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Trademark Appeal Case

漢方薬の普通名称性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2009−900146(T2009−900146/J7)
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第5198545号商標の商標登録を取り消す。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5198545号商標(以下「本件商標」という。)は,「海馬補腎丸」,「かいまほじんがん」及び「KAIMAHOJINGAN」の各文字を三段に書してなり,平成20年4月30日に登録出願,第5類「薬剤(蚊取線香その他の蚊駆除用の薫料・日本薬局方の薬用せっけん・薬用酒を除く)」を指定商品として,同年12月11日に登録査定され,同21年1月23日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要旨)

「海馬補腎丸」は,海馬(タツノオトシゴ)を主原料として,鹿茸,海狗腎,人参,地黄,当帰などを配合した漢方薬の普通名称であり,「かいまほじんがん」及び「KAIMAHOJINGAN」は,その読みを表示したにすぎないから,本件商標はその指定商品に含まれる漢方薬の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標に該当する。

したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第1号及び同法第4条第1項第16号に該当する。

3 本件商標に対する取消理由(要旨)

(1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)の提出に係る証拠によれば,以下の事実が認められる。

甲第2号証は,申立人のうちの「イスクラ産業株式会社」に対する昭和43年4月26日付けの医薬品輸入承認書及びこれに関連する医薬品輸入承認申請書並びに医薬品輸入承認追加申請書の写しである。その医薬品輸入承認申請書の名称の販売名の欄に「海馬補腎丸(Sea Horse Genital Tonic Pills)」の記載がある。また,甲第3号証は,同じく申立人のうちの一人「八ツ目製薬株式会社」に対する平成6年11月17日付けの医薬品輸入承認書及びこれに関連する医薬品輸入承認申請書の写しである。その医薬品輸入承認申請書の名称の販売名の欄に「海馬補腎丸」の記載がある。

甲第4号証及び甲第5号証は,申立人の主張によれば,前記の輸入申請に係る医薬品に添付される説明文書の写しである。その甲第4号証の3枚目に「海馬補腎丸/かいまほじんがん」,「本品は,海馬・鹿茸などの動物性の補腎陽薬が多数配合された滋養強壮剤である。」などの記載があり,また,甲第5号証の2枚目に「海馬補腎丸」「この薬は中国の天津中薬製薬廠でつくられたもので,強精,強壮剤の代表的なものとして用いられています。」の記載がある。

甲第6号証は,「いかに弁証論治するか」の表題の書籍(1996年5月20日 東洋学術出版社発行)である。その9頁に「海馬補腎丸」の文字とその効能を表示したものと認められる「温補腎陽・滋養強壮・益精健脳」の記載がある。また,19頁,67頁,242頁,256頁,263頁及び268頁にも「海馬補腎丸」の文字がその効能表示と共に記載されている。

甲第7号証は,「中国漢方がよくわかる本」の表題の書籍(2001年8月30日 株式会社河出書房新社発行)である。その25頁に「...八味地黄丸や海馬補腎丸/かいまほじんがんなど,腎を温める作用をもった補腎薬を併用するとよい。...」の記載がある。

甲第8号証は,「この目でみた/新中国漢方」の表題の書籍(1995年1月9日 株式会社実業之日本社発行)である。その109頁に「海馬補腎丸/かいまほじんがん」の見出しの下に「腎機能強化こそ最大のポイント/海馬補腎丸は,薬名から察しがつくとおり,大海馬(タツノオトシゴ)が入った薬で,腎機能の強化にきわめて有効な役割を果たす薬です。...」の記載がある。

甲第9号証は,「漢方方剤ハンドブック」の表題の書籍(1996年11月20日 東洋学術出版社発行)である。その269頁に「海馬補腎丸/かいばほじんがん」の見出しの下にその組成/効能/主治,解説などの記載がある。

甲第10号証は,「漢方実用大事典」の表題の書籍(1989年2月22日 株式会社学習研究社発行)である。その235頁に「海馬/かいば」の見出しの下に,ヨウジウオ科,ウミウマ属のオオウミウマ/成分/薬効/漢方などの記載がある。

甲第11号証は,「漢薬の臨床応用」の表題の書籍(1994年3月10日 医歯薬出版株式会社発行)である。その539頁に「海馬/かいば」の見出しの下に,ヨウジウオ科/薬理応用/臨床応用などの記載がある。

