Trademark Appeal Case
記述的結合商標の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2008−3949(T2008−3949/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「スリムスティッククッキー」の文字を標準文字により表してなり、第30類「クッキー」を指定商品として、平成19年5月22日に登録出願されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『細くて(slim)棒状(stick)のクッキー』を認識、理解させる『スリムスティッククッキー』の文字を書してなるものであるから、これをその指定商品に使用するときは、単に該商品の形状、品質を表示するに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを行ったところ、別掲に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、平成21年11月11日付けで証拠調べの結果を通知した。
第4 職権証拠調べに対する請求人の意見の要点
請求人は、「前記第3に係る証拠調べにおける『スリム』の語並びに『クッキー』及び『スティック』の語がそれぞれ組み合わせて一般的に使用されている事実について、本願の商品である『クッキー』について使用されている事実はわずかであり、一般的に使用されているとはいえず、さらに、『スリム』の語が『痩せる』又は『健康的な』という意味を連想させる間接的な表現として商品『クッキー』に使用されているため、本願商標を指定商品『クッキー』に使用した場合、本願商標中の『スリム』の語は、『痩せる』又は『健康的な』という意味を連想させる間接的な表現として認識され、本願商標に接する取引者、需要者は『細くて棒状のクッキー』と認識するということはできず、本願商標は自他商品の識別標識として機能を有するものである。」旨、述べている。
第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号について
(1)本願商標について
本願商標は、前記第1のとおり、「スリムスティッククッキー」の文字を標準文字により表してなるものである。
そこで、本願商標の構成態様について考察するに、前記第3に係る証拠調べ中1の事実より、それぞれ「スリム」の語よりは「細いさま」等の意味を有し、「スティック」の語よりは「棒状のもの」等の意味を有し、及び「クッキー」の語よりは「ビスケットに類する洋菓子。クッキー。」の意味を有することが認められる。
次に、前記第3により通知した証拠調べ中2及び3の事実より、本願の指定商品を取り扱う商品の取引者、需要者においては、「スリム」及び「スティック」の語は、「スリムタイプ」、「スリムな・・・」、「スティックタイプ」及び「スティック状」等のようにクッキー等の商品が前記意味に照応する形状及び品質であることを表示する語として一般的に使用されている事実が認められ、さらには、同3(12)ないし(14)の事実より、クッキー等の菓子をスティック状(棒状)の形状にしてなるものを「スティック菓子」と指称され、それが菓子の一種類を表示する語として使用されている事実も認められる。
また、同4の事実より「スティッククッキー」の語は、「棒状(バー状)のクッキー」であることを表示する語として、一般的に使用されていることも認められる。
さらには、同2(5)の事実にある「スリムにスティック状に仕上げた」、同2(7)の事実にある「食べやすいスリムスティックタイプ」及び同4(8)の事実にある「スリムなスティックタイプ」のように、「スリム」及び「スティック」の語は、それぞれを組み合わせて形状及び品質を表示する語として普通に使用されている事実が認められる。
次に、「スリムスティッククッキー」の語を一連にして表すことによっても、それぞれの語が持つ意味合いを超え全体として新たな別異の意味合いを生じ得るものとはいい難く、何ら新たな観念を生ずるものとは認められないために、本願商標は、その構成全体をして一体不可分の造語とする理由を見出すこともできないものであると認められる。
そうとすると、前記のとおり各語が持つそれぞれの意味合いを参酌し、以上の事実を総合勘案すると、本願商標をその指定商品「クッキー」に使用しても、これに接する取引者、需要者をして「細くて棒状のクッキー」程の意味合いを容易に認識させるに止まり、自他商品の識別標識としての機能を有しないものと認められる。
(2)平成21年12月24日付けの意見書における請求人の主張について
(ア) 同意見書において請求人は、「当審における前記第3の証拠調べ中における『スリム』の語が一般的に使用されている事実について、本願の指定商品である『クッキー』と、当該事実において使用される『ビスケット』、『チョコレート菓子』及び『ラクトアイス』等とは商品が異なるため、『クッキー』の形状又は品質等を表示する語として使用されている事実とは認められず、さらには、指定商品『クッキー』に対して『スリム』の語が形状又は品質を表示する語として使用されている事実は3件であり、それらはいずれも10年以上前の新聞記事によるものであり、そのうちの2件は同一企業による同一商品に関する新聞記事であるために一般に使用されている事実があるということはできず、また、『クッキー』及び『スティック』の語がそれぞれ組み合わされて本願の指定商品である『クッキー』に対して使用されている事実は、前記の企業による同一商品に関する新聞記事であるために、これについても一般に使用されている事実があるということはできない。」旨を主張している。
