sokuhyo

Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2008−900313(T2008−900313/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5134817号商標の指定役務中、第43類「リゾートにおける宿泊施設の提供,レストラン・バー・カクテルラウンジ及びカフェテリアにおける飲食物の提供,持ち帰り可能なレストランにおける飲食物の提供,展示施設の提供,一時の宿泊施設の予約サービスに関する情報の提供,一時宿泊施設の提供,ホテルにおける宿泊施設の提供,その他の宿泊施設の提供,ホテルその他の宿泊施設のあっせん,宿泊の予約の取次ぎ,宿泊施設の予約の取次ぎ,ホテルの予約の取次ぎ,その他の宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,バーにおける飲食物の提供,喫茶店における飲食物の提供,カフェテリアにおける飲食物の提供,ケータリング(飲食物),レストランにおける飲食物の提供,その他の飲食物の提供,会議室の貸与,展示施設の貸与」についての商標登録を取り消す。
本件登録異議の申立てに係るその余の指定役務についての商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5134817号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、第35類、第36類、第37類、第41類、第43類及び第44類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、2007年1月4日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成19年7月3日に登録出願、同20年1月24日に登録査定、同年5月16日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要旨)

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標の登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第44号証提出した。

(1)商標法第4条第1項第19号について

本件商標は、別掲のとおりのバーカウンターの前でシェイカーを振るバーテンダーの姿を簡略化した図形の下に、大きな欧文字で横書きした「CIPRIANI」の文字を、さらにその下部に小さな欧文字で横書きした「OCEAN RESORT AND CLUB RESIDENCES」を配して構成されている標章からなる。その構成から、中段に大きな文字で書された「CIPRIANI」の文字が商標の要部として認識され、「チプリアーニ」単独の称呼が生ずるものである。

申立人は、自身の運営するホテル及びレストランについて、甲第3号証に示す「HOTEL CIPRIANI」(以下「引用商標」という。)及び甲第4号証に示す「Hotel Cipriani Restaurant」(以下「引用標章」という。)の欧文字よりなる標章を本件指定役務中、第43類に使用している。引用商標及び引用標章は、その構成中の自他役務識別力を有する「CIPRIANI」及び「Cipriani」の文字部分より「チプリアーニ」単独の称呼が生じるものである。

本件商標と引用商標及び引用標章とは、「チプリアーニ」の称呼を同一にする称呼上類似の商標と認められる。

提出した証拠によれば、申立人の使用する引用商標及び引用標章は、第43類に係る役務について、本件商標の登録出願日である平成19年7月3日以前に既に全世界的な周知性を有していたことは明らかであるから、同業を営む本件商標権者が引用商標及び引用標章の存在を認識していたことが推認でき、本件商標権者が引用商標及び引用標章と類似の本件商標を登録出願することは、申立人の日本国内への参入阻止、引用商標及び引用標章の有する出所表示機能の稀釈化、又は引用商標及び引用標章が有する名声等の毀損のいずれかの意図があったと推認することができる。

よって、本件商標は、引用商標及び引用標章と類似する商標について同一又は類似の指定商品について登録されたものであるから、本件商標は商標法第4条第1項第19号に違反して登録がなされたものである。

(2)商標法第4条第1項第10号について

仮に、本件商標権者が上述した不正の目的を有していなかったとしても、本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当する。

引用商標及び引用標章は、複数の国において役務の提供がなされており、本件商標の登録出願前に既に全世界的に周知性を有していたものであるから、本件商標は、申立人の役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている引用商標及び引用標章と類似する商標であって、その役務と同一又は類似である第43類について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。

(3)商標法第4条第1項第15号

申立人は引用商標及び引用標章を使用した結果、それらについて周知性を獲得している。本件商標と引用商標及び引用標章は、その要部「CIPRIANI」と共通とする類似の商標である。

これらの状況からかんがみるに、引用商標及び引用標章は、本件商標の指定役務である第36類については使用されていないが、ホテルという不動産について使用されていることから、本件商標が第36類に関する指定役務(例えば「建物の管理」等)について使用された場合、我が国における取引者及び需要者は、本件商標が付されて提供される役務について、申立人の業務に係る役務と混同を生ずる恐れがある。

