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Trademark Appeal Case

原産地名称の公序違反

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2008−900455(T2008−900455/J7)
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第5158963号商標の商標登録を取り消す。

理由テキスト

1 本件商標

本件商標は、「ゴールドシャンパンの香り」の文字を標準文字にて表してなり、平成20年2月29日に登録出願、第5類「薬剤」を指定商品として、同年7月4日に登録査定、同年8月15日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由の要旨

本件異議申立人(以下「申立人」という。)は、異議申立ての理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第93号証を提出した。

本件商標は、「ゴールドシャンパンの香り」の文字からなるところ、その構成中「シャンパン」の文字は、ワインの著名な原産地統制名称であって、その使用が厳格に管理・統制されているものである。

本件商標は、この著名な原産地統制名称に化体した高い名声及び信用にフリーライドするものであり、これを原産地からかけ離れた特定個人の商標として登録し使用することは、厳格に管理統制されている前記原産地統制名称を稀釈化させるものである。

したがって、本件商標は、公正な取引の秩序を乱し、ひいては国際信義に反するものであって、公の秩序を害するおそれがあるというべきであるから、商標法第4条第1項第7号に該当し、同法第43条の3第2項により取り消されるべきものである。

3 取消理由通知の要旨

当審は、平成21年10月20日付けで、商標権者に対し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与え、本件商標の登録は商標法第43条の3第2項の規定に基づき取り消すべきものと認める旨要旨次のとおり通知した。

(1)申立人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。

(ア)三省堂1996年10月1日発行「コンサイスカタカナ語事典」(甲第2号証)の「シャンパン[champagne]」の項には、「発泡ワインの1種.フランス北東部シャンパーニュ地方産の美酒.白ぶどう酒に糖分を加え発酵させ,香料を配し,びん詰にして1年以上貯蔵する.多量の炭酸ガスを含みさわやかな香味をもつ.祝宴に多く用いられる.シャンペンとも.日本では中国名『三鞭酒』を借りてシャンペンと読んでいた.シャンパーニュ地方以外でつくられる発泡ワインはスパークリング−ワインと呼んで区別される.」と記載されている。

(イ)岩波書店1998年11月11日発行「広辞苑第5版」(甲第3号証)の「シャンパン【champagne】」の項には、「発泡性の白葡萄酒。厳密にはフランス北東部シャンパーニュ地方産のものを指す。発酵の際に生じた炭酸ガスを含み、一種爽快な香味がある。・・・」と記載され、同じく「シャンパーニュ【Champagne】」の項には、「フランス北東部、パリ盆地東部の地方(州)。ブドウ栽培・シャンペン製造で知名。中心部ランス。」と記載されている。

(ウ)柴田書店1982年5月20日発行「新版 世界の酒事典」(甲第4号証)には、「シャンパン(Champagne)」の見出の下に、「フランスのシャンパーニュ地方でつくられているスパークリング・ワイン.正式の名称をバン・ド・シャンパーニュ(Vin de Champagne)という.世界の各地で、各種のスパークリング・ワインがつくられているが,このうちシャンパンと呼ばれるものは,フランスのシャンパーニュ地方,特にブルミェール・ゾーン(ランス山とマルヌ谷との一等地),ドゥジェーム・ゾーン(マルヌ県のうち一等地以外の村落群)産のスパークリング・ワインにかぎると1911年の法律で定められている.・・・」と記載されている。

