Trademark Appeal Case
結合商標の要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2009−900282(T2009−900282/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標
登録第5224558号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成20年7月25日に登録出願、第1類、第3類及び第7類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同21年3月16日に登録査定、同年4月17日に設定登録されたものである。
第2 登録異議申立ての理由
(1)引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、次のアないしウのとおりである。
ア 登録第4023878号商標(以下「引用商標1」という。)は、「TENA」の欧文字を横書してなり、平成5年4月5日に登録出願、第5類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同9年7月4日に設定登録されたものである。
イ 登録第4481298号商標(以下「引用商標2」という。)は、「TENA」の文字を標準文字で表してなり、平成11年7月1日に登録出願、第3類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、平成13年6月8日に設定登録されたものである。
ウ 登録第4639300号商標(以下「引用商標3」という。)は、「TENA FLEX」の文字を標準文字で表してなり、平成13年6月20日に登録出願、第5類及び第10類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、平成15年1月24日に設定登録されたものである。
(2)理由の要点
申立人は、本件商標は次のア及びイにより、その登録を取り消されるべきものであるとして甲第1号証ないし甲第18号証を提出している。
ア 商標法第4条第1項第11号について
(ア)引用商標2との関係において
引用商標2は、本件商標構成中の前半部の「TEnA」の文字と同一の商標である。
一方、本件商標は外観上「TEnA」と「FLEX」の間に特徴的な水滴のような形状をした図形が配されている。商標全体としての称呼は「テナフレックス」が生ずる。しかし、簡易、迅速を尊ぶ取引の実際においては、一個の商標から二個以上の称呼、観念が生ずることもあり得るものである。
本件商標は、外観上「TEnA」と「FLEX」の間に特徴的な水滴のような形状をした図形が配されているので、需要者は当該図形の前後でもって本件商標を認識することが考えられ、かかる場合には「TEnA」部分と「FLEX」部分に分離して観察される。
本件商標中の「FLEX」という英文字及びそこから生ずる称呼「フレックス」が比較的我が国でなじみのある語であることから、本件商標は「TEnA」と「FLEX」の組み合わさったものであると需要者は認識すると考えられる。そして、「FLEX」という語を構成の後半部に配する商標登録例は多数認められ(甲第5号証)、また、本件商標の指定商品における登録例をみても多数認められるので(甲第6号証)、当該部分は十分に識別力を有するとは認められない。
また、「TENA」という言葉は辞書を引いてみて初めて「エクアドルの地名」であるらしいことが分かる程度(甲第7号証)で、需要者の通常有する注意力から判断すると、それ自体意味を持たない一種の造語であると判断できる。このことから、「TEnA」部分は「FLEX」部分に比べより出所識別機能が高く、需要者は「TEnA」部分に着目し取引にあたる場合も少なくない。
そうとすれば、引用商標2から生ずる称呼「テナ」と「テーナ」と本件商標の「TEnA/テナ」部から生ずる称呼は同一または類似で、外観は本件商標「TEnA」部と引用商標2「TENA」は同一又は類似するものである。
そして、本件商標及び引用商標2の指定商品とは重複する。
したがって、本件商標は本号に該当にする。
(イ)引用商標3との関係において
引用商標3は、本件商標と極めて類似する商標である。
本件商標に係る指定商品中の「せっけん類」と引用商標3に係る指定商品中の「包帯、生理用ナプキン、生理用タンポン、失禁用おしめ、失禁用パッド、衛生マスク、ガーゼ、眼帯、耳帯、脱脂綿、ばんそうこう」とは、いずれも薬局などで購入可能(甲第8号証)であるから、販売部門が一致する。また、「せっけん類」と「生理用ナプキン、失禁用おしめ」は同一メーカーから販売され、生産者も同一である(甲第10号証)。さらに、これら商品は一般の需要者が日常生活において普通に購入し、使用するものであるから需要者の範囲も一致する。これらの商品は互いに類似するといえる。