よって、本件商標登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してなされたものであるから、取り消されるべきである。

(4)結論

以上述べた通り、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきものである。

3 当審で通知した取消理由

申立人の提出に係る甲各号証及び申立人の主張を併せみると、以下の事実が認められる。

(1)申立人は、自身の運営するホテルについて、「HOTEL CIPRIANI」の欧文字よりなる標章(甲第3号証)を使用している。

フリー百科事典ウェブサイト・Wikipedia(英語版)(甲第5号証)には、当該ホテル「Hotel Cipriani」(以下「ホテル・チプリアーニ」ということがある。)は、イタリア国ベネチア(ベニス)において1958年に創業され、その後1976年にオリエント・エクスプレス・ホテルズ社に買収されたこと、そして、ヨーロッパを代表する最も象徴的なホテルの一つにまで発展したこと、また、2004年ないし2007年には旅行情報誌の開催するアワード(賞)において、「ゴールドリスト」や「ヨーロッパ・小アジア・ロシアにおけるベストホテル」「ワールドトップ10」に選ばれたことが記載されている。

(2)イタリアにおける証拠資料(甲第10号証ないし甲第31号証)

ホテル・チプリアーニは、イタリア又はベネチア(ベニス)に関する旅行ガイドブック・ホテルガイドブック(発行日の掲載はない。)、及び雑誌(2006年ないし2007年11月発行)等において、「HOTEL CIPRIANI」「Hotel Cipriani」或いは「HOTEL/Hotel」の文字部分を省略して「(the)Cipriani」と称して、「ベニスで最も豪華なホテルのひとつ」「ベニスで最も有名なホテル」「イタリアで最も高級なホテル」「世界で最も高級なホテルのひとつ」「世界的なホテルのひとつ」「世界の20大ホテルのひとつ」「グレード4(εεεε)の(高級ホテル)」「星5つ(★★★★★)の(高級ホテル)」等として多数紹介されている。

(3)ブラジル、米国、英国、仏国における証拠資料(甲第32号証ないし甲第42号証)

上記各国における旅行、ホテル等に関する雑誌又は新聞(2005年ないし2006年発行)或いはインターネットウェブサイト(2005年)において、申立人が運営するレストラン「(Hotel)Cipriani Restaurant」が、リオデジャネイロ(ブラジル)のホテル「Capacadana Palace」内で営業されていることが紹介されている。

(4)日本における証拠資料(甲第6号証ないし甲第9号証)

オリエント・エクスプレス・ホテルズ社作成の日本語版パンフレットにおいて、ホテル・チプリアーニがベニスを代表する名門ホテルとして紹介されている。(発行日の掲載はない。)

オリエント・エクスプレス・ホテルズ社のウェブサイト内に、オンライン宿泊予約が可能なホテル・チプリアーニに関する日本語版のページが掲載されている。

海外の高級ホテルの紹介・予約ウェブサイト「SPLENDOR EXCLUCIVE」(日本語版)において、ホテル・チプリアーニが紹介されている。

世界の高級ホテルの紹介・予約ウェブサイト「The Leading Hotels of the World」(日本語版)において、ホテル・チプリアーニが名門・高級ホテルとして紹介されている。

そして、上記3件のウェブサイトのページ印刷をした日付は、いずれも2008年11月16日である。

(5)甲第44号証は、例えば、ホテル・チプリアーニが1987年にアメリカンエキスプレス社による「THE GREAT HOTELS OF THE WORLD TEN IN THE GRAND TRADITION」(世界の10大ホテル)に選ばれたのをはじめ、1983年ないし2007年における申立人の受賞歴が多数掲載された一覧表である。

(6)引用商標の周知性について

上記(1)ないし(5)によれば、引用商標は、申立人の業務に係る役務「宿泊施設の提供」について使用され、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、ブラジル、米国、英国、仏国等の国及び我が国において、ある程度は知られていたといえるとしても、申立人の提出に係る証拠資料によっては全世界的に周知であったとは言い難いものではあるが、少なくともイタリア国内における需要者、取引者の間においては広く認識されていたものと認め得るものであり、その周知性は現在も継続しているとみるのが相当である。