(エ)明治屋本社昭和63年8月1日再版発行「明治屋酒類辞典」(甲第5号証)には、「Champagne(仏)(英)シャンパン」の見出の下に、「フランスの古い州の名『シャンパーニュ』をとってワインの名に用いたものである。現在『統制された名称』であって,何ら形容詞を付けないで単に『シャンパーニュ』と称する資格を有するのは,マルヌ県の一定地域のブドウを原料にし,その地域内で,『シャンパン法』でつくった『白』スパークリング・ワインである。最高生産量にも制限があって,それを越えた部分には形容詞がつく。」と記載され、また、[統制名称]の見出の下に、「シャンパンは,詳しくは『ヴァン・ド・シャンパーニュ』であるが,『シャンパーニュ』という地名を名乗るには資格がいる。1908年(明治41年)初めて法律ができて,『シャンパーニュ』という名称が『法律上指定された』名となった。・・・」、「要するにシャンパンの条件は(a)シャンパン地区の生産であること。(b)シャンパン法(ビン内で後発酵を行い,発生したガスをビン内に封じ込める)で製造したものであること。(c)白ワインであること。(原料ブドウには黒ブドウと白ブドウとを,メーカーの秘伝で混和するけれど,でき上がりは白ワインである)(d)その年度の最高の生産高に制限があること,の4条件を具えなければならない。」、「戦前,我が国でもシャンパンの名称を乱用した歴史があるが,敗戦の結果,サンフランシスコ講和条約の効果として,マドリッド協定に加入を余儀なくされ,以来フランスの国内法を尊重している。」等の記載があり、さらに、[供し方の注意]の見出の下に、「・・・乾杯用に用いられるのは,ポンという景気のよい爆音,黄金色の酒の美しさ,泡立ちの快さによる。」との記載がある。

(オ)文藝春秋1991年9月25日発行「ワイン紀行」(甲第6号証)には、シャンパンの歴史及び製造過程について記載されている。

(カ)柴田書店昭和56年6月15日発行「洋酒小事典」(甲第7号証)には、「シャンペン Champagne」の項に、「フランスのシャンパーニュ地方でつくられているスパークリング・ワインの総称。・・・」と記載されている。

(キ)日本経済新聞社1996年9月30日発行「田崎真也のフランスワイン&シャンパーニュ事典」(甲第9号証)には、「ソムリエ世界一が案内するフランスワイン名醸地紀行」の見出の下に、「私たちはシャンパーニュという言葉を聞いただけで、心が浮き浮きしてくる。それだけシャンパーニュは特別な意味を持ったワインなのだ。近頃は日本でもシャンパーニュが本格的にレストランやワインバーで飲まれるようになったのはうれしい限りだ。・・・」と記載されている。

(ク)読売新聞社昭和62年10月14日「最新版Theワイン」(甲第10号証)には、「シャンパンでディナーを」の見出の下に、「シャンパーニュ地方でつくられる、発泡酒だけに名付けられるシャンパン」と記載されている。

(ケ)角川書店1990年6月30日発行「世界の酒4 シャンパン」(甲第11号証)には、その6頁に、「シャンパーニュの丘」の見出の下に「シャンパーニュのワインの歴史に、さらにひとつの栄光のエピソードが加わった。それは発泡性ワインの誕生である。この画期的な発見、発明は、その後の研究者たちの努力によって、発泡性ワイン、ンャンパンの名声を、ヨーロッパのみならず世界的なものにしたのであった。」と記載され、8頁に、「シャンパーニュのブドウ畑」との見出の下に「シャンパーニュというのは、この地方の古くからの一般的呼称である。・・・シャンパーニュには、他の産業もいろいろとあるが、何といってもシャンパンで世界的に知られている。」と記載されている。

(コ)日本映像出版1991年5月27日「ザ・ワールドアトラス・オブ・ワイン」(甲第12号証)には、その58頁に、「フランス」の見出の下で「フランスは勤勉で感覚的なだけでなく、実に組織的だ。栽培地を規定し、分類し、管理している。どの地所がいちばん優れているかを、ほぼ200年にもわたって整然とリストアップし続けている。過去60年前後、こうした仕事はワインそのものだけでなく、消費者の保護という点で世界的な関心事として次第に重要性を増している。」と記載され、110頁に、「シャンパーニュ」の見出の下に地図等と共に「シャンパンがどれも、世界中の他のどんな発泡性ワインにも勝るというのは言い過ぎだろう。さまざまなシャンパンがあるのだから。しかし、申し分ないシャンパーニュには、さわやかさと鋭敏さ、芳醇さ、混じりけのなさといったものの組み合わせ、それに優しく刺激してくれるアルコールの強さが見られ、他の追随を許さない。」と記載されている。