したがって、本件商標は本号に該当にする。
イ 商標法第4条第1項第15号について
(ア)引用商標1との関係において
申立人は成人用排泄ケア用品メーカーでは世界最大の規模であり世界90力国以上に事業展開を行っており、「失禁用使い捨ておしめ」の「TENA」シリーズとして「TENA コンフォート」、「TENA フレックス」、「TENA パンツ」等を商品名として販売し、また、使い捨てエプロン「TENA ビブ」や車イス・イス用シート「TENA ボンド」等、申立人が販売する商品のほとんどに「TENA」が冠されている。また「TENA」は、それ自体意味を持たない造語であると考えられるので、「創造商標」であるといえ、引用商標1は、「失禁用使い捨ておむつ」について申立人の商品を示す世界的に周知著名な商標である。
さらに、せっけん類の一種として多様な「介護用シャンプー」や「介護用皮膚清拭剤」等が発売され、「失禁用使い捨ておむつ」の需要者である介護施設や被介護者のいる家庭で当該シャンプー、清拭剤が使用されていると考えられる。また、これらの商品は同一のメーカーから販売される例も多数確認できることから生産者も同一である。このことから、「せっけん類」と「失禁用使い捨ておむつ」には深い関連性がある。
これらの事情を総合的に考慮すると、本件商標が上記「介護用清拭剤」に使用されたならば、需要者は、申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある。
(イ)引用商標2との関係において
引用商標2は、第3類「クリーム状の洗顔せっけん、その他のせっけん類、体の汚れをふき取り衛生に保つためにウェットティッシュにしみこませた化粧水、その他の化粧品」を指定商品とし登録されている。
本件商標を構成する「FLEX」部および「フレックス」部は、「せっけん類」において、商標の一部に「FLEX」部もしくは「フレックス」部を含む商標が多数登録され、実際に「REVLON FLEX/レブロン フレックス」(甲第11号証)や「SILFLEX/シルフレックス」(甲第12号証)等がせっけん類として販売されている実情を考慮すると、当該構成はありふれたものであるといえ、当該部分の識別力は弱いと考えられる。
また、本件商標の指定商品中「せっけん類」と引用商標2の指定商品中「クリーム状の洗顔せっけん、その他のせっけん類」は販売部門・需要者の範囲を同一にし、例えば薬局やドラッグストアの陳列棚の同一段に隣り合って展示されることも考えられる。
かかる場合には、前述のとおり「FLEX」及び「フレックス」を有する商標は「せっけん類」にありふれているので、需要者は本件商標と引用商標2を混同するおそれがある。
したがって、本件商標は申立人の業務にかかる商品と混同を生ずるおそれがある商標に該当する。
(ウ)引用商標3との関係において
引用商標3は、申立人の主力製品「失禁用おしめ」の商品名の一つであり、申立人の製品を示す周知・著名商標である。
本件商標の指定商品中第3類「せっけん類」の一種として多様な「介護用シャンプー」や「介護用皮膚清拭剤」等が発売され、「失禁用使い捨ておむつ」の需要者である介護施設や被介護者のいる家庭で当該シャンプー、清拭剤が使用されていると考えられる。また、これら商品は同一のメーカーから販売される例も多数確認できることから生産者も同一である。このような実情を考慮すると、「せっけん類」と「失禁用使い捨ておむつ」には深い関連性がある。
本件商標と引用商標3は外観が極めて類似し、称呼は同一である。さらに、引用商標3は申立人の商品を示す周知著名な商標であるから、本件商標に接する需要者が「排せつケア用品」で周知著名な引用商標3を想起することが考えられ、本件商標権者がせっけん類に本件商標を使用する場合には、申立人の業務にかかる商品と混同を生ずるおそれがある。
第3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、別掲のとおり、「TEnA」と「FLEX」の各欧文字の間に水滴状の図が配置されており、視覚上両語が分離して認識し得るものである。しかし、「TEnA」と「FLEX」の構成各欧文字は、同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔で、水滴状の図を介して外観上まとまりよく一体的に表され、その構成上「TEnA」と「FLEX」の文字の間に主従や軽重の差異はなく、また、商標全体から生ずる「テナフレックス」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。そして、かかる本件商標にあって、殊更「TEnA」の部分が強く記憶されて取引に資されるとすべき事情は見いだせない。
