Trademark Appeal Case
称呼の微差と方言の観念
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2009−900056(T2009−900056/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件登録
本件登録第5179682号商標(以下「本件商標」という。)は、「よくろぼ」の平仮名文字を標準文字で表してなり、平成20年4月14日に登録出願され、第33類「焼酎」を指定商品として、同年9月18日に登録査定、同年11月14日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録第4778898号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成15年10月3日に登録出願、第33類「焼酎」を指定商品として、同16年6月18日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第7号証を提出した。
本件商標は、引用商標と称呼及び商標全体の構成において類似し、また、観念が同一であって、その指定商品も引用商標の商品と類似する。
したがって、本件商標は、商標法4条1項11号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号によって取り消されるべきものである。
4 当審の判断
本件商標は、前記1のとおり「よくろぼ」の文字よりなるものであるから、「ヨクロボ」の称呼を生ずるものである。
一方、引用商標は、別掲のとおり、筆文字風の「酔楽人」の文字を中央に、その右側に「よくろんぼ」の文字を配してなるところ、「よくろんぼ」の文字は「酔楽人」の文字に比べ小さく、漢字の読みを特定するかのように書されたものではあるが、「酔楽人」の文字の自然称呼とはいえないことから、両文字はともに要部と認められるものであり、それぞれの文字に照応して、「スイラクジン」及び「ヨクロンボ」の称呼が生ずるものである。
そこで、まず本件商標から生ずる「ヨクロボ」の称呼と、引用商標から生ずる「スイラクジン」の称呼とを比較するに、両称呼は各構成音が悉く相違し、容易に区別できることは明らかである。
次に、本件商標から生ずる「ヨクロボ」の称呼と、引用商標から生ずる「ヨクロンボ」の称呼とを比較するに、両者は4音目の「ン」の音の有無に差異を有するものであるところ、本件商標の称呼「ヨクロボ」が抑揚のない平坦な音であるのに対し、引用商標の称呼「ヨクロンボ」は、「ロ」の音に「ン」がつくことから弾んだ比較的明瞭に聴取される音となり、さらに、両称呼が4音あるいは5音と比較的短い音構成にあることから、「ン」の音の有無が両称呼全体に及ぼす影響は決して小さいとはいえず、これらをそれぞれ一連に称呼した場合は、その語調、語感が異なり相紛れるおそれはないものというべきである。
さらに、両商標を観念の点からみるに、「よくろぼ」と「よくろんぼ」は方言辞典等によれば、ともに鹿児島地方の方言で「酔っ払い」を意味する言葉ではあるが、「酔っ払い」を表す方言は、これ以外にも「ゆくれぼ」、「よくれんぼ」、「えくろぼ」あるいは「えくれぼ」等がある。
そうとすれば、両商標はともに鹿児島の一部の地域で使われている方言といえるもので、広く一般に使用され、親しまれているものとはいい難いものであるから、これらの語に接する需要者が、直ちに上記意味合いを理解するものとは認めがたく、特定の語義を有しない一種の造語を表したものと理解するというのが相当である。
さらにまた、「酔楽人」は、特定の語義を有しない造語と認められる。
してみれば、本件商標と引用商標とは観念上も相紛れるおそれはない。
また、両商標は、それぞれの構成に照らし、外観上判然と区別し得る差異を有するものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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