Trademark Appeal Case
観光地名商標の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2008−10743(T2008−10743/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「伊勢熊野路」の文字を標準文字により表してなり、第24類、第25類及び第30類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成19年6月21日に登録出願され、その後、指定商品については、原審における平成20年2月18日付け並びに当審における平成20年4月28日付け及び平成20年7月7日付けの手続補正書をもって、最終的に、第30類「菓子及びパン,茶,みそ,そばつゆ,ドレッシング,穀物の加工品,べんとう,食用粉類」に補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『伊勢熊野路』の文字よりなるところ、国連機関のUNESCO(国際連合教育科学文化機関)が世界遺産に熊野古道を指定したことにより、該古道が日本中から注目を集めており、熊野古道には伊勢路、中辺路、大辺路、小辺路、大峯道などのいくつかのルートがあるうち、伊勢路は、現在、三重県が『伊勢熊野路』と称して観光に役立てようとしているものであるから、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、上記の観光に関する商品と認識し、単に商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、前記のとおり「伊勢熊野路」の文字を書してなるところ、その構成中の「伊勢」の文字は、「旧国名。今の三重県の大半。三重県の市。」等を意味する語であり、「熊野」の文字は、「和歌山県西牟婁郡から三重県北牟婁郡にかけての地の総称。」を意味する語であり、「路」の文字は、「(地名の下に付き、多く濁音化して)...へ行く道。そこを通る道。転じて、その地方一帯をも表す。」等を意味する語であって(いずれも「広辞苑第六版(株式会社岩波書店)」を参照)、それぞれ当該意味合いで一般に認識されている語である。
そして、伊勢は、伊勢神宮への参詣者が多いことから、古くから観光地として広く知られており、また、平成16年に、熊野三山へ通じる参詣道である「熊野古道」が、ユネスコ指定の世界遺産リストに登録されたことにより、近年、熊野の地一帯も観光地として関心を集め、「熊野古道」と総称される参詣道には、伊勢から熊野に至る街道も存在する。
以上のことは、例えば、以下のインターネットホームページ情報及び新聞記事により、その一端をうかがい知ることができる。なお、下線は、審判の合議体で加えた。
<インターネットホームページ情報>
(1)「JTB/株式会社ジェイティービー」のホームページにおいて、「
東海・伊勢・南紀旅行
|エースJTB首都圏発」の見出しのもと、地図上のエリア名の一つとして「
熊野路
・白浜」との記載がある。
(http://www.jtb.co.jp/ace/SYT/tokai/)
(2)「世界遺産熊野古道」のホームページにおいて、「世界遺産熊野古道/世界遺産熊野古道」の見出しのもと、「
熊野古道が世界遺産に
」の項目に、「平成16年7月7日に、熊野古道を含む『紀伊山地の霊場と参詣道』が、世界遺産リストに登録されました。
熊野古道とは、伊勢や大阪・京都と紀伊半島南部にある熊野の地とを結ぶ道のこと
をいいます。古くは『くまのみち』、『熊野街道』とも呼ばれ、これらのうち保存状況の良い部分が『熊野参詣道』として国の史跡に指定されています。」との記載がある。
(http://www.pref.mie.jp/BUNKAZAI/HP/sekaiisan/)
(3)「世界遺産熊野古道伊勢路」のホームページにおいて、「世界遺産熊野古道伊勢路」の見出しのもと、「
『伊勢』から『熊野』へ―。聖地を結ぶ祈りの道。
」との記載や、「熊野古道とは?」の項目に、「熊野古道は、紀伊半島南部にあたる熊野の地と伊勢や大阪・和歌山、高野及び吉野とを結ぶ古い街道の総称で、『熊野街道』とも呼ばれています。」との記載がある。
(http://www.pref.mie.jp/KODO/)
(http://www.pref.mie.jp/KODO/index2.htm)
(4)「交通新聞社」のホームページにおいて、「交通新聞社 旅の手帖-立ち読みページ」の見出しのもと、「旅の手帖 2009年3月号」の「特別企画」の項目に、「●熊野古道・
伊勢熊野路
〈寄り道案内〉」との記載がある。
(http://www.kotsu.co.jp/magazine/tabi/tachiyomi/200903.html)
(5)「ウェッジの書籍」のホームページにおいて、「
伊勢・熊野路
を歩く−癒しと御利益の聖地巡り ウェッジの書籍」の見出しのもと、書籍として「伊勢・熊野路を歩く−癒しと御利益の聖地巡り」が紹介され、「
伊勢神宮から熊野三山を経て田辺市へと巡る旅
=世界遺産にも登録されている熊野古道(伊勢路・中辺路)を辿る旅を、現代の旅人のために案内します。」との記載がある。
(http://wedge.ismedia.jp/articles/-/240)
