Trademark Appeal Case
称呼・観念の類否判断
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2009−900342(T2009−900342/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5235933号商標(以下「本件商標」という。)は、「革の病院」、「ドクターレザー」及び「Dr‘ Leather」の文字を上下三段に横書きしてなり、平成20年9月18日に登録出願され、第37類「かばんの手入れ及び修理」を指定役務として同21年6月5日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第4255672号商標(以下「引用商標1」という。)は、「ザ・レザードクター」の文字を標準文字により表してなり、平成9年9月29日に登録出願、第37類「革製品の手入れ・修理」を指定役務として同11年3月26日に設定登録され、その後、同20年10月28日に商標権の存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。
同じく、別掲のとおりの構成からなる商標(以下「引用商標2」という。)は、申立人が代表取締役を務めるユニタスファーイースト株式会社(以下「ユニタス」という。)が役務「革製品の手入れ・修理」について使用するものである。
3 登録異議申立ての理由の要点
(1)本件商標と引用商標1とは観念を同一にする類似の商標であり、かつ、両商標の指定役務も同一又は類似のものであるから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)引用商標2は、ユニタスが役務「革製品の手入れ・修理」について使用する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されていた。本件商標と引用商標2とは、引用商標1と同様、観念を同一にする類似の商標であり、かつ、本件商標の指定役務と引用商標2の使用に係る役務も同一又は類似のものであるから、本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当する。
(3)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第11号の規定に違反して登録されたものであるから、その登録を取り消すべきものである。
4 当審の判断
(1)本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標と引用商標1との類否について検討するに、本件商標は、上記1のとおりの構成からなるところ、三段に書された各文字部分は、常に不可分一体のものとしてのみ認識し把握されるべき格別の理由も見出し難く、それぞれが独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものというべきである。
そして、「ドクターレザー」の文字部分は、その下に書された「Dr‘ Leather」の文字の読みを表したものとみるのが自然である。
そうすると、本件商標は、「革の病院」の文字部分より、「カワノビョウイン」の称呼を生じ、また、「ドクターレザー」及び「Dr‘ Leather」の文字部分より「ドクターレザー」の称呼を生ずるものといえる。
他方、引用商標1は、その構成文字に相応して、「ザレザードクター」の称呼を生ずること明らかである。
しかして、本件商標から生ずる「カワノビョウイン」及び「ドクターレザー」の各称呼と引用商標1から生ずる「ザレザードクター」の称呼とを対比すると、「カワノビョウイン」と「ザレザードクター」とでは、各構成音が悉く相違し、容易に区別できることは明らかである。
また、「ドクターレザー」と「ザレザードクター」とでは、構成音数の差、「ザ」の音の有無、各音の配列順序の相違により、それぞれを一連に称呼するときは全体の音感・音調が明らかに異なり、彼此相紛れることなく明瞭に区別し得るものである。
次に、両商標を観念の点からみるに、本件商標は、「病人を診察・治療する施設」(岩波書店発行「広辞苑第5版」)を意味する「病院」の語が、しばしば他の語と結合して比喩的に用いられることからすると、「革の病院」の文字部分より、「革又は革製品を直す施設」ほどの意味合いを認識し把握されるものといえる。
また、「ドクターレザー」の片仮名文字は前示のとおり、「Dr‘ Leather」の読みを表したものと認められるところ、「Dr」の文字が、「博士」を意味し、他の語に前置して称号としても用いられること、「Leather」の文字が「革、皮革」を意味する語として知られていることからすると、本件商標は、上記「革の病院」の文字と相俟って、「Dr‘ Leather」の文字部分より、「レザー博士」という個別の名称を表したものと認識し把握されるものといえる。
他方、引用商標1は、「ザ」の文字が英語の定冠詞に由来し、「ザ○○」の形で「○○」の部分を特定するように用いられるものであるところ、「レザー」が「革、皮革」を、また「ドクター」が「博士、医者、医師」等を意味することから「革の博士、革の医者」ほどの意味合いを認識し把握されるものである。
してみれば、本件商標と引用商標1とは観念上も相紛れるおそれはない。
さらに、両商標は、それぞれの構成に照らし、外観上判然と区別し得る差異を有するものである。
したがって、本件商標と引用商標1とは、称呼、観念及び外観のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならないから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(2)本件商標の商標法第4条第1項第10号該当性について
申立人は、1996年頃から新聞に宣伝広告を行いながら、役務「革製品の手入れ・修理」について引用商標2を使用している旨主張し、証拠を提出している。
確かに、申立人の提出に係る証拠によれば、引用商標2が「革製品の手入れ・修理」の役務について使用されていることが認められる。
しかしながら、新聞における広告は、平成12年1月から同年5月までの間に、毎日新聞及び神戸新聞の各地方版に計10回行われたのみであり、他に宣伝広告の事実を示す証左はない。
また、申立人の主張によれば、上記役務に係る売上高は、1996年に約80万円で年々増加し2009年には約2250万円に達するとのことであるが、その事実を客観的に示す証左はなく、当該業界の市場規模、ユニタスの市場占有率等も明らかでない。
そうすると、申立人の提出に係る証拠によっては、引用商標2が、本件商標の登録出願時において、ユニタスの業務に係る役務を表示する商標として、取引者・需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
なお、念のため、本件商標と引用商標2との類否について検討するに、引用商標2は、別掲のとおり、医師をデフォルメした如き図形と文字との組合せからなるところ、該図形部分と文字部分が常に一体不可分にのみ認識されるべき格別の理由も見出し難く、それぞれが独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものといえる。
そして、引用商標2は、読み易い「THE LEATHER DOCTORS」の文字部分を捉え、これより生ずる称呼をもって取引に資される場合も少なくないから、「ザレザードクターズ」の一連の称呼を生ずるものというべきである。
しかして、本件商標から生ずる「カワノビョウイン」及び「ドクターレザー」の称呼と上記「ザレザードクターズ」の称呼とは、各構成音及びその配列順序の相違等により、それぞれを一連に称呼するときは全体の音感・音調が明らかに異なり、容易に区別することができるものである。
また、引用商標2は、その文字部分が図形部分と相俟って、前示の引用商標1と同様に、「革の博士、革の医者」ほどの観念を生ずるものというべきであるから、上記(1)のとおりの観念を生ずる本件商標とは観念上も相紛れるおそれはない。
さらに、本件商標と引用商標2とは、それぞれの構成に照らし、外観上判然と区別し得る差異を有するものである。
してみれば、本件商標と引用商標2とは、称呼、観念及び外観のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものではない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第11号のいずれの規定にも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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