結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2009−890078(T2009−890078/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第5202319号商標(以下「本件商標」という。)は、「GLUCO REMAKE」の文字を標準文字により書してなり、第29類「サメ軟骨抽出成分を主原料とする錠剤状・カプセル状・粉末状の加工食品」を指定商品として、平成20年7月17日に登録出願され、平成21年2月6日に設定登録されたものである。
請求人が本件商標の無効の理由に引用する登録商標は、次の(1)ないし(7)のとおりであって、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第1540451号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:GLICO
登録出願日:昭和53年4月19日
設定登録日:昭和57年9月30日
書換登録日:平成15年12月17日
指定商品 :第29類、第30類、第31類及び第32類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(2)登録第2656196号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:グリコ
登録出願日:平成4年1月20日
設定登録日:平成6年4月28日
書換登録日:平成16年4月21日
指定商品 :第29類、第30類、第31類及び第32類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(3)登録第2656197号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:Glico (筆記体)
登録出願日:平成4年1月20日
設定登録日:平成6年4月28日
書換登録日:平成16年4月21日
指定商品 :第29類、第30類、第31類及び第32類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(4)登録第4865866号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:グルコ (標準文字)
登録出願日:平成16年9月17日
設定登録日:平成17年5月20日
指定商品 :第29類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(5)登録第1404446号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成:GLICO
登録出願日:昭和46年5月14日
設定登録日:昭和55年1月31日
書換登録日:平成21年10月21日
指定商品 :第30類「菓子,パン」
(6)登録第2469574号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の構成:グリコ
登録出願日:平成元年6月13日
設定登録日:平成4年10月30日
書換登録日:平成14年10月23日
指定商品 :第30類「菓子,パン」
(7)登録第2671736号商標(以下「引用商標7」という。)
商標の構成:Glico (筆記体)
登録出願日:平成4年1月20日
設定登録日:平成6年6月29日
書換登録日:平成16年4月21日
指定商品 :第30類「菓子,パン」
なお、引用商標5は上記(1)の登録商標と、引用商標6は上記(2)の登録商標と、引用商標7は上記(3)の登録商標と、それぞれ同一の構成からなるものである。(以下、上記(1)ないし(3)の各登録商標を一括して「引用商標A」といい、また、(5)ないし(7)の各登録商標を一括して「引用商標B」という。)
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし第25号証(枝番を含む。)を提出した。
請求人は、大正10年栄養菓子「グリコ」を創製して以来、その商号の一部である「グリコ」の称呼が生じる「グリコブランド」を取引者、需要者へ浸透を図るべく、商品パッケージを始め、「菓子」のTVCM等において、当初は欧文字「GLICO」を、その後は欧文字「glico」を請求人が販売する個々の「菓子」の名前と共に必ず使用することで取引者・需要者に浸透を図るというブランド戦略を取ってきている。
そして、請求人は、いわゆる健康食品の分野でも、「菓子」分野で著名なブランドである「グリコ」につき複数の登録商標を所有すると共に、本件商標の構成要素中の欧文字部分「GLUCO」から生じる称呼「グルコ」と同一の称呼を生じる片仮名文字「グルコ」からなる登録商標を所有している。