(6)「南三重地域活性化事業推進協議会」のホームページにおいて、「南三重 新着情報」の見出しのもと、「南三重ふれあい市場 藤が丘中央商店街にOPEN!!」、「世界遺産 熊野古道・
伊勢熊野路
の南三重から、名古屋の皆さんに、南三重の神々の幸(山・海の幸)をお届けします。」との記載がある。
(http://minami-mie.info/info.php)
(7)「三重県観光局」のホームページにおいて、「三重県観光局/美し国 三重 ドライブマップ」の見出しのもと、「美し国 三重 ドライブマップ(ぶらり旅・ドライブみえ)」の項目に、「1.黒潮の道
伊勢熊野路
(伊勢志摩・東紀州エリア)」との記載がある。
(http://www.pref.mie.jp/D1KANKO/map.htm)
<新聞記事>
(1)2008年12月16日付け 朝日新聞 名古屋朝刊 14頁には、「(声)清掃しながらウオーキング【名古屋】」の見出しのもと、「先日、熊野古道・
伊勢熊野路
エコウオーキングに参加しました。」との記載がある。
(2)2007年3月6日付け 中日新聞 朝刊 牟婁版 28頁には、「紀勢道生かした 地域振興策論議 尾鷲で検討委」の見出しのもと、「整備が進む高速道路を生かした振興策について話し合う『紀勢道整備に伴う地域活性化検討委員会』の会合が二日夜、尾鷲市の県尾鷲庁舎で開かれた。・・・出席者からは・・・『伊勢志摩という言葉を
伊勢熊野路
に広げてはどうか』などの声が出た。」との記載がある。
(3)2007年2月28日付け 中日新聞 朝刊 牟婁版 18頁には、「
熊野路の旅情
を活写 紀伊長島 道畑さんが作品展」の見出しのもと、「作品展『熊野路の旅』が、尾鷲市の県尾鷲庁舎で開かれている。・・・会場には、熊野古道・伊勢路沿いの名勝を題材にした写真十四点が並ぶ。」との記載がある。
(4)2005年5月18日付け 朝日新聞 大阪地方版/和歌山 25頁には、「県、観光指針を策定 昨年は過去最多の観光客、狙いは再訪客確保/和歌山県」の見出しのもと、「県は、05年度から5年間の観光振興策を示した県観光振興指針を策定した。・・・七つの重点施策のうち、世界遺産の活用では、
登録された高野・熊野古道とその周辺部などを観光コースとして組み入れること
や登録されなかった古道の活用で、再訪者が増えることを目指している。・・・また、個性輝く観光地づくりについては、・・・
具体的事業としては、郷土料理や土産品開発
、ボランティアの街並み案内などに取り組むことを掲げている。・・・県観光振興課によると、去年1年間の県内の観光客は約3090万人で、前年比約150万人増で過去最多を記録した。」との記載がある。
(5)2004年6月26日付け 読売新聞 中部朝刊 30頁には、「[瞬く]熊野古道 世界遺産“秒読み”自然、文化、人との触れ合い=愛知」の見出しのもと、「『紀伊山地の霊場と参詣道(さんけいみち)』の世界遺産登録が秒読み段階に入った。これをきっかけに地域の活性化に結びつけようとする動きは各地ですでに始まっている。
伊勢神宮から熊野三山へ向かう熊野古道を抱える三重県南部の東紀州地域では、案内所や休憩所、茶屋などのオープンが相次ぎ、ちょうちんやタオル、Tシャツと、熊野古道のロゴ入り土産がもう売られている。
」との記載がある。
(6)1997年4月3日付け 中国新聞 中国夕刊 日誌 夕Tには、「ガイド 4日」の見出しのもと、「▽広島・・・
伊勢熊野路
墨彩画小品展」との記載がある。
そうすると、本願商標の審決時において、「伊勢」、「熊野」及び「路」の語を結合した「伊勢熊野路」よりなる本願商標全体よりは、観光地としての「伊勢から熊野へ通じる道やその地域」程の意味合いを容易に看取させるものであるというのが相当である。
さらに、本願の指定商品は、菓子や食品類をその商品としているところ、一般に観光地では、例えば土産物として菓子などの商品が多数販売されている実情がみられる。
そうとすれば、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、該商品が「伊勢から熊野へ通じる道やその地域に係る場所において製造、販売されるもの」であること、すなわち、商品の産地、販売地を表示したものと認識するにとどまるものというのが相当であるから、本願商標は、自他商品の識別標識としての機能を有しないものといわなければならない。
したがって、本願商標は、本願の指定商品の産地、販売地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。
なお、請求人は、本願商標を「三重県のすべての道は伊勢へ熊野へ通じる道」といった意味で採択したものであり、また、「伊勢熊野路」という固有のルート・特定の地域が存在せず、ドライブマップに使用されている語も「黒潮の道伊勢熊野路」であって、「伊勢熊野路」単独では使用されていない旨、主張している。
しかしながら、「伊勢熊野路」は「伊勢から熊野へ通じる道やその地域」を表す語として使用されており、本願商標の指定商品を取り扱う取引者、需要者等において、商品の産地、販売地を表示したものと認識されること前記のとおりであるから、請求人のかかる主張は、採用できない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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