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Trademark Appeal Case

変形サイン波の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2008−14683(T2008−14683/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、「変形サイン波」の文字を標準文字で表してなり、第9類「測定機械器具,試験装置(医療用のものを除く。)」を指定商品として、平成18年10月13日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、『疑似正弦波』とも称され、『サイン波、矩形波』と共にインバーター等に利用されている『変形サイン波』の文字を標準文字で表してなるにすぎないものであるから、このようなものをその指定商品に使用しても、これに接する需要者は、自他商品の識別標識である商標とは認識せず、例えば、その商品が変形サイン波を利用した機械等の変形サイン波と何等かの関連を有する商品であることが表示されているものと認識するにとどまり、何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断

本願商標は、上記のとおり「変形サイン波」の文字よりなり、第9類「測定機械器具,試験装置(医療用のものを除く。)」を指定商品とするものであるところ、当審における証拠調べの結果、本願商標を商標法第3条第1項第3号(なお、原査定が、本願商標は商標法第3条第1項第6号に該当すると判断したのに対し、当審は、同第3号に該当すると判断したが、両者は、その判断の内容において実質的に相違するものではないから、当審において新たな拒絶理由を示したものではない。)に該当すべきものとする新たな証拠を発見したので、請求人に対し、平成21年11月9日付けで、下記文面(要旨)による審尋書を発し、改めて意見を求めた。

<審尋書>

1 本願商標は、「変形サイン波」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字に関して証拠調べを行った結果、以下の事実が認められる。

(1)書籍における記載について

ア 「変形」の項に、「形を変えること。形が変わること。また、その変わった形。」との記載がある(「広辞苑」 第六版 株式会社岩波書店 2008年1月11日発行)。

イ 「変形」の項に、「形や状態を変えること。また、変わること。また、その変わってできたものや状態。」との記載がある(「大辞林」 第三版 株式会社三省堂 2006年10月27日発行)。

ウ 「サイン」の項に、「[数]三角関数の一。正弦。記号sin→三角関数。」との記載がある(前掲「広辞苑」)。

エ 「サイン」の項に、「2.→正弦」との記載がある(「マグローヒル科学技術用語大辞典」改訂第3版 株式会社日刊工業新聞社 2000年3月15日発行)。

オ 「波」の項に、「...4 波浪のように動いて凹凸・起伏を生ずるもの。また、その形。」との記載がある(前掲「広辞苑」)。

カ 「正弦波」の項に、「正弦曲線によって波形が表される波動。」との記載がある(前掲「広辞苑」)。

(2)「変形サイン波」の文字の使用例について

ア インターネットのホームページにおける記載について

(ア)「アースノート」のWebサイトにおいて、「インバーターについて」の見出しのもと、「波形について」の項に、波形のグラフ(矩形波、疑似正弦波(変形サイン波)、正弦波)と共に、「インバータは機種により発生する波形が異なる場合があります。(中略)・疑似正弦波 安価で高性能を発揮するインバータとして、疑似正弦波(疑似サイン波、変形サイン波等も同じ)を発生するものが有ります。波形は階段状とすることで正弦波により近い波形となっています。これは矩形波インバータに比べてより広範囲の機器を使用することが出来ます。ノズルも矩形波に比べ低く抑えることが出来ます。」との記載がある。

(http://www.earthnaut.com/doc/doc-inverter.htm#no03)

(イ)「PVengineering−shop」のWebサイトにおいて、「インバータをどうするか」の見出しのもと、「波形について」の項に、疑似正弦波の波形の写真と共に、「インバータの波形はディスカウントショップやホームセンターにおいてあるものは、一般的に次のようなものです。(中略)→疑似正弦波 ややノイズが乗るものの、ほとんどの機器が作動します。(中略)メーカーにより表現が異なりますが変形サイン波というのも、この波形のことです。」との記載がある。

(http://www.tekipaki.jp/~pvshop/shop/shoptop/howtoselect.html)