しかしながら、前記の『ビスケット』、『チョコレート菓子』及び『ラクトアイス』等の商品は、本願の指定商品である「クッキー」とは、その商品の生産部門、販売部門の同一性、原材料、品質の同一性、用途の同一性、需要者の範囲の同一性等を同じくする場合が多く、その商品の製造・販売はほぼ同一の業界内において取り扱わられており、かつ、取引者及び需要者も同じであると認められるため、それらの商品は比較的近似しているものと認められる。
そうとすると、前記3の証拠調べの結果により、本願の指定商品を取り扱う商品(菓子)の業界において、「スリム」、「スティック」及び「スティッククッキー」の語が商品の形状、品質等を表示する語として一般に使用されているものと認めることが相当であると判断する。
また、「スリム」、「スティック」及び「クッキー」の語をあわせて表示することによっても、各語が持つそれぞれの意味合いを超え全体として新たな別異の意味合いを生じ得るものとはいい難く、何ら新たな観念が生ずるものと認めることはできない。
そして、請求人は、「指定商品『クッキー』について『スリム』の語並びに『クッキー』及び『スティック』の語が組み合わされて形状又は品質を表示する語として使用されている例が少ない」旨を主張しているが、商標法第3条第1項第3号の適用に際して、出願に係る商標がその指定商品等の品質等を表示するものとして現実に一般的に使用されている事実の要否について考察するに、同号の趣旨は「これら本号列挙のものを不登録とするのは、これらは通常、商品又は役務を流通過程又は取引過程に置く場合に必要な表示であるから何人も使用をする必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものだから一私人に独占を認めるのは妥当ではなく、また、多くの場合にすでに一般的に使用がされあるいは将来必ず一般的に使用がされるものであるから、これらのものに自他商品又は自他役務の識別力を認めることはできないという理由による。」(特許庁編「工業所有権法(産業財産権法)逐条解説(第17版) 1171頁」参照)とされ、これよりは必ずしも現実の使用が必要とされているわけではなく、そのことは例えば「同号は、指定商品の品質、用途を表すものとして取引者、需要者に認識される表示態様の商標につき、そのことのゆえに商標登録を受けることができないとしたものであって、同号を適用する時点において、当該表示態様が、商品の品質、用途を表すものとして現実に使用されていることは必ずしも必要でないものと解すべきである。」(東京高等裁判所 平成13年12月26日言渡 平成13年(行ケ)第207号)並びに「商標法3条1項3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである」(東京高等裁判所 平成12年9月4日言渡 平成12年(行ケ)第76号)との判示がなされており、これと同旨の判示をした判例はこの他にも存するところである。
そうとすると、たとえ、本願の指定商品である商品「クッキー」についての使用例が少ないとしても、本願商標が登録されるべきであるかどうかは、その指定商品の取引者、需要者等において、これがどのような意味を有するものとして認識され用いられているかによって判断されなければならないところ、本願商標は、前記認定のとおりの意味合いを取引者、需要者をして容易に認識させるにすぎないものであり、かつ、その構成態様を理由として何ら新たな観念を生ずるものとは認められないため、本願商標が自他商品を識別する機能を果たし得るとは言い難いものである。
(イ) 次に、同意見書において、請求人は、「本願商標を指定商品『クッキー』に使用した場合、本願商標中の『スリム』の語は、『痩せる』、『健康的な』という意味を連想させる間接的な表現として認識させ、さらに、『スリム』の語が『痩せる』又は『健康的な』という意味を連想させる間接的な表現として商品『クッキー』に使用されている事実を平成21年12月25日付け手続補足書により証拠方法として資料1ないし資料6を提出している。
しかしながら、上記提出に係る資料1においては「ハーバースリムクッキーメープル風味7枚入×7袋」を見出しにおいて、その商品詳細の記載欄に請求人による下線部分として「1枚14kcal、1袋7枚でたった約98kcal。カロリーコントロールに。」の記載があり、同資料2においては、商品名と認識させる「スリムクッキー(きなこ)」の商品説明記載欄に請求人による下線部分として「少しでもスリムな体型のお役にとの思いで開発しました」の記載があり、同資料3においては商品名と認識させる「スリムクッキー」の商品概要として請求人による下線部分として「無肥料・無農薬黒豆の豆乳とおからを使用したクッキー。ダイエットに最適です。」の記載があり、同資料4においては見出し、あるいは商品名と認識させる「ロハスなスリムクッキー」の記載部分に請求人による下線が記してなり、同資料5においては見出し、あるいは商品名と認識させる「トリプルスリムクッキー」の記載及び「トリプル効果の新ダイエットクッキー」の記載部分に請求人による下線が記してなり、同資料6は請求人が運営するウェブサイトとして、当該商品を使用することによりダイエット等に役立つ旨の記載がなされているところ、これらの使用事実は、請求人が主張するように、あくまで「痩せる」又は「健康的な」等の意味合いを間接的に連想させるに止まるものであり、「スリム」の語が「細い」等の意味を有する語としては認識しないとする理由の根拠としては何らの理由も見いだすことはことはできないものであると判断されるべきものと認められる。
したがって、請求人の前記いずれの主張も採用することはできない。
(3)過去の登録例について
