Trademark Appeal Case
複合語の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2008−30042(T2008−30042/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「Reliable Host Printing Protocol」の欧文字を横書きしてなり、第9類「電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物,青写真複写機,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,パンチカードシステム機械,票数計算機,郵便切手のはり付けチェック装置」を指定商品として、平成19年6月26日に登録出願されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『Reliable Host Printing Protocol』の文字を書してなるところ、これを構成する『Reliable』の文字は、『頼りになる、確かな、信頼できる』等を意味する語として、『Host』の文字は、『ホストコンピューター(ネットワークに接続されているパソコンや端末等からの計算や制御の依頼を集中して処理する役割)』の略語として、『Printing』の文字は、『印刷』を意味する語として、また、『Protocol』の文字は、指定商品との関係においては、『コンピュータ同士、或いは、コンピュータ内部で動作するソフトウェアやハードウェアが、互いにデータをやり取りするための手順や仕組みを定めた約束事』を意味する語として普通に使用されており、また近時、企業等の組織内においてシステムの効率化を図るべく、ホストコンピュータで印刷を管理する『ホスト印刷』という技術が広く採用されている実情にあるから、全体として『(信頼性の高い)ホストコンピュータにおける印刷に関するプロトコル(通信規約)』の如き意味を認識させるにとどまるものと認める。そうとすると、本願商標をその指定商品中、例えば『電子応用機械器具,電子計算機プログラム』等に使用するときは、単に『(信頼性の高い)ホストコンピュータにおける印刷の通信規約に関するコンピュータプログラム、またはそのコンピュータプログラムを搭載している商品』であるという商品の品質を誇称する表示であるとの認識をさせるにすぎず、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標と認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定し、本願を拒絶したものである。
第3 当審においてした証拠調の要旨
1 本願商標は、「Reliable Host Printing Protocol」の欧文字を表わしてなるところ、当審において行った、本願商標の構成文字についての証拠調によれば、コンピュータプログラムに関連する分野において以下の事実が認められる。
(1)「Reliable」「リライアブル」「信頼性」の語について
ア 「RBBTODAY」と称するホームページの「IT辞典」の「リライアブル・マルチキャスト(RM: Reliable Multicast)」の項に、「誤りのないマルチキャスト。複数の受信者すべてに対して誤りのないデータの転送を行うサービスを、『誤りのないマルチキャスト』(RM: Reliable Multicast)と言います。」との記載がある。
イ 「株式会社アイティフォー」のホームページの2009年1月28日付プレスリリースに、「3.Reliable(リライアブル:信頼性)・・・これにより高い「信頼性」を実現し、・・・」との記載がある。
ウ 「@IT」と称するホームページの「WCFによるセキュアでリライアブルでトランザクティッドな分散アプリケーションの構築」の項に、「2. WCFでのメッセージのリライアビリティ・・・例えば、WCFの標準のバインディングのうちデフォルトでリライアブルなものの代表格として、・・・」との記載がある。
(2)「Host Printing(HostPrint)」「ホストプリンティング(ホストプリント)」の語について
ア 「帳票の総合情報サイト 帳票ポータル」と称するホームページの「帳票実装モデル 帳票設計・運用」の項に、「コニカミノルタビジネスソリューションズにきく」として、「ニーズに合わせた遠隔制御システムの構築が可能」のタイトルの下に、「オンデマンドパブリシャーは遠隔制御システム用のプログラミングインターフェースがあり、・・・ホストプリンティングと同等の生産性と、高度なセキュリティーを保持するシステム構築が可能です。」との記載がある。
イ 「TeckTargetジャパン」のホームページの「Super Visual Formadeハンズオンセミナー」の項に、「最後の『STEP3』では、ホストプリンティングと同様のセンター一極集中のスプール印刷を実現する『Report Director Enterprise』が実機プリンタによるデモと合わせて紹介される。」との記載がある。
(3)「Printing Protocol」「プリンティング プロトコル」の語について
ア インターネットのフリー百科事典「ウィキペディア」の「Internet Printing Protocol」の項に、「Internet Printing Protocol(インターネット プリンティング プロトコル、略称IPP)は、・・・TCP/IPネットワークを利用して、遠隔地にあるプリンタとコンピュータの間で印刷データなどのやりとりを行うための規格である。」との記載がある。
イ 「nikkei BPnet」と称するホームページの「富士ゼロックス、異なるメーカの周辺機器でIEEE1394のDPPを実演」の項に、「富士ゼロックスは、IEEE1394を使って周辺機器間でデータをやりとりする際のプロトコルの一つ『ダイレクト・プリンティング・プロトコル(DPP)』を複数の周辺機器に実装し、異なるメーカの周辺機器でデータの送受信が可能なことを実演した。」との記載がある。
2 上記1のとおり、本願の指定商品を扱う業界においては「Reliable(リライアブル)」の語が「信頼できる、確かな」との、「Host Printing(ホストプリンティング)」の語が「ホストコンピュータにより制御された印刷」との、また、「Printing Protocol(プリンティングプロトコル)」の語が「印刷のための通信規約」との意味を表わす語としてそれぞれ使用されている。
これらの事実からすれば、「Reliable Host Printing Protocol」の欧文字は、「信頼できる(信頼性の高い)ホストコンピュータによる制御印刷のための通信規約」の意味を容易に認識させるものと判断するのが相当である。
そうとすれば当該文字からなる本願商標は、これをその指定商品中、上記通信規約に適応した商品(例えば、「(信頼性の高い)ホストコンピュータにおける印刷の通信規約に関するコンピュータプログラム及びこれを搭載している商品」)について使用するときは、これに接する取引者・需要者が、当該文字を、上述の通信規約に基づいた商品であるという商品の品質を表したものと理解するに止まり、自他商品の識別標識として認識し得ないものといわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、また、これを上記以外の商品に使用するときには、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあり、同法第4条第1項第16号に該当するものである。
第4 証拠調べ通知に対する請求人の意見
上記第3の「証拠調べ通知」に対して、請求人は意見書を提出し、要旨次のように述べている。
1 請求人は、本願の他、アメリカ合衆国及びカナダ国においても同一の「Reliable Host Printing Protocol」の商標出願を行い、いずれも審査を経た後、「NOTICE OF ALLOWANCE」が送達され、現在、登録準備段階に達している。
2 これらに登録許可通知書が送達されたことは、これらが英語圏においても具体的商品の品質を想起し得ないか、間接的に品質を表示するにとどまるものであることを示していることは明らかである。
3 本願商標もこれらと同様に取り扱われるべきであり、本願商標についてのみ別異に扱われるべき特別の事情は存在しない。
4 よって、本願商標は商品の品質を直接的に表示したものでないことが明らかであり、これを普通に用いられる方法で表示したとしても商標法第3条第1項第3号及び同第6号に該当することなく、かつ、品質の誤認も生じることもありえず、同法第4条第1項第16号に該当することもない。
第5 当審の判断
本願商標は、「Reliable Host Printing Protocol」の欧文字を横書きしてなるところ、本願商標に対する当審の判断は、上記第3 2の認定のとおりであり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものである。
ところで、請求人は、上記第4のとおり主張している。
しかしながら、商標が識別力を有するか否かの判断は、査定時又は審決時における取引の実情を勘案し、その取引者・需要者の認識を基準に判断すべきものであり、上記第3 1の事実からすれば、上述のとおり判断するのが相当であるから、請求人の主張は採用できない。
よって、結論のとおり審決する。
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