(7)本件商標と引用商標との類似性について

本件商標は、別掲のとおり、図形の下に横書きされた「CIPRIANI」の欧文字と、さらにその下に横書きされた「OCEAN RESORT AND CLUB RESIDENCES」欧文字とからなるところ、該図形部分と両文字部分とは、視覚上、常に一体不可分のものとして看取されるものとはいえず、また、両文字部分も、前者が上段に大きく表されているのに対して、後者はその下段に小さく表されており、しかもこれらの文字部分も常に一体不可分のものとして看取される特段の事情はないことから、中央に大きく表された「CIPRIANI」の欧文字部分のみを抽出し、これより生ずる「チプリアーニ」の称呼をもって取引に資する場合も少なからずあるものといえる。

他方、引用商標は、「HOTEL CIPRIANI」の欧文字よりなるところ、その構成中「HOTEL」の文字部分は、「旅館、特に、西洋風の宿泊施設」を意味する語であるから、その指定役務中「宿泊施設の提供」との関係においては、役務の提供の用に供する物を表示する語であることから、自他役務の識別標識としての機能を果たし得るのは「CIPRIANI」の文字部分にあり、これより単に「チプリアーニ」の称呼をも生ずるものである。

そして、「CIPRIANI」の欧文字は、我が国において特定の意味を有する語として親しまれた語とはいえず一種の造語を表したものとして理解されるというのが相当である。

そうとすると、本件商標と引用商標とは、観念について比較すべくもなく、外観において相違するとしても、「チプリアーニ」の称呼を同一にする類似の商標と認められる。

(8)以上のとおり、本件商標とイタリアにおいて周知な引用商標とは極めて類似するものであり、さらに、両商標の称呼を共通にする「CIPRIANI」の欧文字部分は、特定の意味を生ずることのない造語として認識されるものであることからすると、本件商標が引用商標と偶然に一致したというよりは、むしろ、商標権者は、本件商標の採択に際し、引用商標が「宿泊施設の提供」に使用されイタリアで需要者の間に広く認識されていることを知悉し、これが我が国において当該役務を指定役務として登録されていないことを奇貨として採択し、他人の周知な商標を不正の目的をもって使用するために本件商標を登録出願し登録を得たものと推認せざるを得ない。また、登録異議の申立てに係る「第43類」の役務は、「宿泊施設の提供」と密接な関連を有する役務である。

したがって、本件商標は、その指定役務中、「第43類」の役務については、商標法第4条第1項第19号の規定に違反して登録されたものであるから、その登録を取り消すべきものである。

4 当審の判断

平成21年4月7日付けで取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、商標権者からは何らの応答もない。そして、上記3の取消理由は妥当なものと認められる。

したがって、本件商標の登録は、その指定役務中、第43類「リゾートにおける宿泊施設の提供,レストラン・バー・カクテルラウンジ及びカフェテリアにおける飲食物の提供,持ち帰り可能なレストランにおける飲食物の提供,展示施設の提供,一時の宿泊施設の予約サービスに関する情報の提供,一時宿泊施設の提供,ホテルにおける宿泊施設の提供,その他の宿泊施設の提供,ホテルその他の宿泊施設のあっせん,宿泊の予約の取次ぎ,宿泊施設の予約の取次ぎ,ホテルの予約の取次ぎ,その他の宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,バーにおける飲食物の提供,喫茶店における飲食物の提供,カフェテリアにおける飲食物の提供,ケータリング(飲食物),レストランにおける飲食物の提供,その他の飲食物の提供,会議室の貸与,展示施設の貸与」について、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものといわざるを得ないから、同法第43条の3第2項の規定に基づき、取り消すべきものである。

また、その余の指定役務については、取り消すべき理由がないものと認め、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持する。

よって、結論のとおり決定する。

別掲

本件商標

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。