(サ)サントリー1998年12月1日発行「世界のワインカタログ1999 by Suntory」(甲第13号証)には、「シャンパーニュ Champagne」の項に、「シャンパーニュ(Champagne)A.O.C.ワイン地域図」としてワイン産地の地図が掲載され、「シャンパーニュ」の見出の下に、「フランスの葡萄産地としては最北部にあたるシャンパーニュは、言うまでもなく、あのシャンパンの産地です。この地でつくられるスパークリングワインのシャンパンは、スパークリングワインの代名詞として使用されるほど、世界で最も有名なワインのひとつです。その名にふさわしく、大変手間のかかる伝統的な手法をかたくなに守り続けて、素晴らしい風味を生み出しています。」と記載されている。

(シ)料理王国社2000年1月20日発行「料理王国1月号別冊 季刊ワイン王国 NO.5」(甲第14号証)には、「シャンパン味わいの多様性チャート」の見出の下に、「ひとくちにシャンパンといっても一様でないのはそれもそのはず、シャンパーニュ地方ワイン生産同業委員会(CIVC)がまとめているすべての醸造元の数は5200にものぼる。委員会は、シャンパン消費量上位10カ国に外国事務所をおいて、『シャンパンと呼べるのは、シャンパーニュ地方産スパークリングだけ』ということを訴えてきたが、’93年頃から『5200の醸造元があれば5200様のシャンパンがある』ということもアピールするようになった。」と記載されている。

(ス)講談社昭和55年5月30日発行「世界の名酒事典’80改訂版」(甲第15号証)には、「スパークリング・ワイン」の見出の下に、「グラスに注ぐと、軽やかな細かい泡が立つ、華やかなワイン。発泡酒といわれ、第二次発酵ののち、クラスに注いだとき泡立つワインをいう。シャンパンがその代表で別格扱いされるが、世界のワイン地帯には、ほとんどある」と記載され、さらに「シャンパンの故郷ランス」の見出の下に、写真及び地図入りでシャンパンの特徴、製造法、地理等について記載されている。そして、「世界の名酒事典」の’82−’83年度版、’84−’85年度版、’87−’88年版、’90年版ないし2000年版、2002ないし2004年版においてもほぼ同内容の記載があり、製品の紹介がされている(甲第16ないし第32号証)。

例えば、上記事典の’90年版には、「シャンパンの楽しみ」と題して対談が記載され、また、「ワインの法律」との見出の下に「ヨーロッパではEC(欧州共同体)においてワイン法を制定し、加盟各国はこれに基づいてそれぞれ国内法を設けている。」との記載及びECのワイン法に基づく品質区分例として、フランスにおける指定地域優良ワインは「V.D.Q.S.ワイン」と「A.O.C.ワイン」と記載されているほか、上記事典の’94年版には、映画にかかわるシャンパンについて、例えば、「『肉料理には赤いワイン、魚には白いワイン、そして恋にはシャンパンを』といったのは『昼下がりの情事』(57年、ビリー・ワイルダー監督)のオードリー・ヘプバーン。」のように多数紹介されている。

(セ)読売新聞社1986年4月17日「The一流品 決定版」(甲第33号証)には、「スパークリングワイン/シャンパン」の見出の下に「スパークリングワイン、発泡性で炭酸ガスを多量に含んだワインである。いちばん有名なのがシャンパン。フランスではマルヌ、オーブ、エーヌ、セーヌ・エ・マルヌ四県のブドウ畑でとれたものを原料にしたものだけを本当のシャンパンと証明している。祝祭典や結婚式、誕生日などの華やいだ場所で乾杯用として使われる、歓びを演出する酒でもある。」との記載があり、以下に著名なシャンパンが紹介されている。同誌PART2ないしPART4にも同旨の記載がある(甲第34ないし第36号証)。