かかる状況下において、本件商標がその指定商品について使用された場合には、本件商標は、請求人の所有する各登録商標と類似するから、その商品の出所につき混同を生じるおそれがある。
さらに、商品「菓子」といわゆる「健康食品」とは、商取引上、取引者、需要者を共通にする商品であることから、本件商標をその指定商品に使用した場合には、請求人が商品「菓子」について所有する著名ブランドの指標力を稀釈化するおそれがある。
このようなことから、請求人は、本件審判を請求することにつき利害関係を有する。
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 指定商品の類似性
引用商標1ないし4の指定商品中には、本件商標の指定商品と類似する第29類「たんぱくあるいはアミノ酸を主成分とする粉末状・顆粒状・タブレット状・丸薬状・ゲル状・ゼリー状・固形状の加工食品」及び第30類「糖類を主成分とする粉末状・顆粒状・タブレット状・丸薬状・ゲル状・ゼリー状・固形状の加工食品」が含まれているから、引用商標1ないし4の指定商品中には、本件商標の指定商品と類似する商品を含むものである。
イ 商標の類似性
(ア)本件商標について
a 本件商標の外観構成について
本件商標は、欧文字「GLUCO」とワンスペース置いて欧文字「REMAKE」が配された構成からなるものであることから、本件商標に接した取引者、需要者は「GLUCO」と「REMAKE」の二つの語からなるものであると容易に認識できる。
b 本件商標を構成する「REMAKE」の語について
「REMAKE(リメーク)」の語は、「改造する、再映画化する」(甲第7号証の1)の意味を有する英語の成語であるが、広辞苑にも当該語が掲載されている事実(甲第7号証の2)からも明らかなように、我が国では日常語として使用されている。
即ち、「REMAKE」の語は、従来から「かつての名画のリメーク版である」といった使われ方がされてきたが、本来「つくりなおすこと、もう一度つくること。」(甲第7号証の3)の意味を有することから、「商品をリメークする」といった使われ方がなされているばかりでなく、最近の健康ブームの下では、「体を新たに作り直す」の意味合いで、例えば「体を芯からリメイク!!」(甲第7号証の4)、「不活性な体の簡単リメイク術」(甲第7号証の5)といった使われ方がなされている。
したがって、「健康に関する効果を表示して販売されるいわゆる健康食品」に、この「REMAKE」の語を使用した場合、「身体を作り直すことを目的とした健康食品」といった観念が容易に想起されることから、この「REMAKE」の語は、本件商標の指定商品であるいわゆる健康食品との関係では識別性が弱いものである。
c 本件商標全体から生じる称呼について
本件商標全体から生じる称呼「グルコリメーク」自体、7音構成からなっており比較的冗長であると言い得るものである。
d 本件商標の構成要素中の「GLUCO」と請求人の著名ブランド「GLICO」、「glico」及び「グリコ」との類似性について
後述するように本件商標の構成要素中の「GLUCO」は、請求人の著名ブランド「GLICO」、「glico」及び「グリコ」と類似するものであり、かかる語と「REMAKE」の語が結合された本件商標に接した取引者、需要者は、「GLUCO」の部分に特に強い印象を受けると共に「身体を作り直すグリコブランドの健康食品」といった観念を容易に想起するものである。
e 小括
以上より、本件商標は、その構成全体から識別力が生じると共に、「GLUCO」の部分をもって取引の用に供されることも少なくなく、該文字部分は、本件商標の要部というべきものである。
(イ)引用商標Aが本件商標と類似することについて
a 請求人のブランド名がいわゆる健康食品の分野でも知られていること
上述したように、請求人はいわゆる健康食品としてのスポーツサプリメント「POWER PRODUCTION」シリーズを販売している(甲第8号証の1及び2)。
このスポーツサプリメント「POWER PRODUCTIONシリーズ」には、ハードなトレーニングをする方への「瞬発系 BCAA パウダー、チュアブルタブレット&顆粒タイプ」(甲第9号証の1)、すべてのアスリートの方への「持久系 アミノパウダー AMINO POWDER」(甲第9号証の2)、脅威の回復力―ハードなトレーニングを目指す方への「回復系 エキストラ・アミノ・アシド EXTRA AMINO ACIDS」(甲第9号証の3)、「エネルギーの水分のサポート飲料CCDドリンク CYCLIC Cluster Dextrin」(甲第9号証の4)といった身体を改造することを目的とした製品ラインナップとなっており、「グリコのスポーツサプリメント」として雑誌で取り上げられているほか、広告情報として雑誌に掲載されているところである(甲第10号証の1及び2)。
