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Trademark Appeal Case

商標の周知性と無効

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2009−890045(T2009−890045/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4957738号商標(以下「本件商標」という。)は、「TOP GEAR」の欧文字を標準文字で表してなり、平成17年9月12日に登録出願、第9類「金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,自動販売機,両替機,業務用テレビゲーム機,業務用テレビゲーム機用のゲームプログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・光ディスク・ROMカートリッジ・その他の記録媒体,乗物運転技能訓練用シミュレーター,運動技能訓練用シミュレーター,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,電池,電気通信機械器具,コンピュータ,パーソナルコンピュータ用ゲームプログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・光ディスク・ROMカートリッジ,コンピュータソフトウェア,その他の電子応用機械器具及びその部品,家庭用テレビゲームおもちゃ,家庭用テレビゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・光ディスク・ROMカートリッジ・その他の記録媒体,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路・ROMカートリッジ・その他の記録媒体,スロットマシン,レコード,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」、第14類「貴金属,キーホルダー,貴金属製食器類,貴金属製のくるみ割り器・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振出し容器・卵立て・ナプキンホルダー・ナプキンリング・盆及びようじ入れ,記念カップ,記念たて,身飾品,時計」、第16類「事務用又は家庭用ののり及び接着剤,青写真複写機,あて名印刷機,印字用インクリボン,こんにゃく版複写機,自動印刷はり付け機,事務用電動式ホッチキス,事務用封かん機,消印機,製図用具,タイプライター,チェックライター,謄写版,凸版複写機,文書細断機,郵便料金計器,輪転謄写機,紙製包装用容器,家庭用食品包装フィルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,紙製のぼり,紙製旗,衛生手ふき,紙製タオル,紙製手ふき,紙製ハンカチ,紙製テーブルクロス,紙類,文房具類,印刷物,書画,写真,写真立て」及び第28類「遊園地用機械器具(業務用テレビゲーム機を除く。),乗物おもちゃ,愛玩動物用おもちゃ,電子式おもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ,縫いぐるみ,その他のおもちゃ,人形,囲碁用具,歌がるた,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,遊戯用カード,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具」を指定商品として、平成18年6月2日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録はこれをを無効とする、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第10号証を提出している。

請求の理由

1 請求人が使用する商標の周知・著名性について

請求人は、1977年から、テレビ番組「TOP GEAR」を制作・放送している。そして、同番組は、エミー賞の台本なしの娯楽番組部門での受賞を含む、数多くの賞を受賞及びノミネートされている。同番組は、日本国内においても見ることが可能である。

テレビ番組「TOP GEAR」は、英国以外でも、放送、ケーブルチャンネル、衛星放送、インターネットによるユーチューブにより、見ることが可能である。その数は、世界150万世帯以上であり、視聴可能な国は、少なくとも118か国に及んでいる。

日本においては、ビービーシージャパンにより放送されている。ビービーシージャパンを視聴できる世帯は、2006年3月時点で14万世帯に及んでいる。

テレビ番組「TOP GEAR」は、ビービーシーワールドでも見ることが可能である。ビービーシーワールドを見ることができる家庭・宿泊施設は、年々増えており、2007年1月時点においては、210万世帯、ホテルの客室数は、6.6万室に及んでいる。

テレビ番組「TOP GEAR」は、銀河チャンネルでも見ることが可能である。同チャンネルは、2008年4月1日に日本で放送を開始し、営業開始時期の契約世帯数は、200万世帯である。

テレビ番組「TOP GEAR」は、ヤフージャパンを通じてビデオストリーミングで視聴可能である。同番組の一日の平均ストリーミング数は、6千件ほどである。

テレビ番組「TOP GEAR」を題号に用いた雑誌を請求人の子会社(ビービーシーワールドワイド)が出版している。そして、同雑誌は、日本国内においても購入可能である。

テレビ番組「TOP GEAR」は、ウェブサイトを介して見ることが可能である。

テレビ番組「TOP GEAR」を一つのブランド名として、色々な商品が製造・販売されている。例えば、DVD、CD、カレンダー等である。そして、上記商品は、ウェブサイトを通じて、日本においても購入可能である。

