル・リカーサプライ社)としており、また、乙第2号証において、商品名として「750ML/ダ・ヴィンチ 赤」及び「750ML/ダ・ヴィンチ 白」の表示をもって、2007年7月13日に「株式会社ドン・キホーテ」から発注されており、さらに、乙第3及び第4号証において、商品名として「PB DA VINCI ROSSO(赤) 750ml」及び「PB DA VINCI BIANCO(白) 750ml」の表示をもって、平成19年1月にグローバル・リカーサプライ社に対して納品及びその請求がなされており、これらを総合すると、被請求人は、商品「果実酒」に標章「ダ・ヴィンチ」「DA VINCI」(以下「使用標章」という。)を使用していたというべきである。

イ そこで、本件商標と使用標章とを比較すると、本件商標は、上記のとおり、「ダヴィンチ」又は「ダビンチ」の称呼を生じ、「ダ・ヴィンチ」の観念を生ずるのに対し、使用標章「ダ・ヴィンチ」は、その構成中の「中点」を常に読み込んで、例えば「ダ」「中黒」「ヴィンチ」のごとく区切って発音、称呼するとは考えられないし、また同様に、常に中間部において一拍間をおいて、「ダ ヴィンチ」のように明確に発音、称呼するとも考えられず、それは、使用標章「DA VINCI」においても同様に区切って発音、称呼するとは考えられないことから、両者は、「ダヴィンチ」の称呼及び「ダ・ヴィンチ」の観念を同じくするものといえる。

ウ そうすると、使用標章は、登録商標(本件商標)「DAVINCI」の欧文字の表示を片仮名に変更して使用している、または「DA」の文字の次にスペースを設けて使用している範囲内といえるものであるから、本件商標と社会通念上同一の範囲内における変更使用とみるのが相当というべきである。

3 請求人の主張について

(1)先ず、本件商標と被請求人使用の標章「ダ・ヴィンチ」「DA VINCI」との社会通念上の同一性については、上記2のとおりであるから、この点に関する請求人の主張は採用できない。

(2)次に、請求人は、乙第1号証に関して「『株式会社グローバル・リカーサプライ』が、現実に、果実酒に対して『DAVINCI』を使用していることを示す証拠は何ら提出されていない。」旨主張しているが、乙第1号証は、被請求人とグローバル・リカーサプライ社との「独占的販売店契約」であって、乙第3及び第4号証により被請求人がグローバル・リカーサプライ社に対して果実酒を本件商標をもって納品・請求していることが認められるから、この点に関する請求人の主張は採用できない。

(3)さらに、請求人は、乙第2号証中の表示では如何なる商品についての発注書であるか不明であり、また、乙第1号証と同第2号証とはその内容が矛盾しており両証拠の信憑性は極めて低い、旨主張している。

しかしながら、如何なる商品であるかについては、上記のとおり、乙第1ないし第4号証を総合すると商品「果実酒」といえるものであり、乙第1号証の契約内容中にグローバル・リカーサプライ社のみが本件商標を専用して使用できる旨の条項は見当たらないし、本件商標を被請求人自身が使用しても何ら問題ないといえるものであるから、この点に関する請求人の主張も採用できない。

4 むすび

以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者及び通常使用権者により、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を取消請求に係る指定商品中の「果実酒」について使用していたことを証明したものということができる。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものとすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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