(ウ)「太陽光発電 (独立電源の場合)Q&A」の見出しもと、「Q.インバータってなんですか?必要ですか?」の項のもと、「正確には『DC-ACパワーインバータ』といってDC12V(24V)をAC100Vに変換する装置です。(中略)インバーターには、大きく3種類有ります。1.矩形波インバーター 2.疑似サイン波(変形サイン波)インバーター 3.サイン波インバーター 値段は1<2<<3です。(中略)2.最近のインバーターは、ほとんどこのタイプです。そして、良い製品、悪い製品が入り交じっています。良い製品:12V(一次側)をDC-DCで、安定化した140Vを作り、100V(2次側)を安定化した疑似サイン波として出力します。悪い製品:12V(一次側)をDC-DCで、安定化しない140Vを作り、パルス幅を可変して、100Vを安定化した疑似サイン波として出力します。」との記載がある。

(http://eshimada.fc2web.com/solarh/qa2.htm)

2 「試験装置(医療用のものを除く。)」について

(1)「商品・サービス国際分類表〔第8版〕アルファベット順一覧表 日本語訳(類似群コード付)(以下、「国際分類表」という。)(http://www1.ipdl.inpit.go.jp/nice/index.html)の第9類には、「試験装置(医療用のものを除く。)」が記載されているが、その下位概念の射程を検討する上で、平成8年9月財団法人全国統計協会連合会発行、総務庁統計局統計基準部編集の「日本標準商品分類(平成2年6月改訂)」が参考になるところ、これによれば、分類番号63 6の「試験機及び分析機器」の下位概念として、分類番号63 62の「性能試験機器」が、さらにその下位概念として、63 627の「振動試験機」が記載されていることが認められる。

したがって、本願の指定商品である「試験装置(医療用のものを除く。)」には、「振動試験機(装置)」も含まれるものと解するのが相当である。

(2)振動試験機(装置)について

ア 「有限会社 旭製作所」のWebサイトにおいて、「振動試験装置の設計・製作」の見出しのもと、「小型では日本最高峰の振動試験機:小型軽量、強力、歪みなし」の項に、「弊社振動装置は、動電型で、サイン波、ランダム波、ショック波、これらを組み合わせたサインオンランダム、ランダムオンランダムや、 実際の振動の再現など様々な振動を正確に作り出します。動電型は、出力が完全に入力電流に比例するので、これらの精密な制御が可能です。

サイン波 サインカーブを描く単一の周波数からなる振動波です。これを使った試験が、最も一般的に行われている振動試験です。サイン波スイープはその代表的なものです。これは、周波数の上限と下限の間を上下反復しながら、必要な周波数すべての中での試材の信頼性をテストするものです。この試験方法に関する規格は数多くあります。

ランダム波 実際のフィールドの振動は、サイン波のように単一の周波数からなる振動ではなく、何種類もの振動源からの、何種類もの振動数を含んだ振動波です。通常のランダム波試験では、ガウス分布とよばれる自然界の周波数の分布に近い振動で行われることが多いようです。 サイン波は単一の周波数からなるため一つの共振しか起こせませんが、ランダム波は何種類もの振動数をふくむため、 同時に数多くの共振を起こすことができます。用例:自動車、ロケット

ショック波 ショック波も、ランダム波と同じく何種類もの振動数をふくんだ振動波です。ただ、ランダム波が、ガウス分布という自然界の振動に近い振動であるのに対し、ショック波は、短時間に特徴的な波形を起こす振動の波形です。 これを使った試験は、事故や故障を引き起こす衝撃などの試験を行うことができます。用例 : 事故、爆発などの衝撃、運転中の道路の段差の衝撃など

サイン オン ランダム これは、ランダム波の上にサイン波を加えた振動です。例えば、ヘリコプターのように、エンジンによるランダム波に、プロペラの回転によるサイン波を加えたようなケースの試験に使われます。用例:飛行状態のヘリコプターなど

