結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2008−301448(T2008−301448/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4511942号商標(以下「本件商標」という。)は、「写楽」の文字を縦書きしてなり、平成8年3月26日に登録出願、第33類「清酒」を指定商品として同13年10月5日に設定登録されたものである。
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取消すとの審決を求め、その理由を次のように述べた。
本件商標は、その指定商品「清酒」について継続して3年以上、国内において使用した事実が存しないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第3号証を提出した(なお、被請求人は、書証の表示を甲号証として表示しているが、被請求人提出の証拠であるので、それぞれに対応する乙号証として表示した)。
取消審判請求前3年以内に権利者、通常使用権者によって、本件商標をその指定商品について使用している。
乙第1号証は、清酒のラベル(胴貼り)、清酒瓶詰包装用外箱、取引書類及びインターネットによる情報であり、使用商標及び使用商品を示すものである。乙第2号証は、清酒ラベルの製造年月日、清酒ラベルの賞味期限年月日、取引書類の日付を示す資料であって、使用時期を示すものである。乙第3号証は、通常使用権許諾の契約書、商標権譲渡契約書であって、使用者を示す証拠である。本商標権は、東山酒造合資会社から合名会社今井商店に権利譲渡されており、合名会社今井商店により、宮泉銘醸株式会社及び有限会社写楽に対して通常使用権の許諾がなされている。
被請求人は、本件商標をその指定商品「清酒」について使用しているとして、乙第1号証ないし同第3号証を提出している。
(1)被請求人の提出に係る乙各号証によれば、以下の事実を認めることができる(被請求人は、証拠全体に通し頁を付しているので、以下、その頁に従って記載する。)。
(ア)乙第1号証は、使用に係る商標及び使用商品を示す証拠として提出されているものであり、5頁ないし8頁は、宮泉銘醸株式会社の作成に係るパンフレット及びパンフレットに掲載されている写真の商品及び包装箱の拡大写真と認められるものであり、清酒の箱や清酒の瓶の表ラベルの写真には、別掲のとおりの構成からなる商標(以下「使用商標」という。)が表示されている。17頁ないし30頁は、取引書類の抜粋であり、宮泉銘醸株式会社が平成17年12月6日から平成20年10月30日にかけて、福島県南酒販株式会社、(有)猪本酒店、山中ストアー、武蔵屋、割烹ひろ幸、福島県酒類卸株式会社等々の顧客に対して清酒「純米大吟醸 古典写楽」を販売した際の請求書と認められるものである。
(イ)乙第2号証は、清酒についての使用時期を示す証拠として提出されたものであり、53頁ないし56頁は、清酒の表ラベルやキャップ部分の写真あるいは裏ラベルの写真等であり、それらには、宮泉銘醸株式会社の表示とともに使用商標や純米大吟醸、成分表示等が表されており、製造年月として「20−06」あるいは「20.8.」等の製造年月が表示されている。57頁ないし60頁は、商品ラベルや外箱についての納品伝票に関するものであり、59頁は2007年12月13日付けで、精英堂印刷株式会社が宮泉銘醸(株)へ宛てた納品書であり、品名・規格の欄には「写楽720ML1本カートン 版代」とあり、数量や単価、金額等が記載されている。60頁は平成19年11月6日及び平成20年8月29日付けで、有限会社タカハシ印刷が宮泉銘醸(株)へ宛てた納品書であり、品名の欄には「蔵出し原酒ラベル」や「写楽チラシ」、「写楽ラベル」とあり、数量や単価、金額等が記載されている。
(ウ)乙第3号証は、商標権者及び通常使用権者に関する証拠として提出されたものである。73頁は、商標権者及び通常使用権者についての関係・経緯を記した書面であり、「本件商標権者であった東山酒造合資会社と宮泉銘醸株式会社とは遠縁の会社であり、同じ会津若松で営業する酒造会社として古くからのパートナーであり、『写楽』についても交流していたところである。商標の分野からいえば『写楽』の通常使用権者でもあったといえる。平成17年、東山酒造合資会社が新展開の事業の開始に伴い、同じ経営者による別会社である合名会社今井商店に商標権を譲渡し、さらに合名会社今井商店から前記宮泉銘醸株式会社及び東山酒造合資会社と合名会社今井商店の経営者と同一人が営む有限会社写楽(東京帝劇地下で飲食店営業)に通常使用権を許諾した。