甲第16号証は,「ヌウ(nous)」(1992年6月1日 小学館 発行)である。その89頁に「日本で手に入る中国薬ガイド」の見出しの下に「海馬補腎丸」の文字とその説明及び「海馬/SeaHorse」などの文字が表示された商品の写真が掲載されている。

甲第21号証は,昭和60年3月23日付け報知新聞であり,これには「なるほど・ザ中医学」の見出しの下に「...多尿や手足の冷えをともなうケースには『八味丸』や『海馬補腎丸』(かいまほじんがん)を...」の記載がある。

甲第22号証は,「壮快」(昭和63年10月号 マキノ出版 発行)である。その250頁に「強力な動物生薬を多く含み心身を若返らせて中高年を健康にする海馬補腎丸/かいばほじんがん」の見出しの下に「...中国では動物性の生薬を含む漢方薬がかなり使用されています。その代表的な海馬補腎丸(かいばほじんがん)が中国から輸入され,最近注目を集めています。...」の記載がある。

甲第25号証は,「週刊実話」(8月27日号 日本ジャーナル出版 発行)である。その38頁に「...海馬補腎丸(かいまほじんがん)」。中国で製造され,医薬品として日本に正式に輸入されている。...」の記載がある。

甲第26号証は,「りじょい」(2000年1月号)である。その101頁に「海馬補腎丸」の文字とその説明及び「海馬/Sea Horse」の文字が表示された商品の写真が掲載されている。

甲第31号証は,「〈臨床レポート〉/中成薬・海馬補腎丸の治験」の表題のあるレポート(昭和60年8月1日 自然社発行)である。その1頁の「臨床レポート/中成薬・海馬補腎丸の治験」の見出しの下に「...海馬補腎丸は,天津中薬製薬廠で製造されているいわゆる中成薬の一つであって,説明書によると中国の名医の処方で二00年以上の歴史があり,臨床経験を通して絶えず改善され現在に至ったものである。...」の記載がある。

甲第38号証の1は,「Google」における「海馬補腎丸」の検索結果の一部である。これには,「海馬補腎丸の検索結果 約14,100件中1−10件目」及び検索日と認められる「2009/04/03」の表示の他,「海馬補腎丸の格安通販」,「海馬補腎丸の低価格販売」を含む10件の検索結果の見出しが,そのアドレスや商品の説明などと共に表示されている。

(2)以上,認定した事実によれば,「海馬補腎丸」は,医薬品関連の専門書・専門辞典のみならず,一般の新聞・雑誌・書籍などにおいて,「海馬(タツノオトシゴ)」を材料に用いた漢方薬の一つを指称する用語として解説,紹介されている語であり,そして,「海馬補腎丸」の名称を付した商品は,遅くとも申立人が輸入承認を受けた昭和63年に日本での販売が可能となり,それ以降日本で継続的に紹介・販売されていたことが認められ,登録査定後の検索ではあるが,インターネットを利用した通信販売においても容易に購入できることなどが認められる(2009/04/03検索)。

そうすると,「海馬補腎丸」の語は,本件商標のの登録査定時には薬剤に関する取引界において,「海馬(タツノオトシゴ)」を材料に用いた漢方薬の一つとして,その商品の一般的な名称であると認識されるに至っていたものとみるのが相当である。

そして,本件商標は,上記1のとおり,「海馬補腎丸」,「かいまほじんがん」及び「KAIMAHOJINGAN」の文字を三段に書してなるところ,その構成中の「かいまほじんがん」及び「KAIMAHOJINGAN」の文字は,「海馬補腎丸」を平仮名文字及びローマ字で表したものである。

してみれば,本件商標は,これをその指定商品中の「海馬補腎丸」に使用するときには,その商品の普通名称を普通に用いられる方法で表示するものにすぎないものであって,自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであり,また,これを「海馬補腎丸」以外の商品に使用するときには,商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるものである。

したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第1号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。

4 商標権者の意見

商標権者は,前記3の取消理由について,指定した期間内に意見を述べていない。

5 当審の判断

平成21年11月4日付けで前記3の取消理由を通知し,期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが,商標権者からは何らの応答もない。

そして,前記3の取消理由は妥当なものであるから,本件商標の登録は,商標法第43条の3第2項の規定により取り消すべきものである。

よって,結論のとおり決定する。

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