Trademark Appeal Case
原料名と識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2009−900200(T2009−900200/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5211174号商標(以下「本件商標」という。)は、「Rose de Mai ローズ ド メイ」の文字を標準文字で書してなり、平成20年6月27日に登録出願、第3類「化粧品,香料類,せっけん類,歯磨き」を指定商品として、同21年1月19日に登録査定、同年3月6日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由の要点
本件商標は、その商品の品質、効能等を表すものとして使用されており、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきものである。
3 本件商標に対する取消理由の要点
登録異議申立人の提出に係る証拠によれば、「Rose de Mai」及び「ローズ ド メイ」について、以下の事実が認められる。
(1)平成元年11月株式会社香料産業新聞社発行「新版 香料入門」(甲第1号証)の80ページ「栽培される香料植物」<ローズ>の項には、ローズの香料は水蒸気蒸留により得られる「エッセンス」と呼ばれるものと、溶剤抽出による「アブソリュート」と呼ばれるものと2種類あり、現在南仏の町グラースでは、アブソリュート・ローズの最高級品、「ローズ・ド・メイ(5月のバラ)」だけが、5月のみの収穫として少量生産されている旨が記載されている。
また、84ページには、天然香料の栽培地、香料として使われる部位及び栽培時期の代表的なものの一覧表中に、香料名「ROSE DE MAI」、部位「花」、栽培地「フランス」、時期5月として記載されている。
(2)平成17年1月31日丸善株式会社発行「香りの百科事典」(甲第2号証)の882ページには、「香料バラ」として、フレグランスや化粧品類に使用されるバラ精油を採るために栽培される品種は、次の2品種及びその改良種である、と記載され、883ページには、その一品種のセンチフォリア種が、南仏のグラース地方が産地で、ローズ・ド・メ(rose de mai)とよばれ、アブソリュート・ローズオイルが得られる旨が記載されている。
(3)昭和60年7月11日東洋経済新報社発行「香料の実際知識(第2版)」(甲第3号証)の57ページ3.2 植物性香料(植物精油)「ローズ油(ばら油)Rose Oil」の項には、〔植物〕Rosa damascena(ブルガリア、トルコ、ソ連産、別名ダマスク・ローズ)、Rosa centifolia(フランス、モロッコ産、別名ローズ・ド・メイ)、〔採油〕Rosa damascenaからは主として花の蒸気蒸留、Rosa centifoliaからは主として溶剤抽出によりコンクリートを経て花精油を得る、と記載されている。
(4)1993(平成5)年5月30日第9版株式会社裳華房発行「ポピュラーサイエンス においの化学」(甲第4号証)の24ページ及び25ページ「第3章 香りのみなもと−天然香料(4)ローズ」には、このローズには採油法のちがいによって、アブソリュートと精油の2種類があること、バラの名前で古くから親しまれていること、ローズのにおいは、花の香りの代表的なものであること、「ローズ・アブソリュート」は、ローズ・ド・メとよばれている花から抽出法で得る重厚で甘い香りで粘稠(ねんちゅう)な黄褐色液体であり、ローズ・ド・メ・アブソリュートともよばれ、多くの有名香水をはじめ、高品質、高級調合香料に使用され、ジャスミンと並んで最も重要な花香調香料と記載されている。
(5)インターネット打ち出し資料(甲第5号証)の2ページには、Rose de Mai ローズドメが香料に使われていると記載されている。
(6)インターネット打ち出し資料(甲第6号証)の1ページには、一口コメントとして、ローズ ド メイ Rose de Maiがバラのエッセンシャルオイルの中で一番良質なオイルとして知られており、南フランスでは昔から香料の原料として大量に栽培されてきた旨が記載されている。
以上の認定事実によれば、「Rose de Mai」又は「ローズ ド メイ」の語は、多くの有名香水をはじめ、高品質、高級調合香料に使用される「ばら油」(ローズオイル)を採るために栽培されているバラの一品種名を意味するものであって、遅くとも本件商標の登録査定がなされた当時、化粧品及び香料類を取り扱う業界においては、よく知られていた語と認められるものである。
したがって、「Rose de Mai」、「ローズ ド メイ」の語は、高級調合香料に使用される「ばら油(ローズオイル)」を採るために栽培されているバラの一品種名を表す語であって、化粧品及び香料類を取り扱う業界においてはよく知られた語と認められるものである。
そうとすると、本件商標を、その指定商品中「化粧品,香料類」に使用するときは、これに接する取引者・需要者にその商品が原材料に「ローズ ド メイ」と称するバラの品種から採った「ばら油(ローズオイル)」を使用するものであることを認識させるに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、「ばら油(ローズオイル)を使用した化粧品・香料類」以外の「化粧品、香料類」に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
4 商標権者の意見
商標権者は、前記3の取消理由について、指定した期間内に意見を述べていない。
5 当審の判断
本件に関し、審判長は、商標権者に対し、平成21年11月5日付けで、前記3の取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、商標権者からは何らの応答もない。
そして、本件商標についてした前記3の取消理由は、妥当なものである。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中、結論掲記の商品について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定によって、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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