その後に東山酒造合資会社は発展的に解散した。」旨記載されている。74頁は、東山酒造合資会社が合名会社今井商店へ本商標権を譲渡したことを示す平成17年1月30日付けの譲渡証書(単独申請承諾付き)である。76頁は、合名会社今井商店と宮泉銘醸株式会社との間で締結された本商標権についての平成17年3月30日付けの契約書であり、本商標権に付き通常使用権を許諾するとして、許諾商品を「清酒」、許諾地域を「日本全国」、許諾期間を「本契約締結日より1年間」とするものであり、許諾期間については、当事者が本契約の解約の意志を表示した書面を相手方に通知しない限り、引き続いて1年間自動更新されるものとし、以後同様とする旨記載されている。
(2)ところで、商標登録原簿の記載に照らしてみれば、合名会社今井商店が本商標権についての特定承継による移転の申請をしたのは平成21年9月17日であるから、本商標権についての移転登録がなされるまでは、合名会社今井商店が本商標権の商標権者であるとはいえない。しかしながら、上記において認定したとおり、合名会社今井商店は、平成17年1月30日付けをもって、前商標権者である東山酒造合資会社から本商標権の譲渡を受けていたものであり、その譲渡契約は有効なものとして存続しているものといえるから、少なくとも、平成17年3月30日付けで、合名会社今井商店が宮泉銘醸株式会社に対して、本件商標の使用を許諾した契約も有効に存続しているものと認められる。そうとすれば、宮泉銘醸株式会社は、該契約に基づいて、合名会社今井商店から本件商標を使用することの許諾を受けていたものとみるのが相当である。しかも、被請求人の主張によれば、宮泉銘醸株式会社は、東山酒造合資会社が合名会社今井商店に本商標権を譲渡する以前から、東山酒造合資会社からも本件商標について使用を許諾されていた関係にあったものと推認し得るものである(62頁ないし71頁)。
(3)そこで、前記において認定した乙各号証によれば、被請求人の通常使用権者と認められる宮泉銘醸株式会社は、本件審判の請求の登録(平成20年12月2日)前3年以内に、清酒「純米大吟醸 古典写楽」の製造をしていた事実が認められ(乙第2号証の53頁ないし56頁)、また、該清酒に使用するラベル等を精英堂印刷株式会社あるいは有限会社タカハシ印刷から納品を受けていたものと認められる(乙第2号証の59頁及び60頁)。そしてまた、宮泉銘醸株式会社は、本件審判についての要証期間内の平成17年12月6日から平成20年10月30日にかけて、福島県南酒販株式会社、(有)猪本酒店、山中ストアー、武蔵屋、割烹ひろ幸、福島県酒類卸株式会社等々の顧客に対して、清酒「純米大吟醸 古典写楽」を販売していた事実を認めることができる(17頁ないし30頁)。
(4)しかして、本件商標は、前記したとおり、「写楽」の文字を縦書きしてなるところ、宮泉銘醸株式会社の使用に係る商標は、別掲(1)のとおり、「写楽(「写楽」の文字は旧字体で表されている)」の文字を大きく縦書きし、その右肩に「古典」の文字を小さく配した構成からなるものであるが、「古典」の文字は、13頁の記載にもあるように、古典的な醸造法で造ったことを表す語であって、醸造法の一つとして「古典造り、古典醸造法」のように用いられている語であることに加えて、右肩に小さく表されていることから、使用商標の要部は「写楽」の文字にあるものとみるのが相当であり、通常使用権者の使用に係る商標は、本件商標と社会通念上同一の商標であるということができる。
(5)以上のとおり、被請求人の主張及び乙各号証を総合してみれば、被請求人の通常使用権者と認められる宮泉銘醸株式会社は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、商標法第2条第3項第1号、同第2号及び同第8号に記載されている「商標についての使用行為」をしていたものということができる。
そして、請求人は、被請求人の答弁に対して何ら弁駁するところがない。
(6)まとめ
してみれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、被請求人の通常使用権者と認められる宮泉銘醸株式会社により、日本国内において、本件審判の請求に係る指定商品である「清酒」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したものということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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