Trademark Appeal Case
称呼類似: 語尾「ン」の有無
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2009−12040(T2009−12040/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲のとおり、「PLIA」の欧文字と、「プライア」の片仮名文字を二段に横書きしてなり、第3類「せっけん類,化粧品」を指定商品として、平成20年6月4日に登録出願されたものである。
2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用した登録商標は、以下のとおりである。
(1)登録第485761号商標(以下「引用商標1」という。)は、「プライアン」の片仮名文字を書してなり、昭和30年12月8日に登録出願、第3類「香料及び他類に属しない化粧品」を指定商品として、同31年8月6日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録が4回に亘りされ、さらに、平成19年8月29日に指定商品を第3類「香水類,フケ取り香水,香油,髪膏,おしろい,化粧下,香料類(薫料・香精・天然じゃ香・芳香油を除く。),人造じゃ香,吸香,におい袋」とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。
(2)登録第4015659号商標(以下「引用商標2」という。)は、「ALBION」の欧文字と、「プライアン」の片仮名文字を二段に横書きしてなり、平成7年7月27日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,つけづめ,つけまつ毛,歯磨き」を指定商品として、同9年6月20日に設定登録され、その後、同19年7月3日に商標権の存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。
(以下、引用商標1及び引用商標2をまとめていうときは「引用商標」という。)
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本願商標は、前記1のとおり、「PLIA」の欧文字及び「プライア」の片仮名文字を二段に横書きしてなるものであり、構成中上段の「PLIA」の文字は、特定の語義を有しない造語と解されるところ、このような場合、我が国において一般に親しまれている英語又はローマ字風の読みに倣って発音するのが一般的であり、「PLIA」の文字綴りを有する英語、「pliable」が「プライアブル」、「pliant」が「プライアント」(小学館ランダムハウス英和大辞典 株式会社小学館発行)と発音する例に倣えば、「PLIA」の文字からは、「プライア」と発音されると判断するのが相当であるから、「プライア」の称呼を生ずるものである。
一方、引用商標1は、前記2(1)のとおりであるところ、その構成文字に相応して、「プライアン」の称呼を生ずるものであり、特定の語義を有しない造語と認められるものである。
また、引用商標2は、前記2(2)のとおりであるところ、下段の「プライアン」の文字は、上段の「ALBION」の文字部分より顕著に書されていること及びその書体も相違することから、上段の文字部分と下段の文字部分とは、視覚上分離して看取され得るものである。
そして、「ALBION」の文字部分は、「アルビオン:Great Britain島の古名で Whiteland の意」等(小学館ランダムハウス英和大辞典 株式会社小学館発行)を意味する成語であって、請求人の英語表記(商号)の略称であり、下段の「プライアン」の文字部分は、特定の語義を有しない造語と認められることから、株式会社アルビオンの製造、販売に係る個別商品に使用する商標「プライアン」と認識されるため、「ALBION」と「プライアン」の文字部分それぞれをもって、取引に当たる場合も少なくないものというべきであり、これを常に一体のものとして把握すべき特段の事情は見あたらないものである。
そうとすれば、引用商標2からは、その構成文字に相応して生ずる「アルビオンプライアン」の一連の称呼のほか、「ALBION」及び「プライアン」の各文字部分に相応した「アルビオン」及び「プライアン」の称呼をも生ずるものというべきである。
そこで、本願商標から生ずる「プライア」の称呼と引用商標から生ずる「プライアン」の称呼とを比較すると、両称呼は、称呼の識別において重要な要素を占める語頭音を含めた「プライア」の4音を共通にし、異なるところは、語尾における「ン」の音の有無のみである。
しかして、該差異音「ン」は、それ自体響きの弱い鼻音であって、それ自体の音の響きが弱いために前音の「ア」に吸収されやすいばかりでなく、比較的聴取され難い語尾に位置することから、常に明瞭に聴取し得るものとはいえないものである。
そうすると、該差異音の「ン」の有無が称呼全体に及ぼす影響は決して大きいものとはいえないから、両称呼をそれぞれ一連に称呼する場合には、全体として語調、語感が近似し、互いに聞き誤るおそれが少なからずあるものと判断するのが相当である。
外観については、本願商標の「プライア」と引用商標の「プライアン」の文字は、共に構成中の「プ」「ラ」「イ」「ア」の文字を共通にし、語尾の「ン」の文字の有無のみを異にするところ、両商標とも親しまれた語とはいえないことから看者の記憶に残り難く、しかも、該差異文字の「ン」は、語尾にあることもあり、時と処を異にして離隔的に観察した場合には、前記構成文字よりみて外観上も近似した印象を、取引者、需要者に与えることもあるといわざるを得ないものである。
取引の実情については、本願商標と引用商標とが、指定商品全般について商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれは生じないという特別な取引の実情が存するという理由及び証拠は見出せないものである。
してみれば、上記認定を総合すると、本願商標と引用商標とは、観念については、共に成語とは認められないことから、比較することができないとしても、外観上、近似した印象を与え、称呼においては互いに紛らわしく、当該指定商品について商品の出所の混同を生ずるおそれはないと考えさせる特別の事情も存在しないから、これらを同一又は類似の商品に使用したときは、商品の出所について誤認混同を生ずるおそれのある類似の商標といわざるを得ない。
したがって、本願商標は、引用商標に類似する商標であり、かつ、両商標の指定商品も同一又は類似の商品であるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
(2)請求人の主張について
請求人は、本願商標の称呼「プライア」は、各文字を一語一語明瞭かつ一気に発音し、各構成音に強弱の差はなく、平坦な印象をもって聴取されるものであり、一方、引用商標より生ずる称呼「プライアン」は、末尾に「ン」の音を有することにより「ア」音が強調され、「プライ・アン」と2音節風に聴取されるため、本願商標と引用商標の称呼とは語調・語感を大きく異にするものである。また、過去の登録例・審決例においても、末尾「ン」の音の有無のみ相違する2つの商標を非類似であると判断された事例が多数あることから、請求人の主張が正当なものである旨主張する。
しかし、本願商標と引用商標は、いずれも特定の語義を有しない造語であって、それぞれを一連に称呼する場合、語尾における鼻音「ン」の音の有無の違いが聴者に強い印象を与えるものと認めることはできない。そして、商標法第4条第1項第11号の該当性は、本願商標と引用商標との比較により個別・具体的に判断すべきものであるから、過去の審決例、登録例に拘束されるものではない。
したがって、請求人の上記主張は採用することができない。
(3)むすび
以上のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲(本願商標)
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