申立人は、本件商標の指定商品との関係において、「FLAX」「フレックス」の語は、ありふれた語であり識別力が弱いものである旨主張している。
しかしながら、本件商標の指定商品との関係でみても、「FLEX(フレックス)」の語について識別力が格別弱いと認めるに足る事情は見いだせない。
してみると、本件商標は、全体が一体不可分のものであって、その構成文字に相応して「テナフレックス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものとみるのが相当である。
一方、引用商標2は、「TENA」の文字からなるものであり、その構成文字に相応して「テナ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
そして、本件商標の称呼「テナフレックス」と引用商標2の称呼「テナ」を対比しても、後半で「フレックス」の音の有無の明らかな差異を有するから、両者は称呼上相紛れるおそれはないものである。
また、本件商標と引用商標2とは、外観においても明らかな差異が認められるものであり、さらに、観念については比較することができないから、外観及び観念においても相紛れるおそれはないものである。
してみると、本件商標は、外観、称呼及び観念のいずれからみても、引用商標2に類似する商標と判断することはできないものである。
そして、本件商標の構成中の文字部分と引用商標3についてみると、引用商標3は、「TENA FLEX」の欧文字からなるものであり、これより「テナフレックス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
そうすると、本件商標の構成中の文字部分と引用商標3は、共に造語であり観念は比較できないものの、「テナフレックス」の称呼を共通にし、「TENAFLEX」の欧文字の綴りを同一にするものであるから、両者は類似する商標と認められる。
しかしながら、本件商標の指定商品中の「せっけん類」と引用商標3の指定商品「包帯、生理用ナプキン、生理用タンポン、失禁用おしめ、失禁用パッド、衛生マスク、ガーゼ、眼帯、耳帯、脱脂綿、ばんそうこう」についてみると、前者が、洗浄作用を目的とする化学製品であるのに対し、後者は、医療の補助的な役割を果たす衛生用品である。
そして、両者は、その品質、用途が異なるものであるうえ、同一の事業者によって製造販売されることが一般的なものと認めることはできないから、これらに同一又は類似の商標を使用した場合、それらの商品が同一の事業者によって製造販売されたものであるかのように、その出所について誤認混同されるおそれがあるものとは認められないから、両者は非類似の商品といわなければならない。
以上によれば、本件商標は、引用商標2及び引用商標3をもって、商標法第4条第1項第11号に該当するということはできない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
申立人提出の証拠によれば、商標「TENA」が商品「失禁用使い捨ておむつ」に使用をされていることを窺い知ることができるとしても、申立人が使用している証拠は見あたらず、広告費や売上高を裏付ける証拠の提出もないから、その使用の実績等を把握することができず、本件商標の出願時(及び査定時)に、商標「TENA」が申立人に係る商品を表示するものとして需要者の間で広く認識されるに至っていたとは認めることはできない。
してみれば、本件商標の構成中に「TENA」の文字部分があることのみをもって直ちに、本件商標を引用商標1あるいは引用商標2と関連付けて看取される事情は見いだせない。
また、引用商標3については、外国で商標登録を受けている事実はあるが、我が国において申立人が使用している証拠は見あたらず、また、広告費や売上高を裏付ける証拠の提出もないから、その使用の実績等を把握することができず、本件商標の出願時(及び査定時)に、申立人に係る商品を表示する商標として、わが国の需要者の間で広く認識されるに至っていたものとは認められないものである。
そうとすれば、本件商標と引用商標3とは、その構成文字、称呼において共通にする類似の商標であるとしても、それをもって直ちに、これに接する取引者、需要者が本件商標を引用商標3と関連づけて看取する事情は見いだせない。
してみれば、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が、引用商標1ないし引用商標3を想起、連想するものとは認められず、当該商品が申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないとものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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