Trademark Appeal Case
大学名称の使用と公序良俗
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2009−3220(T2009−3220/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「人財大学」の文字を横書きしてなり、第41類「管理者能力開発教育,新入社員・中堅社員自己開発教育,事業の管理者又は個人の業務遂行能力開発に関する知識の教授,技芸・スポーツ又は知識の教授に関する助言・相談及び指導,セミナー・研修会の企画・運営又は開催及びこれらに関する助言・指導又は情報の提供,教育研修・セミナーのための施設の提供及びこれに関する情報の提供,教育研修・セミナーのためのテキストの制作」を指定役務として、平成20年1月22日に登録出願されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、『本願商標は、その構成中に学校教育法によって規定されている「大学」の文字を有してなるものであるから、大学の設置の認可を受けていると認めがたい出願人が、これを商標として採択することは穏当でなく、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。』と認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審の判断
本願商標は、上記第1のとおり、「人財大学」の文字を書してなるところ、その構成中に、学校教育法に基づいて設置される「学術の研究および教育の最高機関」(広辞苑 第5版)を表すものとして親しまれている語である「大学」の文字を有すること明らかである。
ところで、学校教育法は、第1条において、「この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする。」として、「学校」の範囲を法定している。
また、同法第135条第1項において、「専修学校、各種学校その他第1条に掲げるもの以外の教育施設は、同条に掲げる学校の名称又は大学院の名称を用いてはならない。」として、大学等の名称の使用の禁止を規定している。
さらに、本願商標の構成中「人財」の文字は、「じんざい」の当て字で、「財産としての人」程の意味を表す語として、広く一般に使用されており、また、大学等においては、例えば、「人財」を育成・養成するための講義、講座等を指称して、「人財育成(養成)講座」等と称して使用されている実情もあることが、別掲のとおり、新聞記事及びインターネット・ホームページの記載から窺える。
そうしてみると、請求人は、正規の手続によって「大学」の設置の認可を受けているものとは認め難く、また、上記したとおり「人財」の文字が使用されている実情を考慮すれば、請求人が、本願商標をその指定役務について使用した場合には、本願商標が、あたかも学校教育法に基づいて設置された「大学」という教育施設の名称を表示したものであって、かつそれらの役務がそのような教育施設によって提供されるかの如く一般世人をして誤信せしめるおそれがあるばかりでなく、学校教育制度に対する社会的信頼を失わせ、ひいては公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるものといわざるを得ない。
なお、請求人は、学校教育法第135条は、大学設置の認可を受けていない者が「大学」の語を含む商標を「大学における教育」を指定役務とする場合に規制が掛かるものであり、「大学における教育」に関連する役務を含んでいない本願にあっては、当該学校教育法による規制が直ちに掛かるものでないことは明らかである旨主張する。
しかしながら、上記のとおり、学校教育法第135条は、「大学」等学校の名称は、同法により規定された以外の教育施設においては使用し得ないものであることを規定したものであって、役務に関しての「大学」等の名称の使用の禁止を規定するものではない。また、請求人は、前記主張の根拠をなんら示しておらず、本願商標については、その指定役務、すなわち、「大学における教育」を包含しない役務に使用した場合には、正規の手続によって「大学」の設置の認可を受けているものによって提供された役務であるかの如く一般世人を誤信せしめるものであるといわざるを得ないから、請求人の主張は採用できない。
また、請求人は、「大学」の文字を有する登録例を挙げ「本願商標も登録されるべきである。」旨主張するが、具体的事案の判断においては、過去の登録例等の判断に拘束されることなく検討されるべきものであるから、請求人のかかる主張も採用できない。
その他の請求人の主張をもってしても、原査定の拒絶の理由を覆すことはできない。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
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