(ソ)世界文化社昭和57年11月1月発行「家庭画報特選 Made in EUROPE ヨーロッパの一流品 女性版」(甲第37号証)には、「女性を美しくする唯一の飲み物−シャンパン」の見出の下に、「シャンパンという名称は、フランスのシャンパーニュ地方で造られる発泡性ワイン(スパークリング・ワイン)の総称で、それ以外のものは単にスパークリングと呼ばれます。」と記載されている。

(タ)世界文化社昭和58年11月1日発行「家庭画報編女性版 世界の特選品’84」(甲第38号証)には、「CHAMPAGNE シャンパン」との見出の下に、「パリから170キ口東の、ランスより南一帯がシャンパーニュ地方。ここでつくられる発泡性ワインがシャンパンです。」と記載されている。

(チ)講談社昭和60年12月1日発行「男の一流品大図鑑’86年版」(甲第39号証)には、CHAMPAGNE(シャンパン)の一つが一流品として紹介されており、同誌’87年版及び’88年版においても同様に紹介されている(甲第40及び第41号証)。

(ツ)宙(おおぞら)出版1999年「はじめてのシャンパン&シェリー」(甲第42号証)には、「一目で分かるシャンパンのデータ」の見出の下に、1998年における上位10カ国へのフランスからの国別出荷量等がグラフにより示されており、我が国への出荷量については、イギリス、ドイツ、アメリカ、ベルギー、スイス、イタリアに次いで多く298万本(750ml、以下同じ。)であること及びフランスからの総出荷量は、1993年が22909万本、1998年が29246万本であって、この間ゆるやかに上昇を続けている旨の記載がある。

(テ)昭和64年1月5日付け日本経済新聞夕刊では、「シャンパン(産地)」との見出の下に「シャンパンはフランス・シャンパーニュ地方で造られたスパークリングワイン(発泡酒)のこと。グラスに注ぐと軽やかな細かい泡が立つ華やかなワインだ。シャンパーニュ地方はパリの北東、約百七十キロにあり、同国のブドウ産地では最も北に位置する寒い地域。」と報道された(甲第43号証)。

(ト)平成元年6月13日付け日本経済新聞夕刊では、「シャンパン人気急上昇」の見出の下に「結婚披露宴の乾杯用かクリスマス・ディナーの小道具−−。これまで限られた出番に甘んじていたシャンパンなど発泡性ワインの人気が急上昇している。」などを内容とする記事があり、「発泡性ワイン輸入量5割増」との見出の下に「現在ではフランスの原産地名称国立研究所(INAO)により、『シャンパン』と名のれるのはその“生誕地”シャンパーニュ地方の発泡性ワインのみと規定されている。」と報道された(甲第44号証)。

(ナ)平成2年1月11日付け日本経済新聞夕刊では、「シャンパン 値下げで人気も上々」の見出の下に「はじける泡や優雅な味と香りが魅力のシャンパン。結婚披露宴やクリスマスパーティーだけでなく、入学式や誕生日などにも登場することが多くなった。炭酸ガスを含む発泡性ワインは各国にあるが、『シャンパン』を名乗れるのはフランスのシャンパーニュ地方産だけ。・・・最近のパーティーブームに加えて、昨年4月の酒税改正で2割程度価格が下がったことから人気急上昇。」と報道された(甲第45号証)。

(ニ)平成2年1月27日付け朝日新聞では、「シャンパンの輸入量、昨年の日本は66%増」の見出しの下に「日本の昨年のシャンパン輸入が初めて百万本を突破し、前年に比べて実に66.65%増の128万本に達した・・・日本の輸入の伸び率は世界一。輸入量も、カナダの147万本に次いで世界第10位にのし上がった。」と報道された(甲第46号証)。