また、テレビ番組「TOP GEAR」については、ウェブサイトにおいて多くの書き込みがなされている。同事実は、テレビ番組「TOP GEAR」が日本国内において注目されて、その結果、周知・著名になっていることの証左といえる。本件商標の出願日(平成17年9月12日)及び査定日(平成18年4月27日)におけるウェブサイトの書き込みの一部を提出する(甲第6号証ないし甲第9号証)。

以上述べたことから、請求人が使用する「TOP GEAR」が、日本国内及び外国において、周知・著名であることが明らかになった。

2 商標法第4条第1項第15号について

商標法第4条第1項第15号における「出所の混同を生じるおそれ」は、「他人の業務に係る商品であると誤認し、その商品の出所について混同するおそれがある場合のみならず、その他人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、その商品の出所について混同するおそれがある場合」をもいう(甲第10号証)。

上述のとおり、テレビ番組「TOP GEAR」は、日本国内でも視聴可能であり、同番組名は、日本国内で周知・著名と認められる。また、欧文字「TOP GEAR」を付した各種商品が日本国内で販売されている。

他方、本件商標は、欧文字「TOP GEAR」を標準文字で書したものである。

本件商標に係る指定商品は、「録画済みビデオディスク及びビデオテープ、電子出版物、キーホルダー、文房具類、印刷物、乗物おもちゃ、電子式おもちゃ」等であり、請求人が製造・販売している商品と同じ流通チャンネルで流通・販売されるものである。

上記の事情を考えると、請求人が提供する商品と同一、類似又は密接な関連性を有する商品に、請求人が使用することにより周知・著名になっている欧文字「TOP GEAR」が使用された場合、一般消費者は、欧文字「TOP GEAR」が付された商品は、請求人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、その商品の出所について混同するおそれがある。

以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

3 商標法第4条第1項第19号について

上述のとおり、請求人が使用する欧文字「TOP GEAR」は、日本国内及び外国で広く知られている。

欧文字「TOP GEAR」を標準文字にて出願した本件商標と請求人が使用する「TOP GEAR」は類似する。請求人は、1977年から、欧文字「TOP GEAR」をテレビ番組名に使用して、自動車テレビ番組を制作・放送している。そして、上述のとおり、欧文字「TOP GEAR」は、日本国内及び海外において周知・著名である。

欧文字「TOP GEAR」は、自動車の「トップギア」程の意味を有し、自動車に関係する欧文字である。

他方、本件商標に係る指定商品は、そのほとんどが自動車に関係しない商品である。その例として、第9類「家庭用テレビゲームおもちゃ、録画済みビデオディスク及びビデオテープ」、第14類「キーホルダー、貴金属製食器類、貴金属」、第16類「印刷物、写真」、第28類「携帯用液晶画面ゲームおもちゃ、トランプ」をあげることができる。

上記商品は、テレビ番組名を冠したノベルティーグッズに該当するものと認められる。すなわち、著名なテレビ番組名を使ったゲーム、おもちゃ、トランプ、キーホルダーは、ノベルティーグッズの代表例といえる。

また、著名なテレビ番組を題号にした雑誌等が販売されることは、よくあることである。

以上をまとめると、本件商標は、周知・著名なテレビ番組名を付したノベルティーグッズが製造・販売されることを十分予想しながら、あえて商標登録出願をし、商標権を取得したことが強く疑われるものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。

4 結び

上述のように、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同法第4条第1項第19号に違反して登録されたものであるから、その登録は無効にされるべきである。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、答弁していない。

第4 当審の判断

1 判断時期について

本件商標の登録出願日は、先に述べたとおり、平成17年(2005年)9月12日である。

そして、当該商標が商標法第4条第1項第15号又は同項第19号に該当するか否かの判断時期は、登録出願時及び登録査定時と解される(同法第4条第3項)。

2 商標法第4条第1項第15号について

本件商標は、「TOP GEAR」の欧文字を標準文字で表してなるものであるところ、「TOP GEAR」の文字及びこれを片仮名で表記した「トップギア」の文字は、「エンジンの変速機の減速比1対1になるギア」の意味の平易な英語又は親しまれた外来語(コンサイスカタカナ語辞典 三省堂)と認められるところである。