ところで、上述したように、請求人は、創製菓子メーカーとして事業を開始し、この「菓子事業」を中核事業とし、この菓子をも含む各種食品事業の商品に引用商標Aに代表されるグリコブランドを積極的に使用した結果、グリコブランドは食品一般においても著名性を獲得している。
このことは、特許庁の審決においても顕著な事実であるとされている(甲第11号証の1及び2)。
そして、請求人は、その企業理念として良く知られている「おいしさと健康」を実現するために、「毎日果実」(甲第12号証の1)、「バランスオン」(甲第12号証の2)、「サンドデリ」(甲第12号証の3)、といったいわゆる「菓子栄養調整食品」や特定保健用食品である「こだわり工房」(甲第12号証の4)の製造・販売を行うと共に健康食品事業も展開しているところであり(甲第2号証)、最近の健康ブームの下では、商品「菓子」についても「健康、栄養」をキーワードとしたビタミン、カルシウム等の各種栄養成分入りの「菓子」即ち、「菓子栄養調整食品」や「特定保健用食品」の製造・販売がされている実情に鑑みると、健康に良いとされる栄養成分が含まれている点で、いわゆる「健康食品」と「菓子」とは密接な関連性を有している。
しかも、両商品ともコンビニエンスストア等で販売されている実情があることから、商品「菓子」といわゆる「健康食品」とは、各々の商品の用途、販売方法、需要者においてかなり密接な関係にあり、現に請求人が健康食品を販売していることもあり、商品「菓子」につき請求人が堅持しているグリコブランドの著名性は「健康食品」についても十分に通用するものである。
b 本件商標と引用商標Aとの類否について
(a)はじめに
上述したように、請求人はブランド戦略として、商品「菓子」につき著名性を獲得しているグリコブランドを表示する商標を、1992年4月以前まではゴシック体の「Glico」を、それ以後は筆記体からなる引用商標3をいわゆる健康食品のパッケージ等にシリーズ商標と共に必ず付して販売することで、当該著名ブランドにつき「健康食品」についても訴求を図っている(甲第8号証の1及び2)。
(b)本件商標と引用商標1とが類似することについて
<外観について>
引用商標1は、請求人の著名商標である「グリコブランド」を欧文字「GLICO」で表示する構成からなるものであって、本件商標の「GLUCO」と同様に5文字構成からなるものであり、両者はその5文字中の1文字「I」と「U」とが相違するに過ぎず、「GLUCO」は健康食品の分野でもかなり知られている「GLICO」ブランドとは、外観上紛らわしいものである。
<称呼類似について>
引用商標1からは請求人の著名なブランド名「グリコ」が生じる。一方、本件商標の構成要素中の欧文字部分「GLUCO」からは、商取引の経験則上、「グルコ」の称呼が生じ、称呼「グリコ」と称呼「グルコ」とは、共に3音構成中の中間音である「リ」と「ル」の1音が相違する。
そして、該差異音「リ」と「ル」は、50音図の同行音に属する近似音であるばかりではなく、その差異が比較的聴取され難い中間部に位置すること、さらに、直前の「グ」と後続する「コ」が明瞭に響く音であるため、これに比して差異音が明瞭に聴別され難いことから、該差異が両称呼全体に及ぼす影響は大きなものとは言えず、両者をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の語調語感が近似し、互いに聞き誤るおそれがあるものと認められる(甲第13号証の1ないし4)。
しかも、この称呼上の近似性は、引用商標1から生じる称呼「グリコ」自体が、本件商標の指定商品であるいわゆる「健康食品」が属する業界においても十分に認識されているものであることと相まって、称呼「グルコ」は称呼「グリコ」に近似するものである。
そして、本件商標の要部である「GLUCO」は、造語であることから、本件商標に接した取引者、需要者は称呼、外観を中心に認識するものであり、本件商標は、称呼、外観上において引用商標1と類似する。
(c)本件商標と引用商標2との類否について
引用商標2は、片仮名文字「グリコ」から構成されているものであり、「グリコ」の称呼が生じる。そして、称呼「グリコ」と本件商標の構成要素中の「GLUCO」から生じる称呼「グルコ」とは上述したように称呼上極めて近似したものであって、本件商標は引用商標2と類似する。
(d)本件商標と引用商標3との類否について
引用商標3は、請求人が提供する菓子は勿論のこと、いわゆる健康食品をも含む全ての食品に実際に使用されており、引用商標3に接した取引者、需要者は、その使用商品がいわゆる健康食品であろうとも、請求人の著名ブランドを表示する商標であると認識するものである。