(ヌ)平成2年11月16日付け朝日新聞では、「商品の外国地名使用ご用心」の見出の下に「祝賀パーティーの乾杯に欠かせないシャンパンといっても、厳密には『シャンパン』と『スパークリング(発泡性)ワイン』の区別がある。どちらも、泡の立つ白ワインに違いはないが、前者はフランスのシャンパーニュ地方産、後者はそれ以外の国や地域で醸造されたものをさす。・・・欧州共同体(EC)は『スパークリング・ワイン』を勝手に『シャンパン』として売るな、と主張している。」と報道された(甲第47号証)。

(ネ)平成3年4月27日付け朝日新聞では、「スパークリングワイン 手ごろな値段で楽しめる」の見出の下に「・・・スパークリングワインが最近、人気を集めています。お祝いの席の乾杯の酒から、友人たちといつでも気軽に楽しめる飲み物に変わってきているようです。代表的な銘柄であるシャンパンの高級品は一本数万円しますが、・・・」、「シャンパンはシャンパーニュ地方で、瓶内発酵法によってつくるなど、法律で基準が細かく決まっており、この地方以外でつくられるスパークリングワインをシャンパンと呼ぶのは禁止されている。」と報道された(甲第48号証)。

(ノ)平成4年7月27日付け毎日新聞夕刊では、「ワインの里を疾走」の見出の下に「・・・『シャンパン』はフランスのシャンパーニュ地方だけで作られるワインの発泡酒の名称。」と報道された(甲第49号証)。

(2)上記(1)の認定事実によれば、「Champagne」及び「シャンパン」の語は、フランス北東部の地名であり、また、同地で作られる発泡性ぶどう酒をも意味する語であること、生産地域、製法、生産量など所定の条件を備えたぶどう酒についてだけ使用できるフランスの原産地統制名称であること、シャンパンが発泡性ぶどう酒を代表するほど世界的に著名であること、世界的に有名な映画でシャンパンが使用されていること、我が国において数多くの辞典、事典、書籍、雑誌及び新聞などにおいてシャンパンについての説明がなされていること、世界の名酒事典などにおいてシャンパンの具体的製品が紹介されていること、ポンという景気のよい爆音、黄金色の酒の美しさ、泡立ちの快さなどから乾杯用としてシャンパンが用いられることが多いこと及び我が国の1998年におけるシャンパン輸入量が世界第7位で298万本(750ml)と多いことなどが認められる。

してみれば、上記事実を総合すると、「Champagne」及び「シャンパン」の語は、我が国において、本件商標の登録出願時(平成20年2月29日)はもとより登録査定時(同年7月4日)を含むその後においても、「フランスのシャンパーニュ地方で作られる発泡性ぶどう酒」を意味するものとして、一般需要者の間に広く知られているというのが相当である。

(3)次に、「Champagne」及び「シャンパン」の名称の保護に関しては、上記認定事実のほか、フランス食品振興会(SOPEXA)1987年発行「フランスのワインとスピリッツ」(甲第8号証)によれば、その18頁及び19頁において、EC(欧州共同体)の規則に従って、ワインはテーブルワインとV.Q.P.R.D.(指定地域優良ワイン)の2つの等級に分類され、フランスでは、この2つの等級がさらにそれぞれに2分され、(a)A.O.C.(原産地統制名称ワイン)(b)V.D.Q.S.(上質指定ワイン)(c)ヴァン・ド・ペイ(地酒)(d)ヴァン・ド・ペイを除いたテーブルワインの4つに分けられること、V.D.Q.S.(上質指定ワイン)は、原産地名称国立研究所(I.N.A.O.)によって厳しく規制されたものに限られ、製造の条件は法令化されていること、A.O.C.(原産地統制名称ワイン)は、その製造が、V.D.Q.Sワインに適用される規制よりさらに厳格な規則を充たすものでなければならず、原産地、品種、最低アルコール含有度、最大収穫量、栽培法、剪定、醸造法及び場合によっては熟成条件等の規準が決定されていること、原産地域がV.D.Q.Sワインの場合よりさらに厳しく限定されていること、その名称を使用することができるためには、様々な基準に合うように製造され、さらに鑑定試飲会の検査に合格しなければならないことなどが記載されていること、また、同書の20頁には、産地別A.O.C.ワイン一覧表中に「シャンパーニュ(CHAMPANE)」が記載されていることが認められる。

