Trademark Appeal Case
「ISO」類似と識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2009−650049(T2009−650049/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「Iso Volume Technology」の欧文字を書してなり、国際登録簿に記載された、日本国を指定する第9類及び第10類に属する商品を指定商品として、2007年2月21日にGermanyにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2007年(平成19年)7月24日に国際商標登録出願されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、スイス・ジュネーブに本部がある『International Organization for Standardization』(国際標準化機構)の著名な略称の標章『ISO』と類似する『Iso』の文字を有するから、出願人がこれを商標として採択、使用することは穏当ではない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第6号について
商標法第4条第1項第6号(以下「本号」という。)において、「国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関、公益に関する団体であって営利を目的としないもの又は公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名なものと同一又は類似の商標」は、商標登録を受けることができない旨規定している。
工業所有権法逐条解説[第17版](特許庁編集 社団法人発明協会発行)によれば、「六号の立法趣旨はここに掲げる標章を一私人に独占させることは、本号に掲げるものの権威を尊重することや国際信義の上からみて好ましくないという点にある。なお、本号は八号と異なり、その承諾を得た場合でも登録しないのであるから単純な人格権保護の規定ではなく、公益保護の規定として理解されるのである。」と説明されている。
また、知的財産高等裁平成20年(行ケ)10351号判決(判決言渡日 平成21年5月28日)において、「商標法4条1項6号の規定は、同号に掲げる団体の公共性にかんがみ、その権威を尊重するとともに、出所の混同を防いで需要者の利益を保護しようとの趣旨に出たものであり、同号の規定に該当する商標、すなわち、これらの団体を表示する著名な標章と同一又は類似の商標については、これらの団体の権威を損ない、また、出所の混同を生ずるものとみなして、無関係の私人による商標登録を排斥するものであると解するのが相当である。」旨判示されている。
そこで、以上の観点から本件について検討する。
2 本願商標の本号の該当性について
(1)「ISO」の文字の著名性について
「国際標準化機構(英語表記:International Organization for Standardization)」は、「国家間の製品やサービスの交換を助けるために、標準化活動の発展を促進すること」及び「知的、科学的、技術的、そして経済的活動における国家間協力を発展させること」を目的とし、1947年に発足した国際機関であり、我が国は、1952年に日本工業標準調査会(JISA)が加入し、その会員数は、2008年1月現在で、157か国に及んでいるものである。
そして、「国際標準化機構」は、電気及び電子技術分野を除く全産業分野(鉱工業、農業、医薬品等)に関する国際規格の作成を行っている等、公益に関する事業をおこなっている非営利法人である(日本工業標準調査会ホームページ、フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』参照)。
さらに、該機構は、その英語表記の頭文字3字から「ISO」と略称され、「ISO」の文字が、我が国において、前記機構を示すものとして、広く知られていることは、別掲に示すとおり、辞典等の記載や新聞記事情報等からも明らかである。
(2)本願商標と「ISO」の類似について
本願商標は、「Iso Volume Technology」の欧文字よりなるところ、「Iso」、「Volume」及び「Technology」の文字は、それぞれ、その文字間に一字分のスペースがあり、また、それぞれの頭文字を大文字で書されていることから、「Iso」、「Volume」及び「Technology」は、視覚上、分離して認識し、把握され易い態様からなるものである。
そして、「Iso Volume Technology」の文字が、一連でなんらかの特定の意味合いを看取させる等、これらを常に不可分一体のものとしてのみ観察されなければならないとするべき特段の事情も認められない。
さらに、本願商標の構成文字全体より生ずる「イソボリュームテクノロジー」あるいは「アイエスオーボリュームテクノロジー」の称呼は、冗長であることから、簡易迅速を尊ぶ取引の実際にあっては、本願商標に接する取引者、需要者は、その構成前半に位置する「Iso」の文字部分に印象を留め、取引に資する場合も決して少なくないというべきである。
そうとすると、本願商標の構成中「Iso」の文字は、それ自体独立して自他商品の識別標識としての機能を有するものと認められ、本願商標は、該文字に相応して、「イソ」あるいは「アイエスオー」の称呼を生ずるものである。
そして、「Iso」の文字は、「国際標準化機構」の著名な略称「ISO」とその綴りを同じくすることから、「国際標準化機構」の観念を生ずるものとみるのが相当である。
してみれば、本願商標は、公益に関する団体であって営利を目的としないもの又は公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名な略称「ISO」と類似の商標といわなければならない。
よって、「国際標準化機構」とは無関係の一私人たる請求人に、本願商標を独占させることは、公益保護の観点からも適当ではない。
3 請求人(出願人)(以下「請求人」という。)の主張
請求人は、下記の理由を挙げ、本願商標は、本号に該当しないと主張する。
(1)本願商標は、「Iso Volume Technology」の文字からなるところ、その表記は、大文字のみからなるものではなく、小文字を混じえて表記している。そして、機関等の略称を表示する際は、大文字を用いるものである。してみれば、本願商標の構成中の「Iso」の文字部分は、「国際標準化機構」の著名な略称を認識するものではなく、「等しい、同一の」を意味する接頭語「Iso」として理解するものである。
したがって、本願商標は、本号に該当しない。
(2)「ISO」の文字から、必ずしも「国際標準化機構」のみが連想されるものでない(第2号証)。また、「ISO」を含む商標が、多数登録されている(第3号証)。してみれば、本願商標は、直ちに、「国際標準化機構」が連想されるものではない。
したがって、本願商標は、本号に該当しない。
4 請求人の主張に対する反論
(1)本願商標の構成中「Iso」の文字が、「等しい、同一の」を意味する接頭語であるとしても、前記2(2)で認定したとおり、本願商標が、構成全体として何らかの特定の意味合いを有するものとは認められず、また、その称呼も冗長である等により、「Iso」の文字部分のみを捉えて取引される場合があると判断するのが相当である。
そして、「Iso」の文字は、「国際標準化機構」の著名な略称「ISO」とその綴りを同じくすることから、「国際標準化機構」の観念を生ずるものである。
してみれば、本願商標の構成中の「Iso」が大文字と小文字からなることをもって、本願商標が本号に該当しないとする請求人の主張は、これを採用することができない。
(2)請求人の提出した第2号証をみるに、「ISO」と略称される機関等が多数存在することは、この提出された資料から認められるものである。
しかしながら、「ISO」の欧文字が「国際標準化機構」の略称を表示するものとして実際に使用され、著名性を有するものであることは、前記2(1)で認定したとおりである。
さらに、「ISO」の文字を構成中に含む商標が本願商標の指定商品を含め他の商品の区分においても登録されている事例があるとしても、個別具体的事案の判断においては、過去の登録例等の判断に拘束されることなく検討されるべきものである。
してみれば、請求人のかかる主張もこれを採用することができない。
(3)その他、請求人の主張をもってしても、原査定の拒絶の理由を覆すに足りない。
5 結論
以上によれば、本願商標は、商標法第4条第1項第6号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当であって、これを取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。