<外観類似について>
引用商標3と本件商標の要部を構成する「GLUCO」とは、各々欧文字の小文字と欧文字の大文字とから構成されているという相違はあるものの、引用商標1と同様に、5文字構成中の1文字「i」と「U」とが相違するに過ぎず、「GLUCO」は健康食品の分野でもかなり知られている「glico」ブランドとは外観上紛らわしいものである。
上述したように、引用商標3から生じる称呼「グリコ」と本件商標の要部である「GLUCO」から生じる称呼「グルコ」とは極めて近似しており、両称呼は類似する。
そして、本件商標に接した取引者、需要者は称呼、外観を中心に認識するものであり、称呼、外観上において本件商標は引用商標3と類似する。
以上、請求人の上記主張は、結合商標の類否に関する特許庁の審査基準5(6)に沿ったものである(甲第14号証)。
(e)本件商標と引用商標4との類否について
本件商標の要部である欧文字「GLUCO」から生じる称呼「グルコ」と引用商標4を構成する片仮名文字「グルコ」から生じる称呼「グルコ」とは同一であり、本件商標は引用商標4と称呼上類似する。
そして、本件商標の指定商品であるいわゆる健康食品の一般需要者にとっては、本件商標の要部である「GLUCO」は造語と認識されること、さらには、いわゆる「健康食品」の取引者・需要者には広く一般消費者も含まれるものであるところ、これらの者が、例えば陳列棚に添付された表示札や多数の商品とともに掲載された宣伝広告チラシの記載によって、商品の同一性を識別するに際して、明らかに称呼が極めて重要な要素であることから、取引者、需要者による取引の実情を考慮すれば、外観及び観念に比して称呼を重視すべきことは明らかである(知財高裁平成20(行ケ)第10411号判決:甲第15号証)。
したがって、本件商標を付した商品と引用商標4を付した商品とは、その出所について誤認混同を生じるおそれがあり両商標は類似するものである。
(ウ)判決例
上述の請求人の主張は独自なものではなく、引用商標1ないし4の著名性を考慮すれば、商標の類似性が高まる旨判断した判決例があるので、以下、掲記する。
「平成12年(行ケ)第435号審決取消訴訟(平成13年6月20日判決:甲第16号証)」
「平成13年(行ケ)第277号審決取消訴訟(平成14年1月30日判決:甲第17号証)」
ウ まとめ
以上より、本件商標と引用商標1ないし4とは、商標において類似するものであって、両者の指定商品も類似するものであるから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 請求人が展開している商品「菓子」についての引用商標Bのブランド戦略について
請求人は、1922年2月11日に大阪の三越百貨店で栄養菓子「グリコ」の販売を開始して以来、中核となる菓子事業を始め、冷菓事業、健康食品事業等で製造・販売される各種食品の商品のいずれの商品パッケージにも、その書体は時代によって異なるが(現在は、上記第2(7)の商標(甲第20号証)が使用されている。)、必ず個々の商品名と共に称呼「グリコ」が生じる登録商標を表示してきており(甲第21号証の1ないし5)、請求人の提供に係る数多くの商品「菓子」等のTVCMにおいて、その最後のコマでは、メインブランドである「glico」の文字が現れる(甲第22号証)。
そして、請求人がこれまでに提供している菓子等の各種食品分野の商品のTVCMの量が膨大であることは、請求人がTVCMで契約をしたタレント中、現在及び過去において、極めて良く知られているタレントの数だけでも69名も挙げられるほどであることからも窺えるところである(甲第23号証)。
さらに、請求人が設置している大阪市中央区の道頓堀川に架かる戎橋脇の西日本最大級のネオンサイン及び東京JR有楽町駅前の東映本社ビル屋上に設置されたネオンサインは有名であるが、これらのいずれのネオンサインにも、請求人の著名ブランドである「glico」が表示されていることは、全国的に著名な事実である。
かかる請求人の多年に渡るグリコブランド戦略の展開の結果、グリコブランドは、我が国において「菓子」を中心とした各種食品分野において、トップクラスのブランドとしての確固たる地位を築いているものであり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標Bは、グリコブランドを表象する商標として著名性を獲得してきており、かつ、現在に至るまで、その著名性を継続している。
このことは、「グリコ」の文字からなる請求人所有の登録商標「グリコ」が第1類ないし第12類、第14類ないし第22類、第24類ないし第28類、第30類及び第31類の各類に渡って防護標章登録がなされている事実(甲第24号証)からも裏付けられるばかりではなく、甲第11号証の1の拒絶査定不服審判事件及び甲第11号証の2の異議審判事件においても認められているところである。