ところで、請求人は、「1977年から、テレビ番組『TOP GEAR』を制作・放送している。同番組は、数多くの賞を受賞及びノミネートされている。同番組は、英国以外でも、放送、ケーブルチャンネル、衛星放送、インターネットによるユーチューブにより、見ることが可能であり、その数は、世界150万世帯以上であり、視聴可能な国は、少なくとも118か国に及び、視聴できる世帯・宿泊施設は、数多くある。」旨、スーザン ペインによる宣誓供述書(甲第5号証)で述べているが、その数字に対する客観的な裏付けがないものである。また、その数字は、実際の視聴者数ではなく、視聴可能な数である。

最終更新日が2009年4月12日付けの「ウィキペディア(甲第4号証)」によれば、「トップ・ギアは、1977年から現在(2009年)まで32年間の放送回数が97回であること」及び「BBC Worldは、北米向けへは放送権の都合により放送されず、別番組に差し替えられていたが、2008年10月現在、当チャンネンルでの放送は中止されていること」が認められる。

なお、1977年から本件商標の出願日である2005年9月12日までの放送回数は97回よりも少ないことが推測される。

請求人は、「BBC TopGear」が、インターネットのウェブページで取り上げられている(甲第6号証ないし甲第9号証)としているが、甲第6号証、甲第8号証及び甲第9号証は、いずれも本件商標の出願日以降のものであり、甲第7号証に記載されている「2005年6月14日」は、収録日であって放送日を表したものとは認められず、本件商標の出願日以前に放送された証拠とはなり得ないものである。

したがって、これら提出に係る証拠によっては、請求人の業務に係る役務を表すものとして、需要者の間に広く知られているとは認められないものである。

そして、その使用しているとする役務は、請求人の数ある番組の1つであり、その名称であってみれば、仮に、本件商標が、イギリスにおいてテレビ番組名として知られているとしても、その周知性は、放送に関連する役務に限られるというべきであって、本件指定商品に及ぶべくもないものである。

むしろ、本件商標は、上述のとおり、「エンジンの変速機の減速比1対1になるギア」を意味する平易な英語又は親しまれた外来語であるから、本件商標をその指定商品について使用したときは、これに接する取引者・需要者に前記の意味を有する商標であると理解されるというのが自然である。

してみれば、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者・需要者が、請求人又は請求人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しないものである。

3 商標法第4条第1項第19号について

本件商標は、「TOP GEAR」の欧文字を標準文字で表してなるものであるから、請求人がテレビ番組に使用する「TOP GEAR」と類似する。

しかしながら、請求人がテレビ番組に使用する「TOP GEAR」は、甲第5号証によれば、先に述べたとおり、数字に対する客観的な裏付けがないものであり、その数字は、実際の視聴者数ではなく、視聴可能な数であること、甲第4号証によれば、本件商標の出願日までの放送回数が決して多くはないこと、甲第6号証、甲第8号証及び甲第9号証は、本件商標の出願日以降の事実を立証しているにすぎないものであり、甲第7号証は、本件商標の出願日以前に放送された証拠とはなり得ないものであるから、提出に係る証拠によっては、請求人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標と認めることができないものである。

また、請求人は、「請求人が使用する欧文字『TOP GEAR』は、日本国内及び外国で広く知られており、欧文字『TOP GEAR』を標準文字にて出願した本件商標と請求人が使用する『TOP GEAR』は類似し、本件商標は、周知・著名なテレビ番組名を付したノベルティーグッズが製造・販売されることを十分予想しながら、あえて商標登録出願をし、商標権を取得したことが強く疑われるものである」旨述べているが、この点を裏付ける客観的な証拠の提出はなく、また、仮に、本件商標が、イギリスにおいてテレビ番組名として知られているとしても、本件商標は、「エンジンの変速機の減速比1対1になるギア」を意味する平易な英語又は親しまれた外来語であるから、本件商標をその指定商品について使用したときは、前記の意味を有する商標であると理解されるというのが自然であって、請求人の業務に係るものと認識されるとは考え難いことから、不正の目的をもって使用するものとは、いい得ないところである。

してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第19号にも該当しないものである。

4 結び

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものでないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきでない。

よって、結論のとおり審決する。

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