ランダム オン ランダム これは、ランダム波の上にランダム波を加えた振動です。用例 : 飛行状態のプロペラ機など

そのほか、自動車の走行や地震の振動の再現など実際の波形を再現することもできますし、自分で波形を作る事も可能です。」との記載がある。

(http://www.h5.dion.ne.jp/~business/asahi/pro/shiken.htm)

イ 「OKIエンジニアリング」のWebサイトにおいて、「振動・衝撃試験」の見出しのもと、「振動試験 主に正弦波 (サイン波)振動やランダム振動による耐振性能を確認します。また、固有振動数(共振周波数)の測定および耐久試験にも対応しております。」との記載がある。

(http://www.oeg.co.jp/Rel/Vibration.html)

ウ 「施設・設備データベース」のWebサイトにおいて、「振動試験機」の項のもと、「仕様及び性能 試験可能波形 サイン波・ランダム波・ショック波・サインオンランダム波 加振力 24500N 用途 ・機械部品の振動特性評価・耐久試験 ・電子部品、機器の信頼性試験 ・各種製品の梱包輸送試験」との記載がある。

(http://www.fukushima-iri.jp/db/equipment/detail/topick-id120.php)

エ 「地方独立行政法人 東京都立産業技術研究センター」のWebサイトにおいて、「振動試験機」の見出しのもと、「仕様 最大加振力: サイン波/16 kNpk、ランダム波/11.2 kNrms 加振方向: 上下及び水平方向 実施可能試験: 正弦波試験、ランダム試験、衝撃試験 用途 主に機械振動を受ける製品などに対して実際に振動を与え、耐久性を確認したり、共振周波数を測定することが可能です。大きさについては、630×630 mmのテーブルの範囲内の製品であれば、加振が可能です。」との記載がある。

(http://www.iri-tokyo.jp/annai/setubi/F/p15.html)

オ 「石川県工業試験場」の見出しのもと、「設備名 複合振動試験機 《概要》機械部品・電子機器等に規定された温度・湿度環境条件の中で振動を与え、機器の耐久性や運搬中の振動に対する信頼性を試験する機器 《仕様》・振動試験機 加振力:24kN(正弦波)・24kNrms(ランダム波)・55kNpeak(ショック波)加振波形:サイン波、ランダム波、ショック波、任意波形」との記載がある。

(http://irii.go.jp/faci/detail/pdf/kaihoh19_01.pdf)

カ 「産業機器.com」のWebサイトにおいて、「振動試験装置の情報」の見出しのもと、「装置名:振動試験装置とは」の項に、「対象品に振動を与え、対振動耐性を評価する装置。地震が発生した際や輸送時などに発生する振動への耐性の調査や機器動作時の振動に対する信頼性を評価する目的で用いる。振動試験機とも称する。(中略)■振動試験装置の種類−振動の波動の種類による分類 正弦波振動試験装置(サイン波振動試験装置)、ランダム振動試験装置(ランダム波振動試験装置)、ショック波振動試験装置など」との記載がある。

(http://exam.atengineer.com/equipped/cls23011.htm)

キ 「テュフラインランドジャパン株式会社」のWebサイトにおいて、「振動試験」の項に、「振動試験では、製品が様々な振動から受けるストレスを模擬し、安全性や耐久性、ライフサイクル・性能などの評価を行います。」との記載があり、また、「試験設備のご紹介(一例)」の項に、「振動試験機 最大加速度75 g、544 kgまで、振動数5〜3 kHz、 サイン波またはランダム振動。」との記載がある。

(https://www.atengineer.com/business/tuv/shock.htm)

ク 「(株)広島テクノプラザ材料機械試験機器」のWebサイトにおいて、「材料・機械試験機器」の見出しのもと、「振動試験機」の項に、「電動型加振機によるサイン波振動試験ができます. 加振周波数 : 5〜1,000Hz 最大加振力 : 13,000N」との記載がある。