イ 本件商標と引用商標Bとの類似性について
前記のとおり、本件商標と引用商標Bとは類似するものであり、取引者・需要者は両者から共通した印象ないしはイメージを感受するものである。
加えて、引用商標Bを構成する「GLICO」、「グリコ」又は「glico」は、いずれも特定の観念を生じさせない造語であり、独創性の高い商標である。
このように、造語より構成される創造商標については、一般に強い識別力が認められ、他人がその商標と類似するような商標を使用した場合には、既成語から構成される商標よりも、需要者に対する印象、記憶、連想作用等から出所の混同が生ずる幅は広いというべきである。
ウ 本件商標の指定商品と引用商標Bの使用商品との関連性について
本件商標の指定商品は、第29類に属するいわゆる「健康食品」であるところ、最近の健康ブームとの関係で商品「菓子」においても「健康と栄養」はキーワードであって、かかるキーワードの下、「菓子栄養調整食品」といった菓子が市場に提供されていることから、商品「菓子」と、いわゆる「健康食品」とは、その素材を共通にする場合も多いばかりではなく、いずれの商品も、特にコンビニエンスストア等の店舗では、同じ棚に置かれている等、両商品は、その生産部門、販売部門、原材料、用途及び需要者層などにおいて一致する関連性の高い商品である。
しかも、商品「菓子」及びいわゆる「健康食品」の各分野における需要者層が、子供から老人に至るまでの幅広い一般消費者であり、その注意力が必ずしも高くない者を含んでいることから、さらに、商品の出所につき混同する可能性が高いものである。
エ 本件商標が引用商標Bのシリーズ商標であるかの如く誤認されることについて
上述したように、請求人は、引用商標B、特に現在では、上記第2(7)の商標(甲第20号証)をシリーズ商標と共に使用していることから、本件商標がその指定商品に使用された場合には、それがあたかも請求人の「グリコブランド」商標に係る個別商品であるか、または、これと何らかの関連性を有する商品であるかの如く誤認され、或いは、その商品の出所について、組織的又は経済的に何らかの関係がある者の商品であるかの如く混同されるおそれもある。
以上の請求人の主張理由は、他人の商品又は役務の出所の混同を生ずるおそれがある場合を定める商標法第4条第1項第15号の審査基準5に沿ったものである(甲第26号証)。
オ 請求人の著名な「グリコブランド」の信用力の稀釈化
被請求人が、本件商標をその指定商品について使用する行為は、請求人が永年に亘る莫大な宣伝広告費用と営業努力によって培ってきた著名ブランド「グリコ」、「GLICO」及び「glico」が有する信用力(ブランド価値)にただ乗りするものであり、かかる信用力(ブランド価値)を稀釈化させるものであるから、競業秩序の維持の観点からも容認されるべきでない。
カ まとめ
以上より、引用商標Bは、請求人の業務に係る商品を表示するものとして極めて著名なものであるから、本件商標がその指定商品について使用されると、需要者はその「GLUCO」の部分をして「グリコブランド」を想起し連想して、当該商品を請求人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品、関連商品やシリーズ商品であるかのように誤信し、その出所について混同するおそれがある。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
(3)結論
以上述べたとおり、本件商標は商標法第4条第1項第11号又は同第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録は無効とすべきである。
被請求人は、何ら答弁していない。
請求人が本件審判の請求をすることにつき、利害関係を有するか否かは当事者間に争いはなく、当審も請求人は本件審判の請求人適格を有するものと判断するので、以下、本案に入って審理する。
(1)請求人の提出に係る証拠及びその主張の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。
ア 請求人は、1922年2月11日に大阪の三越百貨店で栄養菓子「グリコ」の販売を開始して以来、菓子類に止まらずレトルト食品、カレー・ルー、炊き込みご飯の素、各種サプリメントといった食品事業を行っている。
請求人のグループ会社には、グリコ栄養食品、グリコ乳業、アイクレオがあり、グループ全体では、乳児を初めとして全年齢を対象とした食品(菓子、食品、乳製品、飲料)を取り扱う総合食品メーカーとなっている。