さらに、フランス食品振興会(SOPEXA)発行のパンフレット(甲第52号証)、フランス国原産地統制名称の国際的保護のためのINAO(Institut National des Appellations d'Origine)のアクションに関するメモ(甲第53号証)、1936年6月29日のフランス国条例抜粋(甲第54号証)、1935年7月30日付けフランス国政令「原産地統制呼称法」抜粋(甲第55号証)及びフランス国農事法典抜粋(甲第56号証)によれば、フランスでは、1935年に原産地統制名称法を制定し、上記INAOは、原産地統制名称のぶどう酒が満たすべき生産地域、ぶどうの品種、収穫量、最低アルコール純度、栽培方法、醸造方法などの条件を定めることができ、またフランス国内及び国外で原産地統制名称を保護することができる旨などを規定していること、INAOは、申立人などとともにフランス国内及び国外で原産地統制名称の保護の活動をしていることなどが認められる。

(4)一方、本件商標は、上記1のとおりの構成からなるところ、その構成中の「ゴールド」の文字は、「金、金色」の意味を有する外来語として親しまれ、商品の色彩表示としてもしばしば用いられる語であり、「の香り」の文字も、商品が香り付きのものであることを示すためにしばしば用いられる語である。

そうすると、本件商標は、「ゴールド」、「シャンパン」及び「の香り」の3部分からなるものとして認識し把握されるというべきである。そして、本件商標は、全体をもって親しまれた既成の観念を有する成句として知られているものとはいえず、他にこれが常に一体不可分のものとしてのみ認識し把握されるべき事情は見当たらないから、前示の著名な原産地統制名称である「シャンパン」の文字部分が強く看者の印象に残るものというべきである。

(5)以上を総合し、「シャンパン」の語が「フランスのシャンパーニュ地方で作られる発泡性ぶどう酒」を意味するものとして登録出願時及び登録査定時はもとよりその後においても我が国の一般需要者の間に広く知られているものであること並びにフランスシャンパーニュ地方のぶどう生産者・ぶどう酒製造者が永年その土地の風土を利用して優れた品質の発泡性ぶどう酒の生産に努めてきたこと及びフランスが国内法令を制定し、1935年以降INAO等が中心となって原産地名称を統制、保護してきた結果、該語よりなる表示の著名性が獲得されたものであることをも併せ考慮すれば、「シャンパン」の文字を含む本件商標をその指定商品に使用するときは、著名な「Champagne」及び「シャンパン」の表示へのただ乗り(フリーライド)及び同表示の希釈化(ダイリューション)を生じさせるおそれがあるばかりでなく、シャンパーニュ地方のぶどう生産者及びぶどう酒製造者はもとより国を挙げてぶどう酒の原産地名称又は原産地表示の保護に努めているフランス国民の感情を害するおそれがあるというべきである。

したがって、本件商標は、公正な取引秩序を乱し、国際信義に反するものであり、公の秩序を害するおそれがあるものと判断するのが相当である。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号の規定に違反して登録されたものであるから、その登録を取り消すべきものである。

4 商標権者の意見

商標権者は、上記3の取消理由の通知に対し、何ら意見書を提出していない。

5 当審の判断

本件商標についてした上記3の取消理由は妥当であって、本件商標は、その理由に示すとおり、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものといわなければならないから、同法第43条の3第2項の規定に基づき、その登録を取り消すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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