(http://www.h-techno.co.jp/zai/zairyoi.htm)

ケ 「中小企業サポートかながわ 2009年2月号」において、「産技センターのものづくり技術支援のご案内『振動試験機』」の見出しのもと、「試験方法」の項に、「試験方法は、用いる波形の違いにより、正弦波振動試験、ランダム振動試験、衝撃試験に大別されます。正弦波(サイン波)を用いる振動試験は最も一般的な方法で、指定された周波数に対する試験材料の信頼性がテストされます。一つの周波数を用いる周波数固定試験と、周波数を決められた範囲内で連続的に変化させる周波数掃引試験があります。」との記載がある。

(http://www.kipc.or.jp/index2.php?option=com_docman&task=doc_view&gid=416&Itemid=11)

(3)なお、請求人においても、インターネット上の請求人HP(http://www.unicojp.co.jp/UJP.files/UNIPULX/2005UNIPULX.pdf)には、自社製品のカタログの中で、「UNIPULX 電気サーボ式 エンジントルク変動加振テストスタンド」と題する製品カタログにおいて、「多様な加振試験条件を再現」の項に、「多様な加振トルク波形(正弦波、変形サイン波、三角波...)」との記載があり、「変形サイン波」は、波形を表す語として使用されている。さらに、同請求人HP(http://www.unicojp.co.jp/UJP.files/gijutu/030607a1-UJP%20modified%20sinusoidal%20wave.pdf)には、「加振機能付きテストスタンド 変形サイン波形試験報告書」の見出しのもと、「4.試験結果」の項に、「a)500Hzでの変形サイン波での加振は可能である b)変形サイン波の変形設定は、トルク領域である」との記載があり、やはり、波形を表す語として使用されている。

3 商標法第3条第1項第3号該当性について

前記1及び2に記載の各事実によれば、本願商標については、以下のとおり判断するのが相当である。

本願商標は、「変形サイン波」の文字を標準文字で表してなるところ、これは文字の種類の相違により、「変形」、「サイン」及び「波」の各文字を一連に表記したものと認められ、さらに、その構成中「サイン波」の部分は、「正弦波」すなわち「正弦曲線によって波形が表される波動」を意味する語と同義に解されるものであるから、本願商標を構成する「変形」、「サイン」及び「波」の各文字のうち、「サイン」と「波」とは、上記意味を有する熟語として一体のものとして理解されると認めるのが相当である。そして、「変形」は「形を変えること。その変わった形。」といった意味を有する平易な日常語であることからすれば、本願商標の構成全体からは、「正弦波(サイン波)の波形を変えたもの(波動)」ないし「波形を変えた正弦波(サイン波)」といった意味合いを容易に理解、認識させるものといわなければならない。

このように、本願商標「変形サイン波」が上記意味合いで理解、認識されるものであることは、前記1に記載のとおり、インバータの波形を表す語の一として「変形サイン波」の語が上記と同様の意味合いで使用されていることからも、その妥当性を裏付けることができる。

他方、前記2に記載のとおり、本願の指定商品である「試験装置(医療用のものを除く。)」には、「振動試験機(装置)」が含まれるところ、当該商品は、サイン波、ランダム波、ショック波などの様々な波形(加振波形)を用いて振動を与えることで、製品の振動に対する耐久性や運搬中の振動に対する信頼性等を試験する機械(装置)であることが認められる。

そうすると、上記意味合いを容易に認識させる本願商標「変形サイン波」を、その指定商品に包含される「振動試験機(装置)」に使用しても、これに接する取引者・需要者は、上記におけるサイン波、ランダム波、ショック波などと同様に、当該商品で振動を与えるための波形(加振波形)の一を表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識とは認識しないものというのが相当であるから、これは単に商品の品質を表示するにすぎないものといわざるを得ない。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

上記審尋書に対し、請求人からは所定の期間を経過するも何らの応答もなかった。

そして、上記審尋は、妥当なものであるから、本願商標は、この理由により拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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