そして、これらの商品には、引用商標B、特に「グリコ」及び「Glico」(筆記体)の文字からなる引用商標6及び7が使用され、様々な媒体を通じて盛大な広告宣伝が行われており、テレビ・ラジオの提供番組は枚挙にいとまがない程であり、これまでテレビコマーシャルのイメージキャラクターとして請求人と契約をした人気タレントだけでも60余名に達する。
また、大阪の道頓堀川に架かる戎橋脇には、引用商標7を表示した西日本最大級のネオンサインが設置されていることでも知られている(甲第23号証)。
イ 近年の健康ブームに伴い、請求人は、前示のとおり、いわゆる健康食品としてのサプリメントやビタミン、カルシウム等の各種栄養成分入りの菓子栄養調整食品・特定保健用食品等の商品も販売しているところ、これらの商品にも、引用商標Aが使用され、「グリコのスポーツサプリメント」等として雑誌等で紹介されている(甲第8号証ないし第12号証(いずれも枝番を含む。))。
(2)以上の認定事実によれば、引用商標Bは、商品「菓子」を中心とした食品に、永年盛大に使用された結果、本件商標の登録出願時には、既に請求人の業務に係る商品を表示する商標として取引者、需要者の間に広く認識されていたものというべきであり、その状態は本件商標の登録査定時においても継続していたものと認められる。
(1)本件商標は、前記第1のとおり、「GLUCO」及び「REMAKE」の文字を、一文字分程のスペースを置いて一連に「GLUCO REMAKE」と表してなるものであるが、その構成中「GLUCO」の文字部分は「グルコースの、ぶどう糖の」を意味する連結形の英語であり、また、「REMAKE」の文字部分は「・・・を作り直す、改造する、リメイクする」を意味する英語であると容易に認識し理解されるものであるところ、その構成文字全体として特定の観念を生じる一連一体の語とはいえないことから、本件商標に接する取引者、需要者は、本件商標を「GLUCO」と「REMAKE」の二つの語からなるものと容易に認識し把握するものといえる。
そして、本件商標の指定商品は、引用商標Bの使用に係る商品「菓子」等と密接な関係を有するいわゆる健康食品であるから、本件商標に接する取引者、需要者は、その構成中前半の「GLUCO」の文字に注目して、前記認定のとおり、著名な引用商標Bを想起するか連想するものとみるのが相当である。
そうすると、本件商標は、その構成文字全体から生ずる「グルコリメーク」の称呼のほか、単に「グルコ」の称呼をも生ずるものと認められる。
他方、引用商標Bからは、いずれも「グリコ」の称呼を生ずる。
そこで、本件商標と引用商標Bとを比較するに、本件商標から生ずる「グルコ」の称呼と引用商標Bから生ずる「グリコ」の称呼とは、共に3音からなり、称呼の識別上重要な要素を占める第1音「グ」と第3音「コ」を共通にし、中間部において「ル」と「リ」の音を異にするのみであるが、相違する「ル」と「リ」の音にしても、50音図の同行音に属する近似した音であるばかりでなく、その差異が比較的聴取されがたい中間部に位置することから、両者をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の音感、音調が近似し彼此相紛らわしいものである。
また、「GLUCO」の文字と、「GLICO」又は「Glico」の文字とは5文字中、中間部における「U」と、「I」又は「i」との差異しかなく、綴りが極めて近似しているものであるから、外観上も相紛らわしいものである。
そうすると、本件商標と引用商標Bとは、称呼及び外観において類似するものといわなければならない。
(2)本件商標の指定商品は、いわゆる健康食品の範疇に属する商品といえるところ、上記(1)で認定したとおり、請求人は、菓子に止まらず、健康食品としてのサプリメント、各種栄養成分入りの菓子栄養調整食品・特定保健用食品等も取り扱っていること、一般に菓子や飲料の製造業者がいわゆる健康食品の分野にも進出する傾向がみられること、菓子と菓子栄養調整食品、健康食品等とは、品質、販売場所、需要者等を共通にする場合があることなどからすると、引用商標Aが使用されている商品と本件商標の指定商品とは、密接な関係を有するものといえる。
(3)かかる事情の下において、本件商標をその指定商品に使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「GLUCO」の文字部分に注目して、著名となっている引用商標Bないしは申立人を連想、想起し、該商品が申立人又は申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効にすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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