請求人は、請求の理由及び原審における平成20年1月15日付け意見書において、過去の登録例を挙げ、本願商標も同様に登録されるべきである旨主張しているが、登録出願された商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は、当該商標の構成態様と指定商品との関係における、その商品の取引の実情を考慮して、個別具体的に判断されるべきものであって、かつ、その判断時期は、査定時又は審決時と解されるべきものであるところ、請求人が挙げた商標登録例は、本願商標とはその構成態様を異にするものであり、その指定商品も同一のものとは言い難いものであるから、その存在によって前記判断は左右されないというべきである。
したがって、請求人の主張を採用することはできない。
(4)まとめ
以上の事実を総合勘案すると、本願商標は、その指定商品「クッキー」に使用しても、これに接する取引者、需要者をして「細くて棒状のクッキー」程の意味合いを容易に認識させるものであるから、単に商品の形状及び品質を表示したものと認識させるに止まり、自他商品の識別標識としての機能を有する商標とは認識し得ないものであるために商標法第3条第1項第3号に該当する。
2 商標法第3条第2項について
(1)請求人の主張及び請求人提出に係る各証拠方法について
請求人は、請求の理由において本願商標は使用による自他商品識別力が発生している旨を主張し、平成20年2月22日付け手続補足書により証拠方法として資料1ないし資料10を提出している。
(2)商標法第3条第2項を適用するための要件について
出願に係る商標が、その指定商品との関係において、単に商品の品質、効能、用途等を表示したものと認識させるに止まるために商標法第3条第1項第3号に該当する場合に、それが同条第2項に該当し、使用による識別性が発生したとして登録が認められるか否かは、(a)実際に使用している商標及び商品等、(b)使用開始時期、使用期間、使用地域、(c)該商品の生産、証明若しくは譲渡の数量又は営業の規模(店舗数、営業地域、売上高等)、(d)広告宣伝の方法、回数及び内容、(e)一般紙、業界紙、雑誌又はインターネット等における記事掲載の回数及び内容、(f)需要者の商標の認識度を調査したアンケートの結果等の事実を総合勘案して、出願商標が使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものと認められるかどうかによって判断するものであり、かつ、使用に係る商標及び商品は、出願に係る商標及びその指定商品と同一の場合に限られるものである。
(3)そこで、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するか否かについて考察するに、請求人の提出している資料のほとんどはインターネットに基づく事実であるところ、インターネットによる検索とは、検索する本人が、その必要性、あるいは関心があって行われる行為であるから、その文字にそもそも必要性、関心がない人にとっては全く目にすることがない場合が多いことからすれば、テレビや新聞の宣伝、広告等とは異なり、単に多数の検索結果をもって、需要者間において幅広く認識されているとする根拠としては希薄なものといわざるを得ない。
また、使用により識別力を有するに至った商標として登録が認められるのは、その商標と同一の商標及びその商標を使用していた商品と同一の商品に関する場合のみであるところ、上記提出に係る資料1及び同資料3は、インターネットショッピングの画面が印刷されたものであるが、表示されている「スリムスティッククッキー」は、本願商標と態様を異にするものであるから、本願商標と同一の商標を実際に使用しているものと認めることはできず、さらには、使用に係る商品について、クッキー状の健康食品として認識されるものと判断することもできるため、使用に係る商標及び商品ともに、本願商標及び本願の指定商品と同一であると認めることはできないものと判断するべきである。
次に、上記提出に係る資料1及び同資料4ないし同資料8により、本願商標に係る商品について、本願商標を使用していることが認められ、また、同資料3、同資料9及び同資料10により2005年頃より当該商品が製造・販売されていることは認められるが、長年にわたるものではなく、ネット上の販売に限られるため、提出に係る各資料よりは、販売規模、売上高、販売実績、営業規模、広告宣伝の方法、回数については明らかではないから、当該商品が本願商標を付して使用された結果、需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができるものと認められる程の事実があったものとは認めることはできないものであると判断するべきである。
以上の事実を総合勘案すると、本願商標は、提出に係る各証拠方法によっては、それが、上記の使用に係る商品に使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものに至ったとは認められないため、前記の商標法第3条第2項の適用の各要件を具備するものとは認めることはできない。
そうとすれば、請求人の提出に係る各証拠によっては、本願商標がその指定商品に使用された結果、需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものと認めることができないから、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものに該当するということができない。
3 結語
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであって、かつ、同法第3条第2項の要件を具備するものではないから、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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